弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人吉永嘉吉の上告理由について。
 原判決が、訴外Dは上告人らの先代Eからその所有の本件土地を売却処分する権
限までは与えられていなかつたに拘わらず昭和九年六月二〇日Eの代理人として本
件土地を被上告人に売り渡し、被上告人はDに売却の代理権ありと信じて買い受け
る契約をした事実を認定した上、民法一一〇条を適用したのに対し、論旨は、原判
決が、Dが本人Eの実印を所持していた事実のみによつて被上告人において、Dに
代理権ありと信ずべき正当の理由があつたとしたのは違法であると主張する。しか
し、原判決は、Dのした本件売買契約につき表見代理の成立を認めるについて、単
に同人が本人Eの実印を所持行使した事実のみによつていわゆる正当の理由ありと
したのでなく(この点論旨は原判示を正解していない。)、その外に、Dの妻とE
の妻とは姉妹であり、DがE夫婦より信頼を受けEの渡米不在中、その委託により
原判示の如きその小作地その他の財産の管理権を有し、原判示抵当権設定の村山講
に対する債務その他の債務の整理、支払、納税など不在中のこと一切を処理してお
り、本件被上告人の小作地もDの管理するところであつたが、抵当債務弁済のため
有利に売却する必要があるとして売り渡したものであること、本件売買契約におい
ては、その前Dが最初Eから預かつていた同人の実印を紛失していたため同人が米
国から書面で改印届をなすよう依頼しこれに同封して実印を送付してきたので、改
印届の済んだこの実印を使つて本件売渡証(乙三号証)の売渡人E名下に押印して
被上告人との売買契約を締結したこと、右売却代金はすべて抵当債務の弁済に充当
することに予め抵当権者、D及び被上告人間に協定されその通り実行されたこと等
を認定判示し、被上告人はこれらの事情と右実印所持の事情とによつて、Dにおい
て売買の代理権あるものと信じた旨を判示した上、かく信じるにつき正当の理由が
あつたものと判示しているのであること判文上明瞭であるから、以上原判示の事実
関係からすれば、本件土地売買について被上告人はDがEを代理する権限があると
信ずるについて正当の理由があるということができる。従つて原判決がかく判断し
たことは正当であつて何ら違法でなく、論旨は理由がない。
 なお、論旨は、本件土地は原判示Fが多くの犠牲を払つて確保した土地であつて、
他に共同担保たる土地があつて抵当権の実行を恐れる必要なく、急速に売却する必
要なく、Eがこれを売却すべき筈なく、売却は甚だしく本人に不利に過ぎる等の事
実を主張し、かかる事実あるときは、被上告人としては、Dに売却代理権ありやに
ついて疑念を抱くべきであり、他の代理人Fにこれを確めなかつたのは過失である
から、正当の理由ありとした原判決は違法であると主張するけれども、これらの事
実は原判決の認定しないところであるから、これを前提とする論旨は採ることがで
きない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    小   林   俊   三
 裁判官河村又介、同本村善太郎は病気のため署名押印することができない。
         裁判長裁判官    垂   水   克   己

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