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平成18年(行ケ)第10142号特許取消決定取消請求事件
口頭弁論終結日平成18年7月24日
判決
原告ポール・コーポレーション
訴訟代理人弁護士尾関孝彰
訴訟代理人弁理士城戸博兒
同黒木義樹
被告特許庁長官
中嶋誠
指定代理人阿部寛
同北川清伸
同岡田孝博
同小林和男
主文
1特許庁が異議2003-73828号事件について平成17年12月12日にした
決定を取り消す。
2訴訟費用は各自の負担とする。
事実及び理由
原告は,「1主文第1項と同旨。2訴訟費用は被告の負担とする。」との判
決を求め,請求の原因として別紙のとおり述べた。
被告は,請求棄却の判決を求め,請求原因事実は争わない,と述べた。
上記争いのない事実によれば,原告の本訴請求は理由があるから認容し,訴訟費
用については,本件訴訟の経緯にかんがみ,これを各自に負担させるのを相当と認
めて,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官中野哲弘
裁判官岡本岳
裁判官上田卓哉
(別紙)
請求の原因
1特許庁等における手続の経緯
(1)原告は,発明の名称を「通気システム」とする特許第3463297号(平成3年
5月24日出願,パリ条約による優先権主張1990年(平成2年)5月24日米国,平
成15年8月22日設定登録。請求項(以下「旧請求項」という。)1~16。以下「
本件特許」という。)の特許権者である。
(2)ところが,平成15年12月26日,本件特許につきテルモ株式会社から特許異議
の申立てがされ,この申立ては,異議2003-73828号事件として特許庁に係属
した。これに対し原告は,旧請求項1,5,10,11,15,16項を削除し,その
余の内容を訂正の上,請求項を繰り上げる訂正請求をしたが,特許庁は,同事
件につき審理の上,平成17年12月12日,別添「異議の決定」のとおり,「訂正
を認める。特許第3463297号の請求項1ないし10に係る特許を取り消す。」と
の決定(以下「本件決定」という。)をし,その決定謄本は平成17年12月27日
原告に送達された。
(3)原告は,平成18年4月3日,本件決定の取消しを求める本件訴訟を提起する
とともに,同日,特許庁に対し,本件特許の特許請求の範囲等について訂正審
判請求をした。その内容は,旧請求項1,2,5,10~16を削除した上,旧請
求項3等を訂正の上新しい請求項とするものであるが,特許庁は,この請求を
訂正2006-39045号事件として審理した上,平成18年6月30日,訂正を認める
旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その審決謄本は平成18年7
月12日原告に送達された。
2発明の内容
本件特許の設定登録時の特許請求の範囲は別紙1のとおりである。
一方,本件訂正審決に係る特許請求の範囲は,別紙2のとおりである。
3本件決定の取消事由
本件訂正審決により本件特許の特許請求の範囲が遡及的に変更されたことにな
り,本件決定が前提とする発明の要旨の認定は結果として誤りに帰したことにな
る。
4よって,原告は被告に対し,本件決定の取消しを求める。
(別紙1)特許請求の範囲(設定登録時のもの)
【請求項1】下記要素を含んでいることを特徴とする,血液または血液成分を処理するア
ッセンブリー:
入口と出口を備え,その入口と出口の間に流体流路が形成されているハウジングと,
該流体流路を横断する白血球除去媒体,とを含んでいる白血球除去フィルター装置,お
よび
バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えてい
る,前記白血球除去媒体より上流側に,この白血球除去媒体と流体連通させて設けた気
体入口。
【請求項2】前記気体入口と前記白血球除去フィルター装置との間に配置され,これら気
体入口および白血球除去フィルター装置と流体連通している導管,をさらに備えてい
る,請求項1記載のアッセンブリー。
【請求項3】前記白血球除去フィルター装置より下流側に設けた,バクテリアの通過を妨
害する孔径を持った気体を通過させるための膜を備えた気体出口,をさらに備えてい
る,請求項1または2記載のアッセンブリー。
【請求項4】前記気体出口と前記白血球除去フィルター装置との間に配置され,これら気
体出口および白血球除去フィルター装置と流体連通している第2の導管,をさらに備え
ている,請求項3記載のアッセンブリー。
【請求項5】前記白血球除去フィルター装置が気体出口を備え,この気体出口がバクテリ
アの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えている,請求項1
または2記載のアッセンブリー。
【請求項6】バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備
