弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     一、 本件控訴および附帯控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。
     控訴人(附帯被控訴人)は被控訴人(附帯控訴人)に対し、別紙第二目
録記載の建物を収去して、別紙第一目録記載の土地を明け渡し、かつ、昭和三一年
四月二日から右明渡しずみに至るまで一ヶ月金七、七六五円の割合による金員を支
払え。
     被控訴人(附帯控訴人)その余の請求を棄却する。
     二、 引受参加人は被控訴人に対し、別紙第二目録記載の建物より退去
して、別紙第一目録記載の土地を明け渡せ。
     被控訴人その余の請求を棄却する。
     三、 訴訟費用は、第一審の分については控訴人(附帯被控訴人)の負
担とし、第二審の分については控訴人(附帯被控訴人)および引受参加人の連帯負
担とする。
         事    実
 (当事者の求めた裁判)
 一、 被控訴人(附帯控訴人)
 (一) 本件控訴を棄却する。
 (二) 附帯控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。
 (1) 附帯被控訴人(控訴人)は附帯控訴人(被控訴人)に対し、別紙第二目
録記載の建物を収去して、別紙第一目録記載の土地を明け渡し、かつ、昭和三年四
月二日から右明渡しずみに至るまで一ヶ月金一万三、七六五円の割合による金員を
支払え。
 (2) 右(1)が認容されないときは、附帯被控訴人(控訴人)は附帯控訴人
(被控訴人)に対し、別紙第二目録記載の建物を明け渡し、同建物につき昭和三八
年七月二三日付売買を原因とする所有権移転登記手続をなし、かつ、金一、〇一五
万二、五四〇円および昭和四八年五月一日から右明渡しずみに至るまで一ケ月金一
二万一、一八二円の割合による金員を支払え(当審で追加した予備的請求)。
 (三) 当審での引受参加人に対する請求
 (1) 引受参加人は被控訴人に対し、別紙第二目録記載の建物より退去して、
別紙第一目録記載の土地を明け渡し、かつ、昭和三五年四月二三日より右明渡しず
みに至るまで一ヶ月金一万三、七六五円の割合による金員を支払え。
 (2) 右(1)が認容されないときは、引受参加人は被控訴人に対し、別紙第
二目録記載の建物を収去して、別紙第一目録記載の土地を明け渡し、かつ、昭和三
五年四月二三日より右明渡しずみに至るまで一ケ月金一万三、七六五円の割合によ
る金員を支払え。
 (3) 右(2)が認容されないときは、引受参加人は被控訴人に対し、別紙第
二目録記載の建物を明け渡し、かつ、金一、二〇〇万三、四四〇円および昭和四八
年五月一日より右明渡しずみに至るまで一ヶ月金一二万一、一八二円の割合による
金員を支払え。
 (四) 訴訟費用は第一、二審とも控訴人および引受参加人の負担とする。
 (五) 仮執行の宣言
 二、 控訴人(附帯被控訴人)
 (一) 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。
 被控訴人の請求を棄却ずる。
 (二) 被控訴人(附帯控訴人)の附帯控訴を棄却する。
 (三) 附帯控訴費用および附帯控訴費用を除く第一、二審の訴訟費用は被控訴
人(附帯控訴人)の負担とする。
 三、 引受参加人
 被控訴人の請求を棄却する。
 (被控訴人の陳述)
 一、 被控訴人の請求原因
 (一) 控訴人および引受参加人に対する第一次的請求原因
 被控訴人は別紙第一目録記載の土地(以下本件土地という。)を所有するもので
あるが、控訴人は昭和三一年四月二日以降別紙第二目録記載の建物(以下本件建物
という)を所有して、引受参加人は昭和三五年四月二二日以降本件建物を占有使用
して、それぞれ本件土地を正権原なく不法に占有している。その結果、控訴人およ
び引受参加人は被控訴人の本件土地に対する使用収益を不法に妨げ、被控訴人に対
し相当賃料と同額の損害を蒙らせている。ところで本件土地の昭和三一年四月二日
以降の相当賃料額は一ケ月金一万三、七六五円であるから、控訴人および引受参加
人はそれぞれ被控訴人に対し、同額の損害を賠償すべき義務がある。よつて、被控
訴人は、所有権に基づき、控訴人に対しては本件建物を収去して、引受参加人に対
しては本件建物から退去して、それぞれ本件土地を明け渡すべきことを求めるとと
もに、控訴人に対しては昭和三一年四月二日から、引受参加人に対しては昭和三五
年四月二三日から、それぞれ本件土地明渡しずみに至るまで一ケ月金一万三、七六
五円の割合による相当賃料額と同額の損害金の支払いを求める。
 (二) 引受参加人に対する第二次的請求原因
 引受参加人は昭和三五年四月二二日から本件建物を占有使用しているが、仮に引
