弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
原告らの請求を棄却する。
訴訟費用中参加によつて生じた部分は参加人らの負担とし、その余の部分は原告ら
の負担とする。
       事   実
第一 当事者の申立て
(原告ら)
「被告は別紙図面表示の黄線で囲まれた土地(総面積五、六三八・五〇平方メート
ル)を京成電鉄株式会社に対して売り渡してはならない。」との判決
(被告)
「本件訴えを却下する。」との判決
(右申立てが容れられないときは、)
「原告らの請求を棄却する。」との判決
第二 原告らの主張
(請求の原因)
一 原告らはいずれも、東京都中野区の住民であり、また、別紙図面表示の朱線で
囲まれた土地は、中野区の所有する旧区役所庁舎跡地(以下本件跡地という。)
で、総面積五、八八一・五二平方メートルに及び、しかも、国鉄中野駅南口商店街
に隣接していて、中野区の発展にとり極めて重要な又他の土地をもつて替えがたい
貴重な公有財産であり、その利用方法については、従来より区民から各種の要望が
出され、特に、地元住民である原告らの結成する「南口商店街桃商会」や都道二六
号線拡幅に伴う立退対象者によつて結成されている「道路拡張対策協議会」は、住
宅公団によるシヨツピングセンター代替店舗の建設を請願し、他に高層都営住宅の
建設、保育園の設置等の請願もなされていた。
 ところが、被告は、これら住民の意思を無視し、その反対運動を回避するため極
秘のうちに、東京郵政局長からの本件跡地を中野郵便局舎建設用地として売却され
たい旨の要請を受けいれてその実現方を図り、昭和四三年六月一〇日には、同郵政
局長と京成電鉄株式会社(以下京成電鉄という。)との間に郵政省が「別に指定す
る土地」と旧下谷郵便局舎敷地とを交換する旨の第二号証の覚書を、続いて、同年
九月二七日、両者間に右「指定する土地」を本件跡地とする旨の甲第四号証の覚書
が、また、同日、被告と右郵政局長との間に中野区が本件跡地を直接京成電鉄に対
して売り渡す旨の覚書がそれぞれ取り交わされたうえで、被告は、翌二八日、京成
電鉄と、将来被告と京成電鉄との間における売買契約および京成電鉄と郵政省との
間における交換契約(以下三者契約という。)が同時に成立することを条件とし
て、本件跡地のうち同図面表示の黄線で囲まれた部分五、六三八・五〇平方メート
ルを代金七億二、一七二万八、〇〇〇円(三・三平方メートル当り四二万二、四〇
〇円)但し先払いの約で京成電鉄に売り渡す旨の甲第一号証の停止条件付売買契約
を締結し、さらに、昭和四四年三月二七日、同社と右土地の売買契約を締結するに
いたつた。その間、被告は、昭和四三年九月三〇日にいたり、第三回中野区議会定
例会に本件跡地の処分案を上程し、はじめて東京郵政局から本件跡地を中野郵便局
舎建設用地として払い下げてもらいたいとの申出があつた旨を明らかにしたが、当
時すでにトツプレベルの交渉によつて前記のごとき既成事実をつくりあげ、しか
も、議会の慣例を破り、予め区議会側の了解をとりつけることなく一方的に処分を
押し進めている事実が露呈され、審議が紛糾するや、議場に警察官まで導入し、あ
くまで郵政省との取引に京成電鉄なる私企業が介在している事実を秘匿したまま、
強行採決によつて右議案を通過せしめるにいたつた。
二 そこで、原告らは、前記停止条件付売買契約の執行を差し止めるべく、それぞ
れ、三次にわたり、中野区監査委員に対し地方自治法二四二条の規定に基づく監査
の請求をしたが、同監査委員は、昭和四四年三月一五日付で右各請求は容認しがた
い旨の監査の結果を通知してきた。
三 しかし、前記契約は、次に述べる理由によつて違法である。
(一) 右契約は、前叙のごとく、随意契約の方法によつたものであるが、地方自
治法二三四条は、公有財産に関する住民の経済的利益を確保し、かつ、処分の公正
を期するため、地方公共団体が公有財産を処分する場合には、原則として一般競争
入札によるべきことを命じ、随意契約は「政令で定める場合に該当するときに限
り、これによることができる。」と規定し、同法施行令一六七条の二は、「不動産
の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は
納入に使用させるため必要な物品の支払いその他の契約でその性質又は目的が競争
入札に適しないものをするとき」(一項一号)等随意契約によりうる場合を列挙
し、また、中野区契約事務規則(昭和三九年規則第二三号)三八条も、右施行令に
いう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」の認定基準を一号から九号ま
でにわたつて具体的に規定している。しかして、これらの規定は、一般競争入札に
よるよりも、むしろ、随意契約による方が、住民の利益に合致し、かつ、官商結託
の弊害を生ずるおそれのない極めて特殊な例外的場合にのみこれによりうることを
認めたものであるから、厳格に適用されることを必要とし、いやしくも、拡張解釈
をしたり、類推解釈をすることは許されないものというべきである。このことは、
自治省行政課長より各都道府県総務部長にあてた通知(自治省昭和三八年一二月一
九日行発第九三号)においても、随意契約によることができる場合は「個々具体的
客観的に判断すべきであり、条例又は規則で一般的に・・・・規定することはでき
ない。」とされていることによつても明らかである。
 そして、次に述べる諸事実に徴すれば、被告が京成電鉄と締結した前記三者契約
の成立を停止条件とする売買契約が右各法令の規定に違反して無効であることは、
明らかである。
(1) 公有財産の処分といつても、直接官庁に売り渡す場合は格別、その間に私
企業を介在せしめるがごときことは、官商結託の弊を生み、随意契約制限の法意が
没却されるにいたるのは必定であり、たとえ当該公有財産が終局的には公共目的の
ために使用されることになつているとしても、そのことによつて右処分行為が適法
化されるわけではない。特に、京成電鉄は、大手私鉄企業ではあるが、傍系子会社
として、京成開発、オリエンタルランドほか四五の子会社を有していて、その実体
は、むしろ、不動産投資会社としての性格を有するものであつて、政界筋と結んで
暴利をほしいままにする政商ぶりは、すでに国会の審議等を通じて明らかにされて
いるところであり、本件跡地の取引についても、京成電鉄が郵政省から交換によつ
て取得する旧下谷郵便局敷地(二、三三六・四平方メートル)の見積り価格が、
三・三平方メートル当り一七五万六、九二〇円、総額一一億四、三八九万余円と決
定されているが、一般の取引価格は、三・三平方メートル当り三〇〇万円を下ら
ず、しかも、本件跡地の売買価格が後に詳述するごとく不当に安く決定されている
ことにより、京成電鉄は、全体として約一六億円の利益を得ることとなる。
(2) 被告の決定した本件跡地の売買価格は、右にも触れたように、一般競争入
札に付した場合に比較して著しく低廉なものであり、それによつて中野区に対して
当該差額に相当する財産的損害を与えることは、いうまでもないが、単にそれのみ
にとどまらず、本件跡地は、もともと、中野区全体の貴重な財産であるから、区民
全体の福祉増進のために利用されるべきであり、たとえこれを他に売却するとして