えている,前記白血球除去フィルター装置と流体連通している第2の気体入口をさらに
含んでいる,請求項1~5のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項7】前記気体入口が備える膜が疎液性(リクオフォービック)である,請求項1
~6のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項8】前記気体出口が備える膜が疎液性である,請求項3~7のいずれかに記載の
アッセンブリー。
【請求項9】前記気体出口がさらに親液性(リクオフィリック)の膜を備える,請求項8
記載のアッセンブリー。
【請求項10】閉鎖系内で使用するための,請求項1~9のいずれかに記載のアッセンブリ
ー。
【請求項11】血液または血液成分を,入口と出口を備え,その入口と出口の間に流体流路
が形成されているハウジングと,該流体流路を横断する白血球除去媒体,とを含んでい
る白血球除去フィルター装置に通し,そしてその後に気体を,前記白血球除去媒体より
上流側に設けた気体入口に流してフィルター装置内の血液または血液成分を回収するこ
とからなり,ここで該気体入口は,バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を
通過させるための膜を備えていることを特徴とする,血液または血液成分の処理方法。
【請求項12】前記気体入口が前記白血球除去媒体と流体連通している,請求項11記載の処
理方法。
【請求項13】血液または血液成分を,白血球除去フィルター装置の入口に接続された導管
を通して白血球除去フィルター装置に通すことを含み,前記ガス入口がこの導管とフィ
ルター装置とに連通している,請求項11または12記載の処理方法。
【請求項14】気体を,前記白血球除去フィルター装置より下流側に設けた気体出口を通過
させる工程をさらに含み,この気体出口が,バクテリアの通過を妨害する孔径を持っ
た,気体を通過させるための膜を備えている,請求項11~13のいずれかに記載の処理方
法。
【請求項15】前記白血球除去フィルター装置が,バクテリアの通過を妨害する孔径を持っ
た,気体を通過させるための膜を含んでいる気体出口を備え,該方法が気体をこの気体
出口に通す工程をさらに含んでいる,請求項11~13のいずれかに記載の処理方法。
【請求項16】閉鎖系内で実施される,請求項11~15のいずれかに記載の処理方法。
(別紙2)特許請求の範囲(本件訂正審決後のもの。訂正部分を下線で示す。)
【請求項1】供血された血液またはそれに由来する血液成分を処理するアッセンブリー
であって:
入口と出口を備え,その入口と出口の間に流体流路が形成されているハウジング
と,該流体流路を横断する白血球除去媒体,とを含んでいる白血球除去フィルター装
置,
バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を備えてい
る,前記白血球除去媒体より上流側に,この白血球除去媒体と流体連通させて設けた
気体入口,
前記白血球除去フィルター装置の前記出口に通じる第1の下流の導管,および
前記第1の下流の導管を適合する第1の脚部と,受容コンテナーに通じる第2の下
流の導管を適合する第2の脚部とを有する枝分かれ要素,を備え,
前記枝分かれ要素には,前記白血球除去フィルター装置より下流側に,バクテリア
の通過を妨害する孔径を持った気体を通過させるための膜を備えた,通気用気体出口
が,設けられている,ことを特徴とするアッセンブリー。
【請求項2】前記気体入口と前記白血球除去フィルター装置との間に配置され,これら
気体入口および白血球除去フィルター装置と流体連通している導管,をさらに備えて
いる,請求項1記載のアッセンブリー。
【請求項3】前記気体出口と前記白血球除去フィルター装置との間に配置され,これら
気体出口および白血球除去フィルター装置と流体連通している前記第1の下流の導
管,を備えている,請求項1または2記載のアッセンブリー。
【請求項4】バクテリアの通過を妨害する孔径を持った,気体を通過させるための膜を
備えている,前記白血球除去フィルター装置と流体連通している第2の気体入口をさ
らに含んでいる,請求項1~3のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項5】前記気体入口が備える膜が疎液性(リクオフォービック)である,請求項
1~4のいずれかに記載のアッセンブリー。
【請求項6】前記気体出口が備える膜が疎液性である,請求項1~5のいずれかに記載
のアッセンブリー。
【請求項7】前記気体出口がさらに親液性(リクオフィリック)の膜を備える,請求項
6記載のアッセンブリー。

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