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平成14年(行ケ)第215号 審決取消請求事件(平成14年12月11日口頭
弁論終結)
          判         決
       原      告   株式会社大生機械
       訴訟代理人弁理士   石   川       新
   被      告   株式会社オシキリ
訴訟代理人弁護士   鈴   木       修
同          下   田   憲   雅
同    弁理士   伊   藤       茂
          主         文
      特許庁が無効2001-35381号事件について平成14年3月2
6日にした審決を取り消す。
      訴訟費用は被告の負担とする。
          事実及び理由
第1 請求
   主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告は,名称を「スライスされた食パンの分割装置及び分割供給方法」と
する特許第3106194号発明(平成5年3月26日出願,平成12年9月8日
設定登録)の特許権者である。被告は,平成13年8月29日,本件特許の無効審
判の請求をし,同請求は,無効2001-35381号事件として特許庁に係属し
た。原告は,平成13年11月19日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以
下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲等の訂正の請求(以下「訂正請求」
という。)をした。特許庁は,平成14年3月26日,「訂正を認める。特許第3
106194号の請求項3及び4に係る発明についての特許を無効とする。」との
審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年4月5日,原告に送達
された。
  (2) 原告は,平成14年5月2日,本件審決の取消しを求める訴えを提起する
とともに,同年7月5日,本件明細書の特許請求の範囲等の訂正(以下「本件訂
正」という。)をする訂正審判の請求をし,特許庁は,同請求を訂正2002-3
9153号事件として審理した結果,同年10月30日,本件訂正を認める旨の審
決(以下「訂正審決」という。)をし,その謄本は,同年11月11日,原告に送
達された。
 2 本件明細書の特許請求の範囲【請求項3】及び【請求項4】の記載(以下,
これら請求項に係る発明を「本件発明3」及び「本件発明4」という。)
  (1) 訂正請求に係るもの(訂正部分には下線を付す。)
   【請求項3】互いに近接・離間可能に並列に支持された複数個の受け板の上
にスライスされた食パンを載置した後,相隣る前記受け板の間に隙間を形成させる
ことによって前記受け板の上に載置された食パンの所定枚数毎の間に隙間を形成さ
せ,前記受け板の上に載置された食パンの前記隙間に仕切り板を挿入して所定枚数
毎に分割された食パンを押し出して排出することを特徴とするスライスされた食パ
ンの分割供給方法。
   【請求項4】前記受け板の上に載置されたスライス食パンの上部を保持して
所定枚数毎の間に前記隙間を形成することを特徴とする請求項3記載のスライスさ
れた食パンの分割供給方法。
  (2) 本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。【請求項4】は,本件訂
正により削除された。)
   【請求項3】互いに近接・離間可能に並列に支持された複数個の受け板の上
にスライスされた食パンを載置しスライス食パンの上部を上部押さえで保持した
後,相隣る前記受け板の間と,前記上部押さえの間にそれぞれ複数個の隙間を形成
させることによって前記受け板の上に載置された食パンの所定枚数毎の間に複数個
の隙間を形成させ,前記受け板の上に載置された食パンの前記複数個の隙間に下方
から上方へ仕切り板を挿入して所定枚数毎に分割された食パンを押し出して排出す
ることを特徴とするスライスされた食パンの分割供給方法。
 3 本件審決の理由
   本件審決は,訂正請求に係る訂正は,特許法等の一部を改正する法律(平成
6年法律第116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる,特
許法120条の4第3項において準用する上記法律による改正前の特許法126条
1項ただし書及び2項の規定に適合するので,本件訂正請求を認めるとし,本件発
明3及び4の要旨を訂正請求に係る本件明細書の特許請求の範囲記載のとおり認定
した上,本件発明3及び4は,その出願前に頒布された米国特許第2,247,69
6号明細書に記載された発明及び従来周知の技術的事項に基づき当業者が容易に発
明をすることができたものであるから,本件発明3及び4の特許は,特許法29条
2項の規定に違反して特許されたものであり,特許法123条1項2号の規定によ
り無効とすべきものとした。
第3 原告主張の審決取消事由
   本件審決が,本件発明3の要旨を訂正請求に係る本件明細書の特許請求の範
囲記載のとおりと認定した点は,訂正審決の確定により特許請求の範囲が上記第2
の2の(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになる。本件審決は本件発明
の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されなければならない。
第4 被告の主張
   訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正され
たことは認める。
第5 当裁判所の判断
   訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正され
たことは当事者間に争いがなく,本件訂正によって,本件明細書の特許請求の範囲
は,訂正請求に係るものよりも減縮されたことが明らかである。
   そうすると,本件審決が本件発明3の要旨を訂正請求に係る本件明細書の特
許請求の範囲記載のとおり認定したことは,結果的に本件発明3の要旨の認定を誤
ったこととなり,この誤りが本件審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるか
ら,本件審決は取消しを免れない。
   よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,主文のとおり判決す
る。
     東京高等裁判所第13民事部
         裁判長裁判官   篠   原   勝   美
            裁判官   岡   本       岳
            裁判官   長   沢   幸   男

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