弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取消す。
2被控訴人の請求を棄却する。
第2事案の概要
1本件事案の概要は,以下のとおり付加,訂正,削除し,2を付加するほかは,
原判決の「第2事案の概要」,「第3争点及び争点に関する当事者の主
張」に記載のとおりであるので,これを引用する。
(1)原判決2頁3行目の「6条」の前と同4頁10行目の「条例」の次に「5
条,」を加える。
(2)同3頁3行目の「)」を削除する。
(3)同3頁24行目の「検察側が」から25行目までを以下のとおりに改める。
「本件容疑者は,(略)犯行を自供し,検察側は,そのうち,被害品の裏付
けがとれた事件を起訴していたが,論告で(略)を求刑した旨の内容の記事
を掲載し,これを報道した(甲3)。」
2控訴人の主張
(1)本件条例7条2号ただし書きイ所定の「慣行として公にされた情報」とは,
行政機関が慣行として報道機関等に対して行う情報の発表を指し,報道機関
等が独自の取材により得た情報の発表は,それに含まれないと解するのが妥
当であるから,本件における「慣行として公にされた情報」への該当性の検
討については,岡山東署などの合同捜査本部(以下「岡山県警」という。)
から報道機関に対して行った平成▲年▲月▲日に本件容疑者を逮捕した旨の
発表,平成▲年▲月▲日に本件容疑者に関する事件を追送検する旨の発表の
2件を基準とすべきであるところ,原判決が,報道機関が独自取材に基づき
発表した平成▲年▲月▲日の報道もその情報に含めたことは,不当である。
(2)刑事確定訴訟記録法と本件条例は,公文書の開示という点では共通するが,
その目的が異なり,刑事確定訴訟記録法の準用に当たっては慎重に考慮する
必要があるところ,原判決の論理によれば,刑事被告事件に係る訴訟記録は,
訴訟終結後3年間は「慣行として公にされた情報」となるが,そうであれば,
報道発表の有無を問わず,訴訟に係る情報について,訴訟終結後3年間は,
すべて非開示情報に該当しないこととなり,極めて不合理である。
(3)周知性の喪失期間に関しては,明確な判断基準はなく,行政庁の合理的な
判断に委ねられていると解され,本件においては,運用基準(乙2の160
頁)に従って判断したもので,合理的な裁量の範囲内といえるものであるの
に,原判決は,実施機関の合理的な裁量権の濫用,逸脱である旨の判断の論
拠が何ら示されていない。
(4)警察本部長は,本件非開示処分の理由の中で,捜査費証拠書類を開示しな
い理由について,本件容疑者に関する事件に特定することなく,「特定事件
に関する捜査費証拠書類については」と前置きし,特定の事件に関する捜査
費証拠書類が存在しているか否かを明らかにすること自体が,本件条例7条
4号の非開示情報を開示することになることについて,一般的・類型的な理
由を記載しているのである。本件のような判決済みの窃盗事件の捜査費に関
する情報であっても,これを明らかにすることによって,重大な支障を及ぼ
し得るものである。すなわち,捜査協力者の中には,現に自らが警察に協力
した事実が秘匿され続けることを必須の条件とする者がおり,これらの者に
関しては,本件容疑者に関する事件について捜査費を執行したか否かを岡山
県警が公にすることにより,将来自分が協力した事件についても同様に公に
されてしまうのではないかとして,警察に対する協力意思を弱めてしまうお
それがある。また,具体的事件について,捜査費を執行したか否かを岡山県
警が公にすることにより,その事実を1つの手がかりとして他の情報等を総
合することにより,当該事件における捜査協力者が存在するか否かの確認及
び存在する場合の特定,ひいてはお礼参り等の実力行使が容易になる可能性
も否定することができない。したがって,捜査協力者(情報提供者)の存在
が推知される等の事情は,本件文書の存否が明らかとなることによって判明
する事情ではないとして,本件非開示処分の取り消しを認めた原判決は不当
である。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,被控訴人の請求は理由があると判断する。その理由は,2を付
加するほかは,原判決の「第4当裁判所の判断」に記載のとおりであるので,
これを引用する。
2控訴人の主張について
(1)控訴人は,本件条例7条2号ただし書きイ所定の「慣行として公にされた
