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平成25年6月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成24年(ワ)第4229号不正競争行為差止等請求事件
口頭弁論の終結の日平成25年4月26日
判決
福岡県久留米市<以下略>
原告ウィッチーズキッチンこと

同訴訟代理人弁護士伊藤真
平井佑希
同訴訟代理人弁理士梶原克彦
東京都足立区<以下略>
被告有限会社ジャパンリンク
貿易
同訴訟代理人弁護士石川慶一郎
主文
1被告は,別紙被告商品目録記載1及び4ないし6の商品を製造し,販
売し又は販売の申出(被告ホームページ(URL:http://<以下略>)に
おける販売の申出及び販売のための展示を含む。)をしてはならない。
2被告は,その占有に係る別紙被告商品目録記載1及び4ないし6の商
品を廃棄せよ。
3被告は,原告に対し,374万5337円及びこれに対する平成24
年2月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4原告のその余の請求をいずれも棄却する。
5訴訟費用は,これを3分し,その2を原告の負担とし,その余を被告
の負担とする。
6この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
1主文第1項及び第2項と同旨
2被告は,その占有に係る別紙被告商品目録記載1及び4ないし6の商品を製
造するための金型及び治具を廃棄せよ。
3被告は,原告に対し,1320万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日か
ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,原告が,被告は原告の販売するステンドグラスのランプシェードの
形態を模倣した商品を販売していると主張して,不正競争防止法(以下「法」
という。)3条に基づき,被告が販売する商品の一部の製造,販売又は販売の
申出の差止め並びに同商品とその金型及び治具の廃棄を求めるとともに,法4
条に基づき,損害賠償金1320万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日か
ら支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案
である。
1前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)
(1)原告は,ウィッチーズキッチンという商号でステンドグラスのランプシ
ェード,パイン材の家具,ドールハウスなどの製造,販売を営む者である。
被告は,日用品雑貨,インテリア用品,家具の輸入,販売等を営む会社で
ある。
(2)原告は,別紙原告商品目録記載の各商品(以下,それぞれを目録の番号
に従い「原告商品1」のようにいい,併せて「原告各商品」という。)を含
むステンドグラスのランプシェードを製造し,自ら運営するインターネット
ショップ「ウィッチーズキッチン」(URL:http://<以下略>)(以下「原
告ショップ」という。)において販売している。
原告各商品の販売開始時期は,原告商品1が平成23年4月10日,原告
商品2が平成21年3月21日,原告商品3が平成22年2月6日,原告商
品4が同年7月18日,原告商品5が同年11月2日,原告商品6が平成2
3年7月15日である。
(3)被告は,中国のメーカー(以下「訴外メーカー」という。)が製造した
別紙被告商品目録記載の各商品(以下,それぞれを目録の番号に従い「被告
商品1」のようにいい,併せて「被告各商品」という。)を,被告が運営す
るインターネットショップ(URL:http://<以下略>)等において,単独で,
あるいは任意のランプスタンド,ペンダントフレーム等と組み合わせて販売
している。
(4)被告各商品は,訴外メーカーが原告各商品の形態に依拠して製造したも
のであり,被告商品1は原告商品1と,被告商品2は原告商品2と,被告商
品3は原告商品3と,被告商品4は原告商品4と,被告商品5は原告商品5
と,被告商品6は原告商品6とそれぞれ実質的に同一の形態である。(甲9,
乙1,弁論の全趣旨)
(5)原告は,平成23年9月26日,被告に対し,被告商品1ないし5が原