も、区民の切実な要望、陳情、請願等の趣旨をいかすような方法を選ぶことも、決
して不可能なことではないはずである。しかるに、被告が区民の意思を無視して京
成電鉄と前記売買契約を締結し、これを執行するとこは、中野区をして広大にして
稀有なる区有財産を喪失せしめ、また、区民年来の願望を実現する途を永久に断つ
こととなるので、その失うべき利益は、まことに測り知れないものがある。
 いま、中野区の財政的損失だけについても、本件跡地が商業地域として開発され
た場合のことを考えれば、その地域の店舗経営者の所得水準が向上し、付近一帯の
事業所得の増大は、区民税等の税収入の増加をもたらすこととなるのに、本件跡地
の上に広大な郵便局舎が出現するにいたれば、これらの利益を失なうこととなるの
は必至である。
(3) 他方、こうした損害を犠牲にしても、郵便局舎を建設する合理的理由も公
共性も見い出すことができない。郵政省としては、現在中野郵便局舎のあるところ
で増改築をすることが十分に可能であり、また、その隣接地を利用すれば、職員住
宅も建築することができるのである。しかも、中野郵便局の管轄区域は、中野区の
南半分であり(北半分の地域を管轄する集配局としては、中野北郵便局がある)、
現在の局舎は、その管轄区域からいつてむしろ北に寄りすぎているのであるが、こ
れを本件跡地に移転するとなれば、その位置は、さらに管轄区域の北端に位置する
こととなり、適正な場所ということはできない。
 それ故、前記売買契約は、右各法令の規定に違反したものであり、しかも、前叙
のごとく区議会の議決を経たとはいえ、当該議決は、もともと、議場に警察官を導
入し、しかも、賛成派議員のみによつて一方的に強行採決された違法な議決である
ばかりでなく、本来違法な処分が議会の議決を経たという一事によつて適法化され
るものでないことは、最高裁判所昭和三七年三月七日大法廷判決(民集一六巻三号
四四五頁)の示すところであるから、当然無効であるというほかはない。
(二) 本件跡地は、国鉄中野駅南口商店街の中心部を形成していて、店舗用地と
しては最良の土地であり、しかも、これだけ広大な更地は極めて稀少であるから、
商業地域、集合店舗敷地として評価するのが相当であつて、その一般取引価格は、
東京都宅地建物取引業協会発行に係る東京都地価評価図(甲第二〇号証の一、二)
の示すごとく、優に、三・三平方メートル当り九〇万円をこえるものである(別紙
計算明細書参照)。しかるに、被告がこれを僅か三・三平方メートル当り四二万
二、四〇〇円の時価の半額にも満たない価格で売り渡すこととしたのは、さきに東
京郵政局長と京成電鉄との間で決定された等価交換の基本をそこなわないという方
針に則つて処理されたことによるものであつて、そのこと自体、すでに、地方公共
団体の長として被告のなすべき自主的な判断を放棄した誹りを免れず、かかる低廉
な価格によつて公有財産を処分するということからしても、前記売買契約は、違法
であるというべきである。
(三) 本件跡地の利用に関しては、前叙のごとく地元住民から多数の請願が出さ
れていたにもかかわらず、被告が区民全体の意思を無視して、あえて本件跡地を京
成電鉄に売り渡す旨の契約を締結し、その強行採決を図つた結果、右請願は、区議
会において実質的な審議を経ることなく、不採択となつたのであつて、このこと
は、まさに、請願人に対する背信的行為であつて、地方自治法および憲法の定める
地方自治の本旨に違背し、また、請願を誠実に処理すべきことを命じた請願法五条
の規定にも違反するものであるというべきである。
 以上の理由によつて、前記契約は、違法であり、しかも、これが執行されて本件
跡地の上に中野郵便局舎が建設されるにいたると、中野区としては、回復困難な損
害を蒙ることとなる。そこで、原告らは、地方自治法二四二条の二の規定に基づ
き、請求趣旨記載の判決を求めるため、本訴に及んだ次第である。
(被告の主張に対する反論)
(一) 本案前の抗弁について。
 前記京成電鉄との売買契約は、前叙のごとく、いわゆる三者契約の成立を停止条
件とするものであるところ、その後昭和四四年三月二七日被告と右京成電鉄との間
に売買契約が締結され、先給付として京成電鉄から売買代金の支払いがあつたとは
いえ、未だ三者契約の成立をみるにいたつていないのであるから、土地所有権は、
中野区に留保されており、中野区から郵政省に対してなされるべき所有権移転登記
も、履践されていないのである。したがつて、右昭和四四年三月二七日付売買契約
締結の一事をもつて前記契約の差止めを求める本件訴えの利益が喪失したとする被
告の抗弁は、理由がない。
(二) 地方自治法施行令一六七条の二の規定の解釈について。
 被告の論法をもつてすれば、区長がほしいままに相手方を特定してこれと締結し
た区有財産の払下げ契約が区議会によつて議決されると、そのことによつて、当該
財産の処分は、その目的が競争入札に適しないものとなつて、区長がこれを執行し
ても違法の問題は起らないこととなる。しかし、かかる議論のとりえないことは、
さきに指摘した本来違法な処分は議会の議決によつても適法となりえないというこ
とからみても、また、随意契約を極めて例外的な場合に限つて認めんとする法の趣
旨が没却される不当な結果を招来するにいたるということからみても、明らかであ
る。問題は、むしろ、区長が予め売却の相手方を特定してこれと契約を締結したこ
と自体に存するのであつて、当該公有財産の売買が地方自治法施行令一六七条の二
第一項一号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するかど
うかの判断は、地方公共団体の長の主観的な動機、意図等によつて決まるのではな
く、処分せんとする公有財産の種類、性質、規模、さらには処分対象者の範囲等客
観的な基準により、しかも、住民全体の利益を確保し、公正な機会均等の原則が貫
かれるという観点から決定されなければならないのである。
 被告が自由財源として中野区にとり極めて稀少な価値を有する本件跡地を区の財
政補填のために換価処分するというのであれば、住民全体の利益を確保するという
観点から、被告のとるべき方法は、地方自治法二三四条所定の一般競争入札であつ
てそれ以外にはないはずである。また、被告が、本件跡地を公共団体に売却すると
いう方針をとり、そして、そのためには住民全体の経済的利益が多少犠牲にされて
もやむを得ないという議論が成り立ちうるとしても、前記売買契約は、右施行令の
条項に該当するものではない。その理由の第一は、本件契約の相手方が京成電鉄と
いう一私企業である(京成電鉄が本件跡地を買い受けた後これを郵政省の土地と交
換するかどうかは、京成電鉄と郵政省間の「内部事情」にすぎないことであつて、
中野区のあずかり知らない事柄である。)ということであり、その第二は、予定価
格七億円をこえる大規模な不動産の売却行為であるということである。いま、これ
らの理由をさらに詳述すると、右施行令の規定が随意契約によりうる場合として不
動産の売却を制限付ででも例示しなかつたのは、公有不動産は一般に規模が大きい
ため、競争入札によらなければ、住民全体の利益を確保し、公正な機会均等の原則
を貫くべき要請が害されるという配慮に出たがためである。また、国有財産に関す