受参加人が同日控訴人から本件建物の所有権の譲渡を受けて本件建物に入居して占
有しているのであれば、引受参加人は同日以降本件建物を所有して正権原なく本件
土地を不法に占有して、被控訴人の本件土地に対する使用収益を妨げ、被控訴人に
対し相当賃料と同額の損害を蒙らせている。よつて、被控訴人は、所有権に基づ
き、引受参加人に対し、本件建物を収去して本件土地を明け渡すべきことを求める
とともに、昭和三五年四月二三日から本件土地明渡しずみに至るまで一ケ月金一万
三、七六五円の割合による前記相当賃料額と同額の損害金の支払いを求める。
 (三) 控訴人に対する第二次的請求原因および引受参加人に対する第三次的請
求原因
 控訴人は、原審における昭和三八年七月二三日の口頭弁論期日において、借地法
第一〇条に基づき、本件建物の買取請求権を行使したが、仮に控訴人がなした本件
建物の買取請求権の行使が認容されるときは、被控訴人は、その買取請求権の行使
のあつた昭和三八年七月二三日、本件建物を時価金一八五万〇、九〇〇円で控訴人
から買い受けその所有権を取得したことになるが、控訴人および引受参加人は同日
以降正権原なく本件建物を不法に占有して被控訴人の本件建物に対する使用収益を
妨げ、被控訴人に対し相当賃料と同額の損害を蒙らせているから、控訴人は被控訴
人に対し、本件建物につき昭和三八年七月二三日付売買を原因とする所有権移転登
記手続をなすべき義務があるとともに、控訴人および引受参加人は被控訴人に対
し、それぞれ本件建物を明け渡し、かつ、昭和三八年七月二三日から右明渡しずみ
に至るまで相当賃料と同額の損害金を賠償すべき義務がある。ところで本件建物の
相当賃料月額は、(1)昭和三八年七月二三日から昭和四〇年三月三一日までは金
八万八、一二二円(合計金一六七万四、三一八円)、(2)昭和四〇年四月一日か
ら昭和四二年三月三一日までは金九万三、六四二円(合計金二二四万七、四〇八
円)、(3)昭和四二年四月一日から昭和四四年三月三一日までは金一〇万二、三
五二円(合計金二四五万六、四四八円)、(4)昭和四四年四月一日から昭和四六
年三月三一日までは金一〇万八、一五九円(合計金二五九万五、七一六円)、
(5)昭和四六年四月一日から昭和四八年四月三〇日までは金一二万一、一八二円
(合計金三〇二万九、五五〇円)であり(以上合計金一、二〇〇万三、四四〇
円)、昭和四八年五月一日以降も金一二万一、一八二円である。したがつて、控訴
人および引受参加人は被控訴人に対し、それぞれ右金一、二〇〇万三、四四〇円お
よび昭和四八年五月一日から本件建物の明渡しずみに至るまで一ヶ月金一二万一、
一八二円の割合による相当賃料と同額の損害金を支払うべき義務があるわけである
が、被控訴人は控訴人に対し、本件建物の前記買取価額金一八五万〇、九〇〇円を
支払うべき義務があるから、右金一、二〇〇万三、四四〇円と右買取価額金一八五
万〇、九〇〇円を対当額において相殺すると、控訴人が被控訴人に対して支払うべ
き昭和四八年四月三〇日までの賃料相当の損害金は金一、〇一五万二、五四〇円と
なるので、被控訴人に対し、控訴人は金一、〇一五万二、五四〇円および昭和四八
年五月一日から本件建物明渡しずみに至るまで一ケ月金一二万一、一八二円の割合
による賃料相当の損害金を支払うべき義務があり、引受参加人は金一、二〇〇万
三、四四〇円および昭和四八年五月一日から本件建物明渡しずみに至るまで一ヶ月
金一二万一、一八二円の割合による賃料相当の損害金を支払うべき義務がある。よ
つて、被控訴人は、控訴人に対しては本件建物につき昭和三八年七月二三日付売買
を原因とする所有権移転登記手続を求めるとともに、控訴人および引受参加人に対
しては本件建物の明渡しを求め、かつ控訴人については金一、〇一五万二、五四〇
円および昭和四八年五月一日から本件建物明渡しずみまで一ケ月金一二万一、一八
二円の割合による、引受参加人については金一、二〇〇万三、四四〇円および昭和
四八年五月一日から本件建物明渡しずみまで一ケ月金一二万一、一八二円の割合に
よる各賃料相当の損害金の支払いを求める。
 二、 控訴人および引受参加人の抗弁について
 (一) 控訴人および引受参加人の抗弁事実中、訴外関西土地建物株式会社(以
下訴外会社という)が被控訴人より昭和二九年七月一日から本件土地を賃借して本
件土地上に本件建物を所有していたこと、控訴人が訴外会社から本件建物の所有権
を取得し、昭和三一年四月二日所有権移転登記を経由したこと、控訴人が被控訴人
に対し、原審における昭和三八年七月二三日の口頭弁論期日において、本件建物の
買取請求権を行使したこと自体は認めるが、その余の事実はすべて否認する。
 (二) 控訴人が訴外会社から本件建物の所有権を取得したのは、その所有権移
