弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は、控訴人の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求める裁判
一 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が控訴人に対し、
(一) 平成元年三月一〇日付けでした昭和六〇年分ないし昭和六二年分の各所得
税の更正及び過少申告加算税賦課決定、
(二) 平成元年四月一二日付けでした昭和六三年分の所得税の更正及び過少申告
加算税賦課決定(ただし、平成元年六月二七日付け減額更正後のもの)
をいずれも取り消す。
3 訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。
二 控訴の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第二 当事者の主張及び証拠関係
当事者の主張及び証拠関係は、次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決の
事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決四枚目表八行目の「準ずる方法」の次に「(以下単に「総平均法」とい
う。)」を、同行目の末尾に「株式を最初に取得した時(その後既に株式の売却を
している場合には、直前の売却の時)から売却の時までの期間を基礎として、」を
加える。
二 同七枚目裏八行目の次に改行して次のとおり加える。
「なお、被控訴人は、控訴人が増資により取得した東京電力株、東北電力株及び関
西電力株を含めて所得を計算し、取得原価は推計によったが、現実の取得株価を上
回る。」
三 同八枚目表九行目の「を対象」を削る。
四 同一一枚目裏四行目の次に改行して次のとおり加える。
「そこで、所得税法の規定に基づき、控訴人の所得(原判決別表1の6)につき、
納付すべき所得税額の計算をすると、別表のとおりとなり、本件更正に係る所得税
額(原判決別表1の4)を上回るから、本件更正は適法である。」
五 同一二枚目表二行目の「五の」を「五を」に改める。
六 同裏三行目の末尾に「同一銘柄につき、」を加え、同四行目の「売買」を「売
却」に改める。
七 同一三枚目表七行目の末尾に「投資者の保護に資する証券取引法の目的と抵触
し、」を加える。
八 同裏三行目の次に改行して次のとおり加える。
「被控訴人は、控訴人が増資により取得した東京電力株、東北電力株及び関西電力
株を含めて所得を計算し、取得原価は現実の取得株価によるべきである。」
九 同一五枚目表七行目の「本件記録」の次に「(当審分を含む。)」を加える。
○ 理由
一 当裁判所も、本件処分は適法であり、控訴人の本訴請求は理由がないからこれ
を棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原
判決の理由説示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決二二枚目裏六行目の「乙第一九号証」の次に「及び第三六号証(右乙号
各証における昭和四八年九月三〇日(日曜日)の欄には、東京建物株、東京電力
株、東北電力株及び関西電力株の株価の記載があるが、右の推計による取得原価を
記したものであって、同日株式取引があったことを示すものではない。)」を、同
九行目の「乙第二〇号証」の次に「及び第三七号証」を加え、同二行目の次に改行
して次のとおり加える。
「なお、右事実並びに成立に争いのない乙第二七号証の二、三、第三二号証の二及
び第三五号証の二、三によれば、被控訴人は、控訴人が増資により取得した東京電
力株、東北電力株及び関西電力株(それぞれ一二二二株、七一〇株及び八九二株)
を含めて所得を計算し、取得原価(それぞれ八五万四五二〇円、四六万三二九六円
及び六四万七九八四円)は推計によったが(原判決別表3)、現実の取得株価(そ
れぞれ五五万五〇〇〇円、三五万五〇〇〇円及び三八万六五〇〇円)を上回ること
が認められる。」
2 同二三枚目表三行目及び同六行目の「乙第二〇号証」の次に「及び第三七号
証」を加える。
3 同裏一〇行目の「争いがないから、」の次に「所得税法の規定に基づき、控訴
人の所得(原判決別表1の6)につき、納付すべき所得税額の計算をすると、別表
のとおりとなり(所得控除の金額及び源泉徴収税額は、成立に争いのない乙第一、
第三、第五及び第八号証によって認められる。)、本件更正に係る所得税額(原判
決別表1の4)を上回る。」を加える。
4 同二四枚目表五行目の「定めが」の次に「投資者の保護に資する証券取引法の
目的と抵触し、」を、同一〇行目の「方法」の次に「(総平均法は、個別に取得原
価を算出するものではないが、企業会計処理上の合理性が一般に認められ、利益操
作を排除し、取得単価を平均化する合理的な方法である。)」を加え、同行目の
「個人の財産的権利」を「証券取引法の目的と抵触し、個人の財産的権利及び生存
権」に改める。
5 同裏五行目の次に改行して次のとおり加える。
「控訴人は、株式売却による取得は、同一銘柄につき、年間平均売却株価に売却株
数を乗じて得た価額から、年間平均取得株価に売却株数を乗じて得た価額を控除し
て算定すべきであり、右価額が売却株式の取得原価であると主張すると解される
が、年間平均取得株価は、取得株式につき算定するものであって、売却株式に係る
ものではないから、これに売却株数を乗じることにより売却株式の取得原価を算出
することはできず、また、売却株式の取得のために通常要する価額を求めることも
できない。右主張を採用することはできない。」
二 よって、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを
棄却し、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を
適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 大前和俊 三代川俊一郎 伊藤茂夫)
別表(省略)

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