弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を取消す。
     控訴人の換地予定地指定無効確認の訴並びに建物除却行政代執行通知取
消の訴を却下する。
     訴訟費用は第一、二審を通じ、本訴及び被控訴補助参加人の参加によつ
て生じた部分は控訴人の負担とし、
     控訴補助参加人の参加によつて生じた部分は同補助参加人の負担とす
る。
         事    実
 控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人が昭和二六年三月一七日従前の下関市
a町b番地のc宅地一二九坪九勺に対しなした換地予定地指定が無効であることを
確認する。右無効確認の理由がない場合、被控訴人が昭和二七年一〇月一日付行政
代執行令書を以て別紙目録記載建物につきなした建物除却代執行の通知を取消す。
訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」旨の判決を求め、被控訴指定代
理人は「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」旨の判決を求め
た。
 当事者双方の事実上の陳述は左記の外原判決事実摘示と同一であるから、ここに
これを引用する。 控訴代理人は、
 一、 被控訴人は昭和二六年三月一七日従前の下関市a町b番地のc宅地一二九
坪九勺の本件土地に対し同市市街区番号d番のe号を本件換地予定地に指定した
が、
 (い) 本件換地予定地指定は本件土地の一部に賃借権を有する控訴人に対し特
別都市計画法第一三条第二項の規定による換地予定地指定の通知がなされていない
から無効であり、
 (ろ) 又、被控訴人は、被控訴補助参加人所有の従前の下関市a町f番地のg
の土地が角地であつたので、これに対し土地区劃整理の結果角地となる本件土地の
位置に換地を指定しようと計画し、本件土地に対しては飛換地となる前記市街区番
号d番のe号を換地予定地に指定したもののようであるが、本件換地予定地指定は
次の理由により憲法第二二条の規定及び公序良俗に反する無効の行政処分である。
すなわち、土地区劃整理における換地指定は土地所有者並びに利害関係人の損害の
最も少ない現地指定を原則とすべく飛換地は都市計画上道路公園その他公共施設の
必要上現地換地が困難で飛換地による外ない場合に限られる。何故ならば、飛換地
は本来移動性のない土地を土地所有者利害関係人等の犠牲において土地を移動した
と同様な結果を得ようとするまれな措置であつて、殊に市街地にあつては土地の位
置如何によつて格段の差等を生ずるからである。然るに、本件土地及び前記a町f
番地のgの土地は相隣地をなしていずれも被控訴補助参加人の所有に属し、その上
本件土地には控訴人が賃借権を得て地上に登記を経た本件建物を所有するに反し、
右f番地のgの土地には被控訴補助参加人以外に利害関係人がないばかりか、該土
地は既に道路敷地に編入されておるのであるから、この土地こそ飛換地せらるべき
条件下にあり、それが従来角地であつたことは本件土地を飛換地に指定する理由と
はなし難い。被控訴人が計画した右換地処分は、本件土地の近傍が現在計らずも繁
華街となつたので、控訴人を本件土地から立退かしめ、以て被控訴補助参加人をし
て不当な利益を得せしめんがための手段ではないかを疑わしめるものがある。
 二、 本件建物除却行政代執行通知の取消は、以上の本件換地予定地指定無効の
主張が理由がない場合予備的に請求するものであつて、その請求の原因として、原
審における主張の外本件建物除却行政代執行通知は本件土地の位置にいずれの土地
の換地又はその予定地が指定せられるか未確定の状態において発せられた違法なも
のであるから、この点においても取消さるべきであるとの主張を附加する。
 旨陳述し、
 被控訴指定代理人は、
 控訴代理人主張の控訴人に対する特別都市計画法第一三条第二項の規定による本
件換地予定地指定通知欠缺の事実を否認し、仮に右通知の事実が肯認されないとす
れば、被控訴人が控訴人に対し該通知をしなかつたのは控訴人主張の本件土地の一
部の賃借権に登記がなく、且つ控訴人が右賃借権につき同法施行令第四五条但書所
定の届出もしないからである。又、本件土地に対る換地予定地指定が飛換地とな
り、換地後の本件土地の位置にその隣地であつた被控訴補助参加人所有の従前のa
町f番地のgの土地に対する換地指定をしたことは認めるも、本件換地予定地が憲
法第二二条の規定及び公序良俗に反する無効の行政処分であるとの控訴代理人の主
張を争う。
 旨陳述した。
 立証として、控訴代理人は甲第一ないし第六号証を提出し、原審証人A、同Bの
