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平成31年2月6日判決言渡
平成30年(行ケ)第10124号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成30年12月13日
判決
原告株式会社ミマス
同訴訟代理人弁理士小谷武
同伊東美穂
同池田恭子
同守田裕介
同香島友希
被告コミテアンテルプロフェッ
ショネルデヴァンドゥ
シャンパーニュ
同訴訟代理人弁護士田中克郎
同中村勝彦
同弁理士佐藤俊司
同阪田至彦
同池田万美
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
特許庁が無効2017-890086号について平成30年7月26日にした審
決を取り消す。
第2事案の概要
1本件商標
原告は,別紙「本件商標」記載の商標について,第9類「眼鏡,電子出版物,ア
プリケーションソフトウェア」を指定商品とする商標(登録第5942675号。
平成28年9月6日商標登録出願,平成29年2月24日登録査定,同年4月28
日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。
2特許庁における手続の経緯
⑴被告は,平成29年12月25日,特許庁に対し,本件商標につき,その商
標登録が商標法4条1項7号に違反することを理由として,無効審判を請求した。
⑵特許庁は,この審判請求につき無効2017-890086号事件として審
理した上,平成30年7月26日,「登録第5942675号の登録を無効とす
る。」との別紙審決書(写し)記載の審決(以下「本件審決」という。)をし,そ
の謄本は,同年8月3日,原告に送達された。
⑶原告は,同月31日,本件審決を不服として,本件訴えを提起した。
3本件審決の理由の要旨
本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,本件商
標登録は,商標法4条1項7号の規定に違反してされたものであるから,同法46
条1項1号の規定により無効とすべきものである,というものである。
4取消事由
商標法4条1項7号に係る判断の誤り
第3当事者の主張
〔原告の主張〕
1商標法4条1項7号該当性
⑴原告は,本件商標につき,その指定商品中の「眼鏡」の下位概念に相当する
「コンタクトレンズ」に使用している。すなわち,本件商標中の「envie」は,原
告の子会社(以下「訴外会社」という。)が販売するコンタクトレンズブランドの
名称であり,当該ブランドにおいて,「CHAMPAGNEGRAY」は,「グレーがか
ったシャンパン色」というカラーコンタクトレンズの色を意味している。そして,
この「envieCHAMPAGNEGRAY」は,当該ブランドの「シャンパングレイ色」
のカラーコンタクトレンズとして,広くドラッグストアやインターネットを通じて
日本全国で販売されている。
⑵「envie」は,「羨望」を意味するフランス語であるが,日本では,一般の
取引者及び需要者は必ずしもフランス語に堪能ではないため,上記意味合いを持つ
フランス語として明確に認識することはない。他方,「envie」に対応する片仮名
文字「アンヴィ」は「envie」をフランス語読みしたものであるが,これを普通に
アルファベット読みすると,「エンヴィエ」又は英語「ENVY」の過去・過去分詞
形「ENVIED」から「エンヴィー」と称呼される可能性が高く,「envie」から
「アンヴィ」との称呼が普通に生じるとは考えられない。
また,原告は,日本におけるフランスの知的でおしゃれなイメージや,柔らかい
発音から生まれる優しいニュアンスと,「envie」の本来の意味である「羨望」す
なわち「強いあこがれ」という意味合いから生じるイメージから,「envie」を原
告のコンタクトレンズ事業のメインブランド名として採用したものであり,その意
味においても,日本ではなじみの薄いことばである「envie(アンヴィ)」は取引
者や需要者の記憶に残る印象的なフレーズである。さらに,カラーコンタクトレン
ズは,つけまつげやウィッグと共に若い世代のおしゃれには欠かせないアイテムの
1つとなっているところ,色彩におしゃれ感を出すために,カラーコンタクトレン
ズ会社各社でカラーコンタクトレンズの色彩について独自のネーミングをし,それ
を商標登録している。本件商標中の「CHAMPAGNEGRAY(シャンパングレイ)」
は,黄色みがかった灰色のカラーコンタクトレンズを意味している。
そして,原告のカラーコンタクトブランド「envie」は,広く知られている。
⑶「CHAMPAGNE(シャンパン)」は,フランスのシャンパーニュ地方で作
られる発泡性ぶどう酒を示す原産地統制名称であるとともに,日本においては,
「シャンパン色(緑黄又は黄褐色)」という色彩を表す語及び色彩を表す語の一部
として使用されるものとしても普通に認識されている。
現に,インターネット検索により「シャンパングレイ」を検索したところ,約4
9万5000件のヒットがあり,そのほとんどが原告のカラーコンタクトに関する
記載であるところ,そこでは,誰も原産地統制名称としての「CHAMPAGNE(シ
ャンパン)」と結び付けて認識していない。また,色彩を表す「CHAMPAGNE
(シャンパン)」と「GRAY(グレイ)」からなる「CHAMPAGNEGRAY(シャ
ンパングレイ)」の一体不可分な構成から,色彩以外の意味合いを想像するとは思
えない。
しかるに,「CHAMPAGNE(シャンパン)」が,酒類,特に「フランスのシャ
ンパーニュ地方の発泡酒ワイン」として周知著名であることをもって,色彩表示で
ある「CHAMPAGNE(シャンパン)」色の使用についてまで規制することは,
「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」(商標法4条1項7号)を拡大解釈す
ることによって,商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損
なうことになる上,商標の選択の機会を著しく狭めることになりかねない。そのよ
うな被告の行為は,産業の発展に寄与するという商標法の法目的に反し,ひいては
被告の既得権益を悪用する権利の濫用にも該当するというべきである。
⑷「シャンパン」の語が「ゴールド」の語と相まって全体として色の表示であ
ることは,商標「シーラボUVシャンパンゴールド」に係る特許庁の異議申立事
件においても認められているところ,本件商標も「ブランド名」+「色彩」という
構成の点ではこれと同様である。また,本件商標以外にも,「シャンパングレイ」
