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平成12年(行ケ)第422号 審決取消請求事件(平成13年5月16日口頭弁
論終結)
          判         決
       原      告   A
       訴訟代理人弁護士   川 本 隆 司
       被      告   イザンベール株式会社
       訴訟代理人弁護士   田 中 克 郎
       同          宮 川 美津子
       同          中 村 勝 彦
          主         文
      原告の請求を棄却する。
      訴訟費用は原告の負担とする。
          事実及び理由
第1 当事者の求めた裁判
 1 原告
   特許庁が平成11年審判第30327号事件について平成12年9月4日に
した審決を取り消す。
   訴訟費用は被告の負担とする。
 2 被告
   主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
   原告は、「Magic」の欧文字を横書きしてなり、平成3年政令第299号によ
る改正前の商標法施行令別表の区分による第4類「化粧品、その他本類に属する商
品」を指定商品とする登録第0644077号商標(昭和37年12月26日登録
出願、昭和39年6月3日設定登録、昭和49年8月26日、昭和59年5月21
日及び平成6年7月28日各存続期間の更新登録、以下「本件商標」という。)の
商標権者である。
   被告は、平成11年3月17日、原告を被請求人として、本件商標につき不
使用による登録取消しの審判請求をし、その予告登録が同年4月7日(以下「予告
登録日」という。)にされた。
   特許庁は、同請求を平成11年審判第30327号事件として審理した上、
平成12年9月4日、「登録第0644077号商標の登録は取り消す。」との審
決をし、その謄本は同年10月10日に原告に送達された。
 2 審決の理由
   審決は、別添審決謄本写し記載のとおり、本件商標が、予告登録日前3年以
内に日本国内において、その指定商品につき商標権者、専用使用権者及び通常使用
権者のいずれによっても使用されていなかったものと認めざるを得ず、かつ、使用
していなかったことについて正当な理由があるものとは認められないから、本件商
標は、商標法50条の規定によりその登録を取り消すべきものとした。
第3 原告主張の審決取消事由
   本件商標は、予告登録日前3年以内に日本国内において、通常使用権者によ
り指定商品につき使用されていたものであり(取消事由1)、また、本件商標と連
合商標の関係にあった商標が、予告登録日前3年以内であって連合商標制度の廃止
までの間に日本国内において、その通常使用権者により本件商標の指定商品につき
使用されていたものである(取消事由2)から、審決には結論に影響を及ぼす瑕疵
があり、違法として取り消されるべきである。
 1 取消事由1(本件商標の使用)
  (1) 原告は、株式会社ピカソ美化学研究所(以下「ピカソ美化学」という。)
に対し、本件商標についての通常使用権を許諾している。
    ピカソ美化学は、布亀通商株式会社に対し、本件商標の指定商品であるス
キンケアクリーム(化粧品製造製品届書販売名「マジック アロクリーム」、以下
「本件クリーム」という。)を、予告登録日前3年以内である平成8年12月17
日に3696個、平成9年3月10日に240個販売したところ、本件クリームの
容器には、「ALOE」と「MAGIC」の各欧文字を上下2段に横書きして表した商標(以
下「使用商標」という。)が付されていた。
    使用商標において、「ALOE」の文字部分は本件クリームの原材料を示すも
のにすぎず、自他商品識別機能を果たすのは「MAGIC」の文字部分である。そして、
本件商標と使用商標の「MAGIC」の文字部分とは、それぞれの構成中の2文字目以下
が小文字であるか大文字であるかの点で異なるにすぎず、称呼及び観念が同一であ
ることはもとより、外観も同視し得るものであるから、使用商標は本件商標と社会
通念上同一と認められる商標というべきである。
    審決は、使用商標につき「『ALOEMAGIC』の・・・文字部分は、全体が同
じ書体でまとまりよく一体的に構成されてなるものであるから、その文字中
の・・・『ALOE』・・・が『アロエ』等の意味合いを有する語であるとしても、係
る構成においてはその文字部分が用途、品質等を表示するものとはいえず、全体で