転登記を経由した昭和三一年四月二日であり、そのとき控訴人が訴外会社から本件
土地賃借権の譲渡を受けたとしても、そのとき既に被控訴人と訴外会社との間の本
件土地についての賃貸借契約は昭和三一年三月二〇日をもつて合意解除されていた
ものであつて、本件土地賃借権は消滅していたのであるから、控訴人は本件土地賃
借権を取得することはないし、借地法第一〇条に基づく本件建物の買取請求権も取
得することはない。
 (三) 控訴人は被控訴人が本件土地賃借権の譲渡について賃貸人として承諾し
ないのは権利の濫用であると主張するが、被控訴人と訴外会社との間の本件土地に
ついての賃貸借契約は昭和三一年三月二〇日合意解除されたものであつて、その後
被控訴人と訴外会社との間には本件土地について何らの賃貸借契約も存在しないも
のである。もつとも、その後控訴人より本件土地について賃貸借の申出があり、被
控訴人との間において本件土地に対する新らたな賃貸借契約の締結について若干の
折衝があつたものの、妥結に至らなかつたもので、ことに被控訴人の要求した条件
は本件土地の地理的条件からみて決して無理な要求ではないのであるから、これを
目して賃貸借の不承諾が権利の濫用であるとはいえない。
 (四) 仮に控訴人の本件建物の買取請求権の行使が是認されるとしても、本件
建物は神戸市の神戸復興特別都市計画事業の施行により一部を除却されたものであ
るが(昭和三八年七月三日一部除却に着手し、同年九月一六日一部除却を完成し
た)、控訴人が本件建物の買取請求権を行使したのは同年七月二三日であるから、
たとえ買取請求権の行使が一部除却完成前であつても、既に一部除却に着手してい
る以上、その価額評価は一部除却完成当時のものによるべきである。したがつて、
本件建物が一部除却されない状態での価格評価を根拠として、本件建物の時価が金
八〇〇万円を下らないとする控訴人の主張は失当である。
 (五) 引受参加人が控訴人から本件建物を賃借したとしても、控訴人は何らの
正権原なく本件土地上に本件建物を所有して本件土地を占有しているものであるか
ら、引受参加人は本件土地所有者である被控訴人に対し右賃借権をもつて対抗する
ことができない。すなわち、控訴人は被控訴人に対し本件建物を収去して本件土地
を明け渡すべき義務がある以上、引受参加人も控訴人の右義務の反射的効果とし
て、本件建物について賃借権を有すると否とにかかわらず、被控訴人に対し本件建
物から退去して本件土地を明け渡すべき義務がある。そして、仮に控訴人が被控訴
人に対し、借地法第一〇条に則り有効に本件建物の買取請求権が行使され、被控訴
人が本件建物の所有権を取得したとしても、引受参加人は本件建物を所有の意思に
もとづいて占有しているものであつて、控訴人の占有と同列に置かれるものである
から、控訴人が本件建物を明け渡す義務があると同様に引受参加人も本件建物を明
け渡すべき義務がある。
 (六) 引受参加人は、民法第二九五条第一項の適用により、留置権に基づいて
本件建物の明渡し、ひいては本件土地の明渡しについても、これを拒絶し得ると主
張するが、引受参加人は控訴人が本件土地について賃借権を有するかどうかの確認
もせず、被控訴人に無断で本件建物を買い受けたものであるから、引受参加人の本
件建物の占有は被控訴人に対する関係では不法であつて、民法第二九五条第二項に
より、引受参加人の主張する留置権は被控訴人に対しては主張し得ない。仮に引受
参加人の主張する留置権が認められるとしても、控訴人の本件建物の買取請求権が
否定される場合にあつては、引受参加人の留置権は控訴人に対する関係に限られる
べきであつて、被控訴人との関係においては、引受参加人が本件建物を留置するこ
とは許されない。けだし、引受参加人の本件建物に対する留置権の反射的効果とし
て、控訴人の本件土地の不法占有を容認するような結果は許されないからである。
そして、控訴人の本件建物の買取請求権が認められる場合にあつても、引受参加人
の主張する控訴人に対する債権は被控訴人の全く関知しないものであり、かかる無
関係の債権に基因する留置権によつて、被控訴人の取得した本件建物の明渡しが妨
げられることは、極めて不合理であるから、かかる留置権の行使は権利の濫用とし
て許されない。
 (控訴人の陳述)
 一、 被控訴人の請求原因について
 (一) 被控訴人主張の第一次的請求原因事実中、被控訴人が本件土地を所有し
ていること、控訴人が昭和三一年四月二日以降本件建物を所有、引受参加人が昭和
三五年四月二二日以降本件建物を占有使用して、それぞれ本件土地を占有している
ことは認めるが、その余の事実はすべて否認する。本件土地の相当賃料月額は、本
件土地が三一坪六勺であつて、その一坪当りの相当賃料月額は金二五〇円であるか
ら、これにより計算すると、金七、七六五円でなければならない。被控訴人主張の