る予算決算及び会計令九九条は、不動産の売払いにあたり随意契約によりうる場合
として、「(1)秘密を要するとき(一号)、(2)予定価格が三〇万円をこえな
いとき(五号)、(3)法律の規定により財産の譲与ができるものにその財産を売
り払うとき(一二号)、(4)外国で契約するとき(一五号)、(5)特別に縁故
のある者に売り払うとき(二二号)、さらに、(6)日本専売公社ほか一三の公団
公社又は大蔵大臣の指定する公団との間で契約するとき(九号)、(7)公共用、
公用又は公益事業の用に供するため必要な物件を直接に公共団体又は事業者に売り
払うとき(二一号)」と列挙しているが、地方自治法施行令一六七条の二の規定の
解釈としても、不動産の売払いに関し随意契約が許されるのは、右のうち(1)、
(4)、(5)の場合に限られるとするのが学説の通説であり、仮りに、地方公共
団体において右(6)、(7)の場合に該当する国又は公法人、公共団体に対して
売り払う場合にも許されるという見解をとるとしても(中野区契約事務規則は、こ
の見解による)、いかなる学説、行政解釈によつても、その契約は、直接でなけれ
ばならず、本件のように一私企業に売却することは、たとえ当該不動産が将来公共
目的に利用されることになつているとしても、許されないとされていることに徴し
て、極めて明らかである。
第三 被告の主張
(本案前の抗弁)
 被告は、京成電鉄と別紙図面表示の黄線で囲まれた土地について昭和四四年三月
二七日売買契約を締結したのであるから、右売買契約の基本たる契約の差止めを求
める本件訴えは、すでにその利益を欠くにいたつたものというべきである、
 また、原告Aは、監査請求をしていないので、同原告の本訴請求は、不適法とし
て却下すべきである。
(請求の原因に対する答弁)
 原告ら主張の請求原因事実中、被告が本件跡地を処分するにつき、区民の意思を
無視し、その反対運動を回避するため極秘のうちに事を運んだこと、京成電鉄が原
告主張のごとき政商であつて本件跡地の取引についてもその主張のごとき利益を得
ること、本件跡地の売買価額決定の経緯およびそれが時価に比べて低廉であるこ
と、郵政省が本件跡地の上に中野郵便局舎を建設する合理的理由も公共性もないこ
と、被告によつて京成電鉄介在の事実が秘匿されたまま区議会が本件跡地の処分に
関する議案を議決したこと、請願が誠実に処理されなかつたこと、いわゆる三者契
約の成立を停止条件とする売買契約が締結された日時の点は、いずれも否認する
が、その余の主張事実は、すべて認める。
(主張)
一 被告は、本件跡地の利用について種々の見地から検討を進めてきたが、昭和四
一年一二月ごろまでの間に、これを他にできるだけ高価な価格で売却し、その売得
金をもつて三八万区民全体の福祉に寄与し、特に、地元南口地域の発展につながる
ような施設の新設・整備をはかること、そして、そのためには、売却の相手方は、
国、公共団体又は公共的団体とすることとの処分方針を建て、この方針に従つて、
まず、公共団体の手によるマーケット併設の高層共同住宅建設の実現を図るべく、
昭和四一年一二月ころ東京都住宅供給公社と、また、昭和四二年八月ころ日本住宅
公団と交渉したが、いずれも価格の点で妥結にいたらなかつた。
 ところで、東京郵政局長から昭和四二年一二月一日付の文書をもつて中野郵便局
舎建設用地として本件跡地の一部を譲り受けたい旨の申入れがあり、その理由とす
るところは、中野区<以下略>所在の現中野郵便局舎が老朽かつ狭隘となり、この
ままでは増大する郵便業務の処理が困難で、中野区民に対する郵政サービス低下を
きたすことは不可避であり、それを打開するための局舎移築用地としては本件跡地
を除いてはほかにないということであつた。被告は、調査検討の結果、右申入れの
合理性を認め、さらに、前記処分方針の趣旨をいかして南口商店街における購買力
を増し、地元住民の利益を図るため、売買の対象は本件跡地の一部ではなく全部で
あること、また、局舎には必ず郵政職員住宅を併設することとの条件を出し、これ
と併行して、区有財産処分に関する中野区の慣行に従い、財団法人日本不動産研究
所に対し本件跡地の売買価格の鑑定を依頼し、昭和四三年二月九日時点における売
買価格は三・三平方メートル当り三三万九、九〇〇円が適正であるとの結果を得、
東京郵政局側と数次の交渉を重ねたところ、昭和四三年八月下旬、郵政局長は、本
件跡地全部を買い入れ、その上に三〇〇所帯を収容する郵政職員住宅をも併設する
との条件をのみ、売買代金を三・三平方メートル当り四二万二、四〇〇円とする旨
の了解が成立した。
 ところが、同年八月三一日にいたり、郵政局側より、さきに東京郵政局長と京成
電鉄との間で同年六月一〇日付の甲第二号証の覚書が取り交わされ、郵政省は旧下
谷郵便局舎敷地を三・三平方メートル当り一七五万六、九二〇円で、京成電鉄の<
地名略>を含む計二二筆の土地および「別に郵政省が指定する土地」と前者の土地
については三・三平方メートル当り五二万一、七三〇円、後者の土地については
「物件が確定したうえで定める。」約で、昭和四三年九月三〇日を目途として交換
することとなつているので、本件跡地を右の「指定する土地」として、いつたん京
成電鉄に取得させてもらいたい旨の要請があり、被告としては、かように複雑な方
法は避け、あくまでも直接郵政省に売却することを強く主張したが、郵政省は、限
られた用地買収予算をもつて郵便事業用地を効率的に調達するためには、単価の高
い老朽、狭隘な局舎の敷地と、単価は比較的低いが面積の広い土地とを交換する方
法による必要があること、また、現実に七億五、〇〇〇万円の代金を支払うだけの
予算の余裕がないこと等をあげて、同省の意図する方法に協力されたい旨を懇請さ
れるに及びやむなく右方法によつて処分することを承諾し、念のため、東京郵政局
長より、郵政省が京成電鉄に対して指定する土地が本件跡地であり、また、同土地
の価格は、三・三平方メートル当り四二万二、四〇〇円である旨を記載した同年九
月二七日付の東京郵政局長と京成電鉄との間の甲第四号証の覚書を入れさせ、右覚
書を確認したうえで、同日、東京郵政局長との間に、中野区は郵政省に対して本件
跡地を中野郵便局舎および郵政職員住宅の建設用地として、代金三・三平方メート
ル当り四二万二、四〇〇円で払い下げるが、郵政省が本件跡地を取得するための方
法として、いつたん京成電鉄にこれを売り渡すこととする旨の甲第三号証の覚書を
取り交わした。
 そこで、被告は、昭和四三年第三回中野区議会定例会に同年九月三〇日第四八号
議案として「財産の処分について」と題する「本件跡地を東京郵政局中野郵便局舎
等建設用地とすることを目的として予定価格七億五、二八三万四、五六〇円をもつ
て売払いの方法により処分したい。」との議案を提出し、同議案は、総務財政委員
会に付託され、同年一〇月七日の委員会で継続審査とすべき決定がなされたが、本
会議が開かれないまま廃案となり、次いで、同年第四回定例会に同年一一月一八日
第五六号議案として右案件を提出し、同議案は、これと関連する請願とともに、同
日総務財政委員会に付託され、被告およびその補助機関の提案理由の説明、請願人
らの趣旨の説明を徴し、東京郵政局の建築部管財課長補佐および京成電鉄の不動産
