弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役三月及び罰金二万円に処する。
     但し本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
     右罰金を完納できないときは金二百円を一日に換算した期間被告人を労
役場に留置する。
     押収に係る釧路地方検察庁昭和二十五年領第一一七号(東京地方検察庁
昭和二十四年(押)第五四五二三号)小豆二六四、五瓩、ウズラ豆四五、五瓩の換
価保管金一万九百九十二円七銭は之を没収する。
     原審及び当審の訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人の控訴趣意は別紙のとおりである
 第一点
 本件「ウズラ豆」は地方により種々の名称を以て呼ばれるが植物学上「いんげ
ん」の一種であることは明白な事実であり、「いんげん」が食糧管理法に所謂主要
食糧に相当することは、昭和二十四年六月二十五日農林省告示第百三十八号第七号
中「いんげん」の記載あるに上り明かな事実である。従つて原判決には所論の如き
違法はなく論旨は理由がない
 第二点
 本件記録に現われた諸般の事情を参酌考量すると原審が原判示事実を認定し被告
人に懲役三月の実刑及び罰金二万円を科したのは量刑不当と考えられる論旨は理由
があるから原判決は破棄を免れない尚職権を以て原判決<要旨>を調査すると原判決
には小豆及ウズラ豆(いんげん)を主要食糧に指定した昭和二十四年六月二十五日
農林省告示第百三十八号第七号を適用しない違法があつて被告人の本件所為
が刑事責任を負うべきものか否かを決する根拠を求むるに由なく右違法は判決に影
響を及ぼすことが明らかであるから原判決は此の点においても亦破棄を免れない
 よつて刑事訴訟法第三百九十七条により原判決を破棄し同法第四百条但書により
更に判決する
 原判決の確定した事実を法律に照すと被告人の判示所為は食糧管理法第九条同法
施行令第十一条同法施行規則第二十九条同法第三十一条昭和二十四年六月二十五日
農林省告示第百三十八号第七号罰金等臨時措置法第二条に該当するが犯情により食
糧管理法第三十四条を適用し被告人に対し懲役及び罰金を併科し所定刑期及び金額
の範囲内で被告人を懲役三月及び罰金二万円に処し、但し情状により刑法第二十五
条を適用し本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予し右罰金を完納できな
いときは刑法第十八条により金二百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置
し押収に係る釧路地方裁判所昭和二十四年領第一一七号(東京地方検察庁昭和二十
四年押第五四五二三号)保管金一万九百九十二円七銭は本件犯行の組成物件たる小
豆二六四、五瓩ウズラ豆四五、五瓩の換価代金であつて被告人以外の者に属しない
から刑法第十九条第一項第一号第二項によりこれを没収することとし原審及当審の
訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項により其の全部を被告人の負担とし主文
のとおり判決する
 (裁判長判事 黒田俊一 判事 猪股薫 判事 鈴木進)

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