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       主   文
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は,控訴人らの負担とする。
       事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決中,控訴人ら敗訴部分(控訴人A及び同Bを除くその余の控訴人らの損
害賠償請求を棄却した部分を除く。)を取り消す。
2 被控訴人は,原判決別紙「差止めを求める行為の目録」記載の行為をしてはな
らない。
3 被控訴人は,控訴人A及び同Bに対し,各10万円及びこれに対する平成6年
12月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
5 第2,3項につき仮執行の宣言。
第2 事案の概要
1 本件は,米の生産者又は消費者である控訴人らほか原判決別紙当事者目録記載
の原告らが,被控訴人に対し,人格権に基づき,米の作付面積を減少させることに
よって生産調整を行う,いわゆる減反政策に基づく原判決別紙「差止めを求める行
為の目録」(差止行為目録)記載の各行為の差止めを求めるとともに,上記原告ら
の一部が,被控訴人の減反政策に基づいて実施された米の生産調整によって財産的
損害及び精神的損害を被ったとして,国家賠償法1条に基づき,損害賠償金及びこ
れに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。
 原審は,上記原告らの請求をいずれも棄却したため,原告らのうち控訴人らが控
訴したものである(損害賠償請求に関する部分については,控訴人A及び同Bだけ
が控訴したが,以下では,同控訴人らだけを指す部分でも,便宜「控訴人ら」と表
示する。)。
2 「前提となる事実及び法令の定め等」,「当事者の主張」及び「争点」は,当
審において控訴人らが次のとおり主張したほか,原判決の「事実及び理由」第2の
1ないし3のうち,控訴人らに関する部分のとおりであるから(ただし,原判決2
3頁13行目の「こととにより」を「ことにより」に,24頁11行目の「借入」
を「買入」にそれぞれ訂正する。),これを引用する。
(1) 生存権的人格権に基づく差止請求について
 我が国においては,米を始めとして,ほとんどの食糧の自給率が極端に低下して
おり,このままの状況が推移すれば,近い将来国民の飢餓という深刻な事態が生じ
る可能性が極めて高い。したがって,政府は,減反政策を直ちに廃止し,米を始め
とする主要穀物の増産態勢を整えるべきである。
 この点について,原判決は,るる根拠を挙げた上,結論として,減反政策によっ
て近い将来我が国国民が食糧不足による飢餓状態に陥り,国民の生命,健康等に対
する侵害が発生するという具体的危険が存すると認めることは困難である,と判示
した。
 しかしながら,原判決の挙げる根拠及び結論は,減反政策に対する理解が余りに
も皮相的で,説得力に欠けるものであるといわざるを得ない。すなわち,
① まず,強制減反によって畑作へ転換され,あるいは耕作が放棄された水田は,
簡単には原状に復しない上,離農によって,米農業者は生産意欲を喪失しているか
ら,実態として生産能力は構造的に低下している。
② ガット・ウルグアイ・ラウンド等による輸入拡大なるものは,アメリカが食糧
操作によって世界支配を目論み,我が国に対して輸入拡大の圧力をかけているもの
なのであって,我が国は,それによって更に食糧の自給率が低下し,国民生活の安
全が危険にさらされるという由々しき事態に直面している。
③ 平成5年に起こった米パニックは,我が国の食糧政策に対する重大な警鐘であ
ったにもかかわらず,その後の異例の豊作続きの中で,米余りのみが喧伝され,備
蓄が厄介者のように扱われてきたが,その陰で輸入量が確実に増加し,国内生産に
圧力をかけ続けている。
④ 今後の米作自給率の大幅な低下,あるいは世界的な食糧事情が逼迫した場合の
輸入の困難性等は,原判決が説示するような単なる可能性に止まらない。世界的な
人口の増加にもかかわらず,世界の主要生産国の食糧生産量は着実に減少してお