の文字が含まれる登録商標が存在し,その権利者は,実際に「シャンパングレイ」
をアルミサッシの色を示すものとして使用している。さらに,米国においては「フ
ランスのシャンパーニュ地方の発泡酒ワイン」に関連するもの以外であれば商標登
録されており,それに対して被告が何ら申立てをしている気配は見られない。
⑸以上の事情から,本件商標に接する取引者及び需要者は,本件商標をもって,
カラーコンタクトレンズのブランドである「envie(アンヴィ)」が販売する
「CHAMPAGNEGRAY(シャンパングレイ)」色のカラーコンタクトレンズを示
すものと認識するのみである。ここで,本件商標中の「CHAMPAGNE」は,カラ
ーコンタクトレンズの色彩の表示の一部として使用されているところ,このような
使用は,「特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合」
には該当しない。
したがって,本件商標は,商標法4条1項7号に該当しない。
2まとめ
以上のとおり,本件審決は本件商標の商標法4条1項7号該当性に関する判断を
誤った違法なものである。
〔被告の主張〕
1商標法4条1項7号該当性
⑴商標法4条1項7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」
には,特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合が含
まれると解されるところ,その判断にあたっては,当該商標の文字・図形等の構成,
指定商品又は役務の内容,当該商標の対象とされたものがその国において有する意
義や重要性,我が国とその国の関係,当該商標の登録を認めた場合にその国に及ぶ
影響,当該商標登録を認めることについての我が国の公益,国際的に認められた一
般原則や商慣習等を考慮して判断すべきである。
⑵被告は,「シャンパーニュ地方ぶどう酒生産同業委員会」を意味する名称の
もとに,フランス国シャンパーニュ地方における酒類製造業者の利益の保護を目的
の一つとして設立されたフランス法人である。
⑶フランスにおいては,原産地統制名称又は原産地表示が厳格に統制されてお
り,その中核をなすのが,1935年(昭和10年)に制定された原産地統制名称
法(Appelationd‘OrigineContrôlée)である。この法律において原産地統制名称
ぶどう酒(A.O.C.)は,原産地,品質,最低アルコール含有度,最大収穫量,醸
造法等の様々な基準に合うように製造されなければならず,また,その名称を使用
するためには,厳格な品質維持が要求されている。原産地統制名称は,産地の名称
を法律に基づいて管理し,生産者を保護することを第一の目標とし,また,名称の
使用に対する厳しい規制は,消費者に対して品質を保証するものとなっている。
そして,「シャンパン」(CHAMPAGNE)(以下「『シャンパン』表示」とい
う。)は,原産地統制名称法による原産地統制名称であり,シャンパーニュ地方産
の発泡性ぶどう酒にのみ使用を許される名称である。この表示を付した商品(シャ
ンパン)は,わが国においても高品質で稀少価値を有する商品として広く販売され
ており,産地を表示する標章の代表的なものの一つとして極めて著名となっている。
被告は,フランス国やINAO等と共に,「シャンパン」表示が有するこのような
著名性及びそれに伴う顧客吸引力の維持のために努力を永年重ねてきた。すなわち,
国内外の需要者・取引者が想起する「シャンパン」表示の信頼性や評判を損なわぬ
よう,シャンパーニュ地方のぶどう生産者やぶどう製造業者を厳格に管理・統制し,
厳格な品質管理・品質統制をし,また,これらの者と関係のない他人が「シャンパ
ン」表示を無断で使用又は登録することにより,こうした努力により蓄積・維持さ
れてきた「シャンパン」表示のイメージが毀損されることを防止するための活動を
積極的に行ってきた。その結果,「シャンパン」表示は,現在まで長期にわたり著
名性を保ち続け,高い名声,信用,評判が形成され,ぶどう酒の商品分野に限られ
ることなく一般消費者に至るまで,多大な顧客吸引力が化体するに至っている。
⑷原産地名称は,商品が産出された土地の地理的名称であるが,商品の出所表
示機能,品質保証機能及び広告機能を有する点において,商標と共通している。そ
うすると,原産地名称のうち著名な標章については,著名商標の有するこれらの機
能が商標法によって保護されるのと同様に保護されることが望ましい。したがって,
著名な原産地名称を含む表示からなる商標を,商標法4条1項17号によって商標
登録を受けることができないとされているぶどう酒又は蒸留酒以外の商品に使用し
た場合において,当該表示へのただ乗り(フリーライド)又はその稀釈化(ダイリ
ューション)を生じさせるおそれがある等公正な取引秩序を乱すおそれがあると認
められるものや国際信義に反すると認められるものも,「公の秩序又は善良の風俗
を害するおそれのある商標」(同項7号)に含まれると解すべきである。すなわち,
著名な原産地名称をその原産地と離れた特定個人又は企業が自己の商標として登録
し使用することは,同項7号に該当するものとして排斥されるべきである。
⑸本件商標は,著名な原産地統制名称に相当する「CHAMPAGNE(シャンパ
ン)」の文字をそのまま含む。また,本件商標は,その構成上,「CHAMPAGNE」
及び「シャンパン」の文字部分が中心的に表されていることから,視覚上,
「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」の部分に注目して認識される外観的要素が
ある。さらに,上記のとおり,「CHAMPAGNE」は著名な原産地統制名称であり,
誰もが発泡性ぶどう酒又はその著名な原産地統制名称と理解し認識するものである
のに対し,「envie(アンヴィ)」はフランス語で「羨望」を意味するとしても日
本人にはなじみが少なく,他方,「GRAY(グレイ)」は「灰色」といった程度の
一般的な意味合いにしか認識されない語である。このため,本件商標において取引
者・需要者の注意を引くのは,中心的に表された「CHAMPAGNE」及び「シャン
パン」の文字部分である。
そうすると,本件商標に接した取引者・需要者が有する通常の注意力によれば,
「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」の文字部分が強く印象付けられ,ここから
発泡性ぶどう酒又はその著名な原産地統制名称を想起連想して,著名な原産地統制
名称である「CHAMPAGNE」を含む商標という印象をもって取引にあたると考え
