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平成25年7月8日判決言渡
平成24年(行ケ)第10340号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成25年6月24日
判決
原告株式会社小森コーポレーション
訴訟代理人弁護士光石俊郎
同光石春平
訴訟代理人弁理士田中康幸
同松元洋
同山田哲三
被告カーベーアー-ノタシソシエテ
アノニム
訴訟代理人弁護士上谷清
同仁田陸郎
同萩尾保繁
同山口健司
同薄葉健司
同石神恒太郞
同関口尚久
訴訟代理人弁理士島田哲郎
同谷光正晴
主文
1特許庁が無効2011-800218号事件について平成24年8月22日
にした審決中,「本件審判の請求は,成り立たない。」及び「審判費用は,請
求人の負担とする。」との部分を取り消す。
2訴訟費用は被告の負担とする。
3この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定め
る。
事実及び理由
第1請求の趣旨
主文と同旨
第2事案の概要
1特許庁における手続の経緯等(争いがない。)
被告は,発明の名称を「検査機械および検査方法」とする特許第47000
52号(平成17年4月15日出願(パリ条約による優先権主張2004年
4月22日),平成23年3月11日設定登録。以下「本件特許」という。請
求項の数は18である。)の特許権者である。
原告は,平成23年10月27日,本件特許を請求項1ないし18のすべて
について無効にすることを求めて審判の請求をした。特許庁は,この審判を,
無効2011-800218号事件として審理した。被告は,この審理の過程
で,平成24年2月9日,本件特許の請求項1,2,7,11及び13につい
て,特許請求の範囲の減縮,明瞭でない記載の釈明及び誤記の訂正を理由とす
る訂正請求をした。
特許庁は,審理の結果,平成24年8月22日,「訂正を認める。本件審判
の請求は,成り立たない。審判費用は,請求人の負担とする。」との審決(以
下,単に「審決」という。)をし,審決の謄本を,同年9月3日,原告に送達
した。
2特許請求の範囲
前記1の訂正に基づく訂正後の本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし
18の記載は,次のとおりである(以下,請求項1ないし18に係る発明を,
それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明18」といい,これらの発明を総称
して「本件発明」という。また,上記訂正後の本件特許の明細書及び図面を総
称して,「本件明細書」ということがある。図面は,別紙「本件発明の図面」
のとおり。甲7,乙1)。
【請求項1】
有価証券,紙幣,銀行券,パスポート,およびその他の同様書類等印刷され
たシート(sheet)形態の印刷物用検査機械であって,
シート供給器(1)を有し,
検査時に印刷されたシートを運ぶための第一検査シリンダ(4),第一検査
シリンダ(4)上に運搬される間に印刷されたシートの画像を撮影するために
分析装置に連結された第一照明手段(5)および第一線形カメラ(6)を備え
た第一シート検査ユニット,
検査時に印刷されたシートを運ぶための第二検査シリンダ(7),第二検査
シリンダ(7)上に運搬される間に印刷されたシートの画像を撮影するために
前記分析装置に連結された第二照明手段(8)および第二線形カメラ(9)を
備えた第二シート検査ユニット,
検査時に印刷されたシートを運ぶための第三検査シリンダ(12),第三検
査シリンダ(12)上に運搬される間に印刷されたシートの画像を撮影するた
めに前記分析装置に連結された第三照明手段(13)および第三線形カメラ
(14)を備えた第三シート検査ユニット,
印刷されたシートを第一検査ユニットへ連続的に運ぶための入力移送シリン
ダ(3),ならびに
印刷されたシートを第三検査ユニットから取り出す出力移送シリンダ(1
7)を含み,
前記入力移送シリンダ(3),第一検査シリンダ(4),第二検査シリンダ
(7),第三検査シリンダ(12),および前記出力移送シリンダ(17)
は,印刷されたシートを前記入力移送シリンダ(3)から第一検査シリンダ
(4),第二検査シリンダ(7),第三検査シリンダ(12),および前記出
力移送シリンダ(17)へ直接的かつ継続的に運搬するように,相互に対して
直接接触する状態で配置され,かつ
第一シート検査ユニット,第二シート検査ユニット,第三シート検査ユニッ
ト,前記入力移送シリンダ(3),および前記出力移送シリンダ(17)は,
印刷されたシートの検査が第一シート検査ユニット,第二シート検査ユニッ
ト,または第三シート検査ユニットにより完了したときにのみ検査済の印刷さ
れたシートを第一,第二または第三検査シリンダ(4,7,12)から取り出
すように構成されている,検査機械。
【請求項2】
前記第一検査シリンダ(4)は透明シリンダであり,前記第一照明手段
(5)は前記透明シリンダ内に設置され,かつ前記第一線形カメラ(6)は印
刷されたシートを透過して透明陽画で検査するために前記透明シリンダの外側
に設置されている,請求項1に記載の検査機械。
【請求項3】
前記第二シート検査ユニットは,印刷されたシートの第一照明側を検査す
る,請求項1または2に記載の検査機械。
【請求項4】
前記第三シート検査ユニットは,印刷されたシートの第二照明側を検査す
る,請求項3に記載の検査機械。
【請求項5】
前記第二シート検査ユニットおよび第三シート検査ユニットは,各々少なく
とも一つの不可視特徴検査ユニット(10,11,15,16)を更に含む,
請求項1に記載の検査機械。
【請求項6】
前記不可視特徴検査ユニット(10,11,15,16)は印刷されたシー
ト上にIR,UVまたは磁気特性を検出するための手段を含む,請求項5に記
載の検査機械。
【請求項7】
前記第一検査シリンダ(4),第二検査シリンダ(7)および第三検査シリ
ンダ(12)は,各々が単一セットのグリッパを担持し,かつ前記第一検査シ
リンダ(4),第二検査シリンダ(7)および第三検査シリンダ(12)の直
径は運搬および検査時間を短縮するために縮小されている,請求項1から6の
いずれか1に記載の検査機械。
【請求項8】
前記入力移送シリンダ(3),前記第一検査シリンダ(4),第二検査シリ
ンダ(7),第三検査シリンダ(12)および前記出力移送シリンダ(17)
は,印刷されたシートを前記第一検査シリンダ(4),第二検査シリンダ
(7),または第三検査シリンダ(12)へ移送する入力位置と印刷されたシ
ートを前記第一検査シリンダ(4),第二検査シリンダ(7),または第三検
査シリンダ(12)から取り出して移送する出力位置との間での前記第一検査
シリンダ(4),第二検査シリンダ(7),および第三検査シリンダ(12)
の各々の上の印刷されたシートの運搬長が所定シート長として最適になるよう
にジグザグ形態に配置されている,請求項1から7のいずれか1に記載の検査
機械。
【請求項9】
前記第一検査シリンダ(4),第二検査シリンダ(7),または第三検査シ
リンダ(12)上の印刷されたシートの運搬長は検査される印刷されたシート
の長さよりも僅かに長い,請求項8に記載の検査機械。
【請求項10】
前記出力移送シリンダ(17)の下流に,欠陥シートをマーキングするため
に設置されたマーキングユニット(19,20)を更に含む,請求項1から9
のいずれか1に記載の検査機械。
【請求項11】
前記第一,第二および第三線形カメラ(6,9,14)の各々は,検査を受
ける印刷されたシートの継続的線形画像を撮り,かつ関連する前記第一,第二
または第三検査シリンダ(4,7,12)上のシート運搬と同期する,請求項
1から10のいずれか1に記載の検査機械。
【請求項12】
各前記第一,第二および第三検査シリンダは関連する線形カメラの同期運動
のためのエンコーダを含む,請求項11に記載の検査機械。
【請求項13】
有価証券,紙幣,銀行券,パスポート,およびその他の同様書類等印刷され
たシート(sheet)形態の印刷物の検査方法であって,
-印刷された継続シートを,検査のために,第一線形カメラにより透明陽画
による第一検査を実行する第一検査ユニットへ供給器から移送し,印刷され
たシートを第一検査シリンダ(4)により第一検査ユニットへ運搬し,
-第一線形カメラによる第一検査終了後に,印刷されたシートを第二検査ユ
ニットへ移送し,印刷されたシートの第一側の第二検査を第二線形カメラに
より実行し,印刷されたシートを第二検査シリンダ(7)により第二検査ユ
ニットへ運搬し,
-第二線形カメラによる第二検査終了後に,印刷されたシートを第三検査ユ
ニットへ移送し,印刷されたシートの第二側の第三検査を第三線形カメラに
より実行し,印刷されたシートを第三検査シリンダ(12)により第三検査
ユニットへ運搬し,
-第三線形カメラによる第三検査終了後に,印刷されたシートをマーキング
ユニットへ移送し,かつ検査の一つの結果が欠陥を示す場合に欠陥をマーキ
ングし,かつ
-マーキング実行後に,印刷されたシートを配送ユニットへ運搬し,かつ印
刷されたシートが欠陥としてマーキングされているか否かにより配送パイル
を分類し,
印刷されたシートの第一検査ユニットから第二検査ユニット,および第二検
査ユニットから第三検査ユニットへの移送を,第一検査シリンダ(4)から第
二検査シリンダ(7)へ,かつ第二検査シリンダ(7)から第三検査シリンダ
(12)へ,それぞれ直接行う,各工程を含む検査方法。
【請求項14】
前記第二検査および/または第三検査は印刷されたシート上の可視特徴およ
び/または不可視特徴の検査を含む,請求項13に記載の検査方法。
【請求項15】