り,世界の食糧は絶対的な不足状態に陥っており,しかもその度合いは近年一層強
まっている上,飢えに苦しむ開発途上国への配慮を考えれば,上記輸入の困難性等
は,現実に発生することが予見される具体的な危険なのである。
(2) 「米を作る権利」としての人格権に基づく差止請求について
 生産者が減反を拒否すると,政府買入れが認められない結果,販売に制約を受け
ることになるが,その他にも様々な不利益を被るのであって,これが「米を作る権
利」としての人格権の侵害に当たることは明らかである。
 この点について,原判決は,るる根拠を挙げて,結論として,差止行為目録記載
の各行為により,「米を作る権利」としての人格権が侵害される具体的危険が存す
ると認めることはできないと説示するが,その判断方法には誤りがある。すなわ
ち,
① 減反政策によって,生産者は,自分の農地であるのに,自らの判断で作付けを
することが許されておらず,しかも,減反拒否者には,米の政府買入れが認められ
ず,助成補助金等の補助金の交付が受けられないなど,様々な不利益取扱いを受け
ており,政府は,その積み重ねによって,減反拒否者の米作を禁圧している。
② 減反政策は,その目的自体が違法である上,それを実行するため補助金の交
付,融資の優先性等という利益誘導によって,減反に応じることを事実上強制して
おり,このような手法においても違法である。融資を必要とするのは,減反実施者
に限られないのに,減反実施の有無によって別異の取扱いをすることは,合理性の
範囲を逸脱するものである。
③ 控訴人らが個別に受けた種々の強制のうち,融資等の不利益取扱いは,被控訴
人が通知等の文書によって都道府県を通じて直接的かつ具体的に市町村担当者に対
し指示したものである。また,直接の強制行為は,被控訴人が市町村長及び農協等
の代表者に対して具体的に指示をしてさせたものである。とりわけ,制度資金の優
先措置は,被控訴人が減反政策実施のために,生産者同士の働き掛けを期待し,生
産者らの地域に根ざした責任感を連帯責任に転化させて悪用することを意図して制
度設計したものであり,その実態はまさに集落内における強制そのものである。
(3) 損害賠償請求に関する違法性及び損害の有無について
 控訴人らは,減反政策が控訴人らの人格権を侵害したことを理由として,被控訴
人に対し,控訴人らが被った財産的及び精神的損害の賠償を求めるものである。
 原判決は,減反政策が生産者の人格権としての「米を作る権利」を侵害するとの
控訴人らの主張について,るる根拠を挙げて違法性を否定している。
① しかしながら,食管法のもとで米を作ることが法的に禁止又は制限されるもの
ではないとしても,法令ではなく通達等によって,生産調整に従わない者に対して
事実上の不利益を課することを明文化し,これを都道府県知事,市町村長及び農協
等の組織を通じて実施してきたのであるから,これは明らかに「米を作る権利」自
体を禁止又は制限したことになる。
② 次に,生産調整に従わない者に対する不利益措置と,生産調整を行った者に対
する優遇措置は,表裏一体の関係にあるが,これらの措置の違法性については,ア
 政策目的自体の違法性,イ 政策目的とそれを達成する手段としての不利益措
置・優遇措置の関連性又は相当性,ウ 及びこれらに関する行政庁としての裁量権
逸脱の有無が問題になる。
ア 減反政策は,控訴人らの生存権的人格権を侵害するものであるから,政策目的
自体において違法であり,行政庁としての裁量権を論じる余地はない。これに加え
て,米の輸入は,関税化の受入れによって年々拡大する状況にあるから,生産調整
の政策的意義は,完全に失われている。
イ 政策目的とその手段としての措置の関連性等に関しては,生産調整を行わない
農業者の不利益としては,(ア)補助金等の交付を受けられない不利益,(イ)生
産調整と関連性のない補助金等の交付を受けられない不利益,(ウ)末達成者以外
の同一集落内の農業者に及ぼす不利益,(エ)政府による米買取りの拒否による不
利益,並びに未達加算による不利益の増幅措置という不利益がある。
 (ア)については,補助金交付の目的は,純粋に経済的な損失の補填としての性
格も有するが,その主眼は,水田潰しを目的とするものである。
 (イ)については,減反未達成者に対しては,生産調整の推進とは関係のない融