られる。
⑹以上より,日本では,本件商標の登録査定時(平成29年2月24日)にお
いて,「シャンパン(CHAMPAGNE)」が著名な原産地統制名称として一般需要
者の間に広く知られていたのであるから,「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」
は,極めて高度な商品の出所表示機能,品質保証機能及び広告機能を有する著名商
標と同様に,商標法によって保護されるべきものである。
他方,本件商標は,上記のとおり,高度な著名性を有する原産地統制名称である
「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」の文字部分が強く印象に残るものであり,
本件商標を使用した商品に接した取引者・需要者の通常の注意力によれば,本件商
標は,容易かつ直感的に,該原産地統制名称である「シャンパン」を想起させるも
のといえる。
このような本件商標の登録は,「CHAMPAGNE(シャンパン)」の文字を含む
商標の独占排他的使用を原告に認めるものであるところ,そのような判断は,「シ
ャンパン」表示に対するただ乗り(フリーライド)やその希釈化(ダイリューショ
ン)を招来するばかりでなく,シャンパーニュ地方のぶどう生産者及びぶどう酒製
造者はもとより,国を挙げてぶどう酒の原産地名称又は原産地表示の保護に努めて
いるフランス国民の感情を害するおそれがある。そして,そのような判断をしたの
が日本国の専門官庁(特許庁)であるとしたら,「シャンパン」表示に対してフラ
ンス国民が抱いている誇りや名誉といった国民感情をないがしろにするものといわ
ざるを得ない。このため,本件商標の登録を認めることは,日本国とフランス国の
良好な友好関係にも支障をきたすものとなりかねないのであるから,本件商標は,
公正な取引秩序を乱し,国際信義に反するものであるとして,公の秩序を害するお
それがあるものといえる。
⑺以上より,本件商標は商標法4条1項7号に違反して登録されたとの本件審
決の判断に誤りはない。
2原告の主張について
⑴原告は,本件商標の使用状況等についてるる主張する。
しかし,本件商標を使用したコンタクトレンズの販売実績,販売期間及び販売地
域,広告宣伝の方法,期間,地域及び規模,コンタクトレンズ市場における市場占
有率等は全く不明である。
また,本件商標が「フランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」
を意味するものとして一般需要者の間に広く知られた「CHAMPAGNE(シャンパ
ン)」の文字を構成中に含んでいる以上,ここから原産地統制名称としての観念が
生じることに変わりはなく,「envie(アンヴィ)」の原告又は訴外会社のコンタ
クトレンズブランドとしての認知度は,本件では全く無関係である。
⑵原告は,本件商標の構成中の「CHAMPAGNEGRAY(シャンパングレイ)」
の文字につき,商品(コンタクトレンズ)の色彩を表示する部分であって,本件商
標にあっては,自他商品等識別標識としての機能を果し得ないものであるから,公
序良俗に反しない旨を主張するものと理解される。
しかし,本件では,本件商標の識別力の有無は争点ではない。識別力を欠く商標
であっても,公序良俗に反すると判断される商標は当然にあり得る。
また,原告指摘に係る語学学習等に用いる英和辞典や仏和辞典での説明内容は,
日本でも同様に認識されていることを示すものではない。現に,日本の代表的な一
般的辞書である広辞苑(第7版)では,「シャンパン(champagne)」につき,
色彩としての意味合いを有することは一切説明されていない。
さらに,「シャンパン色」なる色彩は,具体的に統一された色彩として一般に認
識されているわけでなく,「CHAMPAGNE(シャンパン)」は,せいぜい,色彩
を表す場合の比喩として用いられることがあるというにすぎない。そして,その比
喩は,「CHAMPAGNE(シャンパン)」がゴージャスで高級感のあるイメージを
もって一般に認識されていることによるものであって,「CHAMPAGNE(シャン
パン)」から想起される色彩が具体的に定まっているわけではない以上,
「CHAMPAGNE(シャンパン)」が色彩を表す語又はそのような語の一部として
使用されるものとして認識されるという原告の主張は,前提において誤りである。
原告が,「CHAMPAGNEGRAY/シャンパングレイ」を「グレーがかった淡い
琥珀色」という色彩を示す標章にすぎないと認識していたのであれば,メインブラ
ンドの「envie(アンヴィ)」のみを出願すればよかったはずである。にもかかわ
らず,「CHAMPAGNEGRAY(シャンパングレイ)」の文字を本件商標に含ませ
ることで,「CHAMPAGNE(シャンパン)」が有する著名性やそのゴージャスで
高級感のあるものと一般に認識されているイメージに便乗しようとするばかりか,
第三者をして「CHAMPAGNEGRAY(シャンパングレイ)」の標章の使用を控え
させようとする不正の目的までもがうかがわれる。
インターネット検索の結果についても,検索ロジックが不明であり,また,検索
ヒット件数のうち原告商品と本件商標を関連付けて説明しているごく一部のものの
みを提出しているにすぎない。
⑶原告の指摘する特許異議申立事件に係る判断は,「シャンパンゴールド」に
関するものであり,「シャンパンゴールド」に関する取引の実情に基づいて下され
たものであるから,「CHAMPAGNEGRAY(シャンパングレイ)」にまで当然に
及ぶものではない。また,上記異議申立て以降の商標登録無効審判事件において,
「PROMATIZ」,「CHAMPAGNEGOLD」,「プロマティス」,「シャンパン
ゴールド」の文字を四段に表示した構成よりなる商標につき,「CHAMPAGNE」
及び「シャンパン」の著名性に鑑みれば当該商標の登録は国際信義に反し,公の秩
序を害するおそれがあるなどとして,その登録を無効とした審決がある。
他方,原告指摘に係る登録商標「シャンパングレイ」については,その登録処分
がいまだ争われていないというにすぎない。しかも,これとは別の登録商標「シャ
ンパングレイ」は,異議決定によりその登録が取り消されている。
さらに,アメリカにおいて「CHAMPAGNE(シャンパン)」を含む商標が登録
されているのは,TRIPs協定において,当該協定締結の日前に一般名称となって
いる地理的表示については他の地域での使用を認めることとされている(24条6
項)ことによるものにすぎない。
第4当裁判所の判断
1認定事実
⑴当事者
ア原告は,装身具その他日用品雑貨の輸出入及び売買等をその目的とする株式