一つの造語を表した商標とみるのが相当である」(審決謄本11頁24行目~30
行目)と判断した。しかしながら、上記のとおり使用商標の「ALOE」と「MAGIC」の
各文字部分は上下2段に表されているものであり、観念においても称呼において
も、「ALOE」と「MAGIC」の各語を一体のものとして把握する契機は乏しい。審決
は、このような「ALOE」と「MAGIC」の各文字部分を何らの必然性もなく一体的に構
成されるものと判断したものであって、その判断が誤りであることは明らかであ
る。
  (2) また、ピカソ美化学は、「LIPMAGIC」の商標を使用して本件商標の指定
商品である口紅を、さらに、「MAGICCOLOR」の商標を使用して本件商標の指定商品
であるアイシャドウを、それぞれ予告登録日前3年以内に日本国内において販売し
た。
    「LIPMAGIC」の商標の「LIP」の文字部分は商品の用途を、また、「MAGIC
COLOR」の商標の「COLOR」の文字部分は商品の機能をそれぞれ表示するものであっ
て、これらの各商標において、自他商品識別機能を果たすのは「MAGIC」の文字部分
である。したがって、これらの商標も本件商標と社会通念上同一と認められる商標
というべきである。
  (3) したがって、本件商標は、予告登録日前3年以内に日本国内において、通
常使用権者であるピカソ美化学により指定商品につき使用されていたものである。
 2 取消事由2(連合商標の使用)
   原告は、「MAGIC」の欧文字と「マヂック」の片仮名文字を上下2段に横書き
してなり、旧商標法施行規則(大正10年農商務省令第36号)に基づく区分によ
る第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品とする登録第043100
6号商標(昭和27年6月4日登録出願、昭和28年9月10日設定登録、昭和4
9年3月8日、昭和58年8月29日及び平成5年10月28日各存続期間の更新
登録、以下「関連商標」という。)の商標権者であり、ピカソ美化学に対し関連商
標の通常使用権の許諾をしている。
   本件商標と関連商標とは、商標法等の一部を改正する法律(平成8年法律第
68号、以下「8年改正法」という。)による商標法の改正によって廃止される前
の連合商標(同改正前の同法7条)の関係にあった。そして、本件審判は、平成1
2年3月31日より前に請求されたものであるから、本件審判については同改正前
の同法50条2項の規定がなお効力を有し(8年改正法附則10条2項)、予告登
録日前3年以内であって、かつ、平成9年3月31日(8年改正法の施行日の前
日)までの間に、日本国内において、関連商標の通常使用権者が本件審判請求に係
る指定商品についての関連商標の使用をしていれば、本件商標についての商標登録
の取消しを免れることができる。
   そして、ピカソ美化学が、布亀通商株式会社に対し、平成8年12月17日
及び平成9年3月10日に使用商標を用いて本件クリームを販売したことは上記1
の(1)のとおりであり、その販売日である平成8年12月17日及び平成9年3月1
0日は、ともに予告登録日前3年以内であって、かつ、平成9年3月31日までの
間に属する。
   また、使用商標の「ALOE」の文字部分が本件クリームの品質、原材料を示す
ものであり、使用商標が関連商標と社会通念上同一と認められることは、平成11
年審判第30323号事件の審決(甲第15号証)において判断されているとおり
であるから、本件商標と連合商標の関係にあった商標が、予告登録日前3年以内で
あって連合商標制度の廃止までの間に日本国内において、その通常使用権者により
本件審判請求に係る本件商標の指定商品につき使用されていたものである。
第4 被告の反論
   審決の認定、判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。
 1 取消事由1(本件商標の使用)について
  (1) 原告は、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であると
主張する。
    しかしながら、使用商標は、「ALOE」の文字部分と「MAGIC」の文字部分と
が、書体、大きさ及び色彩を同じくし、上下2段にバランスよく配置されており、
外観において緊密な一体性を有するとともに、全体として「アロエの魔法」という
独立した一個の観念を表しているから、全体として一つの商標を構成するものであ