各前記検査シリンダの直径は最小運搬および検査時間のために最小である,
請求項13または14に記載の検査方法。
【請求項16】
印刷されたシートを検査シリンダへ移送する入力位置と印刷されたシートを
検査シリンダから取り出して移送する出力位置との間で各検査シリンダ上の印
刷されたシートの運搬長が所定シート長として最適になるように,第一,第
二,および第三検査シリンダを配置する工程を含む,請求項13から15のい
ずれか1に記載の検査方法。
【請求項17】
前記検査シリンダ上の印刷されたシートの運搬長は検査される印刷されたシ
ートの長さよりも僅かに長くなるように選択される,請求項16に記載の検査
方法。
【請求項18】
前記第一,第二,および第三検査は,検査中の印刷されたシートの継続的線
形画像を撮る線形カメラと,関連する検査シリンダ上のシート運搬との同期運
動を含む,請求項13から17のいずれか1に記載の検査方法。
3審決の理由
(1)別紙審決書写しのとおりであり,その概要は以下のとおりである。
ア引用例
(ア)特開2000-85095号公報(甲1。以下「甲1文献」といい,
これに記載された発明を「甲1発明」という。)
(イ)特表2001-509746号公報(甲2。以下「甲2文献」といい,
これに記載された発明を「甲2発明」という。)
(ウ)特表2003-532563号公報(甲3。以下「甲3文献」といい,
これに記載された発明を「甲3発明」という。)
(エ)特開平10-337935号公報(甲4。以下「甲4文献」といい,
これに記載された発明を「甲4発明」という。)
(オ)特開2001-101473号公報(甲5。以下「甲5文献」といい,
これに記載された発明を「甲5発明」という。)
(カ)特開昭61-175552号公報(甲6。以下「甲6文献」といい,
これに記載された発明を「甲6発明」という。)
イ判断の要旨(後記原告の主張に摘示した取消事由に係る部分に限る。)
(ア)本件発明1と甲1発明との相違点1に係る本件発明1の技術的意義に
関する記載や示唆は,甲2文献ないし甲6文献のいずれにも見い出し得
ないから,本件発明1は,甲1発明ないし甲6発明に基づいて当業者が
容易に発明することができたものではない。
本件発明2ないし12は,本件発明1の発明特定事項を全て含み,さ
らに,他の発明特定事項を付加したものに相当する発明であるから,本
件発明1について示した理由と同様の理由により,甲1発明ないし甲6
発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
(イ)本件発明13と甲3発明との相違点4は,実質的には本件発明1と甲
1発明との相違点1と差異はないから,本件発明13は,本件発明1と
同様,甲1発明ないし甲6発明に基づいて当業者が容易に発明すること
ができたものではない。
本件発明14ないし18は,本件発明13の発明特定事項を全て含み,
さらに,他の発明特定事項を付加したものに相当する発明であるから,
本件発明1について示した理由と同様の理由により,甲1発明ないし甲
6発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。
(2)審決が,上記結論を導くに当たり認定した,本件発明1と甲1発明との一
致点及び相違点,本件発明13と甲3発明との一致点及び相違点は,以下の
とおりである。
ア本件発明1と甲1発明との一致点
「有価証券,紙幣,銀行券,パスポート,およびその他の同様書類等印刷
されたシート(sheet)形態の印刷物用検査機械であって,
シート供給器(1)を有し,
検査時に印刷されたシートを運ぶための検査シリンダ,該検査シリンダ
上に運搬される間に印刷されたシートの画像を撮影するために前記分析装
置に連結されたカメラを備えたシート検査ユニットを複数組含み,
印刷されたシートを最上流のシート検査ユニットへ連続的に運ぶための
入力移送シリンダ(3),及び
印刷されたシートを最下流のシート検査ユニットから取り出す移送シリ
ンダを含み,
前記入力移送シリンダ(3),複数のシート検査ユニットの各検査シリ
ンダおよび前記移送シリンダは,印刷されたシートを前記入力移送シリン
ダ(3)から各検査シリンダおよび前記移送シリンダへ直接的かつ継続的
に運搬するように配置され,かつ
各シート検査ユニット,前記入力移送シリンダ(3),および前記移送
シリンダは,印刷されたシートの検査が各シート検査ユニットによりされ
た後に検査済の印刷されたシートを各検査シリンダから取り出すように構
成されている,検査機械。」である点。
イ本件発明1と甲1発明との相違点
(ア)相違点1
本件発明1では,複数組のシート検査ユニットの組数が3組であり,
各シート検査ユニットが備えるカメラは線形カメラであり,かつ各シー
ト検査ユニット,入力移送シリンダ(3),および移送シリンダは,
「印刷されたシートの検査が第一シート検査ユニット,第二シート検査
ユニット,または第三シート検査ユニットにより完了したときにのみ検
査済の印刷されたシートを第一,第二または第三検査シリンダ(4,
7,12)から取り出すように構成されている」のに対し,甲1発明で
は,複数組のシート検査ユニットの組数が2組であり,各シート検査ユ
ニットが備えるカメラは線形カメラであるのか否か不明であり,さら
に,各シート検査ユニット,前記入力移送シリンダ(3),および移送
シリンダは,印刷されたシートの検査が各シート検査ユニットによりさ
れた後に検査済の印刷されたシートを各検査シリンダから取り出しては
いるものの,印刷されたシートの検査が各シート検査ユニットにより完
了したときにのみ検査済の印刷されたシートを各検査シリンダから取り
出すように構成されているのか否かは不明な点(以下「相違点1」とい
う。)。
(イ)相違点2
本件発明1のシート検査ユニットは,照明手段を備えているのに対
し,甲1発明のシート検査ユニットは,照明手段を備えているのか否か
不明な点(以下「相違点2」という。)。
(ウ)相違点3
本件発明1では,入力移送シリンダ(3),複数のシート検査ユニッ
トの各検査シリンダおよび前記移送シリンダは,相互に対して直接接触
する状態で配置されているのに対し,甲1発明では,第2検査胴12が
「第1検査胴10に対接して設けられ」てはいるものの,全てのシリン
ダが相互に対して直接接触する状態で配置されているのか否か不明な点
(以下「相違点3」という。)。
ウ本件発明13と甲3発明との一致点
「有価証券,紙幣,銀行券,パスポート,およびその他の同様書類等印刷
されたシート(sheet)形態の印刷物の検査方法であって,
印刷された継続シートを,検査のために,複数組の検査ユニットの一の
検査ユニットへ供給器から移送し,印刷されたシートを,検査が実行され
る検査ユニットの検査シリンダにより検査が実行される検査ユニットへ運
搬し,
複数組の検査ユニットで検査機器により実行される検査には,透過によ
る検査,印刷されたシートの第一側の検査,印刷されたシートの第二側の
検査が含まれ,
一の検査ユニットにおける検査後に,印刷されたシートを次の検査ユニ
ットへ移送し,印刷されたシートの検査を検査機器により実行し,印刷さ
れたシートを,検査が実行される検査ユニットの検査シリンダにより検査
が実行される検査ユニットへ運搬し,
すべての検査機器による検査後に,印刷されたシートをマーキングユニ
ットへ移送し,かつ検査の一つの結果が欠陥を示す場合に欠陥をマーキン
グし,かつ
マーキング実行後に,印刷されたシートを配送ユニットへ運搬し,かつ
印刷されたシートが欠陥としてマーキングされているか否かにより配送パ
イルを分類し,印刷されたシートの検査ユニットから検査ユニットへの移
送を,検査シリンダから検査シリンダへ,直接行う,各工程を含む検査方
法。」である点
エ本件発明13と甲3発明との相違点
(ア)相違点4
本件発明13では,複数組の検査ユニットの組数は3組であり,各検
査ユニットが備える検査機器は線形カメラであり,かつ各検査ユニット
における線形カメラによる検査終了後に,印刷されたシートを次の検査
ユニット又はマーキングユニットへ移送しているのに対し,甲3発明で
は,検査ユニットの組数は2組であり,各検査ユニットが備える検査機
器は線形カメラであるのか否か不明であり,さらに,印刷されたシート
の次の検査ユニット又はマーキングユニットへの移送は,各検査ユニッ
トにおける検査機器による検査後ではあるものの,検査終了後に行われ
るのか否かが不明な点(以下「相違点4」という。)。
(イ)相違点5
透過による検査が,本件発明13では,透明陽画による検査であるの
に対し,甲3発明では,透明陽画による検査であるのか否か不明な点
(以下「相違点5」という。)。
(ウ)相違点6
本件発明13は,「印刷されたシートの第一検査ユニットから第二検
査ユニット,および第二検査ユニットから第三検査ユニットへの移送
を,第一検査シリンダ(4)から第二検査シリンダ(7)へ,かつ第二
検査シリンダ(7)から第三検査シリンダ(12)へ,それぞれ直接行
う」のに対し,甲3発明は,検査ユニットの組数が2組であって,「印
刷されたシートの第一検査ユニットから第二検査ユニット,および第二
検査ユニットから第三検査ユニットへの移送を,第一検査シリンダ
(4)から第二検査シリンダ(7)へ,かつ第二検査シリンダ(7)か
ら第三検査シリンダ(12)へ,それぞれ直接行う」ものではない点
(以下「相違点6」という。)。
第3当事者の主張
1原告の主張
(1)取消事由1(相違点1及び3の認定並びに相違点1についての判断の誤
り)
ア相違点1の認定の誤り
(ア)審決は,甲1発明が,「各シート検査ユニットが備えるカメラは線形
カメラであるのか否か不明」な点において,本件発明1と相違すると認
定した。
しかるに,検査用「カメラ」として線形カメラ(ラインカメラ)を使