会社であり,子会社である訴外会社を介して,「envie」のブランド名でカラーコ
ンタクトレンズの販売を行っている。(甲7,16,40,弁論の全趣旨)
イ被告(シャンパーニュ地方ぶどう酒生産同業委員会)は,フランスのシャン
パーニュ地方における酒類製造業者の利益の保護を目的の一つとして設立された法
人であり,フランス国内及び国外において,「CHAMPAGNE(シャンパン)」の
原産地統制名称を保護する等の活動をしている。(争いがない)
⑵本件商標は,別紙「本件商標」のとおり,「envieCHAMPAGNEGRAY」
の欧文字と「アンヴィシャンパングレイ」の片仮名を上下二段に書してなるもの
である。また,その指定商品は,第9類「眼鏡,電子出版物,アプリケーションソ
フトウェア」である。
⑶「CHAMPAGNE(シャンパン)」について
以下の事実については,当事者間に争いがない。
アフランスにおいて「CHAMPAGNE(シャンパン)」の名称につき行われて
いる法的保護の内容に関しては,以下の記載がある。
(ア)「CHAMPAGNE」に関するフランス共和国条例(1936年6月29日)
第1条:「シャンパーニュ」の原産地統制名称は…1927年7月22日の法律
の第5条によって限定された地域で生産されたぶどう酒に限って使用する権利を有
する。政府機関…の委員会…によって認定された,ヴィトリ-ル-フランソワ県の
生産地で収穫されたぶどうで作られたぶどう酒についてのみ,原産地統制名称
『CHAMPAGNE』を使用する権利がある。
(イ)原産地統制名称法(1935年7月30日付けデクレ)
原産地統制名称の認定
第20条:ワイン,オー・ド・ヴィ原産地名称国立委員会が設立され,これに法
人格が与えられる。[国立委員会は,1947年7月16日付デクレの規定に従い,
ワイン,オー・ド・ヴィ原産地名称国立研究所とする。]
第21条:原産地名称国立研究所は名称の権利を与える生産区域を限定し,各原
産地統制名称のワイン及びオー・ド・ヴィが満たすべき諸生産条件を決定する。こ
れらの諸条件とは,特にワインの生産区域,ブドウ品種,生産高,最低天然アルコ
ール純度,栽培方法,醸造方法,蒸留方法に関するものである。
(ウ)フランス共和国農事法典第3章原産地名称国立研究所/L641-5条
原産地名称国立研究所は,法人格を有する公立行政機関である。
(エ)EuropeanIntellectualPropertyReview1994年第4号
INAO(裁判所注:原産地名称国立研究所)の任務は,フランス国内及び海外に
おいて原産地統制名称を促進かつ保護することであり,一方CIVC(裁判所注:被
告を示す。)はシャンパーニュ地方ワイン製品の専門的利益を防禦する。
(オ)「新版世界の酒事典」(1982年5月20日発行)の「シャンパン
(Champagne)」の項
フランスのシャンパーニュ地方で作られているスパークリング・ワイン。正式の
名称をバン・ド・シャンパーニュ(VindeChampagne)という。世界の各地で,
各種のスパークリング・ワインが作られているが,このうちシャンパンと呼ばれる
ものは,フランスのシャンパーニュ地方,特にプルミュール・ゾーン(ランス山と
マルヌ谷との一等地),ドゥジェーム・ゾーン(マルヌ県のうち一等地以外の村落
群)産のスパークリング・ワインに限ると1911年の法律で定められている。
(カ)「明治屋酒類辞典改訂版」(昭和63年8月1日発行)
a「Champagne(仏)(英)シャンパン」の項
フランスの古い州の名「シャンパーニュ」をとってワインの名に用いたものであ
る。現在「統制された名称」であって,何ら形容詞を付けないで単に「シャンパー
ニュ」と称する資格を有するのは,マルヌ県の一定地域のブドウを原料にし,その
地域内で,「シャンパン法」でつくった「白」スパークリング・ワインである。最
高生産量にも制限があって,それを超えた部分には形容詞がつく。
b「統制名称」の項
シャンパンは,詳しくは「ヴァン・ド・シャンパーニュ」であるが,「シャンパ
ーニュ」という地名を名乗るには資格がいる。1908年(明治41年)初めて法
律ができて,「シャンパーニュ」という名称が「法律上指定された」名称となった。
…要するにシャンパンの条件は1)シャンパン地区の生産であること。2)シャン
パン法(ビン内で後発酵を行い,発生したガスをビン内に封じ込める)で製造した
ものであること。3)白ワインであること。…4)その年度の最高の生産高に制限
があること,の4条件を備えなければならない。…戦前,我が国でもシャンパンの
名称を乱用した歴史があるが,敗戦の結果,サンフランシスコ講和条約の効果とし
て,マドリッド協定に加入を余儀なくされ,以来フランスの国内法を尊重している。
(キ)「はじめてのシャンパン&シェリー」(1999年発行)の「シャンパン
の定義」の項
シャンパンというと,発泡性ワインの代名詞のようなイメージがありますが,正
確には,フランスのシャンパーニュ地方で伝統的な醸造法を用いて造られた発泡性
ワインのみを指します。シャンパンの規定は,フランスのワイン法(AOC)で細
かく定められています。シャンパーニュ地方で栽培されたブドウを用いること,伝
統的なシャンパーニュ方式で製造すること,製造の全工程を指定地域内で行うこと
など,さまざまな条件を満たすことが義務付けられています。ほかの国や地域で,
シャンパンと同様の製法を用いた発泡性ワインが造られたとしても,それをシャン
パンと呼ぶことはできないのです。
イ日本における「CHAPAGNE」及び「シャンパン」の表示の著名性に関連す
る記載
(ア)辞書,事典等
a「コンサイスカタカナ語辞典」(1996年10月1日発行)の「シャンパ
ン[champagne]」の項
発泡ワインの1種,フランス北東部シャンパーニュ地方産の美酒。
b「広辞苑第6版」(2008年1月11日発行)の「シャンパン」
(champagne)の項
発泡性の白葡萄酒。厳密にはフランス北東部シャンパーニュ地方産のものを指す。
c「洋酒小事典」(昭和56年6月15日発行)の「シャンペン
Champagne」の項
フランスのシャンパーニュ地方でつくられているスパークリング・ワインの総称。
dその他
「田崎真也のフランスワイン&シャンパーニュ事典」(平成8年9月30日発
行),「最新版Theワイン&コニャックアルマニャック」(昭和62年10月
14日発行),「TheWORLDATLASOFWINE」(平成3年5月27日発行),
「WorldWineCatalogue1999bySuntory」(平成10年12月1日発行)にも,
シャンパンがフランスのシャンパーニュ地方で作られるスパークリング・ワインで