情報」とは,岡山県警から報道機関に対して行った情報の発表に限定すべき
であるのに,原判決が,報道機関が独自取材に基づき発表した報道内容及び
その時期を含めていることが,不当である旨主張する。しかしながら,岡山
県警が報道機関に発表し,新聞報道された記事内容(甲2)とその後報道機
関の独自の取材によって報道された記事内容(甲3,4)は,原判決の前提
事実(3)(原判決2頁24行目から4頁6行目まで)を削除,訂正のうえ,引
用して認定・説示したとおりであり,両者を比較すると,報道機関の独自取
材に基づく報道は,岡山県警が逮捕等したと発表した本件容疑者の続報的な
意味が含まれており,更に,上記引用して認定・説示した事実及び弁論の全
趣旨によれば,岡山県警が報道機関に対して発表した事実は,犯罪企図者に
犯罪の敢行を思いとどまらせたり,県民に同種犯罪に対する自主防犯対策を
促して,犯罪をなくそうとする等の公益上の目的と司法手続に対する信頼を
確保する目的等から慣行として公にされた情報であり,その目的に照らせば,
本件容疑者に対して(略)が求刑され,(略)の有罪判決が宣告されたこと
についても周知させる必要があるというべきであって,その意味では,報道
機関の独自取材に基づく新聞報道は,岡山県警の報道機関に対する発表を補
完する役割を果たしていると見ることができる。以上によれば,原判決が,
本件容疑者について判決宣告があった旨の新聞報道が行われた平成▲年▲月
▲日を周知性判断の基礎となる期間の始期としたことは相当である。また仮
に本件において,岡山県警が報道機関に発表したことが報道された平成▲年
▲月▲日を基礎となる期間の始期としたとしても,本件開示請求までの期間
が約8か月であり,本件報道内容,その後,本件容疑者に関する事件が裁判
所で審理され有罪判決を受けた等の一連の経過に照らして,依然として周知
性を失っていないと判断できる(控訴人が指摘する事例(乙22)と本件と
は事案を異にするものである。)。したがって,この点に関する控訴人の主
張は理由がない。
(2)また,控訴人は,原判決のように,刑事確定訴訟記録法によって,本件処
分の適法性を判断するのであれば,報道発表の有無を問わず,訴訟に係る情
報について,訴訟終結後3年間は,すべて非開示情報に該当しないこととな
り,極めて不合理である旨主張するが,原判決は,岡山県警が報道機関に発
表した情報について,その周知性が喪失する期間に関する控訴人の裁量の適
否を判断する1つの要素として,刑事確定訴訟記録法4条2項2号所定の期
間(3年間)を取り入れたに過ぎないのであって,控訴人主張のように判示
したものではない。したがって,控訴人の上記主張は失当である。
(3)控訴人は,原判決が,本件非開示処分について,控訴人に認められた裁量
を逸脱したと判断したことを非難しているが,上記認定・判断は,原判決を
引用して説示したとおりであって,本件容疑者に関する限り,控訴人が控訴
人主張の運用基準に従って周知性を喪失しているものと判断したことは,到
底これが合理的な裁量の範囲内にあるということはできず,当審における控
訴人の主張立証に鑑みても,上記判断は覆らない。
(4)控訴人は,本件容疑者に関する捜査費証拠書類の存在,不存在が明らかと
なれば,今後の捜査の支障となる危険性がある旨主張しているが,既に原判
決を引用して説示したとおり,捜査費・捜査費証拠書類には,様々なものが
含まれており,本件容疑者の事件に関する捜査費証拠書類が存在するか否か
に関し,それが判明したからといって,そこからすぐに捜査協力者等に対す
る書類が存在すると判明するわけではないし,控訴人主張の事情は,本件文
書の存否が明らかとなることによって判明する事情でないことは自明である
から,本件文書の存否を明らかにした上,本件条例4号により開示の拒否を
決する際の理由とするのは格別,およそ本件条例10条による応答拒否の理
由となるものではない。したがって,控訴人の当該主張も理由がない。
第4結論
以上によれば,被控訴人の請求を認容した原判決は相当であるので,本件控
訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。
広島高等裁判所岡山支部第2部
裁判長裁判官及川憲夫
裁判官渡邊雅道
裁判官横溝邦彦

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