弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成14年(行ケ)第319号 審決取消請求事件
平成14年12月17日口頭弁論終結
          判      決
   原   告    アンドウケミカル株式会社
   訴訟代理人弁理士 江原省吾,田中秀佳,白石吉之,城村邦彦,熊野剛,山根広昭
   被   告    タキイ種苗株式会社
   被   告    株式会社ティエス植物研究所
   被   告    株式会社東海化成
   被告ら訴訟代理人弁理士 廣江武典
          主      文
 1 特許庁が無効2000-35208号事件について平成14年5月21日に
した審決を取り消す。
 2 訴訟費用は各自の負担とする。
          事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
   主文第1項と同旨の判決。
   訴訟費用は被告らの負担とする。
第2 前提となる事実
 1 特許庁における手続の経緯
 (1) 本件特許
  特許権者   原告
  発明の名称  「育苗ポット用樹脂成形体及びその製造装置」
  特許出願日  平成10年3月13日(国内優先権主張日平成9年3月14
日)
  設定登録日  平成11年2月26日
  特許番号   特許第2891987号
 (2) 本件手続
  無効審判請求日  平成12年4月17日(無効2000-35208号)
  訂正請求日    平成12年7月31日
  審決日(第1次) 平成13年1月9日
  審決の結論(同) 「訂正を認める。本件審判の請求は,成り立たない。」
  審決謄本送達日  平成13年2月2日(原告に対し)
  審決取消訴訟提起 平成13年2月20日(原告による)
     (第1次) (東京高裁平成13年(行ケ)第75号)
  判決言渡日(同) 平成14年1月30日
  判決の結論(同) 「特許庁が無効2000-35208号事件について平成
13年1月9日にした審決を取り消す。」
  審決日(第2次) 平成14年5月21日(本件審決)
  審決の結論(同) 「訂正を認める。特許第2891987号の請求項1に記
載された発明についての特許を無効とする。」
  審決謄本送達日  平成14年5月31日(原告に対し)
 2 本件審決の理由の要旨
 訂正請求は適法でありこれを認める。本件の請求項1に係る発明(本件発明1)
は,本件出願日前に出願され当該出願後に出願公開されたものの願書(特願平9-
20674号)に最初に添付した明細書又は図面に記載された先願発明と同一であ
り,しかも,本件発明1と先願発明の発明者が同一でなく,本件出願の時に本件発
明1と先願発明の出願人が同一でもないから,本件特許は,特許法29条の2の規
定に違反してなされたものであり,同法123条1項2号に該当し,無効とすべき
ものである。
 3 本件審決が判断の対象とした本件発明1の要旨(後記5の訂正審決による訂
正前のもの)
【請求項1】ほぼ正方形に開口した上端の上端開口部と,底部と,底部の周縁と
上端開口部の周縁との間の側部とを備えたコップ形状を有し,かつ,所定の樹脂材
料を主成分とした複数個の育苗ポットを縦横方向に整列させて平面配置したもの
で,相互に隣接する前記育苗ポットの上端開口部の周縁を構成するそれぞれの隣接
対向辺に,隣接する育苗ポット同士を微小な幅寸法でのみ連結する連接部を一体的
に形成し,各育苗ポットに土壌を収容した状態で所望の育苗ポットを,隣接する他
の育苗ポットから引き千切ることにより前記連接部を破断可能としたことを特徴と
する育苗ポット用樹脂成形体。
 4 後記5の訂正審決による訂正後の本件発明1の要旨
【請求項1】ほぼ正方形に開口した上端の上端開口部と,底部と,底部の周縁か
ら立ち上がって前記上端開口部の周縁に到る側部とを備え,前記上端開口部の周縁
の四隅部にのみ鍔部が形成されたコップ形状を有し,かつ,所定の樹脂材料を主成
分とした複数個の育苗ポットを縦横方向に整列させて平面配置したもので,相互に
隣接する前記育苗ポットの上端開口部の前記四隅部を除く周縁を構成するそれぞれ
の隣接対向辺に,隣接する育苗ポット同士を微小な幅寸法でのみ連結する連接部を
一体的に形成し,各育苗ポットに土壌を収容した状態で所望の育苗ポットを,隣接
する他の育苗ポットから引き千切ることにより前記連接部を破断可能としたことを
特徴とする育苗ポット用樹脂成形体。
 5 訂正審決の確定
 原告は,本訴係属中の平成14年10月17日,本件特許につき,特許請求の範
囲の減縮等を目的として,明細書の訂正をする審判を請求したところ(訂正2002
-39222号),同年11月28日,当該訂正を認める旨の審決があり,その謄本
は同年12月4日に原告に送達され,訂正審決は確定した。
第3 原告主張の審決取消事由
 本件審決は,第2の3に記載の本件発明の要旨を認定し,これに基づき,第2の
2のとおり,本件特許は,特許法29条の2の規定に違反してなされたものであ
り,同法123条1項2号に該当し,無効とすべきものであるなどとしているが,
第2の5のとおり特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正を認める審決が確定し,
本件発明の要旨が第2の4のとおり訂正されたことにより,本件審決は,結果的に
本件発明の要旨の認定を誤ったことになり,瑕疵があるものとして取消しを免れな
い。
第4 当裁判所の判断
 第2に記載の事実関係は,本件証拠及び弁論の全趣旨により認めることができ,
これらの事実関係に照らせば,原告主張の事由により本件審決は取り消されるべき
ものであり,本訴請求は理由がある(なお,被告らは,上記訂正を認める審決が出
される前において,本訴が不適法であることや審決取消事由の主張がなく本訴は直
ちに棄却されるべきであるなどと主張したが,上記事実関係に照らせば,いずれも
採用の限りではない。)。
 よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用の負担につき行訴
法7条,民訴法62条を適用して,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第18民事部
     裁判長裁判官      永   井   紀   昭
           裁判官      塩   月   秀   平
           裁判官      田   中   昌   利

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