あることが記載されている。
(イ)雑誌等
a「ワイン紀行」(1991年9月25日発行)の「シャンパーニュの村」の
項に,シャンパンの歴史及び製造過程等についての記載がある。
b「フランスのワインとスピリッツ」(1987年発行)の「シャンパーニュ
(CHAMPAGNE)」の項に,シャンパーニュ地方,シャンパンの歴史及び製造過
程等についての記載がある。
c「料理王国1月号別冊(季刊ワイン王国NO.5)」(2000年1月20
日発行)の「シャンパン味わいの多様性チャート」の項
シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会(CIVC)がまとめている全ての醸造
元の数は5200にものぼる。委員会は,シャンパン消費量上位10カ国に外国事
務所をおいて,「シャンパンと呼べるのは,シャンパーニュ地方産スパークリング
だけ」ということを訴えてきたが,‘93年頃から「5200の醸造元があれば5
200様のシャンパンがある」ということもアピールするようになった。
d「The一流品決定版」(1986年~1989年発行)には,「スパー
クリングワイン,発泡性で炭酸ガスを多量に含んだワインである。一番有名なのが
シャンパン。フランスではマルヌ,オーブ,エーヌ,セーヌ・エ・マルヌ四県のぶ
どう畑でとれたものを原料にしたものだけをほんとうのシャンパンと証明してい
る。」などの記載がある。
eその他
(a)「世界の名酒事典」(’80改訂版,’82-’83年度版,’84-’
85年度版,’87-’88年版,’90年版,’91年版,’92年版,’93
年版,’94年版,’95年版,’96年版,’97年版,’98年版,’99年
版,2000年版,2001年版,2002年版,2003年版,2004年版,
2005年版,2006年版,2008-09年版,2010-11年版,201
2年版,2013年版,2014年版,2015年版,2016年版。いずれも昭
和55年5月30日から本件商標の登録査定時までの間に発行されたものであ
る。),「家庭画報特選MadeinEUROPEヨーロッパの一流品女性版」
(昭和57年11月1日発行),「家庭画報編女性版世界の特選品’84」(昭
和58年11月1日発行)においても,シャンパンがフランスのシャンパーニュ地
方で作られるスパークリング・ワインであること,その歴史や製造過程等について
詳しく記載されている。
⒝「男の一流品大図鑑」(’86年版,’87年版,’88年版。いずれも昭
和60年12月1日から本件商標の登録査定時までの間に発行されたものである。)
にも,シャンパンについて掲載されている。
⒞「はじめてのシャンパン&シェリー」(1999年発行)の「一目でわかる
シャンパンのデータ」の項には,フランスからの総出荷量は,1993年が2億2
909万本(1本当たりの容量は750ml。以下同じ。),1998年が2億9
246万本であり,この間緩やかに上昇を続けていること,1998年におけるフ
ランスからの国別出荷量において,上位10か国のうち,我が国への出荷量は,イ
ギリス,ドイツ,アメリカ,ベルギー,スイス,イタリアに次いで298万本であ
ることなどの記載がある。
(ウ)新聞
a平成元年1月5日付け日本経済新聞
「シャンパン(産地)」の見出しの下,「シャンパンはフランス・シャンパーニ
ュ地方で作られたスパークリングワイン(発泡酒)のこと。」との記載がある。
b平成元年6月13日付け日本経済新聞
「シャンパン人気急上昇-発泡性ワイン,輸入量5割増(アーバンNOW)」の
見出しの下,「現在ではフランスの原産地名称国立研究所(INAO)により,『シ
ャンパン』と名のれるのはその“生誕地”シャンパーニュ地方の発泡性ワインのみ
と規定されている。」との記載がある。
c平成2年11月16日付け朝日新聞
「商品の外国地名使用ご用心(素顔のウルグアイ・ラウンド)」の見出しの下,
「祝賀パーティーの乾杯に欠かせないシャンパンといっても,厳密には『シャンパ
ン』と『スパークリング(発泡性)ワイン』の区別がある。…前者はフランスのシ
ャンパーニュ地方産,後者はそれ以外の国や地域で醸造されたものをさす。」との
記載がある。
d平成3年4月27日付け朝日新聞
「スパークリングワイン手ごろな値段で楽しめる(カタログ)」の見出しの下,
「シャンパンはシャンパーニュ地方で,瓶内発酵法によって作るなど,法律で基準
が細かく決まっており,この地方以外で作られるスパークリングワインをシャンパ
ンと呼ぶのは禁止されている。」との記載がある。
eその他の新聞においても,シャンパンがフランスのシャンパーニュ地方で作
られるスパークリング・ワインであること,その歴史や製造過程等についての記載
がある。
⑷「CHAMPAGNE(シャンパン)」に係る商標登録出願について
証拠(後記別紙の「証拠番号」欄記載のもの)及び弁論の全趣旨によれば,別紙
「『CHAMPAGNE(シャンパン)』の文字を含む商標に関する審決等」記載の各
商標について,商標法4条1項7号に当たるとの判断がされたことが認められる。
2本件商標の商標法4条1項7号該当性について
⑴本件商標は,指定商品を「眼鏡,電子出版物,アプリケーションソフトウェ
ア」として,別紙「本件商標」記載のとおり,「envieCHAMPAGNEGLAY」の
欧文字と「アンヴィシャンパングレイ」の片仮名を上下二段に書してなるもので
あるところ,この欧文字と片仮名とは,「envie」と「アンヴィ」,
「CHAMPAGNE」と「シャンパン」,「GLAY」と「グレイ」が,それぞれ対応
する関係にあることは,取引者及び需要者にとって容易に理解できる。
そして,前記認定に係る辞書,事典,雑誌,新聞等の記載内容及び掲載媒体等に
鑑みれば,本件商標のうち「CHAMPAGNE」及び「シャンパン」の表示は,「フ
ランスのシャンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」を意味する語であって,
生産地域,製法,生産量など所定の条件を備えたぶどう酒にだけ使用できるフラン
スの原産地統制名称であって,本件商標の登録査定時以前から,日本において,シ
ャンパーニュ地方産スパークリング・ワインの名称としてにとどまらず,発泡性ぶ
どう酒の代名詞のようなイメージを持たれるほどに取引者のみならず消費者に広く
認識され,多大な顧客吸引力を有する極めて著名な表示であったことが認められる。
しかも,商標法4条1項7号に当たるとされたとはいえ,「CHAMPAGNE(シャ
ンパン)」の文字をその構成に含む商標や,これを模した商標が様々な指定商品又
は指定役務につき出願されたことに鑑みると,日本において,上記表示は,ぶどう
