弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中金七万七千七百三十三円及びこれに対する昭和二八年九月一一
日から完済まで年五分の割合による遅延損害金の請求に関する部分を除きその余を
破棄する。
     第一審判決中前項の金員(遅延損害金を含む)を超えて金員の支払を命
じた部分を取消す。
     前項の部分につき被上告人の請求を棄却する。
     本件その余の上告を棄却する。
     訴訟の総費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人小原一雄の上告理由は本判決末尾添付の別紙記載のとおりであり、こ
れに対する当裁判所の判断は次のとおりである。
 右上告理由第一点は、原審が適法にした事実認定を争うに帰着し、また同第二点
は、原判決の確定した事実と相容れない事実を前提として判断遺脱を主張するもの
であつて、いずれも採用し得ない。
 右上告理由第三点について。
 被上告人は本訴において、上告人の不法行為により被上告人所有の戸棚二個飾戸
一個窓硝子五枚その他の物件を破壊されたため直接間接蒙つた損害の賠償を求め、
右戸棚を破壊されたことによる損害は内一個の価格金二千円他の一個の価格金一千
円合計金三千円に、飾戸を破壊されたことによる損害はその価格金二千円に、また
窓硝子を破壊されたことによる損害はその価格合計金三百五十円に、それぞれ相当
する旨主張したものであることは、原判決引用にかかる第一審判決事実摘示記載の
とおりである。
 しかるに、本件第一審判決は、前記戸棚破壊による損害は内一個の価格金二千円
他の一個の価格金一千二百円合計金三千二百円(被上告人の主張を超えること金二
百円)に、飾戸破壊による損害はその価格金二千五百円(被上告人の主張を超える
こと金五百円)に、窓硝子破壊による損害はその価格合計金五百円(被上告人の主
張を超えること金百五十円)に、それぞれ相当すると認定し、これら損害額とその
他の物件の破壊によつて生じたものと認めた損害額との総計金七万八千五百八十三
円及びこれに対する昭和二八年九月一一日から完済まで年五分の割合による遅延損
害金の支払を求める限度において被上告人の請求を認容しその余を棄却したもので
あり、原判決は第一審判決の右判断を正当として上告人の控訴を棄却したものであ
るから、いずれも被上告人の前記主張を超えて損害額を認定し上告人においてこれ
を賠償すべきものと判断した限度において法令の適用を誤つた違法があるものとい
わなければならない。
 それ故、原判決は、被上告人の請求中金七万七千七百三十三円及びこれに対する
昭和二八年九月一一日から完済まで年五分の割合による遅延損害金の請求を超える
部分につき、破棄を免れない。そうして、右破棄部分については、被上告人の主張
を超えて認定された事実を除き原判決確定の事実にもとづき直ちに判決をすること
ができるから、第一審判決中右金員(遅延損害金を含む)を超えて金員の支払を命
じた部分を取消し、この部分につき被上告人の請求を棄却すべきものである。
 第三点中その余の論旨は、原審の適法にした事実認定を争うに帰するものであつ
て、とることを得ない。
 よつて、民訴四〇八条一号、九六条、九二条但書に従い、裁判官全員一致の意見
で主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    垂   水   克   己

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