用することは周知の技術であり,甲1文献の開示する「カメラ」は,下
位概念の「線形カメラ」を含む。よって,上記審決の認定は誤りであり,
線形カメラを含む点において,本件発明1と甲1発明との間に相違点は
ない。
(イ)審決は,甲1発明が「印刷されたシートの検査が各シート検査ユニッ
トにより完了したときにのみ検査済の印刷されたシートを各検査シリン
ダから取り出すように構成されているのか否か不明な点」において,本
件発明1と相違すると認定した。
しかしながら,本件発明1の「検査が…完了したときにのみ」と甲1
発明の「検査が…された後」とが異なる技術概念であると認定すること
は,当業者の技術常識から著しく乖離しており,誤りである。
イ相違点3の認定の誤り
審決は,甲1発明では,第2検査胴12が第1検査胴10に対接してい
るが,全てのシリンダが相互に対して直接接触する状態で配置されている
のか否か不明な点において,本件発明1と相違すると認定した。
しかるに,甲1発明は,第1検査胴10の入側の渡し胴9から,第1検
査胴10,第2検査胴12を経て,第2検査胴12の出側の第1圧胴14
に至る全てのシリンダが対接して設けられている構造となっており,本件
発明1における「直接接触」は,甲1発明における「対接」と技術的に同
一であるので,これを相違点であるとした審決の認定は誤りである。
ウ相違点1の構成に係る容易想到性判断の誤り
(ア)審決は,相違点1に係る本件発明1の構成の技術的意義について,①
線形カメラを使用することで各検査シリンダの径を小さくして,「コン
パクト形態の検査機械の構築を可能にする」,②径の小さな検査シリン
ダで線形カメラを使用することに伴い,より懸念される「一つのシリン
ダから他のシリンダへの移送動作」の検査動作への影響を,「印刷され
たシートの検査が第一シート検査ユニット,第二シート検査ユニット,
または第三シート検査ユニットにより完了したときにのみ検査済の印刷
されたシートを第一,第二または第三検査シリンダ(4,7,12)か
ら取り出すように構成されている」ことにより排除する,などと認定し
た上,上記の技術的意義に関する記載や示唆は,甲2文献ないし甲6文
献のいずれにも見い出し得ず,甲1発明ないし甲6発明を有機的に組み
合わせて,相違点1に係る本件発明1の構成を導き出す動機付けは存在
しないと結論付けている。
しかしながら,審決が認定した線形カメラ特有の技術的意義は,本件
明細書の「発明の詳細な説明」に全く記載されていないことを勝手に推
測で認定したものである。
また,本件明細書には,「カメラ6,例えば,それ自体既知のCCD
カメラがこの照明により創出される画像を撮影する」,「好適には,使
用されるカメラは,検査されるシートの継続線形画像を撮影する線形C
CDカメラである」と,「既知のCCDカメラ」を使用しても実施でき
ることが明記されているから,線形カメラでないCCDカメラを使用し
ても,審決が述べる上記の技術的意義に係る本件発明1の作用効果を達
成することができる。
よって,相違点1に係る本件発明1の構成を導き出す動機付けは存在
しないとの審決の判断は,その前提となる技術的意義の認定からして誤
りである。
(イ)相違点1において真に相違するのは,単なる設計事項にすぎない検査
ユニットの組数のみであることからすれば,本件発明1は,甲1発明単
独により容易に発明することができる。
また,審決の認定する相違点1を前提としても,検査ユニットの組数
は単なる設計事項にすぎないこと,検査用カメラとして線形カメラを用
いることは周知の技術であり,検査用カメラをどの形式のカメラとする
かは,検査目的及び検査対象に応じて設計者が選択する,単なる設計事
項にすぎないこと,甲2文献には,カメラによる撮影が終了した後に初
めてシートを次のシリンダ等に引き渡す構成が記載されていることから
すれば,本件発明1は,甲1発明に甲2発明を組み合わせることにより,
当業者にとって容易に発明することができるものであり,進歩性がない。
被告は,甲1文献及び甲2文献を組み合わせる動機も示唆もないと主
張する。しかし,甲1発明及び甲2発明は,いずれも検査シリンダによ
り搬送されるシートを検査用カメラで検査する構成であり,全く同一の
技術分野に属するし,両発明の課題は,シートの受け渡し精度を高め,
印刷機内の個々のシートに対する処理の精度を高めるという点において
共通する。よって,両者を組み合わせることは容易である。
なお,相違点2につき,カメラで印刷物の画像を撮影する場合に,撮
像する部分を照明することは極めて技術常識的なことである。
(2)取消事由2(相違点4ないし6の認定及び相違点4についての判断の誤
り)
ア相違点4の認定の誤り
甲3発明における検査ユニットは,本件発明13と同様,3組であるか
ら,審決が,甲3発明が「検査ユニットの組数は2組」である点で本件発
明13と相違すると認定したのは誤りである。
また,審決が,甲3発明は「各検査ユニットが備える検査機器は線形カ
メラであるのか否か不明」な点において本件発明13と相違すると認定し
たのが誤りであることは,甲1発明の場合と同様である。
さらに,甲3発明が「印刷されたシートの次の検査ユニット又はマーキ
ングユニットへの移送は,各検査ユニットにおける検査機器による検査後
ではあるものの,検査終了後に行われるのか否かが不明な点」において本
件発明13と相違するとの審決の認定は,「検査後」と「検査終了後」を
全く異なる技術概念と認定する点で当業者の技術常識から著しく乖離し,
誤りである。
イ相違点5の認定の誤り
審決は,透過による検査が,本件発明13では透明陽画による検査であ
るのに対し,甲3発明では透明陽画による検査であるのか否か不明である
と認定する。しかるに,甲3発明では,「透過によって検査することがで
きるカメラ5が設けられ」,「カメラ5と対面し且つシートに対してカメ
ラ5の反対側においてシートを照らす照明機器6が設けられる」のである
から,撮影される画像は本件発明13におけるものと同じ透過によって得
られる画像である。
したがって,審決が相違点5に係る相違点を認定したことは誤りである。
ウ相違点6の認定の誤り
甲3発明における検査ユニットは,本件発明13と同様に3組である。
また,移送を「それぞれ直接行う」ということが,検査ユニットと検査ユ
ニットとの間に中間胴,渡し胴などが介在されていないということであれ
ば,甲3発明もそのようになっている。
よって,審決が相違点6に係る相違点を認定したことは誤りである。
エ相違点4の構成に係る容易想到性判断の誤り
審決は,相違点4についても,実質的に相違点1と差異がないとして,
相違点4に係る本件発明13の構成を導き出す動機付けが存在しないと判
断しているが,相違点1についての判断と同様の誤りがある。
審決の認定する相違点4を前提としても,本件発明13は,甲3発明に
甲1発明及び甲2発明を組み合わせることにより,当業者によって容易に
発明することができるものであり,進歩性がない。
2被告の主張
(1)取消事由1について
ア相違点1の認定の誤りについて
(ア)検査用カメラとして線形カメラを使用することが周知技術であったと
しても,甲1文献には,検査用カメラ一般の中から特に線形カメラを選
択すべきことについて,記載も示唆もない。
甲1文献によれば,甲1発明の課題は,シートの受け渡し精度を高め,
一回の印刷で様々な種類の番号印刷を可能にして印刷精度の向上を図り,
かつ,別個に印刷機を用いることを不要にしてコストを大幅に削減でき
る検査輪転印刷機を提供することにあり,印刷物の検査それ自体は課題
とされていない。また,甲1発明の課題解決手段は,主として検査部か
ら印刷部の第1圧胴への受け渡しの構成にあり,検査用カメラとはおよ
そ無関係である。このように,検査用カメラとはおよそ無関係な技術的
意義を有する甲1発明において,カメラに対するシートの移動速度とカ
メラによる撮像タイミングとが同期されている必要がある等のデメリッ
トをも有する線形カメラが,「検査用カメラ」一般の中から特に選択さ
れていると見ることは到底できず,甲1発明の検査ユニットが備えるカ
メラが線形カメラか否か不明であるとする審決の相違点1の認定には,
何らの瑕疵はない。
(イ)本件発明1と課題も技術的手段も異なる甲1発明の明細書等には,線
形カメラを用いて検査シリンダを小型化する際に検査精度を確保すると
いう技術的意義を有する「検査が完了したときにのみ検査済の印刷され
たシートを各検査シリンダから取り出す」という本件発明1の構成につ
いては,課題も示唆もないから,審決が,甲1発明は上記構成の有無が
不明であると認定したことは,極めて妥当な認定である。
イ相違点3の認定の誤りについて
甲1発明の課題は,シートの受け渡し精度を高め,一回の印刷で様々な
種類の番号印刷を可能にして印刷精度の向上を図り,かつ,別個に印刷機
を用いることを不要としてコストを大幅に削減できる検査輪転印刷を提供
することにある。そして,甲1発明の技術的意義は,主として,検査部で
ある第2検査胴から印刷部である第1圧胴への受け渡し精度を高めるべく,
第2検査胴と第1圧胴を対接させることに意義があるといえる。他方で,
渡し胴9から第1検査胴10への受け渡しの精度を高めることは何ら課題
とされていない。したがって,渡し胴9と第1検査胴10を対接させるこ
とは,技術的手段として開示されていない。
このように,甲1発明の課題及び技術的意義からすれば,渡し胴9と第
1検査胴10が対接するとの構成が開示されているとはいえず,審決の認
定に誤りはない。
ウ相違点1の構成に係る容易想到性判断の誤りについて
(ア)本件発明1において検査用カメラに採用された線形カメラは,線状の
画像を連続的に撮影することにより,対象物の二次元画像を得るための
