弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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平成21年(あ)第1640号殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反,殺人未遂
被告事件
平成25年6月7日第二小法廷判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人坂根真也,同前田領の上告趣意のうち,憲法13条,31条,36条違反
をいう点は,死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例
(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3
号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・
刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日
大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がない。
同上告趣意のその余は,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認,量刑不当の主
張であり,弁護人下平坦,同緒方道夫の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤
認,量刑不当の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらな
い。
なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認め
られない。
付言すると,本件は,暴力団組員である被告人が,所属する暴力団の組長Aから
命じられるなどして,(1)対立する暴力団の元幹部を殺害することを企て,待ち
伏せの上,ゴルフ場付近の路上において同人の運転する車両に向けてけん銃を発射
したが,同人に重傷を負わせたにとどまり,(2)再び,上記元暴力団幹部らを殺
害することを企て,共犯者Bと共にスナックの店内等でけん銃を発射し,一般客3
名を含む4名を殺害したが,上記元暴力団幹部ら2名には重傷を負わせたにとどま
った事案である。
いずれの犯行も,対立暴力団に対する報復として行われたもので,動機において
酌量の余地はない。
取り分け量刑上重視すべき(2)の殺人等事件の情状についてみると,被告人は,
事前の計画に基づき強固な殺意をもって,スナックに赴き,共犯者Bとともに,い
ずれも至近距離から無防備な各被害者にけん銃で弾丸合計十数発を発射することに
より,スナック店外で元暴力団幹部のボディーガード1名を射殺した上,スナック
店内ではたまたま居合わせた暴力団とは何ら関係のない一般客3名を射殺し,元暴
力団幹部とその連れ(非暴力団組員)に重傷を負わせたものであり,冷酷で残虐な
犯行態様である。同事件の結果,4名の貴重な人命が奪われ,2名が重傷を負って
おり,結果は誠に重大である。遺族の中には厳しい処罰感情を表明する者も複数い
る。住宅街の飲食店において敢行された上記犯行により,一般客が3名も殺害され
たことが,地域社会に与えた衝撃も計り知れない。また,これに先立って敢行され
た(1)の殺人未遂等事件も,計画的,組織的犯行であり,公道上で至近距離から上
記元暴力団幹部以外の第三者も乗車する車両に向けてけん銃で弾丸合計6発を発射
するという非常に危険かつ悪質なものである。
被告人は,いずれの事件においても実行役として関わっており,(2)の殺人等事
件においては,自らの手によっても少なくとも元暴力団幹部と誤認した一般客1名
は射殺したのであって,これを含む本件各犯行において果たした役割には大きいも
のがある。それにもかかわらず,被告人は,元暴力団幹部及び同人と誤認した者以
外の者に対する殺意はなかったと述べ,共謀も否定するなど不合理な弁解に終始し
ており,真摯な反省があるとはいい難い。
以上の事情に照らすと,本件各犯行が首謀者である所属暴力団の組長に命じられ
て実行したものであること,被告人が,遺族に対して謝罪の言葉を述べ,原審の審
理後半になって,暴力団からの脱会の承認を受けるなどして,遅ればせながら内省
する姿勢も出てきたこと,(2)の殺人等事件の被害者や遺族の一部には,見舞金を
受領して被告人を宥恕し,死刑を望まない旨の文言が記載された合意書に署名押印
した者や,被告人が所属する暴力団の幹部から和解金を受領してその者との間で和
解を成立させた者がいること,被告人が一部の被害者や遺族で構成される団体に対
し,親族からの援助を受けて送金していることなど,被告人のために酌むべき情状
を十分考慮しても,被告人の刑事責任は極めて重大であり,被告人を死刑に処した
第1審判決を維持した原判断は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員
一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官長谷川充弘,同水野美鈴公判出席
(裁判長裁判官千葉勝美裁判官竹内行夫裁判官小貫芳信裁判官
鬼丸かおる)

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