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平成26年1月16日判決言渡
平成23年(行ウ)第68号愛知県議会議員政務調査費住民訴訟事件
主文
1被告は,被告補助参加人P1に対し,1313万1677円を支払うよ
う請求せよ。
2被告は,被告補助参加人P2に対し,1204万8121円を支払うよ
う請求せよ。
3被告は,被告補助参加人P3に対し,342万3934円を支払うよう
請求せよ。
4原告らのその余の請求を棄却する。
5訴訟費用は,これを3分して,その2を原告らの負担とし,その余を被
告の負担とし,被告補助参加人P1の補助参加によって生じた費用は,こ
れを5分して,その3を原告らの負担とし,その余を同補助参加人の負担
とし,被告補助参加人P2の補助参加によって生じた費用は,これを10
分して,その7を原告らの負担とし,その余を同補助参加人の負担とし,
被告補助参加人P3の補助参加によって生じた費用は,これを5分して,
その3を原告らの負担とし,その余を同補助参加人の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告は,被告補助参加人P1に対し,3458万7096円を支払うよう請
求せよ。
2被告は,被告補助参加人P2に対し,3795万1169円を支払うよう請
求せよ。
3被告は,被告補助参加人P3に対し,862万7860円を支払うよう請求
せよ。
第2事案の概要
1本件は,愛知県の住民である原告らが,愛知県議会の会派である被告補助参
加人らが平成21年度に同県から交付を受けた政務調査費のうち,被告補助参加人
P1(以下「補助参加人P1」という。)については3458万7096円,被告
補助参加人P2(以下「補助参加人P2」という。)については3795万116
9円,被告補助参加人P3(以下「補助参加人P3」という。)については862
万7860円をそれぞれ使途基準に反して違法に支出したため,上記各金額を不当
利得して返還すべきであるにもかかわらず,被告はその返還請求を違法に怠ってい
るとして,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,各補助
参加人に対して上記各金額の不当利得返還請求権を行使してその支払を請求するよ
う求める住民訴訟である。
2関係法令等の定め
(1)関係法令等の定めは,別紙「関係法令等の定め」に記載したとおりである。
(2)地方自治法(平成24年法律第72号による改正前のもの。以下同じ。)1
00条14項は,「普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の
議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は
議員に対し,政務調査費を交付することができる。この場合において,当該政務調
査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない。」と定め
ている。
(3)愛知県では,地方自治法100条14項の規定を受けて,愛知県議会におけ
る会派に対する政務調査費の交付に関する条例(平成13年愛知県条例第41号。
平成23年愛知県条例第31号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)
を制定している。本件条例は,2条において,「政務調査費は,議会における会派
(その所属議員が1人の場合を含む。以下同じ。)に対し,交付する。」とし,8
条1項において,「会派は,政務調査費を次に掲げる費用に充てなければならない。」
とした上で,その7号において,「事務費」を掲げ,同条2項において,「前項各号
に掲げる費用の使途基準は,議会の議長が定める。」旨規定している。
また,本件条例は,11条において,「知事は,会派が交付を受けた政務調査費
に係る収入の総額から当該会派が行った政務調査費に係る支出(8条1項各号に掲
げる費用に充てたものに限る。)の総額を控除して残余があるときは,当該会派に
対し,当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる。」旨
規定している。
(4)本件条例8条2項を受けて,愛知県議会における会派に対する政務調査費の
交付に関する規程(平成13年愛知県議会告示第1号。平成23年愛知県議会告示
第2号による改正前のもの。以下「本件規程」という。)は,その4条及び別表に
より,議会の議長が定める使途基準として,「事務費」につき,「会派が行う調査
研究に係る事務の遂行に要する事務用品・備品購入費,通信費等の経費」と規定し
ている。
また,愛知県議会議長が平成20年3月24日に制定した「政務調査費マニュア
ル」(以下「本件マニュアル」という。)においては,「事務費」の例示として,
「自動車のリース」や「事務所の賃借料及び管理運営費(光熱水費等)」が挙げら
れ(第2の7(2)),「自動車のリース料については,議員の活動の多面的な性格は
もとより,他の活動にも使用できる自動車の性格を踏まえ,按分による支出とし,
適用する按分割合は,使用実績に応じたものとする。」(第2の7(3)エ),「事務
所の要件としては,外形上の形態を有し,応接・事務スペースや事務用備品等を有
していること,実際に会派の調査研究に使用されていること等が必要である。」(第
2の7(3)オ),「政務調査費の対象となる調査研究活動とその他の活動とを分け,
それぞれの経費を分離することが望ましいが,それが困難な場合は,活動に要した
費用の全額を,各活動の実績に応じて按分し,充当することとする。」(第4)な
どとされている。
3前提事実(当事者間に争いのない事実及び掲記の証拠等により容易に認めら
れる事実。以下,書証番号は,特記しない限り枝番を含む。)
(1)当事者等
ア原告らは,いずれも愛知県の住民である。
イ被告は,愛知県の執行機関である。
ウ被告補助参加人ら(以下,単に「補助参加人ら」という。)は,いずれも愛
知県議会における会派である。
(2)平成21年度の補助参加人らの政務調査費に係る支出の内容
ア補助参加人P1は,愛知県から交付を受けた平成21年度の政務調査費の中
から,所属議員の事務所の賃借料・光熱費の支出に合計1742万3945円を充
て,所属議員の自動車のリース料の支出に合計1856万3151円を充てた(両