カメラである。かかる線形カメラを検査に用いることで,検査シリンダ
の撮影部分は円筒面上の軸線に平行な「直線」となり,この直線部分の
みがカメラから見えれば足りることとなるから,一定面積を撮像すると
いうエリアカメラと異なり,一定の領域を一度に平面的に見渡すように
設計する必要がない。したがって,かかる線形カメラを検査用カメラに
用いることにより,検査シリンダの径を小さくすることが可能となり,
これにより,大型化を防止しながら,1台の検査機械に3つの検査シリ
ンダを搭載することが可能となる。
他方,線形カメラは,多数の線状画像を連続的に撮影するものである
から,カメラに対するシートの移動速度とカメラによる撮像タイミング
とが同期されている必要があるが,シートが一つの検査シリンダから次
の検査シリンダに移送される際には,シートをシリンダ上で把持するグ
リッパ間のシート先端部の受け渡しなどにより,シリンダ上でシートが
わずかに滑ることが生じる可能性がある。このようなシートの滑りは,
シートの移動速度を変動させることになり,カメラによる撮像タイミン
グとの同期が乱れる可能性がある。そこで,本件発明1においては,か
かる問題を解決するため,印刷されたシートの検査が各検査ユニットに
より完了したときにのみ検査済みの印刷されたシートをそれぞれの検査
ユニットから取り出す構成としている。
このように,本件発明1は,(i)検査用カメラに線形カメラを用いる
ことにより,各検査ユニット(検査シリンダ)を小型化して,(ii)1台
の検査機械に3つの検査ユニット(検査シリンダ)を設置することを可
能とし,さらに,(iii)上記小型化により生じるおそれのある検査精度
の低下を,「印刷されたシートの検査が各検査ユニットにより完了した
ときにのみ検査済の印刷されたシートを各検査シリンダから取り出す」
構成とすることにより防止し,検査精度を向上させたものである。
本件特許発明は,かかる3つの技術的手段を同時に採用し,これらを
有機的に結合することにより,①既知検査機械及び方法を改良し,②印
刷されたシートの検査を実行するために必要な運搬及び検査時間を最適
化し,③コンパクト形態の検査機械の構築を可能にし,④簡単かつ信頼
性のある検査機械及び方法を提供する,という本件発明により解決され
るべき課題を解決するものである。
(イ)原告は,本件発明1の技術的意義を線形カメラ特有の技術的意義と認
定することはできないと主張するが,当業者の技術常識である線形カメ
ラの性質を前提に,本件明細書の記載によれば,当業者は,①線形カメ
ラを用いることにより検査シリンダの径を小さくすることが可能となり,
「コンパクト形態の検査機械の構築」に寄与する,②「シートは,次の
検査シリンダへ移送される前に,完全に検査され」ることにより「シー
トは適正に検査され,かつ一つのシリンダから他のシリンダへの移送動
作は検査動作それ自体に影響を与えない」とともに「信頼性のある検査
機械および方法を提供する」ことが可能となる,という線形カメラ特有
の技術的意義を当然に理解することができるから,原告の主張は失当で
ある。
(ウ)原告は,線形カメラでないCCDカメラを使用しても,審決が述べる
本件発明1の課題及び作用効果を達成することができると主張する。
しかしながら,本件発明1の請求項には,カメラは「線形カメラ」で
あることが明記されており,本件明細書の段落【0020】には,「好
適には,使用されるカメラは,検査されるシートの継続線形画像を撮影
する線形CCDカメラである。…各シリンダ4,7,12のエンコーダ
リーディングとカメラ画像撮影間の完全一致のために,シートは,次の
検査シリンダへ移送される前に,完全に検査されなければならない。各
シリンダの相対的位置は,移送前の完全検査のかかる条件が維持される
ように,する必要がある。この場合,シートは適正に検査され,かつ一
つのシリンダから他のシリンダへの移送動作は検査動作それ自体に影響
を与えない。」と記載されている。
これらに照らせば,本件発明1は,上記段落に記載された線形CCD
カメラを用いる実施例をクレームした発明であることは明らかであって,
審決も,上記段落等を根拠に特許発明1の技術的意義を認定しているも
のであるから,段落【0012】の記載に「それ自体既知のCCDカメ
ラが」と記載されていることは,本件発明1の技術的意義を認定するに
当たって直接の関係はない。
したがって,線形カメラではないCCDカメラを使用しても本件発明
の課題及び作用効果を達成することができるとの原告の主張は失当であ
る。
(エ)原告は,審決の認定した相違点1を前提としたとしても,本件発明1
は,甲1発明に甲2発明を組み合わせることにより,当業者にとって容
易に発明することができると主張する。
この点,甲2発明においては,「保持装置によりシート(枚葉紙)を
緊張した状態」にしてシートの撮影を行うことにより,「折り目を有す
るシート又は褶曲したシートに基づき生ぜしめられるミス測定が回避さ
れる」という効果が奏せられることから,必然的に「枚葉紙の像を撮影
した後に枚葉紙をドラム等に引き渡す」ようにせざるを得ないのであり,
「保持装置によりシートを緊張した状態」にして検査を行うことと「枚
葉紙の像を撮影した後に枚葉紙をドラム等に引き渡す」こととは不可分
一体の関係にあるから,甲2文献に「枚葉紙の像を撮影した後に枚葉紙
をドラム等に引き渡す」ことのみの構成が開示されているのではない。
むしろ,保持装置を用いてシートを緊張した状態にして検査を行うので
はない本件発明1に「検査が完了したときにのみ検査済の印刷されたシ
ートを検査シリンダから取り出す」という構成を採用する上では,阻害
要因となるものといえる。
また,この点を措くとしても,甲2発明では線形カメラが用いられて
おらず,本件発明1とは明確に異なるものである。
よって,甲1発明に甲2発明を適用しても,本件発明1と同様の構成
にはなり得ない。
さらに,甲1文献及び甲2文献には,本件発明1の特徴点に到達する
ためにしたはずであるという示唆等は全く存在しないから,上記各文献
には両者を組み合わせて相違点1に係る本件発明1の特定事項を導き出
す動機も示唆もない。
よって,本件発明1は甲1発明に甲2発明を組み合わせることにより
容易に発明できるとの原告の主張は,失当である。
(2)取消事由2について
ア相違点4の認定の誤りについて
本件発明13においては,3組の検査ユニットは,別個の3つの検査シ
リンダに備わることが前提とされているところ,甲3発明においては,検
査ユニットは3組であるとしても,それが備わっている検査シリンダは2
つであるから,検査ユニットの数としては2組にすぎない。よって,検査
ユニットの数についての審決の相違点4の認定に誤りはない。
また,甲3文献についても,甲1文献同様,検査用カメラ一般の中から
特に線形カメラを選択すべきことについては記載も示唆もなく,甲3文献
に線形カメラが開示されているということはできない。
さらに,本件発明13の「検査終了後に」の趣旨が,本件発明1と同様
「検査が…完了したときのみ」を意味することは,当業者であれば本件明
細書の記載から容易に理解できるところ,甲3発明には,「検査終了後」,
すなわち,「検査が…完了したときのみ」の構成は採用されていないので
あるから,かかる点を相違点と認定した審決に誤りはない。
イ相違点5の認定の誤りについて
甲3文献には,「透明陽画」による検査を行うとの記載は一切なく,甲
3発明では透明陽画による検査を行っているか不明であるとの審決の認定
に誤りはない。
ウ相違点6の認定の誤りについて
本件発明13と甲3発明とは構成が明らかに異なっており,審決が相違
点6を認定した理由は明白である。
エ相違点4の構成に係る容易想到性判断の誤りについて
原告は,甲3発明に甲1発明及び甲2発明を組み合わせることにより,
本件発明13の構成とすることは当業者にとって容易であると主張するが,
甲1発明及び甲2発明を組み合わせることが容易想到ではないことは既述
のとおりであり,それに加えて甲3発明を組み合わせることは,より一層
容易想到ではないから,原告の主張は失当である。
第4当裁判所の判断
当裁判所は,本件発明1と甲1発明との相違点1及び本件発明13と甲3発
明との相違点4についての容易想到性に関する審決の判断には誤りがあり,こ
の審決の判断の誤りは本件特許の全ての請求項についての審決の結論に影響を
及ぼすものであるから,審決は全ての請求項について取消しを免れないと判断
する。その理由は次のとおりである。
1取消事由1について
(1)相違点1の認定の誤りについて
ア甲1発明について
本件特許出願の優先権主張日(以下「本件優先日」という。)以前に公
開された甲1文献には,以下の記載がある(甲1。図面は,別紙「甲1発
明の図面」のとおり。)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,シートの検査を行いそのシートに番号や印章の印刷を行う検
査輪転印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
有価証券等の印刷においては,絵柄を印刷した上へさらに印章や番号を
追加して印刷することが行われ…
【0008】
【発明が解決しようとする課題】

【0010】
そこで,本発明は,シートの受け渡し精度を高めると共に一回の印刷で
様々な種類の番号印刷を可能にして印刷精度の向上が図れ,且つ別個に印
刷機を用いることを不要としてコストを大幅に削減できる検査輪転印刷機
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明に係る検査輪転印刷機は,シートを
保持し周面へ巻き付けながら搬送する第1検査胴と,該第1検査胴の周面
に対向して設けられ同第1検査胴により搬送されるシートを検査する第1
