弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。   
         理    由
 上告代理人村田浩の上告理由について
 一 原審の確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
 1 被上告人は、平成元年五月ころ、千葉県夷隅郡a町に「Eゴルフ場」(以下
「本件ゴルフ場」という。)を建設する計画を策定した。被上告人は、本件ゴルフ
場の建設費用を約二三六億円と想定していたが、そのうちの約三五億円は土地の取
得費用、約七〇億円はゴルフコースの工事費用、約九〇億円はクラブハウス等の設
備の工事費用であった。
 2 被上告人は、平成二年八月ころ、本件ゴルフ場の会員の募集を開始した。上
告人は、同年九月二八日、被上告人との間で、本件ゴルフ場の正会員となる本件入
会契約を締結し、同日、入会金二五〇万円、預託金二二五〇万円及び消費税七万五
〇〇〇円を被上告人に支払った。
 3 被上告人が本件ゴルフ場の会員の募集のために作成したパンフレットには、
「クラブハウス及びホテル概要」欄に、建築規模(地上四階地下一階等)のほか、
附帯施設〈ホテル〉として、「客室、レストラン(和食・洋食各一)、メインバー、
コーヒーショップ、メンバーズサロン、コンベンションホール、室内外プール、ア
スレチックジム、マージャンルーム」の記載があり、クラブハウス及びホテルの平
面図が掲載されていた。そして、右パンフレットにおいては、「南欧の高級リゾー
トを思わせる瀟洒な外観とゆったりとした客室。本物のクラブライフを知るゴルフ
ァーのための最高のホスピタリティーがここにある。」との見出しの下に、本件ゴ
ルフ場の特徴として、四八の客室のすべてが一八坪以上のロイヤルツインルームに
なっている高級ホテルが併設され、本件ゴルフ場において快適なリゾートライフを
体験できることが強調されていた。また、本件ゴルフ場の会則には、会員がゴルフ
コース及びこれに附帯する諸施設を利用する権利を有する旨の定めがある。
 4 被上告人は、資金調達の都合から、予定を変更してクラブハウスやホテルの
建設工事を第一期分と第二期分とに分けて行うことにし、第一期分として一一の客
室を備えたクラブハウスを建設し、第二期分として本格的ホテル、室内プールその
他の施設を建設することにしたが、上告人が本件入会契約を解除する旨の意思表示
をした平成七年一月二〇日の時点では、本件ゴルフ場はいまだオープンしていなか
った。被上告人は、第一期分の工事を完成させた上で同年四月二六日に本件ゴルフ
場をオープンさせたが、第二期分の工事については、基礎部分が施工されたのみで、
工事を続行するための具体的計画は立てられていない。
 二 本件は、上告人が、被上告人の債務不履行を理由に本件入会契約を解除した
として、被上告人に支払った入会金二五〇万円、預託金二二五〇万円及び消費税七
万五〇〇〇円の返還を求める事案であり、上告人は、高級ホテル、室内外プール、
アスレチックジム等の附帯施設を設置して会員の利用に供する債務を被上告人が履
行しなかったことを本件入会契約の解除事由として主張している。
 原審は、前記の事実関係の下において、次のとおり判示して、上告人の請求を棄
却した。すなわち、(一) 預託金会員制のゴルフクラブの会員の本質的な権利は
預託金返還請求権とゴルフ場の施設利用権であり、右の施設利用権とは一般の利用
者に比べて有利な条件で継続的にゴルフプレーを行うために当該ゴルフ場の施設を
利用する権利をいうと解されるから、ゴルフプレーを行うことと直接の関係のない
施設を提供することは、ゴルフクラブの入会契約の要素たる債務とはなり得ないと
解すべきである。(二) したがって、ゴルフプレーを行う本質的な権利が会員に
保障されている場合には、特段の事情がない限り、ゴルフプレーを行う上で必要不
可欠ではない施設の内容の変更や完成の遅延等を理由に会員が入会契約を解除する
ことは許されないと解するのが相当である。(三) 被上告人は、ゴルフコースの
ほか、クラブハウスを完成させ、その中に一定の格式を有した客室やレストランを
確保しており、右のクラブハウスはホテルの代替施設としての役割を果たしている
と認められ、本件ゴルフ場は会員のゴルフプレーのために必要な施設を一応備えて
いるというべきであるから、本件附帯施設が整備されていないことを理由に上告人
が本件入会契約を解除することは許されない。
 三 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次の
とおりである。
 1 【要旨】原審の認定したところによれば、被上告人が会員の募集のために作
成したパンフレットには、本件ゴルフ場に高級ホテルが建設されることが強調され
ていたというのであるから、上告人が、被上告人との本件ゴルフ場の入会契約を締
結するに当たり、右のパンフレットの記載を重視した可能性は十分あるものと解さ
れる。また、前記事実関係によれば、本件ゴルフ場の入会金及び預託金の額は前記
パンフレットに記載された本件ゴルフ場の特徴に相応して高額になっていたが、実
際に被上告人によって提供された施設はその規模や構造等において右のパンフレッ
トの記載には到底及ばず、このために上告人が本件入会契約を締結した目的を達成
できない可能性のあることがうかがわれる。これらの事実は、被上告人において前
記パンフレットに記載されたホテル等の施設を設置して会員の利用に供することが
本件入会契約上の債務の重要な部分を構成するか否かを判断するに当たって考慮さ
れる必要のある事実である。
 2 そうすると、右の事実の存否等についての審理を尽くさず、ゴルフプレーを
行うために必要不可欠ではない施設の完成の遅延を理由に会員が入会契約を解除す
ることは許されないとの見解に立って上告人の請求を棄却した原審の判断には、法
令の解釈適用を誤った違法があり、右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明
らかである。この趣旨をいう論旨は理由があり、その余の論旨について判断するま
でもなく、原判決は破棄を免れない。そこで、前記パンフレットに記載されたホテ
ル等の施設を設置して上告人らの利用に供することが本件入会契約上の債務の重要
な部分を構成するか否かなどについて更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差
し戻すこととする。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 元原利文 裁判官 千種秀夫 裁判官 金谷利廣 裁判官 奥田
昌道)

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