告商品1ないし5の形態をそれぞれ模倣したものであることを理由に,これ
らの輸入,譲渡等の中止等を求める警告書(以下「本件警告書」という。)
を送付し,本件警告書は翌27日に被告に到達した。(甲7の1・2)
(6)被告の平成24年12月28日までの被告各商品の仕入数と販売数は次
のとおりである。(乙4ないし9)
●(省略)●
●(省略)●
●(省略)●
●(省略)●
●(省略)●
●(省略)●
2争点
(1)被告が,被告各商品を譲り受けた時にこれらがいずれも原告各商品の形
態を模倣したものであることを知らず,かつ,知らないことにつき重大な過
失がなかったか否か(争点1)
(2)原告の受けた損害の額(争点2)
3争点に関する当事者の主張
(1)争点1(被告が,被告各商品を譲り受けた時にこれらがいずれも原告各
商品の形態を模倣したものであることを知らず,かつ,知らないことにつき
重大な過失がなかったか否か)について
(被告)
被告は,被告各商品を訴外メーカーから購入し,これを輸入して日本国内
で販売していたが,もともと原告や原告各商品の存在を知らず,本件警告書
の送付を受けるまで,被告商品1ないし5が原告商品1ないし5の形態を模
倣したものであることを知らず,また,訴状の送達を受けるまで,被告商品
6が原告商品6の形態を模倣したものであることを知らなかった。そして,
インテリア用品のように一つ一つ形態が異なる商品について類似品かどうか
の調査を行うことは容易でなく,たまたま原告が楽天市場に出品していたか
らといって,インターネットのショッピングモールや通販サイトが無数に存
在する中で,特に楽天市場を調査すべきであるともいえないから,被告が被
告各商品を輸入,販売するに際し,原告各商品と類似している商品を購入し
ないように注意すべき義務などないし,仮に被告に過失があったとしても,
これが重大なものであったとは到底いえない。なお,被告は,訴外メーカー
と資本関係などなく,単に同社から商品を購入していただけであって,むし
ろ被害者的立場にある。
そうであるから,被告が原告から本件警告書の送付を受けた平成23年9
月27日までに被告商品1ないし5を販売した行為(●(省略)●)及び訴
状の送達を受けた時までに被告商品6を販売した行為については,法3条,
4条が適用されない(法19条1項5号ロ)。
(原告)
被告各商品の製造の意思決定を行うのは被告自身であること,被告が予め
顧客に告知,宣伝等を行った上で商品の販売をしていること,被告が専用の
梱包で被告各商品を仕入れていること,訴外メーカーが製造した被告各商品
の全量が被告に納入されていることからすれば,被告は,被告各商品を訴外
メーカーから購入しているのではなく,訴外メーカーを手足として用いて被
告各商品を製造し,これを日本国内で販売しているというべきであるから,
被告が被告各商品を販売することについて法19条1項5号ロは適用されな
い。
被告は,遅くとも平成22年2月には原告が販売する商品の形態の模倣を
開始し,被告各商品を含め17種もの原告の商品の形態の模倣をしているか
ら,被告各商品が原告各商品の形態を模倣したものであることを知っていた。
仮に被告が知らなかったとしても,被告は,日用品雑貨等の輸入販売を営む
有限会社であって,設立後10年を経過しているところ,日用品雑貨等の貿
易に携わる者であれば,中国等で生産された日本向け商品が他人の知的財産
権を侵害している可能性があることを容易に認識することができたというべ
きであること,原告各商品が斬新な特徴的形態を有し,楽天市場の洋風ペン
ダントライト等の部門ランキングで常に上位にランクインしていることに照
らすと,訴外メーカーに事前に問い合わせたりインターネット等で検索した
りするなどごく簡単な調査をしさえすれば,被告各商品が原告各商品の形態
を模倣したものであることを容易に知ることができたものである。しかるに,
被告は,日本最大のインターネットショッピングモールである楽天市場にお
ける調査すらしていないから,被告には,被告各商品が原告各商品の形態を
模倣したものであることを知らなかったことにつき,重大な過失がある。
(2)争点2(原告の受けた損害の額)について
(原告)
ア被告は,被告各商品を少なくとも各500個,合計で3000個販売し
た。原告各商品の1個当たりの利益の額は,●(省略)●であるから,原
告が受けた損害の額は,●(省略)●を下らない(法5条1項。ただし,
