弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
 原決定を破棄する。
       本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 抗告代理人赤尾直人の抗告理由について
 1 記録によれば,本件の経緯の概要は,次のとおりである。
 抗告人は,相手方に対し,抗告人が原々決定の別紙物件目録1及び2記載の各製
品(以下「本件製品」という。)の販売又は輸出をする行為は不正競争防止法2条
1項1号所定の不正競争に当たらないことを理由として,相手方が抗告人に対し本
件製品の販売又は輸出について不正競争防止法に基づく差止請求権を有しないこと
の確認を求める訴え(以下「本件訴え」という。)を,名古屋地方裁判所に提起し
た。
 抗告人は,抗告人が本件製品を名古屋港から輸出していることから,この地を管
轄する名古屋地方裁判所は,本件訴えにつき,民訴法5条9号により管轄権を有す
ると主張した。
 これに対し,相手方は,本件訴えについては,上記規定の適用はないから,同地
方裁判所は管轄権を有しない旨,仮に同地方裁判所が管轄権を有するとしても,訴
訟の著しい遅滞を避け,又は当事者の衡平を図るために移送する必要がある旨を主
張して,本件訴えに係る訴訟を,民訴法16条1項又は17条により,相手方の住
所地を管轄する大阪地方裁判所へ移送することを求める申立てをした。
 2 原審は,不法行為の効果として原状回復請求権又は差止請求権が発生するこ
とが一般に承認されていると解することは困難であり,本件における不正競争防止
法に基づく差止請求権についても,個別的な法律の規定に基づいて物権的請求権に
準ずるものとして認められているにとどまるから,本件訴えは,民訴法5条9号所
定の「不法行為に関する訴え」には当たらず,名古屋地方裁判所の管轄に属しない
旨を判示して,民訴法16条1項により,本件訴えに係る訴訟を大阪地方裁判所に
移送する旨の決定をした。
3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次の
とおりである。
 民訴法5条9号は,「不法行為に関する訴え」につき,当事者の立証の便宜等を
考慮して,「不法行為があった地」を管轄する裁判所に訴えを提起することを認め
ている。同号の規定の趣旨等にかんがみると,この「不法行為に関する訴え」の意
義については,民法所定の不法行為に基づく訴えに限られるものではなく,違法行
為により権利利益を侵害され,又は侵害されるおそれがある者が提起する侵害の停
止又は予防を求める差止請求に関する訴えをも含むものと解するのが相当である。
 そして,不正競争防止法は,他人の商品等表示として需要者の間に広く認識され
ているものと同一又は類似の商品等表示を使用するなどして他人の商品又は営業と
混同を生じさせる行為等の種々の類型の行為を「不正競争」として定義し(同法2
条1項),この「不正競争」によって営業上の利益を侵害され,又は侵害されるお
それがある者は,その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対
し,その侵害の停止又は予防を請求することができることを定めている(同法3条
1項)。
 民訴法5条9号の規定の上記意義に照らすと,【要旨】不正競争防止法3条1項
の規定に基づく不正競争による侵害の停止等の差止めを求める訴え及び差止請求権
の不存在確認を求める訴えは,いずれも民訴法5条9号所定の訴えに該当するもの
というべきである。
 そうすると,本件訴えは,同号所定の訴えに該当するというべきであるから,こ
れと異なる原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
論旨は,理由があり,原決定は破棄を免れない。そして,民訴法17条による移送
の可否等について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 島田仁郎 裁判官 横尾和子 裁判官 甲斐中辰夫 裁判官 泉
 徳治 裁判官 才口千晴)

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