部計画調査課長と懇談する等の方法により、二十数日にわたつて慎重審査された結
果、同年一二月二五日の委員会で賛成多数をもつて可決すべきものと決定され、同
月二七日の本会議においても、記名投票の結果、賛成三〇票、反対一〇票をもつて
可決された。また、右議決に伴い、昭和四三年度一般会計予算の歳入として財産収
入七億五、二八三万四、〇〇〇円、歳出として積立金同額がそれぞれ追加された。
 そこで、被告は、右第五六号議案についての区議会の議決に基づき、昭和四四年
三月二七日、東京郵政局長を立ち会わせ、京成電鉄と、中野区は京成電鉄に対し本
件跡地のうち道路部分を除く五、六三八・五〇平方メートル(別紙図面表示の黄線
で囲まれた部分)を代金七億二、一七二万八、〇〇〇円で「被告・京成電鉄・郵政
省の三者が前記各覚書の趣旨を一体とした三者契約を締結すること」を停止条件と
して売り渡し、京成電鉄は被告の発行する納入通知書により被告の指定する期日ま
でに右代金を先に支払う旨の停止条件付売買契約を締結した。
 ちなみに、原告らは、いわゆる三者契約の成立を停止条件とする売買契約は昭和
四三年九月二八日締結され、その契約に基づいて昭和四四年三月二七日付の売買契
約ができたように主張し、その証拠として、甲第一号証の土地売買契約書(案)概
要をあげているが、甲第一号証は、総務財政委員会における第五六号議案審査の資
料として作成、配布された将来京成電鉄と締結すべき売買契約の案の骨子を記載し
たものにすぎず、したがつて、日付欄も空白のままになつていたのである(もつと
も、甲第一号証には「昭和四三年九月二八日」と日付が記載されているが、これ
は、後日誰かの手によつてほしいままに記入されたものと思われる。)から、これ
をもつて右停止条件付売買契約が昭和四三年九月二八日に成立したことを立証する
証拠とはなしえないといわなければならない。
 また、被告が本件訴訟の係属中であるにもかかわらずあえて京成電鉄と右のごと
き昭和四四年三月二七日付の契約を締結するにいたつたのは、執行機関としてすで
に議決を経た第五六号議案をすみやかに処理すべき責務を負つており、特に、本件
跡地の処分による財産収入が昭和四三年度予算に計上されている関係上、同年度内
に処理すべき必要があつたこと、さらに、本件跡地の処分方針がその売得金をもつ
て全区民のためにバランスのとれた福祉の増進をはかるという点にあり、しかも、
福祉施設の新設・整備は、すべて新年度における施政方針にかかげられていて昭和
四四年度当初予算におりこむ必要があつたこと等の事情から是非とも本件跡地の処
分を昭和四三年度内に行なう必要があつたためである。なお、右のような事情か
ら、被告は、同年度中に売買代金の納入通知書を発して京成電鉄からは昭和四四年
三月三一日と同年四月三〇日の二回にわたり代金全額七億二、一七二万八、〇〇〇
円の支払いを受け、右歳入をもつて、区民全体の福祉に寄与すべき施設として、区
民体育館、社会教育センター、区立幼稚園、小学校体育館の新設、出張所の改築、
公共施設用地先行取得のための用地基金の設置等を決定し、これらの施策を実施す
べき内容を含む昭和四四年度当初予算を編成した。ただ、前記三者契約は、郵政省
が京成電鉄に対して交換に供すべき土地の所有者のうち一軒の立退きが未了のため
まだ締結にいたつていない。
二 本件契約は、法規に従つてなされた適法なものであつて、原告ら主張のごとき
違法の瑕疵は、全然存しない。いま、この点について詳述すると、
(一) 被告は、前記処分方針に従い、地元の発展はもとより三八万区民全体の福
祉に寄与するとの判断のもとに、本件跡地を郵政省に売却する旨を決定したのであ
る。もつとも、原告らの攻撃する売買契約が直接京成電鉄との間になされたもので
あることは事実であるが、それはあくまでも郵政省をして本件跡地を取得させるた
めの手段にすぎないのであつて、このことは、前叙のごとき右契約締結の経緯およ
び各種覚書の趣旨に微して極めて明らかであるから、京成電鉄介在の一事をとらえ
て本件跡地売却処分の違法をいう原告らの主張は、当らないものというべきであ
る。
 また、原告らは、本件跡地に中野郵便局舎を建設する合理的理由も公共性もない
と主張する。しかし、元来本件跡地を中野郵便局舎建設用地として利用するのが妥
当であるか、あるいは、請願等で表明されている一部区民の要望をみたすような施
設の用地として利用するのが妥当であるかは、中野区民全体の福祉増進という政策
的な見地から判断されるべきであるが、現在の中野郵便局舎は、中野区の中心部を
はずれた東端寄りに所在し、区民の利用に不便であるばかりでなく、狭隘でかつ老
朽化しており、同局職員の労働環境も劣悪で、増大する郵便業務をさばくには不自
由をきたしており、その敷地にも余裕がなく、住居地域であるため、増改築は不可
能な状態にあり、このままでは将来郵便物の配送回数の低下等をまねき、区民の日
常生活に不便を与えることが必至であるので、本件跡地を中野郵便局舎の敷地に提
供することは、区民全体の福祉増進のために必要なものであると認められる。しか
も、右局舎建設と併せて郵政省職員住宅の建設も予定されており、これによつて地
元駅前南口商店街の購買力が向上し、その発展にもつながるものというべきであ
る。
 以上のように、本件跡地を前記処分方針に従い全区民の福祉増進になるように売
却せんとすれば、おのずからその相手方が限定されるのであつて、一般競争入札の
方法によつては、右の目的を実現することが不可能であることはもちろんである。
それ故、前記売買契約は、まさに、地方自治法施行令一六七条の二第一項一号にい
う「その性質又は目的が競争入札に適合しないもの」に該当し、随意契約によるこ
とが許されるものというべきである。
(二) 本件跡地の売買価格三・三平方メートル当り四二万二、四〇〇円は、日本
不動産研究所の鑑定価格たる三三万九、九〇〇円をはるかに上廻るもので、極めて
適正であるといわなければならない。原告らは、甲第二〇号証の一、二の評価図等
を引用して、右売買価格が安きに失すると非難するのであるが、本件跡地は、南側
道路からの奥行約九〇メートル、西側道路からの奥行五〇メートルないし九〇メー
トル、面積五、八八一・五二平方メートルの不整形な土地であり、道路からの奥行
が増大するにつれて価格が逓減することは、自明の理であるから、右評価図に本件
跡地の西南隅の地点(映画館通りと大久保通りとの交差点に面する地点)の評価が
三・三平方メートル当り九〇万円と表示されているからといつて、本件跡地のすべ
てが、一律に右の価値を有するものとはいえない。現に、右評価図においても本件
跡地の東北部分については、三・三平方メートル当り二五万円との評価がなされて
いるにすぎないのである。そればかりではなく、右評価図の評価自体が、一種の呼
値を表示したにとどまるものであつて、実際の売買価格を上廻ること、幾多の売買
実例に徴しても明らかである。
(三) 地方自治法二四二条の二第一項一号の規定による住民訴訟の提起は、地方
公共団体に回復困難な損害が生ずるおそれのある場合に限り、許されるところ、前
記停止条件付売買契約によつては、中野区の住民に対しよりよい郵便業務によるサ
ービスの提供、駅前南口商店街の購買力の向上、公共福祉施設の新設・整備等の利