このうちの1200万円の支払を求めるものである。)。なお,法2条1
項3号の形態模倣による不正競争行為は,被侵害者の商品と実質的に同一
の形態の商品を作出する行為であり,原告各商品と被告各商品とは市場に
おいて完全に補完関係に立つから,被告各商品が廉価であるとしても,被
告の販売したランプシェードの数量の全部に相当する数量を原告が販売す
ることができないとする事情があるということはできない。
また,被告各商品の単価は7000円程度であり,1個あたりの利益の
額は4000円を下らないから,原告が受けた損害の額は,1200万円
を下らない(法5条2項)。
そして,被告の不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用及び弁理
士費用相当損害金は,120万円を下らない。
イ仮に被告の販売数が前記1(6)の販売数を超えないとしても,原告各商
品の1個当たりの利益の額は,前記アのとおりであるから,原告が受けた
損害の額は,675万9179円を下らない(法5条1項)。
(算式)
●(省略)●
=6,759,179円
また,被告の不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用及び弁理士
費用相当損害金は,70万円を下らない。
(被告)
ア被告は,本件警告書の送付を受けた平成23年9月27日から,●(省
略)●販売したが,これらにより被告が得た粗利益の額は,<以下略>に
過ぎない。そして,原告の主張する弁護士費用及び弁理士費用相当損害金
の額は,上記●(省略)●を回収するにはあまりに過大である。
イ原告が販売するランプシェードの種類は非常に多く,実際の原告各商品
の販売数は年間数個から十数個程度と考えられること,原告各商品の価格
と被告各商品の小売価格(参考上代)には4倍程度の開きがあり,被告各
商品を購入した顧客層が高価な原告各商品を購入するとは考えられないか
ら,被告の販売したランプシェードの数量の全部に相当する数量について
原告が販売することができないとする事情がある。
第3当裁判所の判断
1争点1(被告が,被告各商品を譲り受けた時にこれらがいずれも原告各商品
の形態を模倣したものであることを知らず,かつ,知らないことにつき重大な
過失がなかったか否か)について
(1)前記前提事実に,証拠(甲2,6の1ないし6,9,19,27,乙
1)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実を認めることができる。
ア原告は,大手インターネットショッピングモールである楽天市場に原告
ショップを開設し,そこで原告各商品をペンダントランプ,シャンデリア,
壁掛け照明及びテーブルランプ等として販売しており,原告ショップのサ
イトでは,画像により原告各商品の形態を確認することができる。ランプ
シェードを用いた原告の商品は100種類程度あり,そのうちのいくつか
は,遅くとも平成20年5月ころ以降,楽天市場の洋風ペンダントライト,
シャンデリア,壁掛け照明といった部門のランキングでしばしば1位等の
上位を獲得してきた。
イ訴外メーカーは,インターネットで原告各商品を見て,これらに依拠し
てサンプルのデザインをし,業者向けのインテリア用品の輸入販売等を営
む被告にサンプル画像を添付したメールを送信して受注活動をした。これ
を受けて,被告は,訴外メーカーに被告各商品を発注し,訴外メーカーが
製造した被告各商品を購入してこれを輸入し,業者向けに販売した。被告
は,販売に当たり,被告各商品の形態に類似する商品の有無につき調査を
していなかった。なお,訴外メーカーは,少なくとも被告商品3及び5の
梱包の外側面に,原告ショップに掲載された原告商品3及び5の画像をプ
リントしたものを貼付していた。
ウ被告は,本件警告書の送付を受けた後の平成23年10月中旬ころ,訴
外メーカーに対し,被告各商品の製造中止を申し入れるとともに,発注分
をキャンセルした。その後,被告が訴外メーカーに対して被告各商品製造
販売の経緯等につき問い合わせをしたところ,訴外メーカーは,平成23
年3月ころ,これに応じて上記イ記載の訴外メーカーの製造販売の経緯等
を書面で回答した。
(2)上記(1)認定の事実によれば,被告は,被告各商品を訴外メーカーから譲
り受けたものであると認められる。
原告は,被告各商品の製造の意思決定を行うのは被告自身であること,被
