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平成26年7月16日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成26年(ワ)第11570号損害賠償請求事件
口頭弁論終結日平成26年6月18日
判決
東京都目黒区<以下略>
原告Aⅰ
東京都大田区<以下略>
被告株式会社リコー
同訴訟代理人弁護士田中昌利
同澤田将史
主文
1本件訴えを却下する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判(訴訟費用の負担及び仮執行宣言の申立てを除く。)
1原告
被告は,原告に対し,996万2200円及びこれに対する昭和56年6月
14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2被告
(1)本案前の答弁
主文第1項と同旨
(2)本案に対する答弁
原告の請求を棄却する。
第2当事者の主張
1原告の主張
別紙訴状及び別紙平成26年6月16日付け準備書面(各写し)のとおり。
2被告の主張
別紙答弁書(写し)のとおり。
第3当裁判所の判断
1前提となる事実
(1)原告は,次の実用新案権(以下「本件実用新案権」という。)の権利者
であった(甲2,3)。
登録番号第978602号
考案の名称カッター装置付きテープホルダー
出願日昭和41年6月13日
出願公告昭和47年1月22日
登録日昭和47年9月29日
満了日昭和56年6月13日
実用新案登録請求の範囲
「巻回テープ類を保持する本体1に固定刃2を有する引出口3を形成し,該
引出口3には固定刃2と共に,引出したテープT類を剪断する可動刃4を回
動自在に設けたカッター装置付テープホルダーにおいて,操作摘み9を有す
る可動刃4の緩挿軸8に幅裁断用切刃7を固着し,軸8と引出口3の間に一
対の案内ロール5,6を装架した構造」
(2)原告と被告間の訴訟の経緯等
ア昭和53年以降,原告は,被告に対し,被告の製造販売した複写機であ
る「リコーPPC900及びB・Aチェンジャー」,「リコーPPC90
0及びセンタースリッター」並びに「リコピーPL5000オート」につ
き,その製造販売が本件実用新案権を侵害すると主張して,多数回にわた
り,損害賠償請求又は不当利得返還請求の訴えを提起し,いずれも棄却な
いし却下されてきた(甲4,5,乙1~24(枝番があるものは枝番を含
む。以下同じ))。
イ平成13年訴訟
原告は,東京地方裁判所に対し,平成13年に,被告の製造販売する3
種類の製品(同訴訟のイ号~ハ号製品)の製造・販売が本件実用新案権を
侵害し,実施料相当額の損害を受けたと主張して,被告に対し,イ号製品
につき昭和47年3月から昭和56年6月13日までの間に被告が製造販
売した16万1100台のうち当初の7台に係る実施料相当額37万38
00円,ロ号製品につき昭和47年3月から昭和56年6月13日までの
間に被告が製造販売した9万1100台のうち当初の6台に係る実施料相
当額32万0400円,ハ号製品につき昭和47年2月から昭和56年6
月13日までの間に被告が製造販売した10万4700台のうち当初の5
台に係る実施料相当額130万円の合計199万4200円及び遅延損害
金の支払を求める訴訟(当庁平成13年(ワ)第11935号。以下「平
成13年訴訟」という。)を提起した。
当庁は,平成13年7月24日,平成13年訴訟は,請求棄却の判決が
確定した事件と同一の紛争を蒸し返すものであって,信義則に反し訴権の
濫用に当たるとして,訴えを却下する判決をした(乙25の1)。
原告は控訴するとともに,同訴訟のイ号~ハ号製品の表示を一部変更し
たが,東京高等裁判所は,平成13年10月30日,変更後のイ号~ハ号
製品は変更前のイ号~ハ号製品と同一であり,平成13年訴訟は訴権の濫
用に当たるとして控訴を棄却する判決をした(乙25の2)。
原告は上告したが,最高裁判所は,平成14年3月12日,原告の上告
を棄却する決定をした(乙25の3)。
ウ原告は,平成13年訴訟の後も,被告に対する損害賠償請求又は不当利
得返還請求の訴えを複数提起し,いずれも棄却ないし却下されてきた(甲
1,4,5,乙1,26~28)。
2本訴は,原告が,被告に対し,被告が製造販売する別紙訴状別紙「イ号侵害
物(「カッター装置付きテープホルダー」)目録」,「ロ号侵害物(「カッ
ター装置付きテープホルダー」)目録」,「ハ号侵害物(「カッター装置付き
テープホルダー」)目録」記載の各物件(以下「本件イ号製品」「本件ロ号製
品」「本件ハ号製品」という。)の製造販売が本件実用新案権を侵害し,実施
料相当額の損害を受けたと主張して,被告に対し,本件イ号製品につき昭和5
0年6月から昭和56年6月13日までの間に被告が製造販売した11万台の
うち当初の69台に係る実施料相当額368万4600円,本件ロ号製品につ
き昭和50年6月から昭和56年6月13日までの間に被告が製造販売した4
万台のうち当初の64台に係る実施料相当額341万7600円,本件ハ号製
品につき昭和50年6月から昭和56年6月13日までの間に被告が製造販売
した7万台のうち当初の11台に係る実施料相当額286万円の合計996万
2200円及びこれに対する侵害行為の後の日である昭和56年6月14日か
ら支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるもの
である。
3乙25及び弁論の全趣旨によれば,本件イ号~ハ号製品は,平成13年訴訟
で対象とされたイ号~ハ号製品と同一の製品であると認められる。
金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起する
ことは,特段の事情がない限り,信義則に反して許されないと解するのが相当
であり(最高裁判所平成10年6月12日判決・民集52巻4号1147頁),
その趣旨に照らせば,本件訴えは,平成13年訴訟と同一の紛争を蒸し返すも
のであり,信義則に反し,かつ,訴権の濫用に当たる不適法なものであること
が明らかである。
4よって,本件訴えを却下することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官
嶋末和秀
裁判官
鈴木千帆
裁判官
西村康夫

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