検査装置と,前記第1検査胴に対接して設けられ同第1検査胴から受け取
った前記シートを周面に巻き付けながら搬送する第2検査胴と,該第2検
査胴の周面に対向して設けられ同第2検査胴により搬送されるシートを検
査する第2検査装置とを備えた検査部と,前記検査部により検査されたシ
ートに対して印刷を行う印刷部と,を備えた検査輪転印刷機において,前
記印刷部は,前記第2検査胴に対接して設けられ同第2検査胴から受け取
った前記シートを周面に巻き付けながら搬送する第1圧胴と,該第1圧胴
により搬送される前記シートに対して印章を印刷する印章胴と,前記第1
圧胴により搬送される前記シートに対して番号を印刷する第1及び第2番
号胴と,前記第1圧胴に対接して設けられ同第1圧胴から受け取った前記
シートを搬送する渡し胴と,該渡し胴に対接して設けられ同渡し胴から受
け取った前記シートを周面に巻き付けながら搬送する第2圧胴と,該第2
圧胴により搬送される前記シートに対して番号を印刷する第3及び第4番
号胴と,を備えていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】

【0017】
前記検査部2は,シート5を保持し周面へ巻き付けながら搬送する第1
検査胴10と,該第1検査胴10の周面に対向して設けられ同第1検査胴
10により搬送されるシート5を検査する第1検査装置としての表面検査
用カメラ11と,前記第1検査胴10に対接して設けられ同第1検査胴1
0から受け取った前記シート5を周面に巻き付けながら搬送する第2検査
胴12と,該第2検査胴12の周面に対向して設けられ同第2検査胴12
により搬送されるシート5を検査する第2検査装置としての裏面検査用カ
メラ13とを備える。
【0025】
このように構成されるため,給紙部1から検査部2に送られたシート5
は,先ず第1検査胴10で表面検査用カメラ11により表面を検査された
後,第2検査胴12に受け渡され,ここで裏面検査用カメラ13により裏
面を検査される。
【0026】
次に,シート5は,第2検査胴12から直接印刷部3の第1圧胴14へ
受け渡され,そこで印章胴15による印章印刷と第1番号胴16及び第2
番号胴17による第1及び第2の番号印刷が施される。
イ甲1文献の上記記載によれば,次の内容の甲1発明が開示されていると
認められる。
有価証券等の絵柄が印刷されたシート5の検査輪転印刷機であって,
給紙部1を有し,
前記シート5を搬送する第1検査胴10,該第1検査胴10により搬送
される前記シート5を検査する表面検査用カメラ11,前記第1検査胴1
0に対接して設けられ同第1検査胴10から受け取った前記シート5を搬
送する第2検査胴12,該第2検査胴12により搬送される前記シート5
を検査する裏面検査用カメラ13,及び表面検査用カメラ11及び裏面検
査用カメラ13による検査に基づき印刷の良否を判断するための判断手
段,
前記シート5を第1検査胴10へ連続的に運ぶための渡し胴9,ならび

第2検査胴12から受け取った前記シート5を搬送する第1圧胴14を
備え,
前記渡し胴9,第1検査胴10,第2検査胴12,及び第1圧胴14
は,相互に対し対接して設けられ,印刷されたシートは渡し胴9から第1
検査胴10に送られ,第2検査胴12に受け渡され,第1圧胴14へ受け
渡され,かつ
前記シート5は,第1検査胴10で表面検査用カメラ11により表面を
検査された後,第2検査胴12に受け渡される,検査輪転印刷機。
ウ(ア)原告は,甲1発明が「各シート検査ユニットが備えるカメラは線形カ
メラであるのか否か不明」であるとした審決の認定は誤りであると主張
する。
しかし,甲1文献には,検査用カメラとして線形カメラを選択すべき
ことについては何らの記載もないから(甲1。前記ア参照),甲1発明
における検査用カメラは線形カメラであるのか否か不明であるとした審
決の認定に誤りはない。原告の上記主張は理由がない。
(イ)原告は,甲1発明が「印刷されたシートの検査が各シート検査ユニッ
トにより完了したときにのみ検査済の印刷されたシートを各検査シリン
ダから取り出すように構成されているのか否か不明な点」において,本
件発明1と相違するとの審決の認定は誤りであると主張する。
しかしながら,甲1文献には,「先ず第1検査胴10で表面検査用カ
メラ11により表面を検査された後,第2検査胴12に受け渡され,こ
こで裏面検査用カメラ13により裏面を検査される」(甲1【002
5】)との記載はあるものの,検査が各シート検査ユニットにより完了
したときにのみ検査済みの印刷されたシートを各検査シリンダから取り
出す,との記載は見当たらないから(甲1),そのように構成されてい
るか否か不明であるとの審決の認定が誤りであるということはできず,
原告の上記主張は理由がない(ただし,この点は一応の相違点であるに
すぎず,実質的な相違点とはいい難いことは,後記(2)イ(ア)のとおりで
ある。)。
(ウ)以上によれば,甲1発明と本件発明1との間には,審決が認定したと
おり,相違点1が存在すると認められる。
なお,審決は,甲1発明と本件発明1との相違点3として,本件発明
1では,入力移送シリンダ(3),複数のシート検査ユニットの各検査
シリンダおよび前記移送シリンダは,相互に対して直接接触する状態で
配置されているのに対し,甲1発明では,第2検査胴12が「第1検査
胴10に対接して設けられ」てはいるものの,全てのシリンダが相互に
対して直接接触する状態で配置されているのか否か不明な点を認定して
いる。しかし,甲1文献の図1から,渡し胴9と第1検査胴10とが接
していると解することができ,シートが受け渡されるとの作用を踏まえ
ると,渡し胴と第1検査胴とは第1検査胴と第2検査胴,第2検査胴と
第1圧胴と同様に対接していると認められる。そして,本件発明1にお
ける「直接接触」は,甲1発明における「対接」と技術的に同一である
と解されるので,審決の相違点3の認定は誤りであると解される。
(2)相違点1の構成に係る容易想到性判断の誤りについて
審決は,「訂正特許発明1(判決注・本件発明1。この項において以下同
じ。)が相違点1に係る特定事項を備える技術的意義は,検査機械が,シー
ト検査ユニットを3組備えることにより,少なくとも3種類の検査を印刷済
みシートに行うことが可能となること,また,一の検査機械が検査シリンダ
を3つも備えていながらも,線形カメラを使用することで各検査シリンダの
径を小さくして,「コンパクト形態の検査機械の構築を可能にする」…こと,
さらに,径の小さな検査シリンダで線形カメラを使用することに伴い,より
懸念される「一つのシリンダから他のシリンダへの移送動作」の検査動作へ
の影響を,「印刷されたシートの検査が第一シート検査ユニット,第二シー
ト検査ユニット,または第三シート検査ユニットにより完了したときにのみ
検査済の印刷されたシートを第一,第二または第三検査シリンダ…から取り
出すように構成されている」ことにより排除し,シートを適正に検査し,
「信頼性のある検査機械および方法を提供する」…ことにあるものといえ
る。」,「甲第2~6号証(判決注・甲2ないし甲6文献。この項において
以下同じ。)には,相違点1における訂正特許発明1の特定事項が断片的に
は窺えるが,上記「(1)訂正特許発明1の技術的意義」で検討した,特定の
目的のために「線形カメラ」を使用し,かつ,特定の目的のために「線形カ
メラ」と「印刷されたシートの検査が第一シート検査ユニット,第二シート
検査ユニット,または第三シート検査ユニットにより完了したときにのみ検
査済の印刷されたシートを第一,第二または第三検査シリンダ…から取り出
す」事項とを併せ持つという相違点1に係る訂正特許発明1の技術的意義に
関する記載や示唆は,甲第2~6号証のいずれにも見い出し得ないのである
から,「コンパクト形態の検査機械の構築を可能とし」,「信頼性のある検
査機械および方法を提供する」という課題の下,甲1発明~甲6発明を有機
的に組み合わせて,相違点1に係る訂正特許発明1の特定事項を導き出す動
機付けは存在しない。」と判断した。
アそこで,相違点1のうち,まず検査ユニットの組数と線形カメラの相違
点に係る構成の容易想到性について判断する。
(ア)甲1発明においては,2組の検査ユニットが設けられているのに対し,
本件発明1においては,3組の検査ユニットが設けられている。この点
については,検査装置において,検査ユニットを何組設けるかは,検査
目的や検査対象を考慮して,当業者が適宜選択し得る設計事項であると
いうことができるから,甲1発明について,検査胴及び検査装置から成
る検査ユニットを3組設けることは,当業者が適宜行い得るものと解さ
れる。したがって,検査ユニットの組数を3組とすることについて,引
用文献に明示的な開示が必要であると解することはできない。
(イ)次に,線形カメラについては,公知文献に次の記載がある。
a甲4発明について
(a)本件優先日以前に公開された甲4文献には,以下の記載がある
(甲4。図面は,別紙「甲4発明の図面」のとおり。)。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,赤外線反射吸収インキを用いた印刷物の検査装置に関
する。特に,偽造防止のために赤外線インキを用いる印刷機におい
て,その品質管理を向上させたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の赤外線印刷物検査装置の実施の形態としては,…赤外線
センサとしては,その用途或いは目的に応じて,多様なものが用い
られる。
【0013】
例えば,図4(a)に示すように,銀行券等シート40の一部の
領域を検出するスポットセンサ41を用いることができる。…
【0014】
また,図4(b)に示すように,銀行券等シート40の印刷方向