者の合計金額3598万7096円)。
補助参加人P1に所属する各議員が平成21年度に支出した事務所賃借料・光熱
費の金額及びそのうち上記政務調査費が充てられた金額は,それぞれ,別紙「P1
01党事務所賃借料一覧表」の「年間支出額」欄及び「政務調査費分」欄記載のと
おりであり,同各議員が同年度に支出した自動車リース料の金額及びそのうち上記
政務調査費が充てられた金額は,それぞれ,別紙「P101党自動車リース料一覧
表」の「年間支出額」欄及び「政務調査費分」欄記載のとおりである。
イ補助参加人P2は,愛知県から交付を受けた平成21年度の政務調査費の中
から,所属議員の事務所の賃借料の支出に合計2208万7335円を充て,所属
議員の自動車のリース料の支出に合計1586万3834円を充てた(両者の合計
金額3795万1169円)。
補助参加人P2に所属する各議員が平成21年度に支出した事務所賃借料の金額
及びそのうち上記政務調査費が充てられた金額は,それぞれ,別紙「P102党事
務所賃借料一覧表」の「年間支出額」欄及び「政務調査費分」欄記載のとおりであ
り,同各議員が同年度に支出した自動車リース料の金額及びそのうち上記政務調査
費が充てられた金額は,それぞれ,別紙「P102党自動車リース料一覧表」の「年
間支出額」欄及び「政務調査費分」欄記載のとおりである。
ウ補助参加人P3は,愛知県から交付を受けた平成21年度の政務調査費の中
から,所属議員の事務所の賃借料の支出に合計462万7980円を充て,所属議
員の自動車のリース料の支出に合計399万9880円を充てた(両者の合計金額
862万7860円)。
補助参加人P3に所属する各議員が平成21年度に支出した事務所賃借料の金額
及びそのうち上記政務調査費が充てられた金額は,それぞれ,別紙「P103党事
務所賃借料一覧表」の「年間支出額」欄及び「政務調査費分」欄記載のとおりであ
り,同各議員が同年度に支出した自動車リース料の金額及びそのうち上記政務調査
費が充てられた金額は,それぞれ,別紙「P103党自動車リース料一覧表」の「年
間支出額」欄及び「政務調査費分」欄記載のとおりである。
エ前記アないしウの事務所(以下「本件事務所」という。)の賃借料ないし光
熱費(以下「本件事務所賃借料等」という。)は,各議員が自己の名で締結した事
務所の賃貸借契約ないし光熱費に係る契約に基づく賃借料ないし光熱費であって,
会派である補助参加人らが賃借ないし管理運営していた事務所の賃借料ないし光熱
費ではなかった。また,前記アないしウの自動車(以下「本件自動車」という。)
のリース料(以下「本件自動車リース料」という。)は,各議員が自己の名で締結
した自動車のリース契約に基づくリース料であって,会派である補助参加人らがリ
ースを受けた自動車のリース料ではなかった。(丙A4,5,丙B1,2,丙C1,
2,弁論の全趣旨)
(3)住民監査請求及び本件訴訟の提起
ア原告らは,平成23年2月18日,愛知県監査委員に対し,「前記(2)アない
しウのとおり,平成21年度の政務調査費の中から事務所賃借料・光熱費及び自動
車リース料の支出に充てられた金員は,本件条例の定める使途基準に適合しないか
ら,補助参加人らは不当利得としてこれを返還すべきである。ところが,被告は補
助参加人らに対する不当利得返還請求権を行使しておらず,財産の管理を違法に怠
っている。」旨主張して,住民監査請求をした。これに対し,愛知県監査委員は,
平成23年4月14日付けで上記監査請求を棄却し,原告らに通知した。(甲3)
イ原告らは,平成23年5月12日,補助参加人らに対してそれぞれ前記(2)
アないしウの各金員の支払を請求するよう求めて当庁に本件訴訟を提起した。(顕
著な事実)
(4)政務調査費の一部返還等
ア補助参加人P1は,平成24年8月20日,愛知県に対し,P4議員の事務
所賃借料の支出に充てられた政務調査費60万円及び同議員の自動車リース料の支
出に充てられた政務調査費80万円の合計140万円を全額返還した。(丙A1な
いし3)
イそこで,原告らは,平成24年11月30日,前記(3)イの訴えのうち,上記
140万円に相当する不当利得返還請求権の行使請求に係る部分を取り下げ,請求
の趣旨を前記第1の1のとおりに減縮した。(顕著な事実)
4争点
本件の争点は,平成21年度の政務調査費のうち本件事務所賃借料等及び本件自
動車リース料の支出に充てられた部分(以下「本件政務調査費」という。)が,本
件条例の定める使途基準に反するものであり,補助参加人らは,これについて法律
上の原因なく受けた利得(不当利得)として返還義務を負うかどうかである。
5争点に関する当事者の主張
【原告らの主張】
(1)本件政務調査費全額についての不当利得の成否
ア本件政務調査費は,後記イ及びウのとおり,本件条例の定める使途基準に適
合しない支出に充てられたものであるから,その全額が不当利得として返還される
べきである。
イ本件条例8条1項7号所定の「事務費」は,本件規程4条・別表において類
型化して定められているところ,同別表では,事務所賃借料・光熱費や自動車リー
ス料は,「事務費」の例示として挙げられていない。事務所の賃借料・光熱費は,
事務そのものの経費ではないから,「事務所費」であって「事務費」ではなく,ま
た,自動車のリース料は,一般に「事務費」とは考えられておらず,移動のための
手段である自動車に係る費用で,「交通費」として位置付けられるものである。「事
務費」とは,専ら事務処理のために使用される事務用品や備品等に係る費用を想定
したものと解すべきであって,公明性・透明性の観点からも,これを拡大解釈する
ことは許されない。したがって,事務所賃借料・光熱費及び自動車リース料は,本
件条例8条1項7号,本件規程4条・別表の「事務費」に含まれず,政務調査費の
支出対象として想定されていないというべきである。
事務所賃借料・光熱費について上述したことは,本件条例の作成経緯に照らすと
一層明らかである。すなわち,全国都道府県議会議長会が,各都道府県における政
務調査費の交付に関する条例等の策定準備手続を円滑に進めるために指針となる条
例案として作成した「政務調査費の交付条例(例)」及び「政務調査費の交付規程
(例)」(甲7)においては,会派交付分に係る使途基準と議員交付分に係る使途
基準をそれぞれ定め,議員交付分については「事務費」とは別に「事務所費」の項
目を設ける一方,会派交付分については「事務費」の項目のみで,「事務所費」の