酒という商品分野に限られることなく,取引者及び需要者に対して高い顧客吸引力
を有するものであることがうかがわれる。
他方,本件商標を構成する他の要素のうち「envie」,「アンヴィ」は,フラン
ス語で「羨望」を意味するとしても,一般の取引者及び需要者になじみのある語と
はいい難い。また,他の要素である「GLAY」,「グレイ」は,「灰色」を意味す
る英語ないし外来語として広く認識されているということができるものの,これと
「CHAMPAGNE」,「シャンパン」とを一体的に結合した「CHAMPAGNE
GRAY」,「シャンパングレイ」については,原告ないし訴外会社の商品及び他社
の商品において色彩を示す表示として使用された例は認められるものの,色彩を表
示する語としても,その他の意味を示す語としても,広く一般的に認識されている
語と認めるに足りる証拠はない。まして,これと「envie」,「アンヴィ」を一体
的に結合した「envieCHAMPAGNEGLAY」,「アンヴィシャンパングレイ」
の語が広く一般的に認識されていると認めるに足りる証拠はない。
これらの事情を踏まえると,本件商標からは,「アンヴィシャンパングレイ」
の称呼及び観念を生じるのみでなく,「シャンパン」の称呼及び「フランスのシャ
ンパーニュ地方で作られる発泡性ぶどう酒」との観念をも生じるということができ
る。
⑵前記各認定事実によれば,本件商標のうち「CHAMPAGNE」,「シャンパ
ン」の部分は,フランスのシャンパーニュ地方で作られるスパークリング・ワイン
(発泡性ぶどう酒)を意味する語であるところ,フランスにおいて,1908年
(明治41年)には法律により「CHAMPAGNE」という名称が法律上指定され,
その後,原産地統制名称法(1935年7月30日付けデクレ)その他の法令によ
り原産地統制名称として保護されていることが認められる。具体的には,公立行政
機関である原産地名称国立研究所(INAO)が定める生産区域,ぶどうの品種,生
産高,最低天然アルコール純度,栽培方法,醸造方法,蒸留方法に関する諸生産条
件を満たすぶどう酒のみがその名称として「CHAMPAGNE」(シャンパン)を使
用する権利を有することとして,シャンパーニュ地方産ワイン製品の品質につき厳
格な管理・統制が行われる一方でその生産者が保護されており,被告は,その製品
の専門的利益を防禦することをその任務とし,フランス国内及び国外において,
「CHAMPAGNE(シャンパン)」の原産地統制名称を保護する等の活動をしてい
る。こうした被告をはじめとするシャンパーニュ地方のワイン生産者等の努力の結
果,「CHAMPAGNE」,「シャンパン」の表示及びその対象であるシャンパーニ
ュ地方産のスパークリング・ワインは,周知著名性を獲得,維持し,高い名声,信
用ないし評判が形成されている。
これらの事情に鑑みると,「CHAMPAGNE(シャンパン)」の表示及びその対
象であるシャンパーニュ地方産のスパークリング・ワインは,フランス及びフラン
ス国民の文化的所産というべきものとなっており,重要性が極めて高いものである
ことが認められる。
また,日本においても,遅くとも第二次世界大戦後,「CHAMPAGNE」(シャ
ンパン)の表示につき,フランス国内法が尊重されている。
⑶以上のような本件商標の文字の構成,指定商品の内容,本件商標のうちの
「CHAMPAGNE」,「シャンパン」の文字がフランスにおいて有する意義や重要
性,日本における周知著名性等を総合的に考慮すると,本件商標をその指定商品に
使用することは,フランスのシャンパーニュ地方におけるぶどう酒製造業者の利益
を代表する被告のみならず,法令により「CHAMPAGNE(シャンパン)」の名声,
信用ないし評判を保護してきたフランス国民の国民感情を害し,日本とフランスと
の友好関係にも好ましくない影響を及ぼしかねないものであり,国際信義に反し,
両国の公益を損なうおそれが高いといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法4条1項7号に該当するというべきである。
⑷原告の主張について
ア原告は,「envieCHAMPAGNEGLAY」は原告ないし訴外会社が販売する
コンタクトレンズブランド「envie」において「シャンパングレイ色」のカラーコ
ンタクトレンズを示すものであり,「CHAMPAGNE」,「シャンパン」は色彩を
表示するものであり,これと色彩を示す「GLAY」,「グレイ」とが一体不可分で
あることから,色彩以外の意味合いを想起することはないなどと主張する。
イしかし,前記のとおり,「CHAMPAGNEGLAY」,「シャンパングレイ」
や「envieCHAMPAGNEGLAY」,「アンヴィシャンパングレイ」が一体不可
分のものと認識されているとはいえない。
また,「シャンパン」の語が色彩を意味する例があるといっても,「シャンパン
色(緑黄又は黄褐色)」(甲17),「シャンパン色,淡黄[緑黄]色」・「シャ
ンパン(色)の」(甲18),「シャンパン色(緑黄色又は琥珀(こはく)色)」
(甲19),「シャンパン色(緑黄又は黄褐色)」(甲20),「シャンパン色の
(淡い黄色)」(甲21)とされ,色彩としての「シャンパン」に相当する色彩の
表現が「緑黄色」,「黄褐色」,「琥珀色」などと必ずしも一致していないことか
らもうかがわれるとおり,いずれもスパークリング・ワインとしてのシャンパンを
想起させることによって,いわば比喩的に「シャンパン」の語を用いて色彩を表現
しているものである。このことは,前記のとおり,本件商標が「シャンパン」の称
呼及び「シャンパーニュ地方産のスパークリング・ワイン」の観念を生じることを
むしろ裏付けるものといえる。
その他,原告は他の商標との関係や米国での商標登録の実情などをるる指摘する
けれども,いずれも本件と直接関係するものではない。
したがって,この点に関する原告の主張は採用できない。
⑸小括
以上のとおり,本件商標につき商標法4条1項7号に該当するとした本件審決の
判断に誤りはなく,原告主張に係る取消事由は理由がない。
3結論
よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判
決する。
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官高部眞規子
裁判官杉浦正樹
裁判官片瀬亮
(別紙)
本件商標
(別紙)
「CHAMPAGNE(シャンパン)」の文字を含む商標に関する審決等
⑴特許庁の審決(異議決定)
事件番号商標
指定商品
又は指定役務
審決(決定)日証拠番号
無効
第25類被服他平成16年9月15