ることは明らかであり、使用商標に接した取引者、需要者が、単に「MAGIC」の文字
部分のみ独立して認識することはあり得ない。
    そうすると、使用商標は、「アロエマジック」の称呼及び「アロエの魔
法」という観念を生じ、本件商標と称呼及び観念を異にするのみならず、外観にお
いても全く異なるから、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標で
あるということはできない。
  (2) 原告は、「LIPMAGIC」及び「MAGICCOLOR」の各商標が本件商標と社会通
念上同一と認められる商標であるとも主張する。
    しかしながら、「LIPMAGIC」及び「MAGICCOLOR」の各商標は、「LIP」の
文字部分又は「COLOR」の文字部分と「MAGIC」の文字部分とが、それぞれ書体及び
色彩を同じくして一体に書してなるものであり、「リップマジック」又は「マジッ
クカラー」とよどみなく称呼し得るものであって、これらの商標に接した取引者、
需要者が、単に「MAGIC」の文字部分のみ独立して認識することはあり得ない。
    そうすると、これらの商標は、本件商標と称呼、観念及び外観が全く異な
るものであって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるということは
できない。
 2 取消事由2(連合商標の使用)について
   原告は、使用商標が関連商標と社会通念上同一と認められる商標であると主
張する。
   しかしながら、使用商標が「ALOE」の文字部分と「MAGIC」の文字部分との全
体で一つの商標を構成するものであることは上記1のとおりであり、そうすると、
使用商標は、関連商標と称呼、観念及び外観を異にするものであって、社会通念上
同一と認められる商標であるということはできない。
第5 当裁判所の判断
 1 取消事由1(本件商標の使用)について
  (1) 原告は、本件商標について通常使用権を有するピカソ美化学が、予告登録
日前3年以内に日本国内において、使用商標を用いて本件商標の指定商品である本
件クリームを販売したところ、使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる
商標というべきであると主張するので、この点について検討する。
    本件クリームの容器の写真(甲第1号証の2)によれば、使用商標の態様
等につき、本件クリームの円筒形容器の側面の緑色の地に、いずれも白色の欧文字
によって、「ALOE」の文字と「MAGIC」の文字とを上下2段に横書きして表したもの
であること、「ALOE」及び「MAGIC」の各文字部分を構成する文字は、書体及び大き
さが同一であること、上段の「ALOE」の文字部分と下段の「MAGIC」の文字部分との
間隔は、各文字の大きさの5分の1ないし6分の1程度で、極めて近接しており、
かつ、上段の「ALOE」の文字部分の横方向の長さは下段の「MAGIC」の文字部分のそ
れよりも多少短いものの、それぞれの文字部分の横方向中央を同じ位置にそろえ、
下段の文字部分中の上段の文字部分と重ならない部分がその前後端で同じ長さとな
るようにし、全体に上下段の文字部分がまとまりよく配置されていることが認めら
れる。
    上記態様等に照らすと、使用商標は、上下2段に表されているとしても、
その全体が外観において極めて緊密な一体性を有しているものというべきである。
他方、本件クリームのパンフレット(甲第7号証)の記載によれば、本件クリーム
の成分は、アロエベラ(ALOEVERA)にホホバオイル(JOJOBAOIL)を配合したもの
であることが認められるが、上記使用商標の態様に照らして、これに接した取引
者、需要者が、「ALOE」の文字部分が本件クリームの原材料表示であると理解し、
下段の「MAGIC」の文字部分のみを独立した商標として認識するとするのは極めて不
自然である。したがって、使用商標は、原材料に由来する「ALOE」の語と「魔法」
を意味する「MAGIC」の語とを組み合せた「ALOEMAGIC」との造語によって表された
ものであって、全体として1個の商標を構成するものと認めるのが相当である。
    なお、原告は、使用商標において自他商品識別機能を果たすのは「MAGIC」
の文字部分であるとも主張するが、上記使用商標の態様に照らし、また、「ALOE
MAGIC」の文字が「アロエマジック」と一連によどみなく称呼し得ることにかんがみ
て、使用商標においては「ALOEMAGIC」の文字全体に自他商品識別機能があるもの