本件土地の相当賃料月額金一万三、七六五円は、本件土地が五五坪六勺であるとし
て、これに一坪当りの相当賃料月額である右金二五〇円を乗じて算出したものであ
るから、失当である。
 (二) 被控訴人主張の第二次的請求原因事実中、控訴人が原審における昭和三
八年七月二三日の口頭弁論期日において本件建物の買取請求権を行使したことは認
めるが、その余の事実はすべて否認する。
 二、 抗弁
 (一) 控訴人は被控訴人に対して対抗することのできる本件土地賃借権に基づ
き本件建物を所有して本件土地を占有しているものである。
 (1) 訴外関西土地建物株式会社(以下訴外会社という。)は被控訴人より昭
和二九年七月一日から本件土地を賃借して、本件土地上に本件建物を所有していた
ところ、控訴人は本件建物の所有権を昭和三〇年一月九日訴外会社から代物弁済に
より取得し、昭和三一年四月二日所有権移転登記を経由したものであるが、控訴人
は昭和三〇年一月九日訴外会社から本件建物の所有権を取得すると同時に本件土地
賃借権の譲渡を受け、かつ、これについて被控訴人の承諾を得た。
 (2) 仮に本件土地賃借権譲渡について被控訴人の承諾がなかつたとしても、
被控訴人が控訴人に対し、控訴人において訴外会社から本件土地の賃借権の譲渡を
受けるについて、賃貸人として承諾しないのは権利の濫用である。すなわち、控訴
人が訴外会社から本件建物について所有権移転登記を受けたころ、被控訴人は訴外
会社から本件土地に対する延滞賃料の支払いを受けたのであるが、被控訴人は、訴
外会社が被控訴人に支払つた右延滞賃料は訴外会社が控訴人に本件建物および本件
土地賃借権を処分して得た代価であることを知つていた。しかるに被控訴人は、本
件土地がもと五五坪六勺であつたが都市計画により減歩となつて三一坪六勺となつ
ていたことを知りながら、この事実を隠蔽して、控訴人に対し本件土地賃借権譲渡
の承諾料として約三〇〇万円(本件土地を五五坪六勺として一坪当り金五万円)と
いう過大な要求をしたため、控訴人はれに応じられず、被控訴人は控訴人に対する
賃借権譲渡の承諾を拒否するに至つた。右のように賃貸人が賃借権の譲受人の土地
使用そのものには異存がないのにかかわらず、単に賃借権の譲受人に対し、賃借権
譲渡の承諾の対価を要求して拒絶されたことを理由として、賃借権譲渡の承諾をし
ないことは権利の濫用である。
 (3) 仮に右(1)(2)の主張が認められないとしても、控訴人と被控訴人
との間において、本件土地について本件建物所有を目的とする賃貸借契約が締結さ
れた。
 (イ) 控訴人が本件建物について昭和三一年四月二日所有権移転登記を経由す
るに当り、控訴人および被控訴人間において、本件土地について本件建物所有を目
的とする賃貸借契約が締結された。
 (ロ) 被控訴人が控訴人を相手方として昭和三二年五月本件土地の明渡しにつ
いて神戸簡易裁判所に調停を申し立て、同庁昭和三二年(ユ)第一四六号調停事件
として係属中、控訴人および被控訴人間において、本件土地について本件建物所有
を目的とする賃貸借契約が締結された。
 (二) 仮に右(一)の抗弁が認められないとしても、右調停係属中、控訴人と
被控訴人との間において、双方協力して本件土地建物を一括して他に売却する旨の
合意が成立したから、このときに被控訴人は控訴人に対し、本件建物の収去請求権
および本件土地の明渡請求権を放棄したものである。
 (三) 仮に以上の抗弁が認められないとしても、控訴人は借地法第一〇条によ
り被控訴人に対し、原審における昭和三八年七月二三日の口頭弁論期日において、
本件建物の買取請求権を行使した。本件建物の当時の価格(時価)は金八〇〇万円
を下らないのであつて、右金員の支払いと本件建物の引渡し、所有権移転登記手続
とは同時履行の関係にあり、かつ、右金員の支払いを受けるまで本件建物の留置権
を有するから、控訴人は被控訴人から右金員の支払いを受けるまで、本件建物の所
有権移転登記手続および本件建物の引渡し、したがつて本件土地の明渡しを拒むこ
とができる。被控訴人は、控訴人が本件建物の買取請求権を行使した昭和三八年七
月三二日当時、本件建物は神戸市の神戸復興特別都市計画事業の施行により既に一
部除却されていたから、本件建物の時価は一部除却された状態での本件建物の評価
によるべきである旨主張するが、本件建物の一部除却に着手したのは同年八月一九
日であつて、控訴人が本件建物の買取請求権を行使した当時には、いまだ一部除却
はされていなかつたのであるから、本件建物の評価は一部除却される以前の状態で
なされるべきであり、その評価にしたがえば、本件建物の時価は約八〇〇万円を下
らない。
 (引受参加人の陳述)
 一、 被控訴人の請求原因について
 (一) 被控訴人主張の第一次的請求原因事実中、被控訴人が本件土地を所有し
