弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差戻す。
         理    由
 弁護人多田克の上告趣意について
 原審は本件につき第一回公判期日を昭和二六年六月一一日と指定したにかかわら
ず右期日に被告人両名を召喚せず、またその私選弁護人多田克に期日の通知をしな
いで右公判期日に弁護士山根弘毅を被告人両名の国選弁護人に選任し、被吉人両名
及び多田弁護人不出頭のまま公判を開廷した上右山根弁護人が多田弁護人提出の控
訴趣意書に基いて弁論をなし、即日弁論を終結し昭和二六年六月二日第二回公判期
日に被告人両名に対し控訴棄却の判決を言渡したことは記録上明らかである。そし
て右の如く原審が指定した公判期日を弁護人に通知せず従つて弁護人不出頭のまま
審理を終結し判決宣告期日に有罪判決を言渡したときはたとえ国選弁護人を選任し
て私選弁護人提出の控訴趣意書に基いて弁論をしたときでも弁護権の不法な制限で
あつて判決に影響を及ぼすべき法令の違反があり、且つ原判決を破棄しなければ著
しく正義に反するものと認められるから原判決は破棄を免れない。
 よつて刑訴四一一条、四一三条により主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 福原忠男出席
  昭和二八年七月三一日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎

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