弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第1請求
被告が,原告に対して,平成12年12月28日付け12議収第193号の2「情報公
開請求却下通知書」でなした情報公開請求却下決定処分を取り消す。
第2事案の概要
本件は,原告が,A町情報公開条例で定められた実施機関である被告に対し,平成12
年12月定例A町議会における議事内容を録音したテープの一部についての情報公開請求
を行ったところ,被告が同請求を却下する旨の処分をしたことから,同処分の取消しを請
求している事案である。
1前提となる事実(当事者間に争いがない)。
(1)原告は,香川県小豆郡αに住所を有する者であり,被告は,A町情報公開条例(平
成12年3月31日条例第27号(以下「本件公開条例」という)において,情報公)。
開の実施機関とされている者である(本件公開条例2条1号。)
(2)原告は,被告に対し,平成12年12月21日付け情報公開請求書(本件公開条例
6条所定のもの)により,平成12年12月定例A町議会においてなされたB議員の質問
()(「」部分及びそれに対する答弁回答部分の収録された録音テープ全部以下本件テープ
という)の公開を請求した(以下「本件請求」という。。。)
(3)これに対し,被告は,平成12年12月28日付け情報公開請求却下通知書(12
議収第193号の2)をもって,本件テープは情報公開の対象となる公文書には当たらな
、,(「」。)いとして本件テープの全部につき情報公開請求却下処分以下本件処分という
をした。
(4)本件公開条例には,以下の各規定がある。
第2条(定義)
この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号の定めるところによる。
(1)実施機関町長,教育委員会,選挙管理委員会,監査委員,農業委員会,固定資産
評価審査委員会,水道事業管理者及び議会をいう。
(2)情報実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真,フィルム
及び磁気テープであって,決裁又は閲覧の手続が終了し,実施機関において管理している
ものをいう。
(3)情報の公開
実施機関がこの条例の定めるところにより,情報を閲覧に供し,又はその写しを交付す
ることをいう。
第5条(情報の公開を請求できるもの)
次に掲げるものは,実施機関に対して情報の公開を請求することができる。ただし,第
5号に掲げるものにあっては,そのものが利害関係を有する情報に限る。
(1)町内に住所を有する者
(2)町内に事務所又は事務所を有する個人及び法人その他の団体
(3)町内の事務所又は事業所に勤務する者
(4)町内の学校に在学する者
(5)前各号に掲げるもののほか,実施機関が行う事務事業に利害関係を有する者
2争点
本件の争点は,本件請求の対象とされた本件テープが,本件公開条例2条2号で公開の
対象とされる「情報」に該当するかどうかである。
3争点に対する当事者の主張
(1)原告の主張
本件テープは,本件公開条例2条2号で公開対象とされている「情報」のうち,実施機
関の職員が職務上作成した「磁気テープ」に該当する。
そして,本件テープは,決裁権限者の包括的指示ないし具体的指示に基づいて,公務員
が公務として収録したものであるから議事内容の手控えメモ等とは性格が異なり決,,,「
裁又は閲覧の手続」を予定しているものといえる。また「決裁」とは,事務決裁規程等,
に基づいて,その事案の意思決定が行われることをいうのであるから,権限を有する者が
当該情報に対して意思決定を行えば,決裁があったといえる。本件テープも,権限を有す
る者の指示によって収録されたものである以上,決裁の手続を経たものといえる。したが
って,本件テープは「情報」に該当する。
(2)被告の主張
本件公開条例2条2号にいう「情報」とは「決裁又は閲覧の手続」が予定されるもの,
に限定されるところ,本件テープは,地方自治法123条所定の会議録を作成するための
補助的手段に過ぎずいわば議事内容の手控えメモ代わりのものであるからおよそ決,,,「
」。,「」裁又は閲覧の手続の対象となる性格のものではないしたがって本件テープは情報
に該当しない。
第3当裁判所の判断
上記第2の1(4)のとおり,本件公開条例2条2号において「決裁又は閲覧の手続,
が終了」したことが,情報公開の対象となる「情報」に該当するための要件とされている
のは,実施機関の職員が職務に関連して作成したメモ等,およそ決裁又は閲覧手続になじ
まないものを,情報公開の対象から外す趣旨であると解される。
そして,議会における議事内容を録音した録音テープは,議事内容についてのメモ等と
同様,会議録を作成するための補完的なものであり,本件テープも,このような性質のも
のに外ならない(甲1,乙1,弁論の全趣旨。とすれば,本件テープは,上記のメモ等)
と同様に,およそ決裁・閲覧手続になじまないものというべきであるから,本件公開条例
に基づく情報公開の対象となる「情報」に該当しない。
したがって,原告の本件請求を却下した本件処分は適法である。
第4結論
以上によれば,原告の請求は理由がないのでこれを棄却することとし,訴訟費用の負担
につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
高松地方裁判所民事部
裁判長裁判官溝渕勝
裁判官田中一彦
裁判官空閑直樹

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