資を拒否するなど,政策目的を実現する手段としての相当性を逸脱している。
 (ウ)については,同一集落内に,減反未達成者が一人でもいると,被控訴人の
指示で,当該集落内の生産調整達成者に対してまで不利益が課せられており(甲3
7,39,48など),手段の相当性を著しく逸脱するものである。
 (エ)については,食管法のもとで,減反未達成者からの政府買取りを拒否し,
また年々の未達成分を翌年以降に加算する増幅措置がされており,これは法令上の
根拠がないものである。これによって,個々の生産農家に割り当てられた減反面積
に相当する水田で生産された米は,原則として正規の流通ルートに乗せることがで
きず,減反面積の割当てが未達加算によって際限なく膨らみ,その結果一切の米が
自家消費等以外の流通ルートを断たれることになる。かかる不利益は,減反未達成
者の権利を著しく侵害し,減反達成者との間に不平等な取扱いをするものであっ
て,政策目的達成の手段として著しく合理性を欠くものである。
③ さらに,被控訴人は,これまで通達等により,地方公共団体の職員等に対し,
集落内に1人でも減反未達成者があるときは,集落単位で不利益措置を課すること
を明確に指示し,これに従って職員等が,被控訴人の手足となって減反未達成者に
対して強制行為を行ってきたものである。したがって,被控訴人は,生産調整自体
の違法性を問うまでもなく,上記強制行為によって控訴人らが被った損害を賠償す
べき責任がある。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所も,控訴人らの本訴請求は,いずれも理由がないので,棄却すべきもの
と判断する。
 その理由は,次のとおり当審における控訴人らの主張に対する判断を付加するほ
か,原判決の「事実及び理由」第3のうち控訴人らに関する部分についての説示の
とおりであるから,これを引用する。
1 生存権的人格権に基づく差止請求について
 控訴人らは,我が国では,食糧自給率が極端に低下しており,近い将来国民飢餓
という深刻な事態が生じる可能性が高いので,政府は減反政策を廃止し穀物の増産
態勢を整えるべきであるなどと主張する。
 食糧法は,主要な食糧である米穀及び麦が主食としての役割を果たし,かつ,重
要な農産物としての地位を占めていることにかんがみ,米穀の生産者から消費者ま
での計画的な流通を確保するための措置並びに政府による主要食糧の買入れ,輸入
及び売渡しの措置を総合的に講ずることにより,主要食糧の需給及び価格の安定を
図り,もって国民生活と国民経済の安定に資することを目的としている(1条)。
そして,政府は,米穀の需給及び価格の安定を図るため,米穀の需給の適確な見通
しを策定し,これに基づき,計画的にかつ整合性をもって,米穀の需給の均衡を図
るための生産調整の円滑な推進,米穀の供給が不足する事態に備えた備蓄の機動的
な運営及び消費者が必要とする米穀の適正かつ円滑な流通の確保を図るとともに,
米穀の適切な買入れ,輸入及び売渡しを行うものとしている(2条1項)。これを
受けて農林水産大臣は,米穀の需給及び価格の安定を図るため,毎年3月31日ま
でに,米穀の需給及び価格の安定に関する基本計画を定め(4条1項),同計画に
おいて,基本方針,米穀の生産調整に関する事項,米穀の備蓄の運営に関する事
項,計画出荷数量及び備蓄の運営のために政府が買い入れる米穀の種類別の数量に
関する事項,計画流通数量及び自主流通数量に関する事項,米穀の輸入数量等に関
する事項,その他重要事項等を定めるものとし(4条2項),基本計画の作成に当
たっては,米穀の需給事情等に関し学識経験者,関係者及び関係都道府県知事の意
見を聴くものとし(2条4ないし8項),米穀の需給及び価格の安定を図るための
法的措置を講じている。政府は,同法のもとで,平成8年度からは,上記基本計画
に則り需給の均衡を図ることを基本として生産調整対象水田面積を決定すること等
を内容とする新生産調整推進対策を実施し,さらに,平成6年以降の米の持越し在
庫の増加及び自主流通米価格の急激な下落等に対処するため,平成10年度から2
年間に限り,生産対象水田面積の拡大等を内容とする緊急生産調整推進対策を実施
した。
