弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成29年12月1日宣告
平成29年(わ)第134号,同第136号関税法違反(変更後の訴因関税法
違反,消費税法違反,地方税法違反)
主文
被告人Aを懲役2年及び罰金50万円に,被告人B及び被告人Cをそれぞれ
懲役1年6月及び罰金50万円に処する。
被告人らに対し,未決勾留日数中各120日を,それぞれその懲役刑に算入
する。
被告人らにおいて上記罰金を完納することができないときは,金5000円
を1日に換算した期間,その被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から,被告人Aに対し4年間,被告人B及び被告人C
に対し3年間,それぞれその懲役刑の執行を猶予する。
佐賀地方検察庁で保管中の汽船D1隻を没収する。
訴訟費用中,国選弁護人福島和代に関する分は被告人Aの,国選弁護人小野
紗矢香に関する分は被告人Bは被告人C
の負担とする。
(罪となるべき事実)
被告人3名は,E,F,G,H,I,J,K及び氏名不詳者と共謀の上,不正
に金地金を日本国内に輸入し,これに対する消費税や地方消費税を免れようと企
て,平成29年5月30日午後4時42分頃,東シナ海公海上において,国籍不
明の船舶から日本国外で積載された金地金206塊(重量合計205.50765
㎏)を被告人A他4名が乗船する汽船Dに積み替え,同月31日午後3時頃,同船
を佐賀県唐津市a町b番地c所在のL協同組合a町統括支所地先岸壁に接岸させ
て上記金地金を陸揚げし,もって,税関長の許可を受けないで,貨物を輸入する
と共に,上記不正の行為により上記金地金(課税価格9億3016万8727円相
当)に対する消費税5860万0500円及び地方消費税1581万2800円を
免れたものである。
(適用した罰条)(以下の適条関係は被告人3名ともに共通である。)
判示行為関税法違反の点につき,刑法60条,関税法111条
1項1号,67条
消費税法違反の点につき,刑法60条,消費税法64
条1項1号
地方税法違反の点につき,刑法60条,地方税法72
条の109第1項
科刑上一罪の処理刑法54条1項前段,10条(一罪として刑及び犯情
の最も重い消費税法違反の罪の刑で処断)
刑種の選択懲役刑及び罰金刑を併科
未決勾留日数刑法21条
労役場留置刑法18条
刑の執行猶予刑法25条1項
没収関税法118条1項本文
訴訟費用の処理刑事訴訟法181条1項本文(負担)
(量刑の理由)
被告人らは共犯者らと共謀し,重量合計205㎏余りの金塊206塊を本邦に
密輸すると共に,これに対する消費税5860万0500円及び地方消費税15
81万2800円,合計7441万3300円を免れたものである。本件は被告
人らを含む日本人と中国人が緊密に連絡を取り合い,周到な準備や役割分担をす
るなどして実行された高度の組織性・計画性を有する犯行である上,密輸に係る
金塊の価格は9億3000万円余りであり,逋脱税額も多額に上っている。
被告人Aは海上で金塊を運んできた相手の船から自船にこれを積み替えさせる
ために相手の船に自船を接舷させ,これを陸揚げするなどの本件密輸の実行行為
自体を担当し,被告人Bは本件密輸に係る種々の連絡や準備行為に従事し,日本
人と中国人間の通訳をも担当しており,被告人Cは金塊を陸揚げしただけでなく,
陸揚げした金塊を直ぐに搬送できるようにするなど,いずれも本件の遂行につい
て重要な役割を担ったものである。
本件の犯情は芳しくなく,被告人らは厳しく戒められる必要がある。
しかしながら,被告人らは本件の首謀者ではなく,本件の上位者にいわば手足
として利用されたという面がある上,いずれの被告人も被告人なりに反省の態度
を示している。また,被告人Aは平成17年12月に覚せい剤取締法違反の罪に
より懲役1年6月,3年間執行猶予に処された前科を有しているものの,本件と
は罪質を異にしている上,猶予期間は既に満了し,猶予期間満了後本件までに8
年以上が経過していることに徴すると,これを過度に重視するのは相当ではない。
被告人Bには前科・前歴はなく,被告人Cは平成10年12月に業務上過失傷害
及び道路交通法違反の罪により懲役1年4月の実刑に処せられた前科を有してい
るが,これも本件と罪質を異にしている上,刑執行終了後既に17年が経過して
いるのであるから,これを特に問題視する必要性は存しない。
そこで,被告人らについてそれぞれ主文掲記の刑を定めた上で,懲役刑につい
てはその執行を猶予して社会内更生の機会を与えるのが相当と判断した。
なお,検察官は,刑法19条に基づき金塊を没収することも求めているが,こ
の規定は必要的没収ではなく任意的没収を定めたものである上,本件とは別に審
理している中国人が被告人になっている刑事事件について,金塊の所有者と称す
る者が裁判への参加の申立てをしており,当該事件に上記の者の参加が許された
場合にその主張立証を踏まえて金塊の没収の可否・当否の判断を行うことが相当
と考えられることに鑑み,本件ではその判断は示さないこととした。
平成29年12月18日
佐賀地方裁判所刑事部
裁判官井広幸

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