弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人加藤謹治の平成九年五月一二日付け「上告趣意書」と題する書面記載
の上告理由第一点、平成一〇年五月二二日付け「上告趣意補充書」と題する書面記
載の上告理由五、同年七月一九日受付け「上告趣意書」と題する書面記載の上告理
由第一点、第七点(五)、上告人Aの上告理由三について
 一 所論は、要するに、原判決には、基本となる口頭弁論に関与した裁判官
によって判決裁判所を構成しなかった違法がある、というものである。
 二 記録によれば、次の事実が認められる。
 1 平成八年一二月二五日に開かれた原審の第一回口頭弁論に関与した裁判官は、
裁判長裁判官渋川満、裁判官河野正実及び裁判官岡本岳であり、この期日に弁論が
終結された。そして、平成九年一月三一日に開かれた第二回口頭弁論の調書には、
裁判長裁判官渋川満、裁判官遠山和光及び裁判官岡本岳が出席し、裁判長が判決原
本に基づいて判決を言い渡した旨の記載があり、現在原裁判所に保存されている判
決原本には、口頭弁論の終結時に関与した前記三名の裁判官の署名押印がある。
 2 しかし、上告代理人が同日送達を受けた判決正本には、裁判官名の欄に、判
決言渡しに関与した裁判長裁判官渋川満、裁判官遠山和光及び裁判官岡本岳の記載
があって、裁判官河野正実の記載がない。また、右判決正本二一頁七行目「許され
ないもの」の次に「であり、また、調停における合意は、私法上の和解契約とは異
なり、裁判所が、民法六九六条の要件を備え、かつ、民法九五条の要素の錯誤が存
しないことを確認した上で、成立したものであるから、調停における合意について、
民法九五条の錯誤無効の主張をすることは許されないもの」との裁判所の判断を示
した記載があるが、右判決原本にはその記載がない。
 3 上告人らは、上告をした上、原判決には法律に従って判決裁判所を構成しな
かった違法があるとの趣旨を記載した上告理由書を提出したところ、原審は、改め
て、口頭弁論終結時に関与した三名の裁判官の記名のある判決正本を当事者双方に
送達した。
 三 1 前記のとおり、原裁判所に保存されている判決原本には、原審の口頭弁
論終結時に関与した三名の裁判官の署名押印があるから、右判決原本に基づいて判
決が言い渡され、裁判所書記官において判決正本を作成する際に、過誤を生じたも
のと見る余地もないわけではない。
 しかしながら、判決正本は、裁判所書記官が、その権限に基づき、裁判官から交
付された判決原本により作成するものであるところ、前記二2のとおり、当初上告
代理人に送達された判決正本には裁判官遠山和光の記載があるばかりでなく、その
内容においても裁判所の判断部分に右判決原本にはない記載があることにかんがみ
ると、これに相応する判決原本が存在していたのではないかとの疑いが残り、これ
を払拭することができない。
 そうすると、原判決がその基本となる口頭弁論に関与した裁判官によりされたこ
とが明らかであるとはいえないから、法律に従って判決裁判所を構成したというこ
とはできない。
 2 したがって、原判決には、旧民訴法三九五条一項一号所定の事由がある。こ
の点についての論旨は右の趣旨をいうものとして理由があり、その余の上告理由に
ついて判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。
 よって、本件を原審に差し戻すこととして、裁判官全員一致の意見で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    小   野   幹   雄
            裁判官    遠   藤   光   男
            裁判官    井   嶋   一   友
            裁判官    藤   井   正   雄
            裁判官    大   出   峻   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