項目は設けていなかった。これは,会派交付分については,政務調査費を「事務所
費」に支出することを認めていないものと解されるところ,本件条例及び本件規程
は,上記「政務調査費の交付条例(例)」及び「政務調査費の交付規程(例)」を
基に作成されたものであるから,上記と同様に政務調査費の「事務所費」への支出
を認めない趣旨のものと解すべきである。
なお,本件マニュアルには,「事務費」に事務所賃借料・光熱費や自動車リース
料が含まれる旨の記載部分があるが,本件マニュアルは,本件条例及び本件規程に
定められた使途基準の中でどのように政務調査費を使用すべきかを示すものにすぎ
ず,上位規範たる本件条例及び本件規程の内容を変更できるものではない。本件条
例8条2項が「議会の議長が定める」としているのは,「規程」をもって定めるこ
とを意味していると解すべきであり,これに基づいて本件規程が公布されているこ
とからすると,制定の根拠がなく法律上の位置付けがあいまいなマニュアルが,同
項の「議会の議長が定める」ものに当たるとは考えられない。したがって,本件マ
ニュアルの上記記載部分は違法であり,これを根拠とする支出も違法となる。
また,上述のとおり,本件規程があえて「事務費」の例示として事務所賃借料を
挙げていないことに照らすと,事務所賃借料は政務調査費の支出対象として想定さ
れていないと考えるべきであるが,その実質的理由としては,①通常,事務所の賃
借は,ある程度の期間にわたって行われ,そのための賃料も比較的高額になりがち
であるところ,費用対効果の観点から,支出に見合うだけの成果を期待できるかに
ついては不確実といわざるを得ないこと,②事務所は,後援会活動等,本来の政務
調査活動とは無関係な活動に利用されやすいこと,③そもそも,自宅以外に事務所
を恒常的に確保しなければ実施できない政務調査活動がどのようなものか想定し難
いことなどが考えられる。したがって,補助参加人らにおいて,特定の政務調査活
動を実施するために事務所を確保することが不可欠であるような特別の事情の存在
を主張立証しない限り,事務所賃借料の支出については,本来の趣旨・目的に合っ
た使途に充てられていないとの推認を免れないというべきである。このことは,自
動車のリース料についても,同様に当てはまる。
以上によれば,事務所賃借料・光熱費及び自動車リース料の支出に政務調査費を
充てることは,原則として許されない。本件において,補助参加人らは,事務所の
賃借や自動車のリースが特定の政務調査活動の実施に不可欠であることをうかがわ
せる具体的な事情について何ら主張立証していないから,本件政務調査費の全額が
不当利得となるものというほかはない。
ウ本件条例上,政務調査費の交付対象は会派に限られており,愛知県において
は,あくまでも議員個人ではなく会派のみに政務調査費を交付するという立法政策
が選択されている。したがって,政務調査費の支出として許されるのは,会派とし
ての支出であり,一見して議員個人の支出とみうるものについては,会派の政務調
査活動への支出であることの証明がない限りは,使途基準に違反することになる。
そうすると,議員個人が契約した事務所の賃借料・光熱費や自動車のリース料に
政務調査費を充てることは,原則として許されない。本件において,補助参加人ら
は,会派の政務調査活動への支出であることの具体的な証明をしていないから,本
件事務所賃借料等及び本件自動車リース料は,会派としての政務調査活動のために
支出されたものということはできず,本件政務調査費の全額が不当利得となる。
また,最高裁平成21年(行ヒ)第234号同22年2月23日第三小法廷判決・
裁判集民事233号83頁(以下「平成22年最判」という。)によれば,会派が
行う政務調査活動に関する議員個人への政務調査費の支給については,あらかじめ,
所属議員が実施する調査研究の内容を記載した政務調査費支出伝票を経理責任者に
提出し,会派の代表者がその支出を承認するという厳格な手続が要求される。とこ
ろが,本件においては,会派代表者の承認について上記のような厳格な手続がされ
たことの主張立証がされていないから,会派としての政務調査活動への支出に充て
られたものということはできない。
(2)議員8名の支出分についての不当利得の成否
ア本件政務調査費のうち,補助参加人P1に所属していたP5議員,P6議員,
P7議員,P8議員,P9議員及びP10議員並びに補助参加人P2に所属してい
たP11議員及びP12議員(これら8名の議員を併せて「本件議員8名」という。)
の事務所賃借料並びにP5議員の自動車リース料に支出された分については,後記
イ及びウのとおり,政務調査費を充てることができないものであるから,少なくと
もこれらの支出に充てられた部分は不当利得として返還されるべきである。
イ議員がその所有建物を賃借している場合のほか,議員が代表者等の機関を務
める法人から事務所を賃借している場合,又は,議員が賃借している事務所が当該
議員の自宅と同一建物であるか同一敷地内にある場合には,その事務所の賃貸借契
約は形式的なものであって,実質的には賃料が発生していないことが社会的実態と
して往々にしてあるから,そもそも事務所の賃借料が発生していること自体に合理
的な疑いが強く生じる。したがって,このような場合には,事務所の賃料は発生し
ていないとの推認が働き,補助参加人らにおいて,当該事務所が政務調査活動のた
めの事務所として現実に使用されていること及び賃料が現実に発生していることを
具体的に主張立証しない限り,上記推認を覆すことができないところ,本件におい
て,補助参加人らは,そのような主張立証をしていない。
ウ本件議員8名について個別にみると,次のとおり,いずれも賃料等の発生が
疑わしい場合であるから,不当利得返還義務を免れない。
(ア)P5議員は,自らが監査役を務め,親族が代表者となっている株式会社から
事務所を賃借している。その賃借料に政務調査費を充てたのは違法であり,同政務
調査費60万円は不当利得となる。
また,P5議員は,上記株式会社から自動車のリースを受けているが,同会社は,
通常の顧客に自動車のリースを行っている会社であるとは考えられない。そのリー
ス料に政務調査費を充てたのは違法であり,同政務調査費78万円は不当利得とな
る。
(イ)P6議員は,自らが取締役を務める有限会社から事務所を賃借しているとこ
ろ,同事務所建物は,P6議員と同居の親族が所有し,これを同会社が賃借してい
