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平成14年(行ケ)第446号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成14年12月10日
          判         決
   原      告   株式会社イケハタ
訴訟代理人弁護士城   山   康   文
同大   橋   岳   人
訴訟代理人弁理士石   戸   久   子
   被      告   株式会社国土基礎
被      告   成幸工業株式会社
被      告   利根地下技術株式会社
被      告   中村工業株式会社
被      告   丸藤シートパイル株式会社
被      告   ライト工業株式会社
6名訴訟代理人弁護士 松   尾   和   子
同吉   田   和   彦
同渡   辺       光
   被      告   八進興業株式会社
特別代理人弁護士   原   田   崇   史
          主         文
1 特許庁が平成11年審判第35028号事件について平成14年7
月23日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
 主文同旨
2 被告八進興業株式会社(以下「被告八進興業」という。)を除く被告ら
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
第2 当事者間に争いのない事実
1 原告は,発明の名称を「連続壁体の造成工法」とする特許第1875289
号特許(以下「本件特許」という。)の特許権者である。
 被告ら7名は,平成11年1月20日,共同して,本件特許を無効にするこ
とについて審判を請求した。特許庁は,この請求を平成11年審判第35028号
事件として審理し,その結果,平成12年5月29日,「特許第1875289号
発明の特許を無効とする。」との審決(以下「第1次審決」という。)をし,その
謄本は,同年6月15日,原告に送達された。
 しかし,被告八進興業は,既に,平成12年5月23日,名古屋地方裁判所
において破産宣告を受け,同時に弁護士Aが破産管財人に選任されていた。第1次
審決は,それにもかかわらず,被告八進興業の破産管財人に審判の手続を受継させ
ることなく,被告八進興業を請求人の一人として表示した上でなされたものであっ
た。
 原告は,平成12年6月29日,被告ら7名を被告として,第1次審決の取
消しを求める訴えを提起した。東京高等裁判所は,この訴えを平成12年(行ケ)
第227号審決取消請求事件として審理し,その結果,平成13年1月31日,被
告八進興業が破産宣告を受けたことにより,審判手続が中断していたにもかかわら
ず,第1次審決がなされたこと,審判手続の中断を看過してなされた第1次審決の
送達は,全員について不適法であり,その効力を生じないから,第1次審決の取消
を求める訴えは,審決の有効な送達がなされる前に提起された不適法な訴えであ
り,その瑕疵を補正することができないものである,として,その訴えを却下し
た。
2 特許庁は,上記訴え却下の判決に先立ち,平成12年12月11日,破産者
八進興業株式会社の破産管財人弁護士Aを請求人とする受継申立に応じて,同月1
5日,同管財人に対する手続続行通知を発送した。
その後,破産者である被告八進興業については,平成13年9月28日,名
古屋地方裁判所によりなされた,破産手続の費用不足を理由とする破産廃止決定が
確定し,平成13年10月1日に破産廃止の登記がなされた。
しかし,特許庁は,破産者である被告八進興業に審判手続を受継させること
なく,平成14年7月23日,「特許第1875289号発明の特許を無効とす
る。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,同審決の謄本を同年8月2日
に原告に送達し,そのころ被告らにも送達した(なお,本件審決には,被告八進興
業の代理人弁理士としてBとの表示があるものの,被告八進興業の従前の取締役
は,破産宣告により,当然にその地位を失い,裁判所による清算人も選任されてい
ないのであるから,被告八進興業が破産廃止手続後にB弁理士に委任したとの事実
はあり得ない。また,B弁理士が,破産宣告前の被告八進興業の代理人弁理士であ
ったとすると,同人と被告八進興業との委任契約は,被告八進興業が破産宣告を受
けたことにより,終了している。)。
第3 当裁判所の判断
 1 上記第2の事実経過に照らすと,被告八進興業が破産宣告を受け,その管財
人が審判手続を受継した後に,破産廃止決定が確定したのであるから,本件の審判
手続は当然に中断する(特許法24条において審判の手続に準用される民事訴訟法
125条2項)。そして,被告ら7名は,共同して本件特許につき無効審判の請求
をしたのであるから,共同審判請求人の一人である被告八進興業について生じた上
記中断は,請求人である被告ら全員についてその効力を生ずる(特許法132条4
項)。そうすると,本件の審判事件の審理を担当する合議体は,被告ら全員が法律
上審判手続に関与することができない状態において,これを当事者として審理し,
本件審決をし,これを送達したものであるから,本件審決は,重大かつ明白な瑕疵
が存在するものとして無効というべきであり,その送達も全員について無効という
べきである。
   ただし,このように無効な審決であり,無効な送達であっても,本件審決が
実際に本件審判事件の審理を担当する合議体によってなされ,原告及び被告らに事
実上送達されることにより,本件審決が有効に成立し有効に送達されているかのよ
うな外観が形成されているのであるから,誤ってこれに基づき本件特許の無効の登
録がなされるおそれなどの不都合を除去し,本件審判を巡る法律関係を明確にする
ために,本件審決は,これが審判手続の中断中になされたものとして無効であるこ
とを確認する意味で,取り消すべきである(特許庁においては,後日,被告八進興
業に適法に受継手続をさせ,審判手続の瑕疵を治癒した上で,改めて審判手続を進
めるべきである。)。
 2 以上のとおりであるから,原告の本訴請求は理由がある。そこで,これを認
容することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61
条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第6民事部
    裁判長裁判官    山  下  和  明
        
           裁判官     設  樂  隆  一
 
           裁判官    高  瀬  順  久

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