 上記のとおり食糧法のもとにおける生産調整は,米穀の需要と供給の均衡ある運
営を図ることを最重要の目的とするものであり,供給が不足する事態に備えて備蓄
制度等が設けられており,また毎年における基本計画の作成が義務付けられてお
り,同計画には米穀の需給及び価格の安定に関する必要事項が網羅されているこ
と,並びに原判決が生産調整制度について説示するところを併せ考慮すれば,生産
調整によって,近い将来米の自給率が著しく低下する可能性が高いということは,
困難であるといわざるを得ない。また,仮に近い将来米の自給率が著しく低下する
可能性が高いとしても,控訴人らが主張するように,我が国において近い将来国民
の飢餓という深刻な事態が生じる可能性が極めて高いとはいえない。
 もっとも,減反政策の継続的な実施によって,原状復旧の困難な水田が更に増加
し,離農によって農業者が減少し,あるいは生産意欲が減退することが懸念される
ところである。また,将来にわたり,世界的な規模で食糧事情の逼迫という事態は
およそ生じ得ないと断定することはできないのであり,それが現実のものとなった
場合,我が国独自の視点からの食糧輸入に対しては,多大な軋轢や困難を伴う可能
性があることは十分に考えられるところであって,これらの点に関する控訴人らの
主張には,傾聴に値するところが多々あることも認めなければならない。
 しかし,これらの指摘を十分念頭に置いても,現時点において,近い将来我が国
に現実に飢餓状況が発生し,それが国民の生命,健康等に重大な侵害を及ぼす具体
的な危険が存在するとまでは,認めることはできないといわざるを得ない。
 その他,本件全証拠によるも,控訴人らの主張するように,減反政策の継続によ
り,控訴人らが飢餓に陥り,控訴人ら個人の生命及び健康に対する侵害の発生する
具体的危険があるものと認めることはできない。
 思うに,控訴人らの主張する減反政策を巡る問題は,我が国の食糧政策及び農業
政策等をいかなるものとして策定し,これを実践するべきかという,政策の根幹に
関わる事柄であって,それは,国の高度の政策決定の過程において慎重に検討され
るべきものであり,国民的論議を十分に尽くし,民主的手続に従って判断,決定さ
れるべきものであると考えられる。
 したがって,控訴人らの主張は,採用することができない。
2 「米を作る権利」としての人格権に基づく差止請求について
 控訴人らは,減反を拒否すると,政府買入れを認められないことになる結果,販
売に制約を受けるほか,助成補助金等の交付が受けられないなどの様々な不利益取
扱いを受けるのであり,政府はこのような取扱いの積み重ねによって,米作を禁圧
しているのであり,これが「米を作る権利」としての人格権の侵害に当たるなどと
主張する。
 しかし,食糧法のもとにおける生産調整は,米作農業を職業として選択すること
を法的に禁止,制限するものではないし,米作自体を法的に禁止,制限するもので
もなく,あくまでも米の需給の均衡等を図るために一定の水田面積について行われ
るものである。そして,生産調整を実施しない生産者が被る不利益としては,米の
政府買入れが認められないこと,助成補助金等の交付が受けられないこと及び優先
的に融資が受けられないこと等であるが,米作自体が法的に禁止,制限されるわけ
ではないし,生産調整に従わなくても,生産した米の出荷の道が法的に閉ざされる
わけではなく,流通の途は開かれている。また,生産調整に協力した結果,財産的
不利益を受けた生産者に対し,政府が損失を補償するために補助金を交付したり,
優先的に融資を行うことは,生産調整政策を実効的に推進するための手段として合
理的な政策裁量の範囲内にある。その反面において,自らの意思決定によって生産
調整に応じなかった生産者について,補助金の交付や優先的な融資の措置がされな
かったとしても,それは自らの選択の当然の結果であるというべきであり,生産調
整に従った生産者との間に存する取扱い上の差別は,合理性を失わないものとして
これを容認すべきである。
 したがって,食糧法下の生産調整は,生存権的人格権ないし「米を作る権利」と
しての人格権を侵害するものとはいえない。
 控訴人らは,個別に種々の強制を受けており,それは被控訴人が通知等の文書で
