弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
2被控訴人の請求をいずれも棄却する。
第2事案の概要
本件事案の概要は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」
中「第2事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。
原判決17頁1行目の「そして」の次に「行政処分が無効であるというた,
めには,当該処分に重大かつ明白な瑕疵が存在しなければならず,その瑕疵が
明白であるか否かは,処分の外形上,客観的に瑕疵が一見して看取し得るか否
かにより決せられるべきものであるところ」を加える。,
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,本件控訴に係る本件不認定処分及び本件退令処分の各取消し並
びに本件不許可処分の無効確認を求める被控訴人の本件請求は,いずれも理由
があるものと判断する。
その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第
3争点に対する判断」の本件請求に関する部分に記載のとおりであるから,
これを引用する。
原判決36頁5行目冒頭から38頁19行目末尾までを次のように改める。
「(1)まず,法務大臣が入管法61条の2により難民の認定を行う際には,申
請人が同法2条3号の2所定の難民に該当する場合,すなわち難民条約1条
又は難民議定書1条により難民条約の適用を受ける難民の要件を満たすもの
であるときは,必ず難民の認定をしなければならないのであり,その行政行
為に裁量の余地はないと解するのが相当である。そして,前記3,4(争点
(2))に認定説示のとおり,本件不認定処分当時,被控訴人が上記難民の要
件を満たすものであったことを前提とすれば,法務大臣は被控訴人を難民と
認定しなければならなかったのであるが,その要件該当性が客観的に明白で
あったといえない限り,本件不認定処分の違法の瑕疵が客観的に明白である
ということはできない。
(2)ところで,入管法61条の2の2は,在留資格未取得外国人に対し難民
の認定をする場合等における定住者の在留資格取得の許可又は在留特別許可
を行う法務大臣の権限について規定しているところ,その権限に関する手続
は入管法61条の2による難民の認定に係る処分とは別個に規定されている
のであるから,上記の権限に基づく処分は難民の認定に係る処分とは別個の
処分というべきである。
そこで検討するに,上記(1)のとおり,入管法上,法務大臣は被控訴人を
難民と認定しなければならなかったのであり,法務大臣の委任を受けた東京
入管局長は,被控訴人が難民と認定される場合であることを前提として,定
住者の在留資格取得の許可又は在留特別許可を行う法務大臣の権限を行使し
なければならなかったにもかかわらず,被控訴人の難民該当性を考慮せずに
その権限を行使した結果本件不許可処分を行ったのであるから,本件不許可
処分は法律の適用を誤ったものとして違法というべきである。そして,入管
法61条の2の2第1項は,難民の認定をする場合,一定の除外事由に該当
しない限り,必ず申請人に定住者の在留資格取得を許可するものと定めてお
り,その判断に裁量の余地はないと解されるところ,前記認定事実に照らせ
ば,被控訴人については同項1号を除き他に除外事由が存在しないことは明
らかである。また,入管法61条の2の2第2項は,難民の認定をするが定
住者の在留資格取得を許可しないときは,申請人について在留を特別に許可
すべき事情があるか否かを審査し,当該事情があると認めるときはその在留
を特別に許可するものと定めており,被控訴人について上記1項1号の除外
事由が存在するとしても,被控訴人が難民に該当することは在留を特別に許
可すべき事情として重大な考慮要素であるというべきである。そうすると,
被控訴人が難民の要件を満たすことを前提とすれば,被控訴人に対して定住
者の在留資格取得の許可又は在留特別許可がされた蓋然性が極めて高いもの
というべきであり,本件全証拠によっても上記のいずれかの許可を妨げるべ
き事情があると認めることはできない。それにもかかわらず上記のいずれの
許可もしなかった本件不許可処分は,被控訴人を迫害のおそれのあるミャン
マーに送還するものであって,被控訴人に回復不可能な損害を被らせる結果
を招来するものであり,上記入管法61条の2の2の規定のほか,我が国が
批准している難民条約及び拷問等禁止条約等の定める人道的配慮に明らかに
反するものというべきである。したがって,この観点から見れば,本件不許
可処分の瑕疵は,入管法の根幹についての重大な過誤であるとともに,被控
訴人が難民の要件を満たすことを前提とする限り,何人の判断によっても本
件不許可処分とは異なる結論に達し得る程度に明らかといえるから,その瑕
疵は客観的に明白であるというべきである。
以上によれば,本件不許可処分は無効というべきである。
(3)また,仮に本件不許可処分の瑕疵が客観的に明白であるといえないとし
ても,本件不許可処分に対する不服申立期間の経過による不可争的効果の発
生は取消事由たる瑕疵の範囲にとどまるところ,上記(2)のとおり,本件不
許可処分の瑕疵は入管法の根幹についての重大な過誤というべきであり,上
記不可争的効果の発生を理由に,難民に該当する被控訴人を迫害のおそれの
あるミャンマーに送還し,被控訴人に回復不可能な損害を被らせる結果を招
来するという不利益を甘受させることは,著しく不当と認められる例外的な
事情が存在するというべきであるから,上記の過誤に基づく本件不許可処分
は当然無効の瑕疵を有するものと解するのが相当である」。
2以上によれば,本件不認定処分及び本件退令処分の各取消し並びに本件不許
可処分の無効確認を求める本件請求はいずれも理由があるから認容すべきであ
り,これと同旨の原判決は相当である。
よって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとお
り判決する。
東京高等裁判所第22民事部
裁判長裁判官石川善則
裁判官菊池洋一
裁判官徳増誠一

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