弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人新庄初一の上告趣意第一点について。
 論旨は結局単なる法令違反、訴訟法違反、事実誤認の主張をいでないものであつ
て、刑訴四〇五条に定める上告の理由にあたらない(なお、麻薬中毒患者であるか
否かの認定には所論のように特別の知識経験のある者の鑑定等を必要とするもので
はないし、本件ナルコポン水溶液の施用が所論両名の患者に併発した他病治癒の為
になされたものとは原審の是認した第一審判決の認定判示していないところである)。
 同第二点について。
 論旨は単なる量刑不当の主張に帰し刑訴四〇五条に定める上告の理由にあたらな
いし同四一一条を適用すべきものとも認められない。
 同第三点(追加上告趣意書)について。
 論旨は結局単なる訴訟法違反の主張に帰し刑訴四〇五条に定める上告の理由にあ
たらない。そして原判決の所論前段の判示の趣旨とするところは、第一審判決の判
示第一の(二)のように「一ケ月に約十二回の割合で一回に一立方糎宛施用し又は
約三日に一回の割合で注射施用し」というように判示すれば足り、その回数を何回、
数量を幾何等と正確に判示することは必ずしも必要でない旨説示したものと解され
るから原判示には所論のような矛盾も訴訟法違反も存しないので刑訴四一一条を適
用すべきものとは認められない。
 弁護人大竹武七郎の上告趣意第一点について。
 論旨は原審で主張も判断もされていないところであるばかりでなく、単なる訴訟
法違反の主張にとどまり、刑訴四〇五条に定める上告の理由にあたらない。そして
所論の第一審の審理手続が違法であるといえないことは昭和二五年(あ)三五号同
年一二月二〇日大法廷判決(判例集四巻一三号二八七〇頁以下)の趣旨に照して明
らかなところであつて、同四一一条を適用すべきものとも認められない。
 同第二点について。
 所論憲法の規定は偏頗や不公平のおそれのない組織と構成の裁判所の裁判を受け
る権利を保障しているのにすぎないものであることは、当裁判所屡次の判決の趣旨
とするところであるから、たとい控訴趣意書提出期間の通知を検事と被告人、弁護
人とに所論のように同時にしなかつたとしても、同条規に違反するものとはいえな
い。されば論旨はとるをえない。
 同第三点について。
 論旨は原審で主張も判断もされていないところであるばかりでなく、原審の是認
した第一審判決は、もともと本件ナルコボンが被告人によつて不正に入手し所持さ
れていたものであるとは認定判示していないところであるし、また、所論麻薬取締
法の各規定(四七条、四二条)は麻薬の入手の事由までも報告又は記録すべきこと
を要求しているのではないから、論旨は原判示並に所論法条にそわない事実を前提
とする主張に帰し、いずれもその前提を欠きとるをえないし、刑訴四一一条を適用
すべきものとも認められない。
 同第四点について。
 論旨は単なる訴訟法違反の主張であつて刑訴四〇五条に定める上告の理由にあた
らない。そして、第一審判決並びに原判決が麻薬施用の罪及び記録不作成の罪につ
いて、その施用の都度又は記録不作成毎に別個独立の各罪が成立し包括一罪でない
旨判示したのは正当である。次に、原判決の「回数、数量等を判示することは必ず
しも必要でない」旨判示したのは自己矛盾でないことは新庄弁護人の論旨第三点に
対する説明により了解すべく、また、旧麻薬取締規則が廃止され現行麻薬取締法が
施行されたのは所論のとおり昭和二三年七月一〇日であるから、第一審判決第一の
(二)の(ロ)の所論の事実を同日頃からと認定判示した以上理由不備の違法はな
い。従つて、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 弁護人小林右太郎、同平山雅夫の上告趣意について。
 論旨第一、二点は第一審判決の採証を非難し、事実誤認、訴訟法違反の主張をい
でないし、同第三点は原審で主張も判断もされていないところであるばかりでなく、
単なる訴訟法違反の主張にとどまるものであり(所論判示「所定の記録」は麻薬取
締法四二条一項に定める事項の記録を指すことは判文上明らかである)、同第四点
は結局単なる量刑不当の主張に帰するし、同第五点は独自の見解に立つて原判決の
法令違反を主張し量刑不当を主張するにすぎないから、論旨いずれも刑訴四〇五条
に定める上告の理由にあたらないし、また四一一条を適用すべきものとも認められ
ない。
 よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号に従い裁判官全員一致の意見で主文のと
おり決定する。
  昭和二七年八月二一日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    岩   松   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