弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用を控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は「原判決を取消す。控訴人(債権者)と被控訴人(債務者)間の横
浜地方裁判所昭和三十二年(ヨ)第二四六号工事中止仮処分命令申請事件につい
て、同裁判所が昭和三十二年五月十七日なした仮処分決定を認可する。訴訟費用は
第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文第
一項同旨の判決を求めた。
 当事者双方の陳述した主張の要旨は、原判決の事実摘示と同一であるから、ここ
に引用する。
         理    由
 本件記録を調べると、控訴人が控訴の趣旨記載のような原裁判所から仮処分決定
を得たところ、被控訴人が昭和三十二年五月二十一日異議を申立てたので、原裁判
所が口頭弁論を開いて審理を初めた処、被控訴代理人は昭和三十二年七月十一日書
面で右異議の申立を取下げたが、控訴代理人はその取下げに同意せず、右異議の取
下げは効力を生じないと主張したので、原裁判所は、本件異議事件は右異議申立取
下によつて終了した」と判決したことを認めることができる。
 被控訴人のなした右異議の取下が有効かどうかについて判断する。
 <要旨第一>仮処分命令に対する債務者の異議申立は、口頭弁論を経て仮処分申請
の当否についての審判を求める申立てであるが、仮執行宣言前の支払命
令のように、支払命令に対する異議申立によつて支払命令が効力を失う(民訴法第
四三七条参照)のとは異り、仮処分命令の効力は異議申立によつても効力を失うこ
となく存続するのであるから、判決においても、仮処分命令申請の当否についての
み審判するのではなく、すでになした仮処分命令の認可、または取消の裁判をなし
ているのである。従つて、仮処分命令に対する異議申立の取下げの効力を認めて
も、すでに発した仮処分命令の効力をそのまま存続させることとなるのであるか
ら、その取下げを認めるということは、法律上意味があるばかりではなく、債務者
において、口頭弁論で仮処分命令申請の当否について審理を受けることをやめ、自
己に不利な仮処分命令の効力を存続させることを容認するというのであり、仮執行
宣言付の支払命令の異議を取下げ或は控訴を取下げると同じように、債務者におい
ても取下げる利益がないと即断することはできないから、仮処分命令に対する異議
申立ては取下げができるものと解する。
 仮処分命令に対する異議の取下げについて民事訴訟法第二三六条第二項の準用に
よつて債権者の同意がないとその効力を生じないかどうかについて判断する。
 <要旨第二>仮処分命令に対する異議に基いて口頭弁論を開いた以上、判決で右仮
処分命令の申請が理由がありとして、さきになした仮処分命令が認可さ
れ、それが確定すれば、債務者から再び異議の申立がなされないという反射的の利
益あることは否定できない。しかし、この利益は本案判決の既判力とは異り、仮処
分命令が効力を有する間という一時的のものであるばかりではなく、異議が取下げ
られた当時と少しでも事情が変り、新な証拠方法が加えられた程度でも異議の申立
てができるのであるから、この場合の債権者の反射的の利益は訴の取下の場合の被
告の利益に比較すれば相当大きな差があるばかりではなく、仮処分手続はもともと
終局的な権利義務の存否を確定するものではないから、異議の取下げについては、
控訴期間内の控訴の取下の場合(第三六三条)と同様に、第二三六条第二項の準用
がないと解するのが、むしろ仮処分手続の迅速に暫定的な処分をなす性格に照応す
るものと解する。
 そうであるから、被控訴人のなした本件仮処分命令に対する異議の取下は、控訴
人の同意はなくも有効で、本件異議手続は右取下によつて終了したと解するを相当
とする。
 よつて、これと同趣旨の原判決は相当で、本件控訴は理由がないから、民事訴訟
法第三八四条第一項により棄却し、控訴審での訴訟費用の負担について同法第九五
条、第八九条を適用し、主文のように判決する。
 (裁判長判事 柳川昌勝 判事 村松俊夫 判事 中村匡三)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