益がもたらされこそすれ、中野区に損害が生ずるおそれは、全くなく、まして、回
復困難な損害のごときことは、考える余地もない。
(四) 原告らは、被告が住民の意思を無視し、京成電鉄介在の事実を秘匿したま
ま第五六号議案の審議・採決が行なわれたために、請願が不法に処理されたと主張
するが、前叙のように、第五六号議案と関連請願は、総務財政委員会(請願の一部
は他の委員会)において昭和四三年一一月二五日から同年一二月二五日までの三一
日間に会議を開くこと二〇回に及び、京成電鉄の不動産部計画調査課長らを呼んで
事情を聴取し、慎重審議されたのであるから、原告らの主張は、全く事実に反す
る。原告らのいわゆる強行採決とは、昭和四三年一二月二七日の本会議に警察官が
導入されたことをいうのであろうが、かような措置が採られたのは、傍聴人が傍聴
席から議場に乱入し、議長席を占拠する等の方法により審議の継続を不能ならしめ
たがためであり、これをもつて強行採決というのはあたらない。
 なお、「南口商店街桃商会」からの請願は、昭和四三年一一月一八日第五二号請
願として提出され、総務財政委員会に付託、同委員会で不採択と決定され、同年一
二月二七日の本会議においても不採択となつた。「道路拡張対策協議会」からの請
願は、同年一〇月三日第四六号請願として受理されたが、区議会が流会となつたた
め廃案となり、あらためて右請願と同趣旨の第五八号請願が提出され、右委員会で
付託、審査中のところ、昭和四四年二月一八日取下げの申出があり、右申出は、同
年三月七日の本会議で承認された。なお、その他の地元住民からの請願は、昭和四
三年一一月一八日第五四号請願として提出され、そのうち、高層都営住宅の建設に
関するものは、右委員会に付託、審査の結果、不採択と決定され、昭和四四年二月
五日の本会議においても不採択となり、保育園の建設に関するものは、区民厚生委
員会に付託、審査の結果、不採択と決定され、同年三月七日の本会議においても不
採択となり、遊び場の設置に関するものは、建設委員会に付託され、現在なお継続
審査中である。
 以上の理由によつて明らかなごとく、本件契約は、いかなる点からみても適法か
つ妥当なものであるから、原告らの請求は、却下されるべきである。
第四 証拠関係(省略)
       理   由
第一、本案前の抗弁について。
(一) 本訴請求の趣旨は、「被告は別紙図面表示の黄線で囲まれた土地を京成電
鉄に対して売り渡してはならない。」というのであるが、本件訴訟が地方自治法二
四二条の二第一項一号の規定に基づく差止めの請求であること、原告らの主張自体
に徴して明らかであるから、右請求の趣旨は、単に売買契約を締結することのみの
差止めにとどまらず、当該売買契約の執行-つまり、右土地の所有権を移転するこ
と-そのものの差止めを求めることにあるものと解するのが相当である。
 ところで、原告らが本訴において主張するいわゆる三者契約の成立を停止条件と
する売買契約がいつ締結されたか、また、被告のいう昭和四四年三月二七日付の売
買契約がその主張のごとき内容のものであるかどうかについては、争いの存すると
ころであるが、少なくとも、右土地の所有権が京成電鉄へ移転するのは、いわゆる
三者契約の成立を停止条件とするものであること、しかるに、いまだかかる契約の
成立した事実はなく、すでに京成電鉄によつて売買代金が完済されているとはい
え、それは、先給付の特約に基づくものとしてなされたにすぎないこと、いずれ
も、被告の認めて争わないところであるから、右土地の所有権が京成電鉄へ移転す
ることの差止めを求める本件訴えは、被告主張のごとく、昭和四四年三月二七日付
の売買契約の成立によつてその利益を喪失するものではないといわなければならな
い。したがつて、この点に関する被告の抗弁は、排斥すべきものとする。
(二) また、原告Aの訴えの適否について判断するのに、成立に争いのない乙第
一二号証(昭和四四年三月一五日付東京都中野区公報)によれば、監査請求者の中
に、「A」なる者はなく、右原告と同一の肩書住所を表示した「B」という氏名が
認められるが、同原告は、当初「B」として本訴を提起したところ、その後にいた
り、これを「C」と改め、さらに「A」と訂正したこと、本件記録に徴して明らか
であるから、監査請求をした右「B」は、原告「A」の誤記で、両者は同一人物で
あると認めるのが相当であり、該認定に反する証拠はない。したがつて、右原告の
本件訴えは、監査請求前置の要件において欠けるところがなく、これを不適法とし
て却下を求める被告の抗弁は、採用の余地がないものというべきである。
第二、本案について。
 原告らが中野区の住民であり、被告が京成電鉄と中野区の公有財産たる本件跡地
を同社に売却する旨の契約を締結し(但し、その日時、経緯、目的等の点は、除
く)、原告Aを除くその余の原告らが該契約の執行を差し止めるべく、それぞれ三
次にわたり、中野区監査委員に対して監査の請求をしたことは、いずれも、当事者
間に争いがなく、また、原告Aが右の監査請求者の中に加わつていたことは、前叙
認定のとおりである。
 ところで、原告らは、被告と京成電鉄との間に昭和四三年九月二八日いわゆる三
者契約の成立を停止条件とする売買契約が締結されたと主張し、そのことを前提と
して、該契約自体の違法を攻撃し、その執行の差止めを求めるものであるが、後掲
各証拠によれば、原告らの主張する日には両者の間にいかなる契約と締結された事
実はなく、却つて、いわゆる三者契約の成立を停止条件とする売買契約は、被告と
京成電鉄との間に取り交わされた・中野区が本件跡地を京成電鉄に対して代金三・
三平方メートル当り四二万二、四〇〇円で売り渡す旨の昭和四三年九月二七日付覚
書の趣旨が、第五六号議案として、昭和四三年第四回中野区議会定例会の本会議に
おいて可決されたところから、昭和四四年三月二七日、あらためて、被告が京成電
鉄と、本件跡地のうち道路部分を除く五、六三八・五〇平方メートル(別紙図面表
示の黄線で囲まれた部分)を右と同一単価で売り渡すことを確認する意味で、締結
したものであり、原告らの挙示する甲第一号証の土地売買契約書(案)概要には、
「昭和四三年九月二八日」なる日付が記載されているが、右書類は、その標題およ
び体裁等からみて明らかなように、総務財政委員会における第五六号議案審査の資
料として作成、配布されたものであつて、その内容は、被告が将来京成電鉄と締結
すべき売買契約の案の骨子にすぎず、日付欄も、空白のままになつていたのに後日
誰かの手によつてほしいままに右のごとく記入されたと推認するのが相当であるか
ら、これをもつて原告らの主張事実を裏付ける資料とはなしえない。それ故、原告
らの右主張は、それ自体としては、必ずしも当をえたものとはいい難いが、本訴請
求原因は、これを全体としてみれば、前記認定に係る昭和四四年三月二七日付のい
わゆる三者契約の成立を停止条件とする売買契約の違法を攻撃するものと解しうる
余地があるので、以下、原告らの右主張をかように理解したうえで、その当否につ
いての検討を進めることとする。
 まず、本件跡地が、中野区の公有財産たる広大な更地であり、しかも、国鉄中野
駅南口商店街に隣接していて、中野区の将来の発展にとり極めて重要な土地である
こと、その利用方法については、地元住民から種々の要望が出されており、特に、