に対して横方向に密着型ラインセンサユニット又はCCDラインセ
ンサ42を配設して,銀行券等シート40の搬送に伴い,銀行券等
シート40の全面を検査できるようにすることもできる。更に,図
4(c)に示すように,銀行券等シート40より一定高さにカメラ
等のエリアセンサ43を設け,銀行券等シート40の全面を一度に
撮影するようにしても良い。このとき,赤外光は斜め横から照射す
る。
【0020】
【実施例】
本発明の一実施例に係る赤外線印刷物検査装置を図1及び図2に
示す。同図に示すように,本実施例は,小型凹版印刷機に複数の密
着型ラインセンサ3を配置し,信号処理装置12,パーソナルコン
ピュータ11と接続して,銀行券等シート14をオンラインで検査
できるように構成したものである。即ち,一定速度で回転する圧胴
13には,印刷後の銀行券等シート14が密着して搬送されると共
にこの銀行券等シート14には小切れ面(以下,検査対象と言う)
が横に3列に配列されている。
【0021】
この銀行券等シート14の各検査対象の列に対応して,それぞ
れ,密着型ラインセンサ3が設けられており,…
【0028】
…検査の際には,各ラインセンサ3における赤外LEDの光量を設
定し,印刷の為に銀行券等シート14を供給し,圧胴13にて搬送
中に印刷され,そのまま圧胴に密着して搬送されるときに,印刷済
の銀行券等シート14を各ラインセンサ3にて,各検査対象の画像
を取り込む。…
(b)甲4文献の上記記載によれば,甲4文献には,偽造防止のために
赤外線インキを用いた印刷物の検査装置の発明に関し,銀行券等シ
ートが圧胴に密着して搬送されるときに,検査対象である印刷済み
の銀行券等シートの画像をラインセンサにて取り込む構成(甲4発
明)が記載されており,ここにおける「ラインセンサ」とは,その
機能に照らして,対象物の線状画像を連続的に撮影する「線形カメ
ラ」に相当するものと認められる(甲4)。
b甲5発明について
(a)本件優先日以前に公開された甲5文献には,以下の記載がある
(甲5)。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,紙幣等の紙葉類の種類や真偽を判定する紙葉類識別装
置及び方法に関し,特に,輪郭に対する絵柄の位置ずれが存在する
場合がある米ドル紙幣の様な紙葉類を識別対象とした紙葉類識別装
置及び方法に関する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は,紙幣等の紙葉類の種類や真偽を判定する紙葉類識別装
置及び方法に関するものであり,本発明の上記目的は,装置の発明
においては,紙葉類の全面の画像を採取してその絵柄を基に少なく
とも前記紙葉類の種類を判定する紙葉類識別装置において,前記紙
葉類の外周辺から絵柄までの余白長を基に外形から見た絵柄のずれ
量を検出し,検出したずれ量により前記紙葉類の画像認識の基点と
なる画素位置を補正することによって達成される。
【0009】
また,絵柄を有する紙葉類に光を照射して,該紙葉類から得られる
透過光と反射光の内,少なくとも反射光を受光して前記紙葉類の絵
柄を対象として識別する紙葉類識別装置…
【0013】
図1は,本発明に係る紙葉類(以下,「紙幣」を例とする)識別
装置の主要部の構成例をブロック図で示している。図1において,
光学センサ部10は,図示しない紙幣搬送路上の所定の位置に,紙
葉類1の搬送方向に直行して多数の検出器を配列したもので,LE
Dアレイ,フォトダイオードアレイなどから成るイメージラインセ
ンサで構成される。光学センサ部10では,紙幣1が搬送されるの
に伴い紙幣上を面状に走査し,紙幣上の各位置での反射光や透過光
など物理量の分布を検出する。なお,本実施例では,透過型と反射
型の両方のセンサ部を有する光学センサを用いた場合を例として説
明する。
【0020】
図2は,多波長光源を有する透過/反射型ラインセンサ100の
構成例を示している。ラインセンサ100は長形状の対向した発光
部110及び受発光部120で成っており,被識別媒体としての紙
幣は,発光部110及び受発光部120の間の紙幣通路を搬送され
るようになっている。…
(b)甲5文献の上記記載によれば,甲5文献には,紙幣等の紙葉類の
種類や真偽を判定する紙葉類識別装置に関し,対象となる紙幣類
は,紙幣通路を搬送される際に,イメージラインセンサで構成され
る光学センサによって面状に走査される構成が記載されており(甲
5発明),ここにおける「イメージラインセンサ」とは,その機能
に照らして「線形カメラ」に相当するものと認められる(甲5)。
c甲8文献について
本件優先日以前に公開された特開平2-163879号公報(甲
8。以下「甲8文献」という。)には,以下の記載がある。
<産業上の利用分野>
本発明は,印刷物の検査及び検品を行うシステムにあって,不良印
刷物を自動的に検出するための印刷物の品質検査装置及びその方法に
関する。(第2頁左上欄第13~16行)
<従来の技術とその課題>
このため,印刷機又は印刷物を搬送する過程にて,検査や検品を自
動的に行なうシステムが開発されつつある。例えば最終圧胴上のライ
ンを高輝度にて照明する投光部と,上記ライン上を受光するラインカ
メラとを有し,更にこのラインカメラによる画像情報と基準となる画
像情報とを比較して欠陥の有無を判定する画像処理部を有するシステ
ムが提案されている。(第2頁右上欄第8~16行)
<実施例>
…第1図において,カラーラインカメラ1は,撮像素子にCCDを用
いて印刷画像の1ラインごとにR,G,B3原色に分光した濃淡レベ
ルの画像情報を出力するものであり,第2図に示すように胴2上の印
刷物からの反射光を受光するようになっている。(第3頁左上欄第1
1~17行)
d甲9文献について
本件優先日以前に公告された実公平4-45888号公報(甲9。
以下「甲9文献」という。)には,以下の記載がある。
(産業上の利用分野)
本考案は,枚葉印刷機の圧胴などの回転胴に対設された印刷品質検
査装置の印刷品質の誤検出を防止する印刷品質誤検出防止装置に関す
るものである。(第1頁左下欄第12~15行)
(従来の技術)
…該印刷品質検査装置5は,光源6に連結した光ファイバ7の先端か
ら印刷紙aの印刷面に光を照射し,反射光をラインカメラ8で受けカ
メラコントロールボックス9を経て制御デスク10へ入力して印刷品
質をチェックする構造になっていて,光ファイバー7の先端とライン
カメラ8は圧胴1の巾方向に配置され,光ファイバ7は印刷紙の巾方
向の印刷面全域にわたって光があてられる構造になっており,印刷面
の不良を発見すると制御デスク10のランプが点灯し,ブザーがなる
…(第1頁右下欄第3~13行)
e甲10文献について
本件優先日以前に公開された特開平5-254091号公報(甲1
0。以下「甲10文献」という。)には,以下の記載がある。
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は請求項1の上位概念による印刷されたシートをコントロー
ルするための装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は,チエーングリッパ装置によって搬送される移動中
の印刷されたシートをコントロールするための装置であって,光学/
電子式コントロール装置(例えばCCD-ラインカメラまたはCCD
-面カメラ)をグリッパ装置の戻り路の下方に位置決めし,かつそれ
にもかかわらずシートの印刷された表面を走査することが可能である
ものを見出すことである。
【0005】
…シートが例えばCCD-ラインカメラまたはCCD-面カメラ16
を用いた光学/電子式の品質コントロールを受ける間はシートはピン
と張って,折り目のない状態に整えられていることが重要である。
f上記甲8文献ないし甲10文献には,印刷物の品質検査装置におい
て,検査対象たる印刷物の画像情報を取り込む手段としてラインカメ
ラ(線形カメラと認められる。)を用いる構成が記載され,特に,甲
8文献及び甲9文献には,従来の技術としてラインカメラの使用につ
いての言及がされている。
g上記甲4文献,甲5文献,甲8文献ないし甲10文献の記載によれ
ば,検査機械の検査用カメラとして線形カメラを用いることは,本件
優先日以前において周知の技術であったと認めることができる。
(ウ)もともと,検査装置の検査用カメラとしてどのようなカメラを用いる
かは,検査目的や検査対象を考慮の上,当業者が適宜に選択し得る設計
事項であるから,甲1発明について,検査対象であるシートの画像を撮
影するためのカメラとして,上記のとおり周知の技術である線形カメラ
を選択することは,当業者が適宜行い得るものと解される。
また,機械や器具の小型化や軽量化という課題自体は,一般的な課題
であるだけでなく,甲1発明において,検査ユニットの組数を増やすこ
とに伴い,各検査ユニットの小型化の必要性が当然に生じるものである。
検査ユニットの小型化のためには,構成部材である検査シリンダを小型
化したり,これに用いる検査用カメラとして周知の技術である線形カメ
ラを採用することも,甲1文献その他の引用文献に線形カメラの採用が
装置の小型化に資することについての特段の示唆等がなくても,当業者
において適宜に選択し得る設計事項であるということができる。
(エ)被告は,原告の主張する引用文献には相違点1に係る本件発明1の特
定事項を導き出す動機も示唆もないと主張する。しかし,甲1発明にお
いて,検査ユニットの組数を1組増やして3組とすることは,引用文献
に明示的な記載がなくとも,検査目的や検査対象を考慮の上,当業者が
適宜なし得る設計的な事項であること,及びこれに伴う各検査ユニット
の小型化のために,検査用カメラとして周知の技術である線形カメラを