と認めるのが相当であるから、原告の上記主張は採用することができない。
    そして、本件商標はその構成に応じて「マジック」の称呼及び「魔法」の
観念を生ずるものと認められるが、使用商標は、上記のように「アロエマジック」
の称呼を生じ、また、特定の具体的観念は生じないと認められるほか、本件商標と
外観において顕著に異なるものであることは明らかであるから、使用商標が本件商
標と社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
    したがって、本件商標の指定商品に使用商標を用いたとしても、指定商品
についての本件商標の使用をしたことに当たるということはできない。
  (2) 原告は、さらに、本件商標について通常使用権を有するピカソ美化学
が、「LIPMAGIC」の商標を使用して本件商標の指定商品である口紅を、ま
た、「MAGICCOLOR」の商標を使用して本件商標の指定商品であるアイシャドウを、
それぞれ予告登録日前3年以内に日本国内において販売したところ、「LIPMAGIC」
及び「MAGICCOLOR」の各商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標とい
うべきであると主張するので、この点について検討する。。
   (ア) 製造元をピカソ美化学、発売元を株式会社ジュテームとする口紅の外
箱の写真2葉(甲第2号証の1、第9号証の1)によれば、同外箱の長方形状の1
面に「JET'AIME」の欧文字と「LIPMAGIC」の欧文字とを上下2段に横書きした商
標が付されていること、そのうちの「LIPMAGIC」の文字部分は、「JET'AIME」の
文字部分と色彩が異なり、また、構成文字の大きさが小さく表されていること、さ
らに、「LIPMAGIC」の文字部分のみについて見るに、そのうちの「LIP」の文字部
分を構成する各文字が「MAGIC」の文字部分を構成する各文字のおおむね3分の1の
横幅であるものの、「LIPMAGIC」の文字部分全体として、各文字が書体及び色彩を
同じくしてまとまりよく配置されていることが認められる。
     そうすると、構成文字の大きさ及び色彩の相違並びに「JET'AIME」の語
がフランス語であるのに対し「LIPMAGIC」の語が英語であることによって、仮
に、「LIPMAGIC」の文字部分が「JET'AIME」の文字部分から独立した別個の商標
であるとしても、「LIPMAGIC」の文字部分の上記態様に照らして、その部分全体が
1個の商標を構成するものと認められる。なお、原告は、「LIPMAGIC」の商標
の「LIP」の文字部分が商品の用途を表示するものであって、自他商品識別機能を果
たすのは「MAGIC」の文字部分であると主張するが、「LIPMAGIC」の文字部分の上
記態様に照らし、また、「LIPMAGIC」の文字が「リップマジック」と一連によどみ
なく称呼し得ること等にかんがみて、当該商標は、用途に関連する「LIP」の語と
「魔法」を意味する「MAGIC」の語とを組み合せた「LIPMAGIC」との造語によって
表されたものであって、「LIPMAGIC」の文字全体に自他商品識別機能があるものと
認めるのが相当であるから、原告の上記主張は採用することができない。
     そして、「LIPMAGIC」の商標は、上記のように「リップマジック」の称
呼を生じ、また、特定の具体的観念は生じないと認められるから、本件商標と称呼
及び観念において異なるものであり、そうすると、「LIPMAGIC」の商標が本件商標
と社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
     したがって、本件商標の指定商品に「LIPMAGIC」の商標を用いたとして
も、指定商品についての本件商標の使用をしたことに当たるということはできな
い。
   (イ) 製造元をピカソ美化学、発売元を株式会社ジュテームとするアイシャ
ドウの容器及び外箱の写真2葉(甲第3号証の1、第10号証の1)によれば、同
外箱の長方形状の1面に「MAGICCOLOR」の欧文字を横書きした商標が付されている
こと、その構成文字は、大きさ、書体及び色彩が同一でまとまりよく配置されてい
ることが認められ、その態様に照らすと、「MAGICCOLOR」の文字全体が1個の商標
を構成するものと認められる。なお、原告は、「MAGICCOLOR」の商標の「COLOR」
の文字部分が商品の機能を表示するものであって、自他商品識別機能を果たすの
