弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人上野開治の上告趣意第一点について。
 原判決の認定した本件被害物件は、元軍用アルコールであつて、かりにこれはい
わゆる隠匿物資であるために、私人の所持を禁ぜられているものであるとしても、
それがために所論のごとく詐欺罪の目的となり得ないものではない。刑法における
財物取罪の規定は人の財物に対する事実上の所持を保護せんとするものであつて、
これを所持するものが、法律上正当にこれを所持する権限を有するかどうかを問は
ず、たとい刑法上その所持を禁ぜられている場合でも現実にこれを所持している事
実がある以上社会の法的秩序を維持する必要からして、物の所持という事実上の状
態それ自体が独立の法益として保護せられみだりに不正の手段によつて、これを侵
すことを許さぬとする趣意である。
 しかして原判決の認定するところは、Aが現実に所持していた元軍用アルコール
を、被告人が騙取したというのであるから、原判決がこれに対して、詐欺罪の成立
を認めたのは正当である。
 同第二点について。
 第一審第一回公判調書によれば、第一審の判事が被害者との親族関係の有無につ
いて訊問したのに対し、被告人はありませんと答えていること明白であり、原審公
判において、裁判長が証拠調として被告人に対し、右第一審第一回公判調書の要旨
を告げて意見の有無を問うたのに対し、被告人が何も意見はないと述べたことは之
亦原審第一回公判調書によつて明白なところである。従つて、原審は所論親族関係
の有無について審理を遂げその結果所論のごとき親族関係は存在しないと認めたも
のというべきである。
 しかして右のごとき親族関係の存在は、単に、法律上刑の免除の原由たるに過ぎ
ないのであるから、原審において、特に被告人側から、その存在を主張した事実の
ない本件においては、判決においてその関係の存在しないことを明示しなかつたか
らといつて、これを違法ということはできない。(昭和二三年(れ)第九九二号同
年一二月二七日大法廷判決参照)
 同第三点について。
 原判決は、被告人の原審公判廷における自白の外、原審相被告人等の原審公判に
おける供述同人等に対する司法警察官代理の聴取書中の供述記載及び被害者A提出
の判示事実に照応する本件被害顛末の記載を証拠として、判示事実を認定したもの
で、被告人の自白を唯一の証拠としたものでないことは、原判文上明らかである。
 以上のごとく本件上告は理由がないから、刑訴施行法第二条旧刑訴法第四四六条
に従い主文のとおり判決する。
 右は全裁判官一致の意見である。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二四年二月一五日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