弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
       本件上告を棄却する。
       上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人石津廣司,同佐伯明,同新保浩一郎,同葉山貴の上告理由について
 1 本件は,千葉県(以下「県」という。)の住民である被上告人が,千葉県公
文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号。以下「本件条例」という。)に基づ
き,本件条例所定の実施機関である上告人に対し,県立D高等学校の甲校長の平成
5年度及び同6年度中の平成6年11月30日までの校外出張に係る記録の公開を
請求したところ,上告人が,同請求に係る公文書を上記期間に対応する同校長の旅
行命令票(以下「本件各公文書」という。)と特定した上,それらに記録されてい
る情報が本件条例11条2号の非公開情報に該当するとして,本件各文書の全部を
非公開とする決定(以下「本件処分」という。)をしたため,被上告人が本件処分
のうち本件各公文書中の「級・号給」欄を除く部分を非公開とした部分の取消しを
求めている事案である。
 原審は,本件各公文書中の「給料表の種類」欄及び「級・号給」欄の部分に記録
されている情報は,同校長個人の収入にかかわる私的情報であり,本件条例11条
2号に基づき公開しないことができるものであるが,その余の部分に記録されてい
る情報は,同号ただし書ハの情報に準じて公開しなければならないというべきもの
であるから,本件処分のうち上記その余の部分を非公開とした部分は違法であると
して,本件処分のうち同部分を取り消した第1審判決に対する上告人の控訴を棄却
した。
 2 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
 (1) 本件条例11条柱書きは,「実施機関は,次の各号の一に該当する情報が
記録されている公文書については,公開しないことができる。」と規定し,同条2
号は,「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で
あって特定個人が識別され,又は識別され得るもの。ただし,次に掲げる情報を除
く。イ 法令等の定めるところにより,何人でも閲覧することができる情報 ロ 
実施機関が作成し,又は収受した情報で,公表を目的としているもの ハ 法令等
に基づく許可,免許,届出等の際に実施機関が作成し,又は収受した情報で,公開
することが公益上必要であると認められるもの」と規定している。また,本件条例
12条は,「実施機関は,公開しようとする公文書に,前条各号の一に該当する情
報とそれ以外の情報とが併せて記録されている場合において,同条の規定により公
開しないことができる情報に係る部分とそれ以外の部分とを容易に,かつ,当該公
文書の公開を受けようとする趣旨を損なわない程度に分離できるときは,当該公開
しないことができる情報に係る部分を除いて当該公文書を公開しなければならない。」
と規定している。
 (2) 本件各公文書は,甲校長の校外出張に係る旅行命令票であり,その様式は
原判決別紙旅行命令票(写し)のとおりであって,各欄にそれぞれ対応する事項が
記載されている。
 3 本件条例11条2号にいう「個人に関する情報」については,「事業を営む
個人の当該事業に関する情報」が除外されている以外には文言上何ら限定されてい
ないから,個人の思想,信条,健康状態,所得,学歴,家族構成,住所等の私事に
関する情報に限定されるものではなく,個人にかかわりのある情報であれば,原則
として同号にいう「個人に関する情報」に当たると解するのが相当である。しかし
,県の公務員の職務の遂行に関する情報は,公務員個人の社会的活動としての側面
を有するが,公務員個人の私事に関する情報が含まれる場合を除き,公務員個人が
同号にいう「個人」に当たることを理由に同号の非公開情報に当たるとはいえない
ものと解するのが相当である。その理由は,次のとおりである。本件条例は,県政
に対する県民の理解と信頼を深め,県政の公正な運営の確保と県民参加による行政
の一層の推進を図ることを目的とし,そのために県民に公文書の公開を請求する権
利を明らかにすることとしており(1条),実施機関に対し,個人に関する情報の
保護について最大限の配慮をしつつも,公文書の公開を請求する県民の権利を十分
尊重して本件条例を解釈運用する責務を負わせている(3条)。このように,本件
条例は,県の県政に関する情報を広く県民に公開することを目的として定められた
ものであるところ,県の県政に関する情報の大部分は,県の公務員の職務の遂行に
関する情報ということができる。そうすると,本件条例が,県の公務員の職務の遂
行に関する情報が記録された公文書について,公務員個人の社会的活動としての側
面があることを理由に,これをすべて非公開とすることができるものとしていると
は解し難いというべきである。
 本件各公文書は,甲校長の校外出張に係る旅行命令票であるというのであるから
,県の公務員の職務の遂行に関する情報が記録された公文書である。そうすると,
これらに記録されている情報は,同校長の私事に関する情報を含まない場合には,
本件条例11条2号の非公開情報に当たらないことになる。
4 前記事実関係によれば,本件各公文書は,甲校長の校外出張に係る旅行命令及
び当該旅行に係る旅費請求のために作成されたものであると解されるところ,【要
旨1】本件各公文書の記載欄のうち「給料表の種類」欄及び「級・号給」欄に記録
されている情報は,旅行命令や旅費請求の内容を成すものではなく,旅費請求にお
ける旅費の算定の前提とするためのものであり,「氏名」欄に記載された同校長の
氏名と一体として同校長の私事に関する情報そのものを成すものであるから,本件
条例11条2号の非公開情報に当たるものというべきであるが,本件各公文書に記
録されたその余の情報は,いずれも同校長の私事に関する情報を含まないから,同
号の非公開情報に当たらないものというべきである。また,本件各公文書中の上記
非公開情報に係る部分は,それ以外の部分と容易に,かつ,公開を受けようとする
趣旨を損なわない程度に分離することができるから,本件条例12条に基づき,上
記非公開情報に係る部分を除いて本件各公文書を公開すべきものである。なお,【
要旨2】「氏名」欄の記載は,上記非公開情報とその余の情報との共通の内容とな
っているが,この部分に私事に関する情報は含まれていないのであるから,この欄
の記載は,公開すべきその余の情報に係る部分に含まれるものとして公開しなけれ
ばならないと解される。
 5 以上によれば,本件処分のうち,本件各公文書中の「給料表の種類」欄及び
「級・号給」欄に係る部分以外の部分を非公開とした部分は違法であるというべき
である。これと同旨の原審の判断は,結論において是認することができ,原判決に
所論の違法はない。論旨は,採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 上田豊三 裁判官 金谷利廣 裁判官 濱田邦夫 裁判官 藤田
宙靖)

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