原告らの結成する「南口商店街桃商会」や都道二六号線拡幅に伴う立退対象者によ
つて結成されている「道路拡張対策協議会」は、住宅公団によるシヨツピングセン
ター、代替店舗の建設を請願していたこと、ところが、被告は、本件跡地を中野郵
便局舎建設用地として売却されたい旨の東京郵政局長からの申出を受け容れ、昭和
四三年六月一〇日には、東京郵政局長と京成電鉄との間に、郵政省は旧下谷郵便局
舎敷地を三・三平方メートル当り一七五万六、九二〇円で京成電鉄の<地名略>ほ
か二一筆の土地および「別に郵政省が指定する土地」と、前者の土地については
三・三平方メートル当り五二万一、七三〇円、後者の土地については「物件が確定
したうえで定める。」約で、昭和四三年九月三〇日を目途として交換する旨の甲第
二号証の覚書が、続いて、同年九月二七日付で、郵政省が京成電鉄に対して別に指
定する右の土地が本件跡地であり、また、同土地の価額は、三・三平方メートル当
り四二万二、四〇〇円とする旨の甲第四号証の覚書が取り交わされ、同日、被告と
東京郵政局長との間に、中野区は郵政省に対し本件跡地を中野郵便局舎および郵政
職員住宅建設用地として、代金三・三平方メートル当り四二万二、四〇〇円で払い
下げるが、郵政省が本件跡地を「取得するための前提手続きとして、京成電鉄をし
て、乙(被告)より、本件土地の買入れをさせ、甲(東京郵政局長)の所有する他
の物件と本件土地を、別に添付する条件をもつて、交換による同会社より取得する
ものとする。」との甲第三号証の覚書が作成されたことは、いずれも、当事者間に
争いがない。
 さらに、成立に争いのない甲第一四号証の一、二、甲第一五号証(乙第一〇号証
と同一)、甲第一七号証(乙第八号証と同一)、甲第二八号証、乙第二号証の一、
二、乙第四ないし第七号証、乙第九、第一二、第一六、第一九、第二六号証、証人
Dの証言によつて真正に成立したものと認める乙第三、第一一号証、証人E、F、
G、D、HおよびIの各証言によると、次の事実を認めることができる。すなわ
ち、昭和三六年東京都都市計画事業の一環として、国鉄中野駅を中心とする都道二
六号線が南北二五〇メートルにわたり拡幅され、これに伴い、南口地域だけでも約
四〇所帯の立退きが余儀なくされることとなつたところから、地元住民は、中野区
当局に対してその対策方につき再三にわたり陳情・請願に及び、ここに、被告の諮
問機関として区議会内に中野地区開発委員会が設置され、この問題につき中野駅周
辺の再開発という見地から審査を重ねた結果、区役所庁舎を旧警察大学校敷地に移
築し、それに隣接して大通りに面した地区に公団による高層の店舗併用住宅を建設
する方策を打ち出し、その用地払下げの交渉を進めてきたが、昭和四一年二月一六
日にいたり、区役所新庁舎の用地払下げのみが認められて立退対象者らのための店
舗併用住宅の用地払下げは不許可となつた。そこで、前叙のごとく、立退対象者ら
から本件跡地にシヨツピングセンター、代替店舗の建設を望む請願が出されるにい
たつたのであるが、被告は、本件跡地の利用方法につき、これを他にできるだけ高
い価格で売却し、その売得金をもつて三八万区民全体の福祉に寄与し、しかも、地
元南口地域の発展につながるような施設の新設・整備を図ること、そして、そのた
めには、売却の相手方は、国、公共団体又は公共的団体とするとの処分方針を建
て、この方針に従つて、まず、公共団体の手によるマーケツト併設の高層共同住宅
建設の実現を図るべく、昭和四一年一二月ころ東京都住宅供給公社と、また、昭和
四二年八月ころ日本住宅公団と交渉したが、いずれも、被告が予定していたよりか
なり低い価格で買い受けるのでなければ採算がとれないという理由で断わられるに
いたつた。ところが、昭和四二年一二月一四日付の文書をもつて、前叙のごとく、
東京郵政局長から本件跡地の一部を中野郵便局舎建設用地として売却されたい旨の
申出があり、その理由とするところは、現在の中野郵便局舎が狭隘でかつ老朽化し
ていて、このままでは増大する郵便業務の処理が困難であるが、現在の場所は、住
居地区に指定されているため、予定の建物が建てられず、また、場所的にも、中野
区の中心部をはずれた東端寄りに位置していて区民の利用に不便であるので、是非
本件跡地の道路沿いの部分四、〇〇〇平方メートルを譲り受けたいとのことであ
り、被告としても、その必要があり、しかも、中野郵便局舎の出現は、郵政サービ
スの向上によつて区住民の福祉に寄与するものであると認め、さらに、前記処分方
針の趣旨をいかして南口商店街における購買力の増大と地元住民の利益を図るた
め、譲渡するとすれば、本件跡地の一部ではなく全部であること、また、郵便局舎
には必ず郵政職員の住宅を併設することの二条件を持ち出し、それと併行して、区
有財産処分に関する中野区の慣例に従い、財団法人日本不動産研究所に対し本件跡
地の売買価格の鑑定を依頼し、昭和四三年二月九日時点における売買価格は三・三
平方メートル当り三三万九、九〇〇円であるとの結果を得、東京郵政局側と交渉を
続け、同年八月半ばころ、両者の間に、中野区は本件跡地全部を代金三・三平方メ
ートル当り四二万二、四〇〇円で郵政省に売り渡し、郵政省はその上に郵便局舎の
ほか三〇〇所帯を収容する職員住宅を建設する旨の了解が成立するにいたつた。と
ころが、同年八月三一日にいたり、郵政局側より、前叙のごとく、東京郵政局長と
京成電鉄との間に同年六月一〇日付の覚書が取り交わされているので、本件跡地を
同覚書にいう「別に郵政省が指定する土地」として、いつたん京成電鉄に取得させ
てもらいたい旨の要請があり、被告としては、かように複雑な方法を避け、あくま
でも直接郵政省に売り渡すことを強く主張したが、郵政省側から、限られた予算を
もつて用地を効率的に調達するには、単価の高い老朽・狭隘局舎の敷地と、単価は
比較的低いが面積の広い土地とを交換する方法による必要があること、また、現実
に七億五、〇〇〇万円を支払うだけの予算の余裕がないこと等をあげて、同省の意
図する方法に協力されたい旨を懇請されるに及び、やむなくこれを承諾し、念のた
めに、東京郵政局長と京成電鉄との間に前記同年九月二七日付の覚書を作成させ、
該覚書を確認したうえで、同日、あらためて東京郵政局長と前記の覚書を取り交わ
したこと。その間、本件跡地の処分問題は、庁舎移築の問題とともに、区議会内に
設けられた庁舎建設特別委員会において継続審査に付されていたが、被告ら区の理
事者は、同委員会に対し、本件跡地の処分については、「爾後議会側とよく連絡を
とつてその都度報告する。」とか、「本件跡地は公共機関又はこれに準ずるものに
売りたいと考えている。切り売りをするようなことはしない。」程度の応答をして
きたが、前叙のごとく関係三者の間にそれぞれ覚書が成立するにいたつたので、昭
和四三年九月三〇日の第三回定例会に「財産の処分について」と題する「本件跡地
を東京郵政局中野郵便局舎等建設用地とすることを目的として予定価格七億五、二
八三万四、五六〇円をもつて売払いの方法により処分したい。」との第四八号議案
を提出し、同議案は、総務財政委員会に付託されたが、庁舎引越しの日時が迫まつ
ていた等の事情から、同年一〇月七日の委員会で継続審査とすべき旨の決定がなさ
れ、本会議が開かれないまま廃案となり、次いで、同年第四回定例会に第五六号議