は「MAGIC」の文字部分であると主張するが、「MAGICCOLOR」の文字の上記態様に
照らし、また、それが「マジックカラー」と一連によどみなく称呼し得ること等に
かんがみて、当該商標は、「魔法」を意味する「MAGIC」の語と機能に関連す
る「COLOR」の語とを組み合せた「MAGICCOLOR」との造語によって表されたもので
あって、「MAGICCOLOR」の文字全体に自他商品識別機能があるものと認めるのが相
当であるから、原告の上記主張は採用することができない。
     そして、「MAGICCOLOR」の商標は、上記のように「マジックカラー」の
称呼を生じ、また、特定の具体的観念は生じないと認められるから、本件商標と称
呼及び観念において異なるものであり、そうすると、「MAGICCOLOR」の商標が本件
商標と社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
     したがって、本件商標の指定商品に「MAGICCOLOR」の商標を用いたとし
ても、指定商品についての本件商標の使用をしたことに当たるということはできな
い。
  (3) 以上によれば、本件商標は、予告登録日前3年以内に日本国内において、
通常使用権者であるピカソ美化学により指定商品につき使用されていたものである
との原告主張は、その余の点につき判断するまでもなく、採用することができな
い。
 2 取消事由2(連合商標の使用)について
   本件商標に係る商標登録原簿写し(甲第5号証)並びに関連商標に係る商標
登録原簿写し(甲第13号証)及び公告公報(甲第14号証)によれば、関連商標
は、「MAGIC」の欧文字と「マヂック」の片仮名文字を上下2段に横書きしてなるも
のであって、本件商標と関連商標とは、8年改正法による商標法の改正によって廃
止される前の連合商標(同改正前の同法7条)の関係にあったことが認められる。
そして、原告は、関連商標について通常使用権を有するピカソ美化学が、予告登録
日前3年以内であって、かつ、平成9年3月31日(8年改正法の施行日の前日)
までの間に、日本国内において、使用商標を用いて本件審判請求に係る指定商品で
ある本件クリームを販売したところ、使用商標は関連商標と社会通念上同一と認め
られる商標というべきであると主張するので、この点について検討する。
   使用商標が、原材料に由来する「ALOE」の語と「魔法」を意味する「MAGIC」
の語とを組み合せた「ALOEMAGIC」との造語によって表されたものであって、全体
として1個の商標を構成するものであり、また、「アロエマジック」の称呼を生
じ、特定の具体的観念は生じないと認められることは、上記1の(1)のとおりであ
る。そして、関連商標はその構成に応じて「マジック」の称呼及び「魔法」の観念
を生ずるものと認められるから、使用商標は、関連商標と称呼及び観念を異にする
ものであって、使用商標が関連商標と社会通念上同一と認められる商標であるとい
うことはできない。
   なお、平成11年審判第30323号事件の審決謄本(甲第15号証)によ
れば、同審決は、使用商標が関連商標と社会通念上同一であると判断したことが認
められるが、この判断は是認することができない。
   したがって、本件商標の指定商品に使用商標を用いたとしても、本件審判請
求に係る指定商品についての関連商標の使用をしたことに当たるということはでき
ないから、本件商標と連合商標の関係にあった商標が、予告登録日前3年以内であ
って連合商標制度の廃止までの間に日本国内において、その通常使用権者であるピ
カソ美化学により本件商標の指定商品につき使用されていたとの原告の主張は、そ
の余の点につき判断するまでもなく、採用することができない。
 3 以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由は理由がなく、他に審決
を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
   よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴
訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
  東京高等裁判所第13民事部
    裁判長裁判官 篠   原   勝   美
    裁判官 石   原   直   樹
    裁判官   宮   坂   昌   利

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