用いることが当業者にとって適宜に選択し得る設計事項であることは上
記のとおりであり,被告の主張は理由がない。
イ次に,相違点1のうち,検査の完了に係る構成の容易想到性について判
断する。
(ア)甲1発明が「印刷されたシートの検査が各シート検査ユニットにより
完了したときにのみ検査済の印刷されたシートを各検査シリンダから取
り出すように構成されているのか否か不明」であるとの審決の認定が誤
りであるとはいえないのは,前記(1)ウ(イ)のとおりである。とはいえ,
甲1文献に記載された甲1発明の実施例には,「検査部2に送られたシ
ート5は,先ず第1検査胴10で表面検査用カメラ11により表面を検
査された後,第2検査胴12に受け渡され,ここで裏面検査用カメラ1
3により裏面を検査される。次に,シート5は,第2検査胴12から直
接印刷部3の第1圧胴14へ受け渡され」(甲1【0025】【002
6】)との記載があり,当業者としては,第1検査胴から第2検査胴,
第2検査胴から第1圧胴へのシートの受渡しは,それぞれの検査胴にお
ける検査が完了した後に行われると理解するのが通常であると考えられ
ること,本件明細書には,「印刷されたシートの検査が第一シート検査
ユニット,第二シート検査ユニット,または第三シート検査ユニットに
より完了したときにのみ検査済の印刷されたシートを第一,第二または
第三検査シリンダ(4,7,12)から取り出す」との構成のうち「完
了したときにのみ…取り出す」ことに関する具体的な構成については何
の記載もないこと(甲7,乙1)に照らせば,検査の完了に係る構成に
係る上記相違点は,一応の相違点であるにすぎず,実質的な相違点であ
るとはいい難い。
(イ)また,上記の一応の相違点については,これを相違点であると見て
も,検査機械において,各検査胴の間,あるいは検査胴から後続の搬送
装置へのシートの受渡し時期を,各検査胴における検査が完了した後と
することは,当業者が適宜に採用し得るごく一般的な構成であると解さ
れる。
さらに,本件優先日以前に公表された甲2文献には,印刷されたシー
トを質的に評価するための装置であって,シートの表面及び裏面を検査
するための2つのドラム毎に,当該ドラムに載着されたシートの像を撮
影する撮像装置等が設けられており,シート裏面を検査するための第1
のドラムに載着されたシートの個々の像若しくは全体像を撮影した後に
初めて,シートは表面の検査のための第2のドラムに引き渡され,第2
のドラムに載着されたシートの全体像が完全に検出された後に初めて,
シートが後続の搬送装置に引き渡されるという構成(甲2発明)が記載
されていると認められるところ(甲2),甲2発明が,シートの全体像
が撮影された後に初めて後続のドラムや搬送装置にシートを引き渡す構
成を採用しているのは,ドラムに載着されたシートの受渡しの精度を高
め,ひいてはシートの処理の精度を高めるためと考えられる。
そうすると,甲1発明と甲2発明とは,いずれも検査シリンダないし
ドラムにより搬送されるシートを検査用カメラを用いて検査する装置に
関する,同一の技術分野に属する発明であり,また,検査胴の周面に巻
き付けられたシートの処理の精度を高めることは,検査装置における一
般的な課題であるだけでなく,検査装置の小型化を図るに伴っても必要
となることであるから,甲1発明について,甲2発明の構成を適用して,
各シート検査における検査が完了したときにのみ検査済みのシートを各
検査胴から取り出すように構成することは,当業者が容易に想到し得る
ことであるということができる。
(ウ)被告は,「保持装置によりシートを緊張した状態」にして検査を行う
ことと「枚葉紙の像を撮影した後に枚葉紙をドラム等に引き渡す」こと
とは不可分一体の関係にあるから,保持装置を用いてシートを緊張した
状態にして検査を行うのではない本件発明1に対し,「検査が完了した
ときにのみ検査済みの印刷されたシートを検査シリンダから取り出す」
という構成を適用することについて,阻害要因があると主張する。
しかしながら,ドラムに載着されたシートの受渡しや処理の精度を高
める課題があれば,ドラムに載着されたシートが緊張した状態にあるか
どうかを問わず,当該シートの検査が終了したときのみシートを次のド
ラムに引き渡す構成とすることは可能であり,そして,かかる組合せを
排除するような記載や示唆は,甲1文献及び甲2文献のいずれにも特段
見当たらないから,上記の組合せに対する阻害事由があるとの被告の主
張は,理由がない。
ウ小括
以上によれば,甲1発明について,検査ユニットを2組から3組にする
ことは,当業者が,検査目的や検査対象を考慮の上,適宜選択し得る設計
事項であり,また,それ自体一般的な課題であるとともに検査ユニットの
組数を増やすことによっても生じる,各検査ユニットの小型化という課題
の解決のために,検査カメラとして周知技術である線形カメラを選択する
ことも,当業者が適宜に行い得るものである。
さらに,検査の完了とシートの各検査胴からの取出しに係る本件発明1
と甲1発明との間の相違点は,一応の相違点ではあるものの,実質的な相
違点とはいい難い上,この一応の相違点についても,検査の完了後にシー
トを各検査胴から取り出すとの構成は,当業者が適宜に採用し得るごく一
般的な構成であるにすぎず,加えて,甲1発明において,それ自体一般的
な課題であるとともに検査ユニットの小型化に伴っても生じる,検査胴に
載着されたシートの受渡しや処理の精度を高めるという課題の解決のため
に,甲2発明を適用して,各シート検査における検査が完了したときにの
み検査済みのシートを各検査胴から取り出すように構成することも,当業
者が容易に想到し得ることであるということができる。
よって,甲1発明において相違点1に係る本件発明1の構成とすること
は,当業者であれば,設計事項として適宜選択し得るか,容易に想到し得
るということができ,審決の相違点1に係る容易想到性についての判断は
誤りであるといわざるを得ない。
2取消事由2について
(1)相違点4の認定の誤りについて
ア甲3発明について
本件優先日以前に公表された甲3文献には,以下の記載がある(甲3。
図面は,別紙「甲3発明の図面」のとおり。)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は両面に印刷された用紙,特に有価用紙のシートを処理するため
の装置であって,連続的にシートを供給する供給機器と,移送手段と,上
記シートを処理するための手段と,少なくとも二つの別個のスタックに分
別するための手段とを具備する装置に関し,且つ,この装置を操作する方
法に関する。
【0004】
本発明は,この製造手順における一つの特定の分野,すなわち印刷後で
あって検査および番号付けが行われようとしているシートの処理に関す
る。
【0007】
本発明の装置は,印刷品質を検査するための手段と,通し番号および/
または付加的な要素を印刷するための手段と,番号を検査するためおよび
/または付加的な要素を印刷するための手段と,品質検査手段の一つによ
って基準を満たしていないとみなされたシートにマークを付けるための手
段とを具備することを特徴とする。
【0008】
この装置は,品質検査の作業,通し番号および/または付加的要素を印
刷する作業,この印刷の品質を検査する作業,基準を満たしていないとみ
なされたシートにマークを付け且つシートを適切なスタックに案内する作
業を,単一の通路で実行することを可能にするという利点を有する。
【0015】
本発明の装置に含まれる品質検査用の機器は,第一軸線周りで回転する
第一グループの回転式シート把持部材と,第一軸線に平行な第二軸線周り
で回転する第二グループの回転式シート把持部材とを具備し,これら二つ
のグループの回転は同期しつつ反対向きであり,第一グループから第二グ
ループへのシートの移動は各シートがほぼS字状の通路を辿るように回転
式シート把持部材によって円形通路の接線に沿って行われ,これによりシ
ートの両面のそれぞれが二つの反射式光電子検査手段に対面し,一方の反
射式光電子検査手段は回転軸線のうち一方の軸線周りのシートが移動する
円形通路中に配置され,他方の反射式光電子検査手段は回転軸線のうち他
方の回転軸線周りのシートが移動する円形通路中に配置され,透過式光電
子検査機器は,一方の円形通路および対応の回転軸線の内側に配置され
る。
【0016】
本発明のこの機器の利点は,検査すべきシートが,平坦な移送手段に沿
って移動する代わりに,実際には二つの円弧によって形成されるS字状の
通路に沿って移動することにあり,これにより検査を行うために,占有す
る水平方向の空間を比較的短くして鉛直方向の空間を用いることができ
る。
【0017】
さらに,シートが移動する弧のそれぞれの内部に光電子検査機器を収容
することは,通常占有されないままになっている空間内に機器があるの
で,全ての占有空間を節約することができる。各グループの把持部材は孔
開けされたドラムの横表面上に載置されるかまたは回転軸線と同軸のシャ
フトによって駆動されるアームに締結される。このような機器は,同じ出
願人に同日に提出された並行特許出願に詳細に説明されている。
【0023】
まず,図1に示した機器は,銀行券等の有価用紙のような用紙の印刷済
みシートS用を供給するための供給機器1を具備する。これらシートSは
供給ローラ2を介して移送ドラム3に侵入し,矢印F1の方向に回転駆動
される第一ドラム4に巻き込まれる。第一ドラム4には,シートの前端部
を把持するためのグリッパが設けられる。第一ドラム4には,様々な品質
検査を実行することができるように穴が開けられている。これは,把持さ
れたシートの表面を第一ドラム4の内側から調べることができることが必
要であることによる。ドラム4内の第一の位置には透過によって検査する
