弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する。
         理    由
 抗告人主張の抗告の理由は、抗告人は、東京地方裁判所昭和三〇年(ケ)第九一
四号不動産競売事件において本件建物(原決定目録記載のもの)を競落し競落代金
を完済し、所有権を取得したが、A、B、C、株式会社自然科学研究所は本件建物
を占有しておつて抗告人え引渡さないから、原裁判所にたいして民訴法第六八七条
によつて不動産引渡命令を申立てたところ、原裁判所は申立を却下した、しかし右
四名の者は競売開始決定による不動産差押の効力が生じた後に右建物の占有をはじ
めた第三者であるから同人らにたいして前記民訴法の規定によつて建物引渡命令を
発することができるはずであるから、原裁判所が抗告人の申立を却下したのは不当
であるというのである。
 これにたいする当裁判所の判断はつぎのとおりである。
 金銭債権についての強制執行としての不動産競売および抵当権実行のためにする
競売における換価手続において、所有権を取得した者すなわち競落人にたいして
は、対抗要件たる所有権取得登記を得しめるはもちろん、所有者の権能として当然
行い得べき占有をもめんどうな手数をかけずに得させることが競売の目的達成のた
めに望ましいことである。
 そうでないと競買申出をする者も少くなるだろうし、競買申出の価額もいよいよ
低くなるであろうことはみやすいところである。これが民訴法第六八一条の引渡命
令制度が設けられたわけであると解せられる。そこでこの命令は競売の目的達成の
ために望ましいところであることから、競売手続のつけたりの手続として競売裁判
所が発するものであるから、これを発するかどうかは競売裁判所が容易に判断する
ことができかつ、その判断はめつたにまちがわないという場合でなければならな
い。かような制約を頭において競売裁判所が引渡を命じ得べき占有者の範囲を考え
なければならない。いうまでもないことながら、競落人の所有権取得の後、従前の
所有者たる債務者、抵当不動産の所有者またはそれらの一般承継人が競落不動産を
占有する場合には、これらの者は従前の占有権原をうしなつたのである。したがつ
て、あらたに所有権を取得して占有の権原を有するにいたつた競落人に引渡すべき
義務を負う者であることは競売裁判所にとつて明白であつて、とくに調査を必要と
しないところである。
 右のような義務者が任意に義務を履行しない場合に、裁判所は簡易迅速に、当該
競売手続中において、競落人をして占有を得しめる処置を講じ得るものとなるはま
ことに相当であつて、民訴法第六八七条による引渡命令は、強制執行における債務
者抵当不動産の競落当時の所有者にたいして発し得べく、なお、これらの一般承継
人も簡易に調査認定し得るものであるから、これにたいしても、発し得べきものと
解するは相当である。
 <要旨>ところで、競落不動産が執行債務者または抵当不動産の所有者もしくはこ
れらの一般承継人以外の第三者の占有にある場合これらにたいして引渡命令
を発し得べきかと考えるに、これを発し得るものとすれば、競落人にとつては、は
なはだ有利であるけれども、これら第三者の占有の権原の有無は、競売裁判所がお
のずからこれを知り得る機会を有するという筋合にはなく、したがつて簡単な調査
では明白にし得ない場合が多いとみるべきであるから、競売裁判所が容易にこれら
にたいして引渡命令を発し得るとするならば、これら第三者の権利を害するおそれ
がある。そうかといつて、かかる占有者の権原の有無について、誤りのない判断を
得るほどに十分な調査をすることは、事の実際において、競売裁判所のたえるとこ
ろでない。のみならす、この引渡命令の規定は、私法上の権利の強制的実現は確定
判決にもとすくべきものとなる現代法制上の原則にたいなる特例をなすもので、し
たがつてたやすくこの規定の類推もしくは拡張解釈をして、明文の法規もないとこ
ろまで、引渡命令の範囲を広めることは相当でない。すなわち、民訴法第六八七条
による引渡命令は、前段に説示したとおり、執行債務者または抵当不動産の所有者
もしくはこれらの一般承継人が競売不動産を占有する場合にかぎり発し得べくこれ
ら以外の第三者が占有する場合にはこれを発することはできないとしなければなら
ない。
 以上のようなわけで、本件抵当不動産の所有者として競売手続を受けた者でも、
またその一般承継人でもないこと抗告人みすから認めるところの前記Aら四名にた
いする引渡命令を求める抗告人の申立はゆるすべきものでない。
 これと同趣旨の原決定は正当であるから抗告を理由ないものとし主文のとおり決
定する。
 (裁判長判事 藤江忠二郎 判事 谷口茂栄 判事 満田文彦)

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