たものである。P6議員は,上記親族から当該事務所を直接無償で借りることがで
きたはずであるが,本件マニュアルで禁じられている「自己(生計を一にしている
親族も含む。)所有の事務所に賃借料相当を計上すること」を回避するためにこの
ような転貸借の形式をとったにすぎないと考えられる。その賃借料に政務調査費を
充てたのは違法であり,同政務調査費22万0500円は不当利得となる。
(ウ)P7議員は,自らが代表取締役を務める株式会社から事務所を賃借しており,
同事務所建物の敷地はP7議員の所有地である。自己の所有地を自らが代表取締役
を務める会社に無償で貸与して建物を建てさせ,それを有償で借りるなどというこ
とは,経済的にはおよそ不合理な行為である。その賃借料に政務調査費を充てたの
は違法であり,同政務調査費120万円は不当利得となる。
(エ)P8議員は,自らが代表取締役を務める株式会社から事務所を賃借している。
その賃借料に政務調査費を充てたのは違法であり,同政務調査費120万円は不当
利得となる。
(オ)P9議員は,自らが代表取締役を務める株式会社から事務所を賃借している。
その賃借料に政務調査費を充てたのは違法であり,同政務調査費72万円は不当利
得となる。
(カ)P10議員は,自らが代表取締役を務める株式会社から事務所を賃借してい
る。その賃借料に政務調査費を充てたのは違法であり,同政務調査費8万4000
円は不当利得となる。
(キ)P11議員は,自らの妻が代表取締役を務める株式会社から事務所を賃借し
ているところ,同事務所建物は,P11議員の自宅と同一敷地内にある。また,同
事務所建物の敷地は,P11議員が妻及び母と共に共有しているところ,上記会社
は,賃料を支払わずに同敷地を借りている。上記事務所の賃借料に政務調査費を充
てたのは違法であり,同政務調査費48万円は不当利得となる。
(ク)P12議員は,自らが取締役を務める株式会社から事務所を賃借している。
その賃借料に政務調査費を充てたのは違法であり,同政務調査費10万円は不当利
得となる。
(3)本件政務調査費の一部についての不当利得の成否
ア仮に,前記(1)の本件政務調査費全額について不当利得が成立する旨の主張が
認められないとしても,会派の政務調査活動のための支出に該当するのは,後記イ
及びウのとおり,各議員が平成21年度に支出した事務所賃借料・光熱費及び自動
車リース料のうち,それぞれ3分の1にとどまるというべきであるから,これを超
える部分に政務調査費を充てることは違法である。したがって,本件政務調査費は,
少なくとも上記部分に充てられた限度において,不当利得として返還されるべきで
ある。
補助参加人P1について上記の3分の1を超える金額は,別紙「P101党事務
所賃借料一覧表」の「超過額」欄記載の金額(合計846万4746円)と別紙「P
101党自動車リース料一覧表」の「超過額」欄記載の金額(ただしP4議員のそ
れを除く。合計914万4339円)の合計金額(1760万9085円)である。
補助参加人P2の上記の3分の1を超える金額は,別紙「P102党事務所賃借
料一覧表」の「超過額」欄記載の金額(合計1137万6827円)と別紙「P1
02党自動車リース料一覧表」の「超過額」欄記載の金額(合計855万8977
円)の合計金額(1993万5804円)である。
補助参加人P3の上記の3分の1を超える金額は,別紙「P103党事務所賃借
料一覧表」の「超過額」欄記載の金額(合計269万4180円)と別紙「P10
3党自動車リース料一覧表」の「超過額」欄記載の金額(合計246万4396円)
の合計金額(515万8576円)である。
イ本件における各議員の事務所賃借料及び自動車リース料は,毎月一定額が通
年にわたって支出されていることから,政務調査活動を含む議員活動全般に用いる
ための事務所の賃借料及び自動車のリース料であったと推認される。仮に,特定の
政務調査活動のために特に賃借又はリースしたものであるとするならば,賃借料や
リース料の支払は,その調査活動が行われる期間に限定されるはずであるからであ
る。
ウ議員の活動は,①議会や委員会に出席し意見を述べ議決に参加するといった
本来の議員としての活動,②支持者を集め,結束を固めるための後援会活動や選挙
活動,③政務調査活動を含むその他の活動の3つに大別される。①及び②が議員の
主たる活動として大きな割合を占めると考えられるところ,③の一部でしかない政
務調査活動が占める割合は,議員の活動全体のうちの3分の1を超えるものとは考
え難い。したがって,各議員が支出した事務所の賃借料・光熱費及び自動車リース
料のうち,その3分の1を超える支出については,会派の政務調査活動のための支
出には該当しないから,政務調査費を充てることは許されない。
【被告の主張】
(1)本件政務調査費全額についての不当利得の成否
ア本件政務調査費は,後記イ及びウのとおり,本件条例の定める使途基準に適
合しない支出に充てられたものではないから,不当利得として返還されるべきもの
には当たらない。
イ本件のような事務所賃借料・光熱費及び自動車リース料は,地方自治法10
0条14項にいう「その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費」に該当す
る。そして,同法14条及び15条を受けて本件条例が定められ,本件条例8条2
項及び13条を受けて本件規程及び本件マニュアルが定められているところ,本件
規程4条・別表は,本件条例8条1項7号の「事務費」について,「会派が行う調
査研究に係る事務の遂行に要する事務用品・備品購入費,通信費等の経費」として
一般的な基準を示し,本件マニュアルがこれを詳細化して具体例を示しているもの
であり,事務所賃借料・光熱費及び自動車リース料も,これら具体例の中に明示さ
れているものである。
なお,愛知県議会の議長が本件マニュアルによって具体的な使途基準を定めるこ
とは,何ら地方自治法に違反するものではない。議長の一般的な権能(同法104
条)に反しない限り,一定の事務や事項について,条例により議長に権限を与え,
又は委任することは何ら同法に違反するものではないところ,本件マニュアルは,
本件条例8条2項及び13条の規定に基づいて愛知県議会議長が定めたものであ
る。また,これらの規定は,単に「議会の議長が定める」とするにとどまっている
ため,「規程」という形であれ「マニュアル」という形であれ,議長が定めるもの
であれば足り,その形式は問題にならないからである。
