弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告らは、不法出版物を用いた不法商行為をしてはならない。
2 被告らは、原告に対し、縦七センチメートル、横一〇センチメートルの大きさ
で、一〇ポイント活字を用いて、被告住商電子システム株式会社名義で朝日新聞又
は日刊工業新聞に本事件についての謝罪広告を三回掲載せよ。
3 被告らは、原告に対し、金五〇〇万円及びこれに対する昭和五七年九月八日か
ら支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は被告らの負担とする。
5 仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
主文同旨
第二 当事者の主張
一 原告
原告の主張は別紙(一)、(二)記載のとおりである。
二 被告
原告の主張する事実のうち、被告会社がDSW四八〇〇号等を国内において販売す
るにあたつて「GCA BURILNGTON DIVISION MANN 4
800 DSW SYSTEMTECHNICAL NOTES」と題するパンフ
レットを印刷、頒布、利用していること、原告が著作人格権の侵害等を理由として
被告会社に対し警告をしてきたこと、これに対し被告【A】が被告会社を代理して
原告にあて昭和五六年三月九日付の書面で回答をしたこと、被告【B】が「電子材
料」一九八二年三月号に「一〇対一縮小投影露光装置『4800DSW』との文献
を公表していること、原告が被告【B】に対し著作者人格権の侵害等を理由に警告
をなしてきたこと及びこれに対し被告【A】が被告【B】を代理して昭和五七年四
月一二日付の回答書を出したことはいずれも認め、その余の原告主張事実は争う。
第三 証拠(省略)
       理   由
一 原告の主張の要旨は、原告は半導体工業用の光学的縮小投影露光装置が備える
べき基本原理を研究し、一九六九年九月三〇日に日刊工業新聞が主催した講習会に
おいて世界で初めて右原理につき講義してその講義録「ICへのホトエツチング技
術の応用」を同社刊行のテキストに掲載し、更に雑誌「高分子」第一九巻第二一五
号に掲載された「感光性樹脂の電子工業への応用」と題する論述中に右原理の内容
を明記している(右講義録及び論述を、以下「本件著作物」という。)ところ、被
告会社は、右原理を応用して製品化したGCA社の縮小投影露光装置DSW四八〇
〇を販売する際にそのTECHNICAL NOTESと称するパンフレットを印
刷、頒布しており、被告【B】は雑誌「電子材料」一九八二年三月号に右装置に関
し「10対1縮小投影露光装置『4800DSW』と題する文章を掲載している
が、その際右両被告は、右両文書に、この種装置が必ず備えるべき原理を創作して
論述した重要な先行文献たる原告の本件著作物を全く引用せず、したがつて、両被
告の右各行為は原告の本件著作物についての著作者人格権を侵害する行為であり、
被告【A】は、被告会社、被告【B】と共謀関係にあるというにある。
 そこで検討するに、科学等の著述をなすに際し、その分野の先行文献を引用する
か否かは、本来該当著述者の自由にまかされているものであつて、先行文献の引用
が適切にされていない場合に、引例の不適切としてその著述の内容ひいてはその著
述者の学識に対する低評価等がもたらされることがありうることは格別として、著
作権法上は先行文献を著述において引用(使用)していない以上当該先行文献の著
作者の著作者人格権の侵害が問題となることはないことが明らかである。
 したがつて、本件著作物が引用されていないことをもつて著作者人格権の侵害で
あるとの立論に基づく原告の本訴請求は、失当といわざるをえない。
二 よつて原告の本訴請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき民
事訴訟法第八九条の規定を適用して、主文のとおり判決する。
別紙(一)
 請求の原因
 原告は、半導体工業のホトレジスト(光彫刻)工程で利用する十対一および五対
一の縮少率を含む光学的縮少投影露光装置等に関する研究開発を一九六六年頃より
実施し、これにもとづき、独自の見解を一九六九年九月三十日、午後三時より、日
刊工業新聞社主催のホトレジスト技術講座において講義し、その内容は、講義録に
明示した。
(甲第一号証)
 更に、この内容の重要性について、一九七〇年(昭和45年)、日本国の雑誌、
「高分子」第19巻、第215号、第143頁に再度、明記した。
 これは原告の提起した内容が、この技術分野の将来装置として極めて重要である
ことを認識したためである。(甲第二号証)
 この中において、原告が、この種装置が、具備すべき厳密な条件として、再度、
明示したのは、次の事項等である。
(1) 縮少率は、1/10乃至1/5の高解像力レンズを用いる。これは1/1