地方公共団体に対して指示したものであり,また,制度資金の優先措置は,生産者
らの地域に根ざした責任感を連帯感に転化させて悪用することを意図したもので,
その実態は集落内の強制そのものであるなどと主張する。
 しかし,控訴人ら主張のような行為が,被控訴人の指示に基づいて実際に行われ
たこと,及びそれが手段,方法,程度等において社会的相当性の範囲を逸脱して違
法に行われたことを認めるに足りる証拠はないから,被控訴人がかかる行為によっ
て生産調整を強制し,控訴人らの権利を侵害しているものと評価することはできな
い。
 したがって,控訴人らの主張は,採用することができない。
3 損害賠償請求に関する違法性及び損害の有無について
 控訴人らは,食管法のもとで,通達等により生産調整に従わない者に事実上の不
利益を課することを明文化し,これを都道府県知事等の関係職員を通じて実施して
きた強制行為は,「米を作る権利」の侵害であり,政策目的自体が違法であるとと
もに,それを達成する手段も相当性を欠き,行政庁の裁量権を逸脱したものとして
違法であるから,そもそも生産調整自体の違法性を問うまでもなく違法であり,控
訴人らの生存権的人格権ないし「米を作る権利」としての人格権を侵害するから,
被控訴人には損害賠償責任があるなどと主張する。
 しかし,食管法は,国民の食糧の確保及び国民経済の安定を図るため食糧を管理
し,需給及び価格の調整並びに流通の規制を行うことを目的として制定されたもの
であり,同法のもとで,農林水産大臣が定める米穀管理基本計画に基づいて,政府
への米穀の売渡し等,米穀の流通を管理していた。その後,昭和44年度以降,米
の生産調整が実施されるようになり,さらに,平成4年度から平成6年度までの間
は,米の需給状況に応じた転作等基本目標面積を定めて,これを配分する方法によ
り生産調整が実施されたものである。そして,このような食管法のもとで実施され
た生産調整が,食管法その他の関係法令に違反して実施された事実はなく,減反政
策の実施自体に違法が存しないことは,原判決の説示するとおりである。
 また,生産調整によって,米作自体が制限されるものではないし,生産調整に協
力した生産者に対し,政府が一定の損失を補填するため,補助金等の優遇措置を講
ずることは,実効的に政策目的を推進するための措置として合理性があり,その反
面生産調整に応じなかった生産者に対してかかる措置がされなかったとしても,そ
れは自由な意思に基づく選択の当然の結果であるといわざるを得ないから,これを
もって違法ということはできない。さらに,生産調整の実施に当たって,被控訴人
が社会的相当性の範囲を逸脱して,生産調整に従わない生産者に対し,強制や差別
行為等の違法行為を行ったことを認めるに足りる証拠はない。
 なお,証拠(甲39)によれば,特定の事業について,市町村で転作等の目標を
達成していることを採択要件としているものがあることが認められ,甲第3号証な
いし第23号証(枝番を含む)には,生産者が減反に協力する理由として,協力し
ないと他の農家にも補助金が支給されないなどの迷惑がかかるという記述がある
が,被控訴人が,集落内に生産調整の未達成者がいることを理由に,当該集落単位
で不利益を課すような措置を採ったこと,あるいはそれを指導,指示したことを認
めるに足りる証拠はない。また,証拠(甲36)によれば,生産調整目標の未達成
又は新規開田のあった都道府県については,翌年度に未達成面積又は新規開田面積
を加算するなどの措置が採られていたことが認められるが,これは生産調整を実効
性のあるものとして担保するためにやむを得ない措置であり,その手段,方法等に
おいて合理性を欠くものとはいえない。
 その他控訴人らは,るる主張するが,その理由のないことは,原判決の説示する
とおりである。
よって,上記と同旨の原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がないから棄
却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第11民事部
裁判長裁判官 大藤敏
裁判官 遠山廣直
裁判官 河野泰義

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