本件条例8条1項7号にいう「事務費」とは,政務調査活動の事務を遂行するた
めに必要な事務の経費で,他の費目に共通する管理的経費が主として想定されてお
り,定型的に類型化し難い経費も,補充的な費目の性格を有するこの「事務費」に
計上される。そして,議員が政務調査活動を遂行するためには,その拠点を確保し
て維持管理したり,移動のために自動車を利用したりすることも当然あり得ること
であり,これに係る事務所賃借料・光熱費や自動車リース料は,諸々の政務調査活
動の事務に共通の管理的経費という性格を有しているため,「事務費」に該当する
ものである。
原告らは,全国都道府県議会議長会が作成した「政務調査費の交付条例(例)」
及び「政務調査費の交付規程(例)」(甲7)を援用するけれども,これらは,字
義どおり参考モデルを提示したにすぎないものであって,法的拘束力はないし,こ
れらを所与の前提として本件条例及び本件規程が制定されたものでもないから,こ
れらを基準として本件条例及び本件規程の解釈を導き出すことはできない。
ウ本件規程の別表において,「会派(会派から調査研究活動を委託された所属
議員を含む。以下同じ。)」と明示されているとおり,会派から調査研究活動を委
託された所属議員が行う活動についても,政務調査費の使途基準に適合する。
また,本件において,収支報告書についての議長及び知事(被告)の確認は適正
にされており,手続上何ら違法な点はない。
(2)本件政務調査費の一部についての不当利得の成否
本件マニュアルにおいては,「政務調査費の対象となる調査研究活動とその他の
活動とを分け,それぞれの経費を分離することが望ましいが,それが困難な場合は,
活動に要した費用の全額を,各活動の実績に応じて按分し,充当することとする。」
(第4)とされているが,会派や議員の活動は,それぞれの会派や議員によって多
種多様であるため,按分率について,具体的な数値は定められていない。各会派,
議員が自己の説明責任に基づいて按分率を設定し,これに基づき政務調査費を充当
していることから,議長としては,個々の按分率の妥当性を判断することまではし
ていない。もっとも,事務所賃借料や自動車リース料について,100%又は高い
按分率で政務調査費に充当されている場合には,当該事務所や自動車が政務調査活
動専用のものであるのかどうか,活動の実態と合致しているかどうかなどを口頭で
確認している。
【補助参加人らの主張】
(1)政務調査費に関する住民訴訟における主張立証責任
ア本訴請求が認められるためには,原告らにおいて,補助参加人らに不当利得
が存すること(法律上の原因がないこと)を主張立証する責任があり,政務調査費
の使途基準に適合していない支出があるとの事実を主張立証する責任がある。
イ地方自治法の委任を受けた本件条例や本件規程の規定からすると,政務調査
費の使途基準に適合しているか否かは,第一次的には,選挙民の負託を受けた議員
により構成される会派の良識に基づく判断に委ねられており,かつ,これに対する
調査権限は議会の議長が有している。
したがって,このように法が議会の自律権に委ねている部分については,司法審
査の対象は自ずと限られており,住民らが,一見して明らかに使途基準に反する支
出を行っている事実や明らかに必要性・有用性を欠く政務調査活動を行っている事
実を主張立証し,かつ,知事(被告)や会派ないし議員が住民らの主張立証に対す
る反証をしない場合に限り,使途基準への不適合を理由に政務調査費につき不当利
得が成立すると判断されることになるというべきである。
(2)本件政務調査費全額についての不当利得の成否
ア本件条例8条1項7号の「事務費」については,本件規程4条・別表におい
て,「会派が行う調査研究に係る事務の遂行に要する事務用品・備品購入費,通信
費等の経費」として一般的な基準が示され,更に具体的な例示が本件マニュアルに
おいて示されているもので,自動車のリースや事務所の賃借料も,その例示の中に
明示されている。本件マニュアルは,本件条例8条2項及び13条を受けた,「条
例,規則及び地方公共団体の機関の定める規則以外の一定の行政目的を達成する上
での準拠すべき事務処理手続等一定のもので一体としての法規的性質を有する行政
上の決定」である規程にほかならないから,地方自治法に適合している。
事務所を賃借することや自動車のリースを受けることには,補助参加人ら所属の
議員が政務調査活動を行う上で必要性,合理性がある。すなわち,補助参加人らは,
平成21年度に政務調査活動を各会派の所属議員に対して委託しており,委託を受
けた議員は,①それぞれの選挙区を中心に実態調査(県民からの意見聴取,相談,
意見交換,現地調査)を行ったり,②諸団体が実施する県政に関する研修会に参加
したり,③県民を集め,地域の課題,要望,問題をテーマとして,県政報告会を実
施したりした。
そして,補助参加人ら所属の議員が県民からの要望・意見の聴き取りを行うため
には,関係者と面会等を行う必要があるところ,1日の来訪者数が多数で,処理す
る人数が多い場合には,それらの活動を議員の自宅において全て行うのは物理的に
困難であるし,必要に応じて事務員を配置し,事務員に面会者との面会時間の調整
を行わせることもある。また,補助参加人ら所属の議員は,こうした来訪者との面
会や現地調査等によって明らかとなった課題や問題点を分析・整理する作業を自ら
実施し,あるいは事務員に行わせている。加えて,収集した資料の保管も必要とな
る。こうした活動を行うためには,一定のスペースが必要であるため,補助参加人
ら所属の議員は,自宅以外の場所を恒常的に確保して,事務所を設けているのであ
る。
また,県民から要望のあった河川や道路の整備,信号や横断歩道を付けてほしい
と要望された場所の現地調査,道路の整備状況や安全対策の必要性や混雑の状況の
確認を行うためには,当該場所に赴く際の移動手段が必要であるところ,議員が赴
く場所は,必ずしも公共の交通機関で移動できる場所ばかりではないし,公共の交
通機関の場合には時間的な制約も出てくるため,恒常的に自動車を利用して移動し
ている。そこで,補助参加人ら所属の議員は,個人の資産形成につながらないよう
に,自動車リースを利用し,そのリース料を支払っているのである。
したがって,本件条例及び本件規程において,事務所の賃借料・光熱費及び自動
車リース料に政務調査費を充てることが認められていることは明らかであり,これ
らに政務調査費を充てたというだけで違法とならないことは明白である。
