弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人吉井晃の上告理由第一点について。
 論旨は、本件土地が既墾地化した時期についての原審の認定をとくにとらえて原
判決を攻撃しているが、本件の問題点は買収計画樹立当時(二六年四月二日)本件
土地が無権原耕作地であつたかどうかであるから、買収計画樹立の時に至るまでの
経過的事情の認定に仮に誤りがあつても、その誤認が計画樹立当時本件土地が無権
原耕作地であつたとする原審の認定に影響を及ぼすものでない限り、原判決を破棄
する理由となるものではない。論旨の説くところだけからでは、既墾地化の時期に
ついての誤認が買収計画樹立当時本件土地が無権原小作地であつたとする原審の認
定にどのように影響を及ぼすものであるか十分明らかではないが、論旨が結局いわ
んとするところは、本件土地は昭和二二年五月三〇日当時すでに既墾地の状況にあ
り、その当時からすでに本件土地には開墾小作権が適法に存在していたにかかわら
ず、原審が初めから開墾・耕作が無権原に行われたものであると認定したことが違
法であるという趣旨に解される。けれども、原審は、その挙示する証拠により本件
土地の開墾・耕作が初めから無権原に行われたものであつて、買収計画樹立当時に
おいても無権原耕作地であつたことを認定したものであり、この点の原審の判断に
何等審理不尽、経験則違背乃至採証法則の違背はなく乙第一二号証は、買収計画樹
立当時本件土地が無権原耕作地であつたことの認定の妨げとなるものではない。
 なお、原審の判示中「本件買収計画は自創法第六条の二による遡及買収の計画で
ないことは弁済の全趣旨により明らかである」との部分は、不必要のものではある
が、論旨末段のいうように、原審が法規を誤解したということはない。
 同第二点について。
 (1)二の(イ)について。
 論旨は、本件土地の既墾地化の状況、時期についての原審の認定を非難するもの
であるが、それだけでは、原判決破棄の理由となるものでないことは前述のとおり
である。
 (2)二の(ロ)について。
 論旨は、本件土地が初めから無権原耕作地であつたとする原審の認定を非難する
ものであるが、この点の認定に経験則違背乃至採証法則の違背がないことは前述の
とおりである。なお論旨末段部分は表見代理を云為しているが、この点については、
原審において何等主張がない以上、原審がこの点に触れなかつたとしても、違法と
いうことはできないのみならず、原審の認定するように、本件土地については、小
作契約締結についての代理権を与えられたものがまつたく存在しなかつた以上、表
見代理を云為する余地はない。
 同第三点について。
 論旨中第一乃至第二点と重複する点を除けば、そのいわんとするところは、本件
買収処分が取り消されれば、多数の開墾者の努力は水泡に帰しその生活は脅威を受
けるから、原審は行政特例法一一条を発動して本訴請求を棄却すべきであつたのに、
これをしなかつたことは違法であるというにあるものと思われる。
 けれども、原審の認定するように、本件土地が初めから無権原耕作地であつた以
上、不法開墾者が処分の取消により損害を被ることはやむを得ないところであり、
これがため限られた範囲の耕作者が耕作権を失うとしても、それが直ちに公共の福
祉に反するとまでいい得ないことは、いうまでもないところである。それ故、所論
は、すべて採用し得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔

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