乙75
無効
第14類貴金属他平成16年9月15

乙76
異議
第14類貴金属,身
飾品他
平成16年12月6

乙77
異議
第14類貴金属,身
飾品他
平成16年12月6

乙78
異議
第14類貴金属,身
飾品他
平成16年12月6

乙79
異議
第14類貴金属,身
飾品他
平成16年12月6

乙80
異議
第14類貴金属,身
飾品他
平成16年12月6

乙81
異議
第14類金,金製の
イヤリング他
平成16年12月6

乙82
異議
第14類銀,銀製の
イヤリング他
平成16年12月6

乙83
異議第14類ガーネット平成16年12月6乙84
事件番号商標
指定商品
又は指定役務
審決(決定)日証拠番号
2001-90830製のイヤリング他日
異議
第14類パラジウ
ム,パラジウム合金
製のメダル他
平成16年12月6

乙85
異議
第14類白金,白金
製のイヤリング他
平成16年12月6

乙86
異議
第14類貴金属,身
飾品他
平成16年12月6

乙87
異議
第16類紙類,文房
具類,雑誌,新聞

平成17年5月18

乙88
異議
シャンパンアイボリ
(標準文字)
第25類被服,履物

平成18年3月13

乙89
異議
第35類インターネ
ットによる商品の通
信販売の取次ぎ
平成18年7月5

乙90
異議
Champagner
(標準文字)
第3類化粧品平成19年1月19

乙91
異議
第30類フランス国
シャンパーニュ地方
産の発泡性ぶどう酒
を使用した菓子・パ

平成19年3月27

乙92
事件番号商標
指定商品
又は指定役務
審決(決定)日証拠番号
異議
第18類かばん金具

平成20年4月21

乙93
異議
シャンパン烏龍
(標準文字)
第30類ウーロン茶平成20年9月9

乙94
異議
第3類せっけん類,
香料類,化粧品他
平成21年9月29

乙95
異議
ゴールドシャンパン
の香り(標準文字)
第5類薬剤平成22年1月12

乙96
異議
第33類日本酒平成23年3月31

乙97
異議
シャンパングレイ
(標準文字)
第19類合成建築専
用材料他
平成23年4月14

乙98
異議
第32類シャンパン
酵母を用いて醸造し
たビール
平成24年3月1

乙99
事件番号商標
指定商品
又は指定役務
審決(決定)日証拠番号
無効
第3類せっけん類,
香料類,化粧品
平成24年6月22

乙100
無効
第30類シャンパ
ーニュ地方で作られ
た発泡性ロゼワイン
入りの菓子及びパン
平成26年6月23

乙101
無効
PINK
CHAMPAGNEベ
シュレジャパン株式
会社
(標準文字)
第30類シャンパ
ーニュ地方で作られ
た発泡性ロゼワイン
入りの菓子及びパン
平成26年6月4