告が予め顧客に告知,宣伝等を行った上で商品の販売をしていること,被告
が専用の梱包で被告各商品を仕入れていること,訴外メーカーが製造した被
告各商品の全量が被告に納入されていることからすれば,被告が訴外メーカ
ーを手足として用いて被告各商品を製造し,これを販売しているのであると
主張する。しかしながら,訴外メーカーは,被告各商品の注文を受けて,製
造,販売をしているものであって,この場合に,被告が被告各商品の販売開
始に先立って顧客に告知,宣伝等を行うことも可能であるし,被告専用の梱
包とするのは訴外メーカーが日本向けに輸出する際に必要とされる輸出荷印
が付された梱包であるというに過ぎず,しかも輸出荷印は簡易な方法により
付することができる(乙202ないし204)のである。また,被告各商品
の全量が被告に納入されていることを認めるに足りる証拠はなく,仮に被告
のみに被告各商品が納入されていたとしても,それは被告のみが発注してい
たからに過ぎないとも考えられるから,原告の上記主張をもって,被告が被
告各商品を訴外メーカーから譲り受けたとの前記認定を覆すことはできず,
他に前記認定を覆すに足りる証拠はない。
(3)被告は,インテリア用品の輸入販売業者であり,自らがデザインしたも
のでない商品を取り扱うに当たっては,それが模倣品であるなど他者の利益
を侵害することがないかどうかにつき注意を払うべき立場にあったといえる
のみならず,ランプシェードを用いた原告の商品は楽天市場で人気があり,
また,被告の販売先は業者であるから,被告各商品と原告各商品の出所の異
同や被告各商品が模倣品ではないか等につき,問合せを受け得る立場にあっ
たということができる。そして,原告各商品は,大手インターネットショッ
ピングモールである楽天市場に開設された原告ショップに画像が掲載されて
いるし,被告は,訴外メーカーに対し模倣の有無につき問い合わせることも
できたのであるから,被告は,被告各商品が原告各商品の形態を模倣したも
のであるかどうかについて,容易に調査をすることができた。
そうすると,被告が訴外メーカーから被告各商品を購入して我が国に輸入
するに当たっては,被告には被告各商品が原告各商品の形態を模倣したもの
であるかどうかを調査すべき取引上の注意義務があったというべきである。
しかるに,被告は,この点につき何らの調査も行わなかったというのであ
るから,被告各商品が原告各商品の形態を模倣したものであることを知らな
かったとしても,知らないことにつき,重大な過失がなかったとは到底認め
ることができない。
2争点2(原告の受けた損害の額)について
(1)以上の事実に,後掲の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実を
認めることができる。
ア原告は,家族3人の手作業で,100種類程度のステンドグラスのラン
プシェードを製造して,楽天市場の原告ショップで販売しているところ,
1人当たり1か月に30個程度を製造することが可能であり,平成23年
の製造数は,約820個であった。(甲19)
イ原告各商品のペンダントランプとしての販売(小売)価格と,被告の侵
害行為がなければ販売することができた1個当たりの利益の額は,以下の
とおりである。(甲2,19,20)
原告商品1小売価格4万5150円利益額●(省略)●
原告商品2小売価格4万4100円利益額●(省略)●
原告商品3小売価格4万7250円利益額●(省略)●
原告商品4小売価格4万0950円利益額●(省略)●
原告商品5小売価格4万4100円利益額●(省略)●
原告商品6小売価格4万4100円利益額●(省略)●
ウ被告がインターネットの被告ショップで被告各商品を販売(卸売)した
期間,数量,販売(卸売)価格,被告ショップ上のカタログに掲載した参
考上代の額は,以下のとおりであり,また,被告各商品は,他のインター
ネットショップにおいて,以下の価格で小売りされた例がある。なお,被
告商品1及び6の卸売価格及び参考上代並びに被告商品2,3,5の小売
価格はテーブルランプとしての価格で,他はペンダントランプとしての価
格であり,被告商品2の卸売価格は参考上代から推定したものである。
(甲5,15,16ないし18の各1,乙2ないし9)
被告商品1期間平成23年8月12日から平成24年2月15
日まで
数量●(省略)●
卸売価格2900円
参考上代1万1600円
