弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は弁護人石川功作成名義の控訴趣意書のとおりであるからこてに
之を引用し之に対し次のとおり判断する。
 控訴趣意一乃至六。
 原判決の認定するところは、被告人は自動車運転者として昭和三十一年九月十四
日午後一時十分頃普通乗用自動車を運転し平塚方面よりa方面に向い神奈川県中郡
b町cd番地先へ差しかかつたが同所は幅員約四米二〇の狭降な道路で左曲線を描
いているので自動車運転者としては右道路の状況に応じ警音器を吹鳴し徐行して進
行し危険の発生を防止すべき業務上の注意義務があるのに之を怠り僅かに警音器を
鳴らしたのみで毎時三十粁位の速度で進行したため反対方向からAが運転して来た
軽自動二輪車を約十四米先で発見し急停車の措置を執つたが及ばず右軽自動車を自
己の自動車の右前照灯附近に接触させ同人を路上に転倒せしめ傷害を負はしめたと
謂うのであつて所論の要旨は、原判決は右の如く被告人の過失を認定しているが、
被告人名義の上申書、原審証人B同Cの各証人訊問調書、実況見分調書によれば被
告人としては判示曲り角に差しかかる前警音器を鳴らしブレーキに足を置いた外後
車との追突のないこと、反対方向よりトラック、乗用車等大型車の進行して来ない
こと、小型車等同所で見透し難いものは充分擦れ違うことが出来ることを確認し速
度を時速約二十粁に減速し道路の左側を進行したのだから被告人には何等過失はな
い。しかるに一方Aは実況見分調書、原審証人Aの証人訊問調書に明らかなとおり
判示曲り角に差かかつた際反対方向より道路中央稍々右側を急速度にて減速するこ
となく進行し来り急遽外廻りへ回避しなかつたのだから本件事故は到底避けられな
かつたもので不可抗力という外ない。之を避けるは判示曲り角の手前で被告人が自
己の普通乗用車を完全に停車する以外方法はない。かかることを被告人に要求する
ことは自動車運転の実情を無視した暴論で仮りに被告人が最徐行しなかつたことを
過失としても本件事故はAの行為に基因するのだから傷害と因果関係はないと主張
する。
 <要旨>案ずるに原判決が証拠として挙示する実況見分調書によれば原判示の事故
現場の幅員は四米二〇の狭隘な道路で其の曲り角は九十度近くの鋭角で被告
人運転の乗用自動車の前方左側には草生い茂り且つ樹木数本あつて反対方向より来
る自動車等を見透し得ない場所であることが認められるので、かかる場所を通過す
る際は自動車運転者としては事故の発生を未然に防止する為め警音器を吹鳴するは
勿論何時にても停車し得るよう最徐行する義務のあることは当然である(道路交通
取締法施行令第二十九条参照)。然るに被告人は原判示のとおり右狭隘な曲り角を
運転通過するに当り不注意にも危険の発生なかるべしと軽信し、僅かに警音器を鳴
らしたのみで殆んど減速せず時速三十粁位にて運転進行し因つて本件事故を惹起し
たことは原判決挙示の証拠特に司法警察員作成の実況見分調書、被告人の司法警察
員に対する供述調書によりこれを肯認することが出来る。尤も所論の被告人名義の
上申書、原審証人B同Cの各証人訊問調書には所論のように前後を確認し速度を減
速し左側通行其の他の措置を講じた旨の記載があるがこれらは原審が証拠の取捨選
択権に基き他の証拠に照らして採用しなかつたところであつて右の取捨には何等不
法不当は認められない。
 更に所論け被告人は自動車運転者として十分の注意義務を尽したのに被害者Aの
過失により本件事故が惹起されたと主張する。なるほど原判決挙示の証拠によれば
被害者Aにも現場に差かかる迄の走路の位置等の点に過失のあることが認められな
い訳ではないが、たとえ被害者側に右の如き過失があつたとしても現場に差かかつ
た際には被害者は速度を落して居り被告人の自動車を発見するや正面衝突を避けん
としてハンドルを左に切つたことが認められるのであるから、被告人に於て叙上の
とおり最徐行をして居たなら距離的にも時間的にも余裕を生じ本件事故を回避し得
たとは明らかであつて、従つて本件事故発生の不可抗力ではなく又被告人の過失と
傷害との間に因果関係のあることも認められる。
 之を要するに所論は原審の証拠の取捨選択を非難し独自の見解を述べているが原
審の証拠の取捨選択には何等採証法則違反の廉は発見出来ず原判示事実はその挙示
の証拠によりこれを肯認するに十分であつて原判決には所論のような判決に影響を
及ぼすこと明らかな事実の誤認はない。論旨は理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 中西要一 判事 山田要治 判事 鈴木良一)

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