弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人菅原勇の上告理由第一点について。
 論旨は、原判決が昭和二二年八月三一日発行の本件農地買収令書が同年一二月二
〇日までに買収処分の相手方であるD合資会社の代表者たる控訴人(上告人)に対
し交付された事実を確定しただけで、何ら右交付の日時、方法、場所を確定しない
で、右買収令書は買収の相手方である同会社の代表者たる控訴人に交付され買収処
分は存在すると判示したことの理由不備をいい、右事実を虚無の証拠によつて確定
した違法を主張する。しかし、記録によると原判決が右事実確定の証拠とした乙四
号証の二はD合資会社社長A(上告人)名義のE銀行宛、買収対価報償金受領方委
任状であつて、この委任状は買収令書と一枚の用紙で作られており、令書から切り
離して差出すことになつているものであり(乙四号証の一)、この委任状が提出さ
れ同銀行に保管されていることを認めることはできるのであつて、これと原判決挙
示の証拠とによつて原判決が右事実を確定したことを虚無の証拠によるものという
ことはできない。そして本訴の争点である右令書の交付の有無につきその交付があ
つたことは真実として確定できる以上、その交付の月日、方法、場所の如何は判決
の結果に影響しないから、これらを確定判示しなくても理由不備の違法があるとは
いえない。その余の論旨は証拠の取捨、事実認定の非難にすぎない。論旨は採用で
きない。
 同第二点について。
 論旨は、原判決が、D合資会社は昭和一五年に解散し同年五月九日清算結了の登
記があるのにその後昭和二〇年一一月二七日右清算結了登記が抹消されたことによ
り同会社が存続していたものと認定したことの違法をいうけれども、右清算登記が
抹消されたのは未清算事務が残存していたためであることは原判決の認定するとこ
ろであり、右の場合、右清算登記抹消によつて清算の目的の範囲内で本件買収の基
準時当時も買収計画及び買収処分当時も存在しているということができること原判
示のとおりである。この点については引用の大法廷判例は関係がない。同会社が存
在しないといつても同会社を所有者とする本件買収令書を真の所有者であると主張
する上告人自身が受取つている以上本件買収は当然無効のものということはできな
い。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 論旨は、本件買収処分は違法なばかりでなく無効であるというが、原判決の確定
するところによれば、本件農地は買収計画当時も買収処分当時も上告人の所有に属
していたもので判示D合資会社の所有地ではなかつたが、登記簿上は同会社の所有
地となつていたのである。かような場合にも民法一七七条の適用がなく同会社の所
有地として買収することの違法であることは当裁判所の判例とするところであつて
(昭和二五年(オ)四一六号同二八年二月一八日大法廷判決、集七巻二号一五七頁)、
本件買収処分は違法であること原判示のとおりである。けれども、かような違法は
取消を求める訴において取消の原因となるだけであつて取消判決をまたず当然無効
の原因とならないことも当裁判所の判例とするところである(昭和二五年(オ)二
八〇号同二九年一月二二日第二小法廷判決、集八巻一号一五三頁、昭和二八年(オ)
六五七号同三〇年四月二六日第三小法廷判決、集九巻五号五六九頁)。上告人は本
件土地買収計画に対し異議を申立てて却下されながら訴願、訴訟を提起せず、買収
令書の交付を受けながら出訴期間内に取消を求める訴を提起しなかつたこと原判決
の認めるとこであるから、上告人の右買収処分無効の主張は採用することができな
い。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三

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