案として右案件を提出し、総務財政委員会において、同年一一月一八日から審査に
入り、事案の重要性と議案・請願の採否が二者択一の関係にあることに鑑み、さき
に同委員会に付託されていた前記「南口商店街桃商会」、「道路拡張対策協議会」
およびその余の地元住民らの各請願と併行して審査することとなり、同月二二日各
請願人らの代表者らを呼んでその趣旨の説明を聞き、また、同月二五日区側から被
告と東京郵政局長との前記覚書および同局長と京成電鉄との間に取り交わされた前
記覚書が、また、同年一二月一六日甲第一号証の土地売買契約書(案)概要が資料
として提出されたところから、右議案につき、東京郵政局の建築部管財課長補佐J
および京成電鉄の不動産部計画調査課長Kを呼んで事情を聞き、随意契約の点につ
いても被告らから説明を求め、同年一二月二五日まで約一か月間にわたり審査を続
けた結果、将来京成電鉄と売買契約を締結するにあたつては郵政省を加えた三者契
約の方法によることという条件付で、賛成多数をもつて可決すべきものと決定さ
れ、同年一二月二七日の本会議では、一部議員から審議打切りの動議が出され、賛
成討論、反対討論が終つて採決の段階になつたとき、十数名の傍聴人が議長席に押
しかけ、議場は混乱に陥り、遂に警察官導入という異常事態をみるにいたつたが、
ともかくも、採決は、警察官が引きあげた後、平静裡に行なわれ、記名投票の結
果、賛成三〇票、反対一〇票をもつて可決され、これに伴い、前記「南口商店街桃
商会」の請願は、不採択とみなされるにいたつた。そこで、被告は、冒頭叙説のご
とく、右議決の趣旨に基づき、昭和四四年三月二七日、東京郵政局長を立ち会わせ
たうえで、京成電鉄と、道路廃止処分の手続が遅れていたために、本件跡地のうち
道路部分を除く五、六三八・五〇平方メートルを代金七億二、一七二万八、〇〇〇
円(単価はさきに同じ。)で、被告・京成電鉄・郵政省の三者間に前記各覚書の趣
旨を一体としたいわゆる三者契約の成立を停止条件として売り渡す旨の契約を締結
したこと。しかして、同契約には、その六条一項として、土地所有権は中野区から
郵政省に移転するものとする旨の規定が設けられており、また、本件跡地から除外
された前記道路部分二四三・〇一平方メートルについては、その着替工事が完了し
た暁、これを右と同一の単価で中野区より直接郵政省に売り渡す旨の覚書が作成さ
れていること。その後、継続審査となつていた前記「道路拡張対策協議会」の請願
は、昭和四四年二月一八日取下げの申出があり、同年三月七日第二回定例会の本会
議で右取下げの申出が承認され、また、その余の前記請願のうち、高層都営住宅の
建設に関するものは、総務財政委員会で同年二月三日不採択とされ、昭和四四年二
月五日の本会議においても不採択と決定され、保育園建設に関するものは、区民厚
生委員会で不採択とされ、昭和四四年三月七日の本会議においても不採択と決定さ
れたが、遊び場の設置に関するものは建設委員会に付託され、昭和四四年第二回定
例会において採択と決定されたこと。なお、前記議決に伴い、被告は、昭和四三年
度一般会計の歳入として財産収入七億五、二八三万四、〇〇〇円、歳出として積立
金同額の予算を編成し-もつとも、右歳入・歳出金額は、その後京成電鉄に対する
売渡土地の面積が減少したことにより、右道路部分の代金額に相当する三、一一〇
万六、五六〇円の減少を来たすこととなつた-同年度中に京成電鉄に対して売買代
金の納入通知書を交付し、京成電鉄から昭和四四年三月三一日と同年四月三〇日の
二回にわたつて代金全額七億二、一七二万八、〇〇〇円の支払いを受け、右歳入を
もつて区民体育館、社会教育センター、区立幼稚園、小学校体育館の各新設、出張
所の改築、公共施設用地先行取得のための用地基金の設置等を決定し、これらの施
策を実施すべき内容を含む昭和四四年度当初予算を編成したことを、それぞれ認め
ることができ、右認定を左右するに足りる的確な証拠はない。
 そこで、(一) まず、被告が昭和四四年三月二七日京成電鉄と締結したいわゆ
る三者契約の成立を停止条件とする売買契約が地方自治法施行令一六七条の二第一
項一号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するかどうか
について判断する。
 地方自治法は、地方公共団体がその公有財産を売却するにあたつては、原則とし
て、一般競争入札の方法によるべき旨を規定している(二三四条参照)のであるか
ら、同法施行令一六七条の二第一項が例外的に随意契約の方法によりうる場合とし
て列挙している「……その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないもの
とするとき」という一号の条項も、厳格に解することを必要とするのはいうまでも
ない。ところで、売買がここにいう「その性質又は目的が競争入札に適しないも
の」に該当するかどうかの判断は、単に当該公有財産の種類、用途、規模等だけに
よつて抽象的、画一的になしうるものではなく、これらの要素に応じて処分の公正
をそこなわないのはもとより、それが住民全体の福祉に寄与しうることになるかど
うかという観点から、各具体的事案につき客観的に決定すべきであつて、いやしく
も、かかる観点に立つことなく、ほしいままに予め特定の相手方を選定し、これと
の間につくり上げられた話合い等による既成事実を基礎として事を決するがごとき
ことは、許されず、また、同条の規定に反する違法な売買契約は、たとえ後に議会
の議決がなされたとしても、そのことの一事によつて有効な契約となりうるもので
はない(最高裁昭和三七年三月七日大法廷判決、民集一六巻三号四四五頁参照)。
 しかして、或る公有財産をいかに利用するのが住民全体の福祉に寄与しうること
になるかは、当該公有財産がその地方公共団体にとつて重要なものであればあるほ
ど、人によつてその見解の異なつてくることは、否定しえないところであるが、本
来それは、政策決定の問題であるから、終局的には政治を担当する地方公共団体の
長の自由な政治裁量にまかされているところであり、したがつて、右にいう売買が
「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するかどうかの判断も、所
詮、長の政治的裁量の適否の判断に帰するものというべきである。しかも、行政庁
の自由な政治的裁量に関しては、行政責任の原則からいつても、また、司法権の性
格およびその本来的機能に鑑みても、裁判所としては、その裁量権の行使が住民全
体の福祉の増進という政治目的を逸脱して権限の濫用若しくは踰越に該当し、また
は、裁量権の範囲内にとどまるとしても、著しく不公正にわたる場合に非ざる限
り、これに介入することは許されず、右の限度に達しない裁量権行使の誤りは、当
不当の政治的責任の問題として、行政権の内部における解決によらしめるべきもの
と解するのが相当である。
 いま、これを本件についてみるのに、原告ら地元住民、特に、都道二六号線の拡
幅に伴う立退対象者らが、本件跡地に住宅公団の手によるシヨツピングセンター、
代替店舗の建設を要望するのは、その請願の出されるにいたつた前叙のごとき経緯
に徴し、諒とするに足りるものはあるが、被告の樹立した前記処分方針は、東京都