イ地方自治法の議会における「会派が行う」調査研究活動には,会派がその名
において自ら行うもののほか,会派の所属議員等に委ね,又は所属議員による調査
研究活動を会派のためのものとして承認する方法によって行うものも含まれる。
そして,後者については,最高裁平成19年(行ヒ)第170号同21年7月7
日第三小法廷判決・裁判集民事231号183頁及び平成22年最判によれば,会
派の代表者である会長の承認(内部的な手続について取決めがあれば,それに従っ
てされた承認)があれば,「会派が行う」との要件を満たすのであって,原告らが
主張するような「厳格な手続」が要求されているものではない。本件においても,
補助参加人らはそれぞれ会派の所属議員に政務調査活動を委任しており,会派の長
(団長)による当該活動の承認も行われているのであるから,会派が行う調査研究
活動に当たるというべきである。
補助参加人らの構成員である各議員は,政務調査活動とそれ以外の活動(政党と
しての活動や後援会活動等)をできる限り分離するため,使用する自動車を活動ご
とに替えたり,後援会活動のために別の事務所を用意したり,1棟の事務所を活動
ごとに区分した上で,政務調査活動として利用した場所の面積割合,使用実績等を
考慮して按分率を算出するなどの工夫をしていた。また,政務調査活動とそれ以外
の活動を分離することが困難な場合や,それらを明確に分離することによって多様
な調査・研究活動を行う上で支障が生じる場合には,各議員は,メモやスケジュー
ル帳等から政務調査活動としての時間を概算で把握したり,活動の種類や性格に応
じて所要時間を概算で把握するなどして按分率を定め,事務所賃借料や自動車リー
ス料の総額にこれを乗じて政務調査費としての支出分を算出して計上していた。こ
のように,各議員は,自己の政務調査活動の実態に即して政務調査活動と他の用途
への使用を合理的な判断により按分し,それによって算出された金額を政務調査費
として計上した上,これに基づき領収書整理票(丙A4,5,丙B1,2,丙C1,
2)の該当欄への記入を行っていたものである。
したがって,本件政務調査費は,全て使途基準に適合した支出であり,このこと
は領収書整理票の記載自体から明白である。ちなみに,各会派の団長は,それぞれ
所属議員から報告を受けており,各議員の地位,権限及び職務内容,議員としての
活動も踏まえて,本件政務調査費を本件条例,本件規程及び本件マニュアルに適合
する支出であると判断したものである。
(3)議員8名の支出分についての不当利得の成否
ア法人は,権利義務の主体たる資格を有し,社会的実体を有するものであるか
ら,議員が,自らが機関となっている法人から事務所を賃借したということのみを
理由として,当該事務所賃貸借契約が当然に無効となるようなことはあり得ず,事
務所賃料が発生しないということもできないのであって,その賃料に政務調査費を
充てることが違法であると解する余地はない。
イP6議員,P7議員及びP11議員の事務所賃料に関する原告らの指摘は,
次のとおり,いずれも失当である。
(ア)P6議員が賃借していた事務所建物は,平成5年8月23日からP6議員の
母が所有していたが,P6議員とその母が同居していた事実はない。また,P6議
員がその母から直接無償で上記建物を借りることができたにもかかわらず有限会社
を介して借りることになったという事実もない。
(イ)私人がその所有地を自らが代表取締役を務める法人に無償で貸与し,同法人
がその事業のため当該土地に建物を建てている場合,建物自体は同法人が経済的な
出捐をして建設したものであるから,同法人が投下した資本を回収するために,そ
の一部を賃貸したとしても不合理なことではない。したがって,P7議員が,当該
建物の一室を賃借し,賃料を支払っていたことのみをとらえて,経済的に不合理な
行為であるなどということはできない。
(ウ)P11議員が賃借していた事務所建物の敷地と,P11議員の自宅の敷地と
は,生け垣によって区分されており,両者の敷地は同一ではない。また,事務所建
物の賃貸人である株式会社は,P11議員に対しては敷地の賃料を支払っていない
が,敷地の共有者の1人であるその妻に対して賃料を支払っており,無償で敷地を
借りているわけではない。したがって,同会社の代表者がP11議員の妻であり,
P11議員が敷地の共有者の1人であるからといって,実質的には賃料は発生して
いないなどということはできない。
(4)本件政務調査費の一部についての不当利得の成否
本件政務調査費につき不当利得が成立するには,まず原告らにおいて,一見して
明らかに使途基準に反する支出を行っている事実を主張立証することが必要であ
る。ところが,原告らは,按分率が正当でなく,政務調査費で賄われるべきでない
部分がどれだけであるかなどについて,何ら具体的な主張立証をしていない。政務
調査費の支出として認められるのは一律に賃借料やリース料の総額の「3分の1」
までであるとする原告らの主張は,独断にすぎず,失当である。
第3当裁判所の判断
1使途基準に適合しない支出に充てられた政務調査費が地方自治法及び本件条
例に反するものとして不当利得となる場合等について
(1)地方自治法100条は,政務調査費の交付について,普通地方公共団体は,
条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の
一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することが
でき,この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条
例で定めなければならない旨規定した上(14項),政務調査費の交付を受けた会
派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の
報告書を議長に提出するものとする旨規定している(15項)。これらの規定によ
る政務調査費の制度は,地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法
律の施行により,地方公共団体の自己決定権や自己責任が拡大し,その議会の担う
役割がますます重要なものとなってきていることに鑑み,議会の審議能力を強化し,
議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する