ていること、控訴人が昭和三一年四月二日以降本件建物を所有し、引受参加人が昭
和三五年四月二二日以降本件建物を占有使用して、それぞれ本件土地を占有してい
ることは認めるが、その余の事実はすべて否認する。
 (二) 被控訴人主張の第二次的請求原因事実中、引受参加人が本件建物を昭和
三五年四月二二日以降占有していることは認めるが、その余の事実はすべて否認す
る。引受参加人は昭和三五年四月二二日控訴人から本件建物を賃借したものであつ
て、本件建物を控訴人から買い受け、その所有権を取得したものではない。
 すなわち、引受参加人は控訴人との間において、昭和三五年四月二二日、本件建
物を代金四三〇万円で買い受けることとし、うち金四〇〇万円は即時に支払い、つ
いで残金三〇万円の支払いも了したが、その際、控訴人が被控訴人から本件土地を
買い取りこれを引受参加人に転売し、もし本件土地の買取りができないときは、控
訴人において被控訴人から本件土地貸借権譲渡の承諾を得たうえで、本件土地賃借
権を引受参加人に譲渡すること、万一控訴人においてこれが履行できないときは、
当然売買契約は解除となり、当初より本件建物の賃貸借契約がなされたものとみな
し、相当賃料については協定する旨の合意が成立したが、控訴人は本件土地の買い
取り等右約旨に基づく履行ができなかつたので、結局、右売買契約は当然解除とな
り、引受参加人は右約旨にもとづき当初から本件建物を控訴人から賃借するに至つ
たものである。
 (三) 被控訴人主張の第三次的請求原因事実中、控訴人が原審における昭和三
八年七月二三日の口頭弁論期日において本件建物について買取請求権を行使したこ
と、引受参加人が本件建物を昭和三八年七月二三日以降占有していることは認める
が、その余の事実はすべて否認する。
 二、 抗弁
 (一) 訴外会社は、被控訴人より昭和二九年七月一日から本件土地を賃借し
て、本件土地に本件建物を所有していたところ、控訴人は、本件建物の所有権を訴
外会社から取得し、昭和三一年四月二日所有権移転登記を経由したものであるが、
控訴人は、被控訴人の承諾を得て訴外会社から本件土地賃借権の譲渡を受け、右賃
借権にもとづいて本件建物を所有して本件土地を占有しているものであつて、引受
参加人は控訴人より昭和三五年四月二二日本件建物を賃借しているものであり、引
受参加人の本件建物の占有は右賃借権にもとづくものである。
 (二) 仮に控訴人が訴外会社から本件土地賃借権の譲渡を受けるについて、被
控訴人の承諾がなかつたとしても、控訴人は、原審における昭和三八年七月二三日
の口頭弁論期日において、本件建物について買取請求権を行使しているから、この
とき本件建物の所有権は被控訴人に帰属すべきところ、引受参加人はそれより以前
である昭和三五年四月二二日控訴人より本件建物を賃借しているから、右賃借権を
もつて被控訴人に対抗し得る。
 (三) 仮に右賃借権の抗弁が認められないとしても、引受参加人は留置権によ
り被控訴人の請求を拒絶し得る。すなわち、引受参加人と控訴人との間において昭
和三五年四月二二日本件建物について成立した前記売売契約は控訴人の債務不履行
によつて当然解除となり、引受参加人は控訴人に対し金四三〇万円の返還請求権を
有するから、引受参加人は民法第二九五条第一項により右金員の返還を受けるまで
本件建物を留置する権利を有する。そして、本件建物のみを留置することは無意味
であるから、本件建物の留置権の反射的効果として本件土地の明渡しを拒絶し得
る。被控訴人は、引受参加人の本件建物の占有は不法行為によつて始つたものであ
るから、民法第二九五条第二項により、引受参加人が本件建物について留置権を取
得することはないと主張するが、引受参加人の本件建物に対する占有は、引受参加
人と控訴人との間の前記のような賃貸借契約によるものであるから、不法行為によ
つて始つた占有ではない。被控訴人は、また、引受参加人の主張する控訴人に対す
る債権については、全く関知していなかつた旨主張するが、控訴人のなした本件建
物の買取請求権の行使によつて本件建物の所有権を取得した被控訴人が、民法第二
九五条第一項による留置権の存在ないし留置権によつて担保される債権の存在を知
らなかつたとしても、民法第二九五条第一項の適用が排除されることはない。
 (証拠関係)(省略)
         理    由
 一、 被控訴人が本件土地を所有していること、控訴人が昭和三一年四月二日以
降本件建物を所有し、引受参加人が昭和三五年四月二二日以降本件建物を占有使用
して、それぞれ本件土地を占有していることは、いずれも当事者間に争いがない。
 二、 控訴人は、控訴人が被控訴人に対して対抗することのできる本件土地賃借
権に基づき本件建物を所有して本件土地を占有している旨主張し、引受参加人も控
訴人の右抗弁を援用するので検討する。