被告商品2期間平成22年6月4日から平成23年10月8日
まで
数量●(省略)●
卸売価格2500円
参考上代1万円
小売価格9765円
被告商品3期間平成23年1月8日から平成24年12月28
日頃まで
数量●(省略)●
卸売価格2400円
参考上代9600円
小売価格1万2600円
被告商品4期間平成23年1月26日から平成24年2月17
日まで
数量●(省略)●
卸売価格2300円
参考上代9200円
小売価格4800円
被告商品5期間平成23年1月8日から平成24年2月2日頃
まで
数量●(省略)●
卸売価格2400円
参考上代9600円
小売価格8980円
被告商品6期間平成23年12月15日から平成24年3月3
0日まで
数量●(省略)●
卸売価格2710円
参考上代1万0840円
(2)上記(1)認定の事実によれば,被告が販売した被告各商品の数量に,原告
が被告の侵害行為がなければ販売することができた原告各商品の1個当たり
の利益の額を乗じて得た額は,675万9179円となり,これは,原告の
原告各商品に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えないと認め
られる。
(3)ところで,原告各商品は,ステンドグラスのランプシェードという照明
器具の一種であり,同様の照明器具(照明のかさ)には多種多様なものが存
在するから,一般的に見て,原告各商品と競合する商品は多数存在するとい
うことができる。そして,被告各商品の参考上代の額や小売価格と,原告各
商品の小売価格とを比較すると,前者が後者の4分の1ないし5分の1程度
であり(なお,被告商品4の小売価格の例は,原告商品4の小売価格の約9
分の1である。),いずれもがインターネットショップで販売されているこ
とを考慮しても,被告各商品を購入する客層と原告各商品を購入する客層と
では,重なり合わない部分がかなりあるものと考えられる。また,原告のラ
ンプシェードは,多品種少量生産であり,楽天ランキングで上位を占めた原
告の商品は原告各商品以外のものであって(甲6の1ないし6,27),原
告各商品がとりわけ人気が高いということはできないから,原告が原告各商
品を大量に販売することができたとはいささか考え難い。これらに鑑みれば,
被告各商品の概ね2分の1に相当する数量(●(省略)●1個未満の端数切
捨て。)を原告が販売することができないとする事情があったものと認めら
れる。
(4)そこで,当該事実に相当する数量に応じた額を算定すると,335万3
842円となる。
そして,被告が販売した被告各商品の数量に,原告各商品の1個当たりの
利益の額を乗じて得た額675万9179円から,原告が販売することがで
きないとする事情に相当する数量に応じた額335万3842円を控除する
と,340万5337円となり,これが原告が受けた損害の額となる。
(5)また,本件事案の難易,請求額及び認容額等の諸般の事情を考慮すると,
被告の侵害行為と相当因果関係に立つ弁護士費用及び弁理士費用相当損害金
は,34万円と認めるのが相当である。
3以上によれば,原告の請求のうち,(1)被告商品1及び4ないし6の製造,
販売及び販売の申出の差止め並びにこれらの商品の廃棄を求める部分は理由が
あり,(2)被告商品1及び4ないし6の金型及び治具の廃棄を求める部分は,
被告が上記金型及び治具を保有していることを認めるに足りる証拠がないから,
理由がなく,(3)損害賠償を求める部分は,374万5337円及び訴状送
達の日の翌日であることが記録上明らかな平成24年2月23日から支払済み
まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があ
り,その余は理由がない。
4よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官高野輝久
裁判官三井大有
裁判官志賀勝
別紙
被告商品目録
1ST-EP072A
2ST-EP027A
3ST-EP051A
4ST-EP057A
5ST-EP050A
6ST-EP073A
別紙
原告商品目録
1デイドリーム(S-227)
2エミリオ(S-147)
3ミルフィーユ(S-174)
4シンシア(S-196)
5ブルーメ(S-206)
6マローネ(S-256)

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