調査研究の費用等の助成を制度化し,併せてその使途の透明性を確保しようとした
ものである。そして,政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法については,各
地方公共団体が,当該地方公共団体の規模,地域の実情,議員の調査研究活動の実
態等の諸事情を考慮して,その裁量判断により条例でもって定めることができるこ
ととしたものと解される。
本件条例は,上記規定を受けて定められたものであり,本件条例8条2項の規定
を受けて,本件規程4条・別表において,政務調査費の使途基準が定められている。
この使途基準は,議員の調査研究活動において一般に発生すると考えられる項目を
具体的に例示し,会派や議員が交付を受けた政務調査費を使用する際の具体的な指
標を議員の調査研究活動の類型別に提示したものであり,また,愛知県議会議長が
制定した本件マニュアルは,本件規程の使途基準を更に具体化したものである。こ
のように,政務調査費の使途を本件規程や議長の定めた本件マニュアルで規定し,
政務調査費を充てることが許される場合を具体的に例示することは,地方自治法や
本件条例の上記各規定の趣旨に沿うものであり,その内容に上記各規定に反すると
ころは見当たらない。
また,本件条例においては,政務調査費の交付対象は議会における会派(その所
属議員が1人の場合を含む。)とされているけれども,そもそも政務調査費は,議
員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交付されるものであり(地方自
治法100条14項),本件条例でも,会派に対する政務調査費の額は,当該会派
の所属議員の数に議員1人当たりの金額(月額50万円)を乗じて得た額とされて
いるのであるから(3条1項),会派が交付を受けた政務調査費をその所属議員の
行う調査研究活動の費用を支弁するために支給することは,本件条例の許容すると
ころであって,何ら地方自治法に反するものではない。
他方で,政務調査費は,議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として交
付されるものであるところ(地方自治法100条14項),本件条例8条,本件規
程4条・別表において,政務調査費の使途につき前示のような使途基準が定められ
ており,本件条例11条では,知事は,会派が交付を受けた政務調査費に係る収入
の総額から当該会派が行った政務調査費に係る支出(8条1項各号に掲げる費用に
充てたものに限る。)の総額を控除して残余があるときは,当該会派に対し,当該
残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができるものとされてい
る。これらの規定の趣旨,内容等に照らすと,政務調査費は,上記使途基準に従っ
て適正に使用されなければならず,議員がその所属する会派から調査研究活動の費
用を支弁するために支給された政務調査費を上記使途基準に反して調査研究に資す
るため必要な経費以外のものに充てた場合には,当該会派は,愛知県に対して同額
を不当利得(法律上の原因のない利得)として返還すべき義務を負うものというべ
きである。
そして,不当利得返還請求訴訟においては,返還を請求する側が利得につき法律
上の原因を欠くことについて立証責任を負うものと解されるから,政務調査費が使
途基準に適合しない支出に充てられたことを理由として不当利得の返還を求める場
合にも,上記立証責任の分配に従って,不当利得の返還を求める側が,上記使途基
準に適合しないことについて立証責任を負うことになる。もっとも,一般に,不当
利得返還請求訴訟において,返還を請求する側が利得の保持を正当化する原因が存
在しないことを推認させる一般的・外形的な事実を立証した場合には,相手方にお
いて適切な反証を行わない限り,法律上の原因を欠くと判断されることになる。し
たがって,政務調査費が上記使途基準に適合しない支出に充てられたことを理由と
して不当利得の返還を求める場合においても,政務調査費が上記使途基準に適合し
ない支出に充てられたことを推認させる一般的・外形的な事実が立証されたときに
は,適切な反証がない限り,上記政務調査費は不当利得と判断されることになると
いうべきである。
(2)ところで,原告らは,本件規程の別表においては,事務所の賃借料・光熱費
や自動車のリース料は「事務費」の例示として挙げられておらず,これらは「事務
所費」や「交通費」であって,「事務費」の概念に含まれないから,本件条例8条
1項7号,本件規程4条・別表にいう「事務費」に該当せず,本件政務調査費はそ
の全額が使途基準に適合しない支出に充てられたものとして不当利得となる旨主張
する。
しかしながら,本件規程の別表は,「会派が行う調査研究に係る事務の遂行に要
する事務用品・備品購入費,通信費等の経費」と規定しているところ,その文言か
ら明らかなように,「事務用品・備品購入費,通信費」はあくまでも「経費」の例示
にすぎないし,会派が行う調査研究に係る事務の遂行のために,会派ないしその所
属議員が,事務所を賃借・運営してその拠点を確保したり,自動車のリースを受け
て移動の用に供したりすることが必要となることもあり得るから,本件条例や本件
規程の制定に当たって,事務所の賃借料・光熱費や自動車のリース料が「事務費」と
して政務調査費の支出対象とされることがおよそ想定されていなかったなどという
ことはできない。
この点について,原告らは,全国都道府県議会議長会が作成した「政務調査費の
交付条例(例)」及び「政務調査費の交付規程(例)」(甲7)においては,議員
交付分に係る使途基準のみに「事務所費」の項目が設けられ,会派交付分に係る使途
基準には「事務所費」の項目は設けられていないから,これを参考に制定された本
件条例及び本件規程は,「事務所費」たる事務所賃借料に政務調査費を充てること
を認めない趣旨で定められたものである旨主張するけれども,「政務調査費の交付
条例(例)」及び「政務調査費の交付規程(例)」は,あくまでも条例等の参考モ
デルを示したものにすぎないし,本件条例や本件規程の規定は,必ずしも「政務調査
費の交付条例(例)」等の規定と一致するものでもないから,「政務調査費の交付
条例(例)」等との比較のみを根拠に,本件条例及び本件規程が事務所賃借料に政務
調査費を充てることを認めない趣旨で定められたものであるということはできな
い。