 (一) 被控訴人が訴外関西土地建物株式会社(以下訴外会社という)に対し、
昭和二九年七月一日より本件土地を賃貸し、訴外会社が本件土地上に本件建物を所
有していたこと、控訴人が訴外会社から本件建物の所有権を取得して昭和三一年四
月二日所有権移転登記を経由したことは当事者間に争いがない。そして、成立に争
いのない甲第九号証、原審証人A、同Bの各証言によれば、訴外会社は、昭和二九
年一一月八日、本件建物土に訴外Cのために債権額金二五〇万円(弁済期昭和三〇
年一月八日)の抵当権を設定するとともに、代物弁済予約をなし、昭和二九年一一
月一〇日、抵当権設定登記および所有権移転請求権保全仮登記を経由していたが、
控訴人は昭和三〇年一月九日右Cから右抵当権および代物弁済予約上の権利を譲り
受け、同日、右代物弁済予約を完結して、訴外会社から本件建物の所有権を取得
し、前記のように昭和三一年四月二日所有権移転の本登記を経由したことが認めら
れる。したがつて、控訴人は本件土地賃借人たる訴外会社から、訴外会社が本件土
地上に所有している本件建物の所有権の譲渡を受けたものであるから、特別の事情
がなくかつ別段の合意の認められない本件においては、本件建物の所有権の移転に
ともなつて本件土地賃借権も、控訴人は訴外会社から譲渡を受けたものと認めるべ
きである。しかしながら、
 (1) 控訴人は訴外会社から昭和三〇年一月九日本件建物の所有権を取得する
と同時に本件土地賃借権の譲渡を受けるに際し、賃貸人たる被控訴人の承諾を得た
と主張するが、この点に関する原審証人Aの証言は伝聞であつて採用できず、原審
証人Dの証言によつても右承認の事実を認めるにたらず、他に被控訴人が承諾をし
たことを認めるにたる的確な証拠はない。
 (2) 控訴人は、また、被控訴人が右賃借権譲渡について賃貸人として承諾し
ないのは権利の濫用である旨主張するが、当裁判所も控訴人の右主張を理由のない
ものと判断するものであつて、その理由は原判決六枚目裏七行目から七枚目裏二行
目「……いえず」までと同一(ただし、原判決七枚目表九行目「しかも」の次に
「後記認定のとおり」を加え、原判決七枚目裏二行目「……いえず、」とあるを
「……いえない。」と訂正する)であるから、引用する。
 (二) 控訴人は、控訴人が本件建物について昭和三一年四月二日所有権移転登
記を経由した際において、しからずとしても、被控訴人が控訴人に対して本件建物
の明渡しを求めて神戸簡易裁判所に調停を申し立て同庁昭和三二年(ユ)第一四六
号調停事件として係属中において、控訴人と被控訴人との間において、本件土地に
ついて本件建物所有を目的とする賃貸借契約が締結された旨主張するが、控訴人の
全立証および本件全証拠によつても、右事実を是認するにたる証拠はない。
 三、 控訴人は、前記神戸簡易裁判所昭和三二年(ユ)第一四六号調停事件の係
属中、控訴人と被控訴人との間において、双方協力して本件土地建物を一括して売
却する旨の合意が成立したから、このとき被控訴人は本件建物の収去請求権および
本件土地の明渡請求権を放棄した旨主張する。しかし、控訴人の全立証および本件
証拠によつても、これを認めるにたる証拠は全くない。
 四、 控訴人が借地法第一〇条に基づき被控訴人に対し、原審における昭和三八
年七月二三日の口頭弁論期日において、本件建物の買取請求権を行使したことは当
事者間に争いがないところ、控訴人および引受参加人は、控訴人が借地法第一〇条
により本件建物の買取請求権を取得したことを主張するに対し、被控訴人はこれを
争うので検討する。
 控訴人が訴外会社から昭和三〇年一月九日代物弁済により本件建物の所有権を取
得し、昭和三一年四月二日所有権移転本登記を経由したことは既に認定したとおり
であるが、原審における被控訴人本人尋問の結果により真正に成立したと認める甲
第一号証、原審証人Bの証言により真正に成立したと認める甲第二号証、原審証人
B、原審および当審証人Eの各証言、原審における被控訴人本人尋問の結果によれ
ば、次の事実が認められる。すなわち、被控訴人は昭和二九年七月一日訴外会社に
対し、本件土地を賃料月額金一万三、七六五円(本件土地は三一坪六勺であるが、
五五坪六勺あるものとして一坪当り金二五〇円で計算した金額)とし、敷金五万円
の交付を受けて賃貸し、訴外会社は本件王地上に本件建物を所有していたが、訴外
会社は昭和三〇年一月ごろから同年一一月ごろまでの右賃料の支払いを怠り、右延
滞賃料の支払いはもとより今後の賃料の支払いも困難であつたところから、訴外会
社の代表取締役Fは、同年一一月ごろ、被控訴人に対し、同年一二月にはそれまで
の延滞賃料を支払つたうえ、右賃貸借契約を解除して本件土地を明け渡す旨申し入
れ、被控訴人も右申入れを了承したけれども、訴外会社は同年一二月を経過して