各証言及び当審における検証の結果を援用し、乙第一号証の一、二丙第一号証の成
立を認め、被控訴指定代理人は乙第一号証の一、二を提出し、原審証人Cの証言及
び当審における検証の結果を援用し、甲号各証の成立を認め、被控訴補助参加代理
人は丙第一号証を提出した。
         理    由
 被控訴人が特別都市計画法に基き施行の下関特別都市計画事業の土地区劃整理の
ため同法第一三条の規定により昭和二六年三月一七日本件土地に対し下関市市街区
番号d番のe号(換地後の同市a町b番地のc)宅地一〇三坪八合二勺を本件換地
予定地に指定したこと及び被控訴人が昭和二七年一〇月一日頃同日付行政代執行令
書を以て控訴人に対し同月二二日本件建物を本件土地から除去する旨の本件行政代
執行の通知をしたことは、当事者間に争いのないところである。
 ところが、控訴人は、まず本件換地予定地指定につき本件土地の一部に賃借権を
有する控訴人に対し同法第一三条第二項の規定による通知がなされず、且つ本件換
地予定地指定自体憲法第二二条の規定及び公序良俗に反するを以て、本件換地予定
地指定は無効の行政処分である旨主張し、その無効確認を求めるのであるが控訴人
は以下説示の理由により本件換地予定地指定の無効確認を求める法律上の利益を有
しない。すなわち、控訴人主張の本件土地の一部の賃借権に登記のないこと及び控
訴人が被控訴人に対し右賃借権につき特別都市計画法施行令第四五条但書所定の届
出をしないことは当事者間に争いのないところ同法に基いて施行せられる土地区劃
整理においては同法施行令第四五条本文により従前の土地の全部又は一部の未登記
賃借権者に対し原則として換地が交付せられるのであるが、これがためには同条但
書所定の届出をなすことを要しこの届出をしない従前の土地の未登記賃借権者に対
しては換地の交付をしないとしていることは同条の規定に徴し明白であつて、この
ことは右土地区劃整理の実施にあたり換地処分が発効するまで相当の日時の経過を
要する以てその間の土地の利用ないし権利関係の安定を期するための措置として認
められたと解すべき同法第一三条の規定による換地予定地指定についても同様に考
うべきであるから、同法施行令第四五条を準用し同条但書所定の届出をしない従前
の土地の未登記賃借権者は換地予定地の交付を受け得ず、従つて又同法第一三条第
二項の規定による通知を受ける権利をも有しないものと解するを相当とする。然ら
ば、他に特段の事由の認められない本件においては、控訴人は前記の主張を以て本
件換地予定地指定の無効確認を求める法律上の利益を有しないものといわざるを得
ないから、本件換地予定地指定の無効確認を求める本訴は不適法な訴と認むべきで
ある。
 次に、控訴人は予備的に本訴において本件行政代執行通知の取消を求めるが、こ
の訴の提起が本件行政代執行につき行政代執行法第七条の規定により訴願を提起
し、又は異議を申立てこれに対する裁決又は異議の決定<要旨>を経てなされたもの
でないことは記録上明白なところ、同法第七条第三項の規定は行政代行に関し不服
ある者が同条第一、二項の規定により訴願を提起し又は異議を申立てこれに
対する裁決又は異議の決定を経ることなく直ちに裁判所に出訴することができる旨
を定めたものではなく、同条第一、二項の規定により訴願の提起又は異議の申立を
なすも裁判所に出訴する権利を失うものでない旨を注意的に示したに過ぎず、従つ
て、違法な行政代執行の取消又は変更を求める訴は行政事件訴訟特例法第二条のい
わゆる訴願前置主義に則り行政代執行法第七条の規定により訴願裁決又は異議の決
定を経た後でなければ提起できないものと解するを相当とするから、記録を精査す
るも他に本件行政代執行につき右訴願裁決又は異議の決定を経ることにより著しい
損害を生ずる虞のあることその他正当な事由のあることが認め得られない本件行政
代執行通知の取消を求める本訴も、行政事件訴訟特例法第二条の規定に違反する不
適法な訴と認めざるを得ない。
 果して然らば、本件行政代執行通知の取消を求める控訴人の本訴請求をその理由
がないとして棄却した原判決は失当であるから、これを取消した上、控訴人の本件
換地予定地指定無効確認の訴並びに本件建物除却行政代執行通知取消の訴はいずれ
も不適法としてこれを却下すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九
六条第八九条第九四条を適用し、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 柴原八一 裁判官 池田章 裁判官 牛尾守三)
(別紙目録省略)

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