住宅供給公社および日本住宅公団の応諾が得られなかつたことによつて、これを右
要望にそうよう運用する運びにいたらなかつたとはいえ、それ自体としては、地元
住民の要望と相容れないものではないばかりでなく、もともと、広大な公有財産た
る本件跡地を一般競争入札によつて切り売りすることを避け、公共的機関に随意契
約の方法によつて一括売却することは、国有財産に関する予算決算及び会計令九九
条の趣旨に徴しても、また、三八万中野区民全体の福祉の増進を図るという政治目
的からみても、あえて、被告に与えられた裁量権の範囲を逸脱しまたは著しく不公
正にわたる違法行為とは到底考えられない。むしろ、問題は、被告が京成電鉄なる
一私企業に対して本件跡地を売却する旨の契約をこれと締結したことにあるものと
いうべきであるが、前記認定に係る右売買契約の締結にいたるまでの経緯、その間
に東京郵政局長と京成電鉄、被告と東京郵政局長とで取り交わした覚書および右契
約の各内容、特に、本件跡地の道路を除いた部分を中野区が京成電鉄に売却する代
金の単価と京成電鉄がこれを郵政省の土地と交換する際の評価額の単価とが同一で
あること、右土地所有権が京成電鉄へ移転するにはいわゆる三者契約の成立が停止
条件となつていること、右契約と本件跡地から除外された前記道路部分についてそ
の後被告と東京郵政局長との間に作成された覚書によつて、本件跡地全部の所有権
が中野区から直接郵政省へ移転されるようになつていることからみて、本件跡地
は、あくまでも、中野郵便局舎および郵政職員住宅の建設用地として郵政省に売却
されるものであつて、その取引に京成電鉄が介在しているのは、単に郵政省側の予
算上の要請から案出された本件跡地取得のための便法としての意義を有するにすぎ
ないものであるから、これによつて、右売却の趣旨は、いささかもそこなわれるも
のではないというべきである。そして、また、前記認定の事実関係のもとにおいて
は、本件跡地を右のごとき目的で郵政省に売却することの合理的理由ないし公共性
は一応首肯しうるのみならず、右の取引に京成電鉄が介在しているとはいえ、いわ
ゆる官商結託のごとき弊害の生ずる余地があるものとはいえず、さらに、後記叙説
のような売買価格等に関する事情をも考慮すれば、原告ら主張のごとく、本件跡地
の処分に関する一連の行為のうちで、被告が京成電鉄と締結した右売買契約のみに
着目するとしても、かかる契約を締結した被告の裁量権の行使に違法の瑕疵がある
ものとは認められず、同契約は、もとより官庁相互の直接取引の形式を踏んではい
ないが、前記施行令の規定の趣旨に反することなく、なお、同条項所定の「その性
質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当して随意契約によることが許される
ものというべきである。
 なお、中野区契約事務規則(昭和三九年四月一日規則第二三号)は、昭和四四年
三月一七日削除されたこと、成立に争いのない乙第一四号証によつて明らかである
から、同規則三八条の違反をいう原告らの主張は、失当たるを免れない。
(二) 次に、本件跡地の売買価格の点について判断する。
 本件跡地のごとき駅前商店街の中心部を形成する一団の広大な更地で、中野区発
展にとり極めて重要な土地を適正に評価することは、必ずしも、容易な業であると
はいい難く、使用目的・方法が異なり、将来に対する展望が相違すること等によつ
て、その結果も二、三になるのは、みやすいところであるが、前叙のごとき一括売
却という見地からすれば、被告の決定した売買価格三・三平方メートル当り四二万
二、四〇〇円は、それが日本不動産研究所の鑑定の結果たる三・三平方メートル当
り三三万九、九〇〇円を八万二、五〇〇円上廻るものであることに思いをいたす
と、仮りにそれが道路着替え後の整形地を想定し、かつ、当該工事費用を含めた価
格であり、また、それを決定するにあたり京成電鉄と格別の交渉をもたなかつたと
しても、少なくとも、前記契約を違法たらしめるほど低廉な価格であるとは到底認
められない。
 原告らは、甲第二〇号証の一、二の評価図に本件跡地の西南隅の地点(映画館通
りと大久保通りとの交差点に面する地点)の評価が三・三平方メートル当り九〇万
円と表示されていることを挙示して、右売買価格の違法をいうが、同評価図自体に
も、本件跡地の東北部分の評価格として三・三平方メートル当り二五万円と表示さ
れており、かつ、奥行が増大するにつれて地価が逓減するという当裁判所に顕著な
事実に徴すれば、原告ら主張の地点評価格をもつて本件跡地全体の売買価格の単価
とみることは、当をえないものであるというべく、他に右認定を覆えすに足りる的
確な証拠はない。
 それ故、本件跡地の売買価格が低廉であることをもつて前記売買契約の違法をい
う原告らの主張は、採用の限りでないといわなければならない。
(三) 最後に、前記各請願が誠実に処理されたかどうかについて判断する。
 前記認定事実に照らせば、原告ら主張の各請願は、中野区議会によつて、誠実に
審議されたものというほかなく、特に、原告らの結成する「南口商店街桃商会」か
ら提出された請願は、前記第五六号議案と二者択一の関係にあつたのであるから、
それが同議案の採択により不採択と決定されたものとみなされたという一事をもつ
て右認定を左右する資料とはなし難く、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。
 されば、仮りに請願処理の瑕疵によつて前記売買契約の違法をきたすことがある
としても、右各請願が地方自治の原則および請願法五条に違背して処理されたとし
て、前記売買契約の違法をいう原告らの主張も、また、採用に由ないものというべ
きである。
 以上の説示によつて明らかなごとく、原告らの本訴請求は、その余の争点につい
ての判断をまつまでもなく、理由がないので、これを棄却することとし、訴訟費用
の負担につき民訴法八九条、九三条、九四条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 渡辺吉隆 渡辺昭 岩井俊)
(別紙)
計算明細書
 不動産鑑定評価の基礎的方法すなわち収益還元法、なかんずく、土地残余法によ
つて、本件跡地の評価をすると、次の算式により、総額二七億九、〇〇〇万円とな
る。
 L=敷地価格、B=建物価格(2,160,000,000円)、a’=家賃
(償却前)に基づく純収益(491,400,000円)、r’=建物の個別還元
利廻り(0.1)、r=土地の個別還元利廻り(0.06)、d=毎年の償却率=
1/n(1/20)、a’-B(r’+d)=Lr
491,400,000-2,160,000,000(0.1+1/20)=L
×0.06
L=491,400,000-(2,160,000,000×0.15)/0.
06
L=2,790,000,000
(備考、1/N=1/20を1/40又は1/50《鉄筋高層建物の場合は、これ
が一般である。》とすれば、Lすなわち土地価格はより大となる。)
これを、土地残余法中の他の方式(インウツド・ホスコルド等)に、よるも大差は
生じない。
(別紙図面省略)

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