も、それまでの延滞賃料の支払いができないまま経過し、翌昭和三一年一月から被
控訴人が再参にわたり督促した結果、同年三月始めごろ、訴外会社の代表取締役F
と被控訴人との間において、同月二〇日をもつて右賃貸借契約を合意解除すること
とし、同日訴外会社は被控訴人に対し、昭和三〇年一月ごろから昭和三一年三月ま
での延滞賃料計金二〇万六四七五円を支払い、被控訴人の方で本件家屋を買取るべ
き旨の合意が成立した。ところが訴外会社は同月二〇日を経過しても、右延滞賃料
の支払いができず、同年四月二三日に至り、ようやく資金調達ができたので、同日
被控訴人と訴外会社の代表取締役Fらが交渉した結果、同年三月二〇日までの前記
延滞賃料金二〇万六四七五円を金一三万円に減額することとし、被控訴人が訴外会
社から交付を受けていた前記敷金五万円をこれに充当し、残額金八万円を訴外会社
から被控訴人に支払い、被控訴人と訴外会社間の右賃貸借契約は同年三月二〇日を
もつて合意解除されたことを確認したうえ、訴外会社において「昭和三一年三月二
〇日ヲ以テ土地賃借権、地上権契約ヲ解除ス」と記載した書面(甲第二号証)を作
成して被控訴人に交付した。当時既に、前記のように控訴人の代物弁済予約完結の
意思表示によつて本件建物の所有権は昭和三〇年一月九日控訴人に移転し昭和三一
年四月二日本登記がなされており、訴外会社が被控訴人に支払つた前記延滞賃料
も、訴外会社が控訴人から本件建物の明渡料名義で受領した資金によつて支払つた
ものであつたが、訴外会社は右事実を秘匿し、いまだ本件建物を占有使用していた
から、被控訴人は前記書面作成当時(同月二三日)右事実を知ることがなかつた。
以上のとおり認めることができ、他に右認定を覆すにたりる証拠はない。
 <要旨第一>ところで借地法第一〇条の買取請求権は、土地賃借人が借地上に建物
を所有していて、これを第三者に譲渡し、この建物譲受人が、土地賃貸
人に対する関係では、建物を敷地に存置する権原を取得し得ない場合に成立するも
のであるが、建物譲受人である第三者が買取請求をなし得るためには、その敷地賃
借権の譲受け自体を賃貸人に主張し得なければならず、賃貸人がその譲受自体を認
めないかぎり(賃借権譲渡の承諾とは異る)、対抗要件を具備することが必要であ
り、対抗要件としては建物の所有権移転登記さえあれば足りるものと解するのが相
当である(賃貸人の地位移転等に関する最高判昭和三九・八・二八民集一八巻七号
一三五四頁参照)。そしてその所有権移転登記以前に、敷地の賃借権が賃貸借契約
の合意解除などその原因のいかんを問わず、消滅しているとき、その賃借権の譲渡
もなく、したがつて建物譲受人は借地法一〇条の買取請求権を取得し得ないものと
いうべきである。
 前記認定によると、控訴人は訴外会社から昭和三〇年一月九日代物弁済により本
件建物の所有権を取得し、昭和三一年四月二日所有権移転登記を経由したが、被控
訴人と訴外会社との間の本件土地についての賃貸借契約は、同年三月二〇日をもつ
て合意解除されたことが明らかであり、被控訴人が右所有権移転登記以前に本件土
地賃借権が移転したこと自体を認めた証拠がないから、控訴人は右登記のなされた
同年四月二日以後その賃借権取得自体を主張することができることとなつたものと
いうべきであるが、すでにこれより先同年三月二〇日合意解除によつて本件土地賃
借権は消滅したものである以上、控訴人は本件建物買取請求権<要旨第二>を取得す
ることができないといわねばならない。仮に右合意解除が同年四月二三日になされ
たとしても、賃借権取得の時から買取請求権行使の時までの間に、賃借
人の賃料不払いを理由として賃貸借契約が合意解除された場合は、賃料不払いを理
由とする一方的解除の場合と同様に、賃借人の背信の故をもつて、その譲受人は借
地法一〇条の買取請求権を行使することができないものと解すべきであるところ、
これを本件についてみるに、前認定のように、被控訴人と訴外会社との間の賃貸借
契約は、控訴人の買取請求権行使の日たる昭和三八年七月二三日以前の同年四月二
三日、訴外会社の賃料不払いを理由として合意解除されているのであるから、控訴
人の右買取請求権行使の効果は発生するに由なきものというほかはない。
 五、 引受参加人は、引受参加人と控訴人との間において、控訴人所有の本件建
物を代金四三〇万円で買い受ける売買契約が成立し、引受参加人は右代金を控訴人
に支払つたが、右売買契約は控訴人の債務不履行により当然解除となり、引受参加
人は控訴人に対し、右売買代金四三〇万円を不当利得としてこれが返還請求権を有
するとして、右金員の支払いがあるまで、本件建物を留置する権利があり、ひいて
は本件土地の明渡しを拒絶し得ると主張する。しかし、引受参加人主張の債権は本
件建物の所有者である控訴人に対するものであるから、仮にその主張する債権のた