ことができるカメラ5が設けられ,ドラム4の外部には,カメラ5と対面
し且つシートに対してカメラ5の反対側においてシートを照らす照明機器
6が設けられる。その後,シートは矢印F1の方向に移動し続け,機器8
に照らされる反射式光電子検査機器7と対面する。シートは吸引機器9に
よって規則正しい配置に保持される。本ケースでは,第一ドラム4が品質
検査機器7を通って回転しているときに列ずつ品質検査が行われる。その
後,シートがドラム4とドラム10との接触地点に到達すると,シートは
把持機器によってドラム10へ移り,別の反射式光電子検査機器7’を通
過する。このとき,シートは照明機器8’によって照らされ,上述したよ
うに列ずつ品質検査が行われ,シートは吸引機器9’によって規則正しく
保持される。むろん,ドラム10’は矢印F1の回転方向とは反対向きの
矢印F2の方向へ回転し,これにより,ドラム4からドラム10へシート
が移るとき,ドラム10の内側を向いているシートの側を変更することが
できる。ドラム10の構成はドラム4の構成に非常に類似している。その
後,シートは,一連の移送ローラ11と,番号付けを行うためおよびアル
ファベット要素を添付するための二つの要素13および14が作用する印
刷ローラ12とを通過する。各印刷要素13および14には,本発明の一
部を形成しないインク充填組立体によりインクが充填される。ローラ13
および14には,このタイプの装置には通常存在するクリーニング機器が
設けられる。
【0026】
シートに番号付けが行われた後,シートは番号付けの印刷品質を検査す
るための光電子機器17を通過する。次いで,シートSはチェーン式移送
機器18に巻き上げられ,そしてマーク機器19を通過する。この機器1
9は,反射または透過による印刷の品質検査の間に,または番号の印刷品
質を検査するための機器によって欠陥があるとみなされたシートの上方部
分にマークを付ける。機器20は,基準を満たしていないとみなされたシ
ートに機器19によって実際にマークが付けられているが否かを検出し,
その後,シートは蓄積機器に向かう。蓄積機器は,良好であるとみなされ
たシート用の第一スタック21と,スクラップであるとみなされたシート
用の第二スタック22とを有し,さらに,良好であるとみなされたシート
を保持するか,または処理中の装置の突然の停止や故障の後の,検査また
は番号付けのされていないシートを保持する第三スタック23を有しても
よい。なお,検査または番号付けのされていないシートはもう一度装置を
通さなければならない。
【0031】
図1において説明した装置は,最も完全な形態であり,シートのスタッ
クSから,反射または透過によって印刷品質の検査を行い,その後,例え
ば組立体15を用いて補足的な印刷を行い,サインまたは日付の添付を行
い,またはその両方を行い,そして番号付けを行い,その後,印刷品質を
検査し,欠陥のあるシート上にマークを付ける機器を介して移送し,そし
て,基準を満たしているシートを基準を満たしていないシートから,およ
び付加的に処理の行われていないシート,すなわち検査または番号付けの
行われていないシートから分別するための蓄積機器に移送する。
イ以上によれば,甲3発明は,以下の発明であると認められる。
銀行券等の有価用紙のような用紙の印刷済みシートを処理するための装
置を操作する方法であって,
連続的に前記シートを供給する供給機器1を具備し,前記シートは供給
ローラ2を介して移送ドラム3に侵入し,矢印F1の方向に回転駆動され
るドラム4に巻き込まれ,
ドラム4内の第一の位置には透過によって検査することができるカメラ
5が設けられ,ドラム4の外部には,カメラ5と対面し且つ前記シートに
対してカメラ5の反対側において前記シートを照らす照明機器6が設けら
れ,前記シートは移動し続け,機器8に照らされる反射式光電子検査機器
7と対面し,第一ドラム4が品質検査機器7を通って回転しているときに
品質検査が行われ,
その後,前記シートがドラム4とドラム10との接触地点に到達する
と,前記シートは把持機器によってドラム10へ移り,別の反射式光電子
検査機器7’を通過し,前記シートは照明機器8’によって照らされ,品
質検査が行われ,
次いで,前記シートはチェーン式移送機器18に巻き上げられ,そして
マーク機器19を通過し,この機器19は,反射または透過による印刷の
品質検査の間に欠陥があるとみなされた前記シートにマークを付け,
その後,前記シートは蓄積機器に向かい,基準を満たしている前記シー
トを基準を満たしていない前記シートから分別する方法。
ウ(ア)原告は,審決が,相違点4として,甲3発明における検査ユニットが
本件発明13と異なり2組であると認定したのは誤りであると主張する。
しかし,甲3発明の検査ユニットについては,カメラ(反射式光電子
検査機器2つ及び透過式光電子検査機器1つ)と,それぞれのカメラと
対になる照明機器からなる検査ユニットは3組といえるものの,それが
備わっている検査シリンダは2つであると認められ(甲3【0015】,
【0023】),検査シリンダを前提とした検査ユニットの数としては
2組であるということができるから,審決の認定に誤りはない。原告の
上記主張は理由がない。
(イ)原告は,甲3発明が「各シート検査ユニットが備えるカメラは線形カ
メラであるのか否か不明」であるとした審決の相違点4の認定は誤りで
あると主張する。
しかし,前記アのとおり,甲3文献には,検査用カメラとして線形カ
メラを選択すべきことについては何らの記載もないから,甲3発明にお
ける検査用カメラは線形カメラであるのか否か不明であるとした審決の
相違点4の認定に誤りはない。原告の上記主張は理由がない。
(ウ)原告は,甲3発明が「印刷されたシートの検査が各シート検査ユニッ
トにより完了したときにのみ検査済の印刷されたシートを各検査シリン
ダから取り出すように構成されているのか否か不明な点」において,本
件発明13と相違するとの審決の相違点4の認定は誤りであると主張す
る。
しかしながら,甲3文献には,カメラによる検査が終了(完了)した
ときにのみ,シートを次の検査ユニット又はマーキングユニットに移送
するとの記載はないから,検査終了後に行われるのか否か不明であると
した審決の相違点4の認定に誤りがあるということはできず,原告の上
記主張は理由がない(ただし,この点は一応の相違点であるにすぎず,
実質的な相違点とはいい難いことは,後記(2)のとおりである。)。
(エ)以上によれば,甲3発明と本件発明13との間には,審決が認定した
とおり,相違点4が存在することが認められる。
(2)相違点4に係る構成の容易想到性の判断の誤りについて
審決は,「相違点4は実質的に上記相違点1と差違のないものである。…
よって,…訂正特許発明1について示した理由と同様の理由により,甲1発
明~甲6発明を有機的に組み合わせて,相違点4に係る訂正特許発明13の
特定事項を導き出す動機付けは存在しない。」と判断した。
しかしながら,甲3発明について,検査ユニットを2組から3組にするこ
とは,当業者が,検査目的や検査対象を考慮の上,適宜選択し得る設計事項
であり,また,それ自体一般的な課題であるとともに検査ユニットの組数を
増やすことによっても生じる,各検査ユニットの小型化という課題の解決の
ために,検査カメラとして周知技術である線形カメラを選択することも,当
業者が適宜に行い得るものである。
さらに,甲3文献の記載(甲3【0023】等)から,当業者としてはド
ラム間でのシートの受渡しは各ドラムにおける検査が完了した後に行われる
と理解するのが通常であると考えられること,本件明細書には「印刷された
シートの検査が第一シート検査ユニット,第二シート検査ユニット,または
第三シート検査ユニットにより完了したときにのみ検査済の印刷されたシー
トを第一,第二または第三検査シリンダ(4,7,12)から取り出す」と
の構成のうち「完了したときにのみ…取り出す」ことに関する具体的な構成
については何の記載もないこと(甲7,乙1)に照らせば,検査の完了とシ
ートの各検査胴からの取出しに係る本件発明13と甲3発明との間の相違点
は,一応の相違点ではあるものの,実質的な相違点とはいい難いし,この一
応の相違点についても,検査の完了後にシートを各検査胴から取り出すとの
構成は,当業者が適宜に採用し得るごく一般的な構成であるにすぎない。加
えて,甲3発明において,それ自体一般的な課題であるとともに検査ユニッ
トの小型化に伴っても生じる,検査胴に載着されたシートの受渡しや処理の
精度を高めるという課題の解決のために,甲2発明を適用して,各シート検
査における検査が完了したときにのみ検査済みのシートを各検査胴から取り
出すように構成することも,当業者が容易に想到し得ることであるというこ
とができる。
よって,甲3発明において相違点4に係る本件発明13の構成とすること
は,当業者であれば,設計事項として適宜選択し得るか,容易に想到し得る
ということができ,審決の相違点4に係る容易想到性についての判断は,相
違点1についての判断と同様の理由により誤りであるといわざるを得ない。
なお,かかる組合せについては阻害事由があるとの被告の主張は,理由がな
い。
3結論
以上のとおり,取消事由1及び取消事由2はいずれも理由があり,審決には
取り消すべき違法がある。よって,審決を取り消すこととして,主文のとおり
判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官設樂一
裁判官田中正哉
裁判官神谷厚毅
(別紙)
本件発明の図面
(図1)
甲1発明の図面
(図1)
甲3発明の図面
(図1)
甲4発明の図面
(図1)
(図4)

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