乙102
無効
シャンパントリュフ
ロゼベシュレジャ
パン株式会社
(標準文字)
第30類シャンパ
ーニュ地方で作られ
た発泡性ロゼワイン
入りの菓子及びパン
平成26年6月4

乙103
異議
シャンパンフローラ
ルの香り
(標準文字)
第3類口臭用消臭
剤,動物用防臭剤,
せっけん類,歯磨
き,化粧品他
平成28年4月20

乙104
無効
シャンパンマンゴー
(標準文字)
第31類マンゴー平成28年10月18

乙105
事件番号商標
指定商品
又は指定役務
審決(決定)日証拠番号
無効
シャンパークリング
(標準文字)
第33類日本酒,
洋酒,果実酒,酎ハ
イ,中国酒,薬味酒
平成28年11月14

乙106
⑵特許庁の商標出願
出願(審
判)番号
商標
指定商品
又は指定役務
査定(審決)日証拠番号
商願
シャンパンバーチ
(標準文字)
第20類家具平成17年3月22

乙107
商願
第1類化粧品製造
用化学品
平成18年1月20

乙108
商願
第1類化粧品製造
用化学品
第3類せっけん
類,化粧品他
平成18年6月5

乙109
商願
シャンパンチェア
(標準文字)
第20類ソファ他平成19年2月16

乙110
商願
第3類せっけん類,
化粧品他
平成19年4月12

乙111
出願(審
判)番号
商標
指定商品
又は指定役務
査定(審決)日証拠番号
商願
第30類いちご入り
大福餅
平成22年2月2

乙112
商願
ストロベリー&シャ
ンパンの香り
(標準文字)
第3類せっけん
類,香料類他
平成22年8月25

乙113
不服
シャンパンハニージ
ュレ
(標準文字)
第3類フランス国
シャンパーニュ地方
で造られる発泡性ぶ
どう酒を配合した化
粧品他
平成22年9月17
日(審決日)
乙114
不服
シャンパンハニージ
ュレ
(標準文字)
第1類フランス国
シャンパーニュ地方
で造られる発泡性ぶ
どう酒を配合した化
粧品製造用化学品

平成22年9月17
日(審決日)
乙115
商願
第14類身飾品
第18類かばん類

第24類布製ラベル
第25類被服他
第26類衣服用き章
平成22年12月10

乙116
出願(審
判)番号
商標
指定商品
又は指定役務
査定(審決)日証拠番号

商願
第31類プリザード
フラワー他
平成22年12月28

乙117
商願
第3類せっけん
類,化粧品他
平成23年3月4

乙118
商願
第30類菓子及びパ

平成23年5月27

乙119
商願
第3類せっけん
類,化粧品,他
平成23年6月17

乙120
商願
CHAMPAGNE
PEACH
(標準文字)
第3類せっけん
類,化粧品他
平成23年7月1

乙121
商願
第43類飲食物の提

平成25年5月20

乙122
商願
第35類織物及び寝
具類の小売又は卸売
の業務において行わ
れる顧客に対する便
平成25年3月25
日(拒絶理由通知
書起案)
乙123
出願(審
判)番号
商標
指定商品
又は指定役務
査定(審決)日証拠番号
益の提供,被服の
小売又は卸売の業務
において行われる顧
客に対する便益の提
供,他
商願
シャンパン色のドレ
スを着たコニー(標
準文字)
第25類被服平成25年11月15

乙124
商願
Salonde
Champagne
(標準文字)
第43類シャンパ
ーニュ産果実酒およ
び料理を主とする飲
食物の提供
平成26年7月25

乙125
商願
第29類加工野菜
及び加工果実
平成26年7月4

乙126
商願
シャンパンブラック
(標準文字)
第9類金銭登録
機,電気通信機械器
具,電子計算機,他
平成26年9月26

乙127
出願(審
判)番号
商標
指定商品
又は指定役務
査定(審決)日証拠番号
商願
第33類酒類(日
本酒を除く),他
第35類酒類(日本
酒を除く)及びワイ
ングラスの小売又は
卸売の業務において
行われる顧客に対す
る便益の提供,他
平成26年10月17

乙128
商願
第30類角砂糖,

第31類野菜(「茶
の葉」を除く。),他
平成26年10月10

乙129
不服
第33類シャンパー
ニュ地方で作られた
発泡性ワイン入りの
いちごを使用した大

平成28年1月18

乙130
商願
シャンパンフローラ

(標準文字)
第3類家庭用帯電
防止剤,他
平成27年12月8

乙131
商願
きらめく恋に飛び出
すシャンパンピンク
の香り
第3類口臭用消臭
剤,化粧品,他
平成28年4月8

乙132
出願(審
判)番号
商標
指定商品
又は指定役務
査定(審決)日証拠番号
(標準文字)
商願
シャンパンジャグジ

(標準文字)
第11類浴室ユニ
ット,他
平成28年8月5

乙133
商願
クリスタルシャンパ

(標準文字)
第11類ボイラー
(動力機械部品・機
関用のものを除
く。),他
平成28年6月28

乙134
商願
ディープシャンパン
(標準文字)
第7類化学機械器
具,他
平成28年8月2

乙135
商願
第18類フランス
製のかばん類,フラ
ンス製の袋物,他
平成28年9月27

乙136
国際登録
第3類Cosmetics.
(化粧品)
平成29年11月2

乙137の
1,乙137
の2

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