めに本件建物について留置権を有するものとしても、その敷地たる本件土地を留置
し得べき権利を有するものとは解せられない。けだし、控訴人は本件建物を所有し
て本件土地を不法に占有しているものであり、したがつて引受参加人もまた本件建
物を占有して本件土地を不法に占有しているものであつて、引受参加人に対して、
その主張のように本件建物を留置しうることの反射的作用として、本件土地の留置
を認めることは、土地所有権を侵害する不法行為者を保護することとなり留置権の
企図する衡平の観念を逸脱するからである。のみならず、引受参加人主張の不当利
得返還請求権は、本件土地に関して生じたものではない。他に建物について留置権
を有する者が当然にその敷地についても留置権を有するものと解すべき根拠がない
から、引受参加人の右主張は採用できない(大審院昭和九年六月三〇日判決参
照)。
 六、 以上説示したとおり、控訴人および引受参加人の抗弁はすべて理由がな
く、控訴人は、おそくとも、昭和三一年四月二日以降本件建物を所有して、引受参
加人は昭和三五年四月二二日以降本件建物を占有して、それぞれ本件土地所有者で
ある被控訴人に対して対抗し得べき正権原なく本件土地を不法に占有しているもの
であるから、控訴人は本件建物を収去して、引受参加人は本件建物から退去して、
それぞれ被控訴人に対して本件土地を明け渡すべき義務があり、控訴人は昭和二二
年四月二日以降被控訴人の本件土地に対する使用収益を不法に妨げ、被控訴人に対
し相当賃料と同額の損害を蒙らせているものであるから、同日以降本件土地明渡し
ずみに至るまで相当賃料と同額の損害金を賠償すべき義務がある。しかし、引受参
加人は、本件建物を占有使用しているものにすぎないものであつて、特別の事情の
認められない本件においては、その占有によつて直接被控訴人の本件土地に対する
使用収益を妨げているとはいえないから、被控訴人に対し、相当賃料と同額の損害
金を賠償すべき義務はない(最高裁昭和三一年一〇月二三日判決参照)。ところで
既に認定したところによれば、昭和三一年三月当時、被控訴人は訴外会社に対し本
件土地を本件建物所有を目的として賃料月額金一万三、七六五円で賃貸していたの
であるが、右賃料月額は本件土地が三一坪六勺であるのにかかわらず、五五坪六勺
であるとして、一坪当り金二五〇円で計算したものであるから、昭和三一年四月二
日当時の本件土地の相当賃料月額は、本件土地の三一坪六勺に一坪当り金二五〇円
を乗じた金七、七六五円をもつて相当とし、特別の事情のないかぎり同日以降も同
一額と認める。
 そうすると、被控訴人の第一次的請求は、被控訴人が控訴人に対し、本件建物を
収去して本件土地を明け渡し、かつ、昭和三一年四月二日以降右明渡しずみに至る
まで一ケ月金七、七六五円の割合による賃料相当の損害金の支払いを求める限度に
おいて、被控訴人が引受参加人に対し、本件建物から退去して本件土地の明渡しを
求める限度において、いずれも正当として認容すべきであるが、右を超える部分は
失当として棄却すべきである。
 七、 よつて、本件控訴および附帯控訴に基づき、右と結論を異にする原判決を
主文第一項のとおり変更することとし、訴訟費用の負担について民訴法第八九条、
九三条一項但し書、九六条を適用して主文のとおり判決する。
 なお、被控訴人の仮執行の宣言の申立ては相当でないから却下することとする。
 (裁判長判事 山内敏彦 判事 阪井笠朗 判事 宮地英雄)
別 紙
 第 一 目 録
神戸市a区b町通c丁目d番
 宅地  一〇四・一六平方メートル(三一坪五合一勺)
右同所六〇番の三
 宅地  一三四・八〇平方メートル(四〇坪七合八勺)
右二筆に対する土地区画整理事業施行による仮換地
神戸市a区e町換地区f街区g符号
 宅地  一八二・〇一平方メートル(五五坪六勺)
のうち、西端間口(東西) 二・二八メートル
 の部分(別紙図面のとおり)
 奥行(南東)一三・六〇メートル
 宅地  一〇二・六七平方メートル(三一坪六勺)
 第  二  目  録
神戸市a区b町通c丁目h番地上
 (但し、現実には第一目録記載の仮換地部分地上)
 家屋番号 同町j番
一、店舗 木造陸屋根三階建地下一階付
 一階 一二二・九七平方メートル(三七坪二合)
 二階 一二二・九七平方メートル(三七坪二合)
 三階 一二二・九七平方メートル(三七坪二合)
 地下  一五・四三平方メートル(四坪六合七勺)
但し右は登記簿上の表示で現況は
 一階  八六・四四平方メートル(二六坪一合五勺)
 二階  六八・〇九平方メートル(二〇坪六合)
 三階  六八・〇九平方メートル(二〇坪六合)
 地下   八・八七平方メートル(二坪八勺)
別 紙
<記載内容は末尾1添付>

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