0と1/5の縮少率のレンズを用いることを包含している。
(2) この装置は縦型の光学系として装備する。
 他には水平型や倒立型もある。
(3) くりかえし殖版露光法を採用する。
 これは、ステップアンドレピート法と呼称している。
(4) 無粒子性の有機感光材料を薄く塗布したシリコン板上の酸化膜表面に、画
像を投影露光する。
 銀粒子を有する高解像力乾板等は利用しない。
(5) エレクトロニクス利用により自動化する。
 これらの諸条件は、将来装置がもつべき、基本原理として、原告が、世界で最初
に、創作し、前記の著作物の中に世界で最初に著作し、講演したのである。以後、
この光学的縮少投影露光装置を作るための原理は広く知られ公知となつた。(甲第
三号証)
 これらの高度技術に関する諸条件は、原告の真剣なる写真光学と半導体工学の両
分野にわたる研究、開発の中から、創造された、最重要の条件であつた。(甲第四
号証)
 しかるに、被告、【C】等が、この重要条件を完全に満した装置、DSW四八〇
〇等を国内において販売するに当つて、印刷、頒布し、利用しているGCA社発行
の和訳発行物等は、この発行物記載内容に先行した原告の重要文献を、全く、引用
することなく、あたかも、自分で独自に製品化したかのごとく記述した発行物を用
いている。(甲第五号証)
 これらの事実は、明らかに、著作権法、第59条記載の著作者の人格権の一身専
属性に対する侵犯行為である。
 実際、原告は、GCA社及び、住商電子システム社にこの人格権を譲渡していな
い。
 一九七五年以後、製作された、これら新装置は、前記、条件を完全に満している
が、このような場合、前記、原告の先行文献を引用すれば、利用することができ
る。
 しかしながら、被告等の利用する、発行印刷物は、全く、前記、先行文献を引用
していない。
 この明白なる事実は、明らかに著作権法、第32条及び第113条一、二および
2項に抵触した違法行為である。
 また、本装置に用いる1/10と1/5の縮小高解像力レンズは、前記、原告の
著作物記載内容が、起因となり、西独、カールツアイス社が、その後、開発、製品
化したのである。
 これは証人がいる。
 原告は、被告等の、この不法行為の発見後、ただちにその不当の改訂を求め、法
治国にふさわしい、合法的出版物を用いる必要性を求めたのであるが、この正当な
る、科学技術者の礼儀と慣行にもとづく発言を、受け入れる態度と解答を示さな
い。(甲第六号証)
 被告、【B】は、本装置に関するこのような経緯を知りながら(原告の前記文献
は一九八一年中に【C】に郵送した。)電子材料、三月号57頁以下に、前記文献
を引用することなく、前記五条件を満した製品の記載をなした。これは、同じく、
著作権法第32条と第113条に抵触した違法行為である。そして、その責任回避
のため、被告【A】なる者を代理人として、「これは、著作権侵犯事件では全くあ
りません。」等と、全く、違法の発言をさせた。(甲第七号証)
 被告、【A】は、被告【C】および、被告【D】の依頼を受け、前述の違法行為
を行つた両人の弁護のため、情をもつて、著作権法に明示された重要かつ正当なる
精神(第一条等に明記してある。)を全く無視した発言を、二度、原告に対してな
した。(甲第六、第七号証)
 これらの発言の内容を冷静に考えて見るに、被告【A】は、法治国である日本国
において、弁護士等の職業にとどまるにふさわしい人物では全く無く、被告、
【A】をして弁護士の資格を剥奪せしめるのに値するものである。これらは、いづ
れも重犯、共謀行為である。
別紙(二)
 差し止め請求の訴額
 甲第六、七号証に提示したごとく、住商電子システム株式会社が、半導体工業用
の光学的縮少投影露光装置を作るための「佐藤の原理」を盗用した商品(DSW四
八〇〇等)、縮少率は、1/10と1/5を販売するために頒布し、用いている著
作出版物は、いずれも著作権法、第32条と第113条に抵触した不法出版物であ
る。被告【B】は、甲第七号証に昭和五六年末まで、国内で、本装置(単価一億三
千万円)を八〇台以上、販売したと、記述しているが、これは明らかに不法出版物
を用いた不法商行為である。前記の不法出版物は、五〇〇部以上、印刷し、国内で
不法に利用した事実は明らかである。
 ここで訴額を「起訴時の年間売り上げ額×被告の得た利率」の公式により算定す
ると、前記の事実等により「二〇億円×二〇%」以上であり、少なくとも四億円以
上となる。前述の不法出版物は、商品では無いので、それ自体の売り上げ額は無
い。しかしながら著作権法、第115条には、「著作者は、その著作者の人格権を
侵害したものに対して、損害の賠償を求める適当な措置を請求することができ
る。」と明示してあるので、この条項にもとづき、差し止め請求の訴額として、金
五〇〇万円を請求する。

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