(3)また,原告らは,本件条例上,政務調査費の交付対象は会派に限られており,
議員個人ではなく会派のみに政務調査費を交付するという立法政策が選択されてい
るから,議員個人が契約した事務所の賃借料・光熱費や自動車のリース料に政務調
査費を充てることは許されず,本件政務調査費はその全額が使途基準に適合しない
支出に充てられたものとして不当利得となる旨主張する。
しかしながら,本件規程の別表にいう「会派が行う」調査研究には,会派がその
名において自ら行うもののほか,会派の所属議員等にこれを委ね,又は所属議員に
よる調査研究活動を会派のためのものとして承認する方法によって行うものも含ま
れると解すべきであるところ,前記(2)で説示したとおり,「会派が行う」調査研究
に係る事務の遂行のために,会派の所属議員が,事務所を賃借・運営してその拠点
を確保したり,自動車のリースを受けて移動の用に供したりすることが必要となる
こともあり得るから,本件条例における政務調査費の交付対象が会派とされている
からといって,それのみで直ちに議員個人が契約した事務所の賃借料・光熱費や自
動車のリース料に政務調査費を充てることが許されないと断ずることはできない。
もっとも,本件条例8条,本件規程4条・別表は,政務調査費の使途を「会派が行
う」調査研究に係る事務の遂行に要する経費等に限るものとしているのであるから,
議員個人が契約した事務所の賃借料・光熱費や自動車のリース料に政務調査費を充
てることが許されるのは,これらの事務所や自動車が上述の意味における「会派が
行う」調査研究に係る事務の遂行に使用されている場合に限られるというべきであ
る。そして,これらの事務所や自動車が,会派が行う調査研究活動と議員個人が行
うその他の活動の双方に使用されている場合には,各活動への使用実績に応じて当
該事務所の賃借料・光熱費や当該自動車のリース料の金額を按分した限度において,
政務調査費を充てることが許されるのであって,当該按分割合を超えて政務調査費
が充てられたときには,当該超過部分については,本件条例及び本件規程の定める
使途基準に適合しない支出に充てられたものとして,不当利得が成立するというべ
きである。
なお,愛知県議会議長が制定した本件マニュアルでは,「自動車のリース料につ
いては,議員の活動の多面的な性格はもとより,他の活動にも使用できる自動車の
性格を踏まえ,按分による支出とし,適用する按分割合は,使用実績に応じたもの
とする。」(第2の7(3)エ),「事務所の要件としては,外形上の形態を有し,応
接・事務スペースや事務用備品等を有していること,実際に会派の調査研究に使用
されていること等が必要である。」(第2の7(3)オ),「政務調査費の対象となる
調査研究活動とその他の活動とを分け,それぞれの経費を分離することが望ましい
が,それが困難な場合は,活動に要した費用の全額を,各活動の実績に応じて按分
し,充当することとする。」(第4)とされているところ,これらの規定も,上記
説示したところに沿うものである。
(4)そこで,以下においては,以上で説示したところを前提として,本件政務調
査費に係る不当利得の成否について検討することにする。
2本件政務調査費に係る不当利得の成否について
(1)前記前提事実に,掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認
められる。
ア各会派による所属議員への調査研究活動の委託
(ア)補助参加人P1においては,議員団自ら会派として直接行う調査研究活動の
ほか,会派の委託を受けた所属議員(団員)が行う調査研究活動があるところ,平
成21年度の調査研究活動の委託については,平成21年3月23日の総会を経て,
同月30日に,団長から所属議員に対して政務調査研究活動委託書が交付されるこ
とによって行われた。委託事項は,「県政振興に関する事項」,「地域振興環境に
関する事項」,「健康福祉に関する事項」,「産業振興に関する事項」,「農林水
産振興に関する事項」,「社会基盤整備に関する事項」,「教育治安に関する事項」
等,多岐にわたるが,例えば,「県政振興に関する事項」の調査研究活動としては,
私立教職員組合・父兄懇談会からの私学助成の在り方に関する意見聴取,「健康福
祉に関する事項」の調査研究活動としては,介護施設を建設する際の社会福祉協議
会との行政の支援の在り方に関する意見の聴取・調査,重度障害者の短期入所の現
況に関する施設訪問による調査,「農林水産振興に関する事項」の調査研究活動と
しては,地域山林の保全状況等の実態に関する自動車を使用しての現地訪問による
調査,「社会基盤整備に関する事項」の調査研究活動としては,事務所に来訪した
県民から要望があった道路の整備状況や安全対策の必要性,混雑の状況に関する現
地訪問による実態調査などが行われた。(丙A7,9)
(イ)補助参加人P2においては,議員団自ら会派として直接行う調査研究活動の
ほか,会派の委託を受けた所属議員(団員)が行う調査研究活動があるところ,平
成21年度の調査研究活動の委託については,平成21年5月1日付けで,団長か
ら所属議員に対して委任状の交付をもって包括的に行われた。委託事項は,「産業
について」,「地域の活性化について」,「安全安心な県土と環境先進県づくりに
ついて」,「健康・福祉社会づくりについて」,「教育について」,「分権改革に
ついて」,「調査研究活動に関する県民への広報・広聴に関する事項」等,多岐に
わたるが,例えば,「産業について」のうち「交通基盤・水道等社会基盤の整備に
関する事項」の調査研究活動としては,県民から要望のあった河川や道路の整備,
信号や横断歩道の設置要請があった場所の現地調査,各種協議会(名古屋岡崎線建
設推進協議会,衣浦豊田道路建設推進協議会,名豊道路建設推進協議会等)からの
要望の聴き取り調査,「分権改革について」のうち「地方分権・道州制の推進に関
する事項」の調査研究活動としては,道州制の早期導入を目指した研修会の実施,
道州制に関係する新聞記事のスクラップや議会議事録,県からの配付資料の整理と
これを基にした県民への報告資料の作成などが行われた。(丙B4,6)
(ウ)補助参加人P3においては,議員団自ら会派として直接行う調査研究活動の
ほか,会派の委託を受けた所属議員(団員)が行う調査研究活動があるところ,平
成21年度の調査研究活動の委託については,平成21年3月25日の総会におい
て調査研究活動報告が了承されることによって行われた。委託事項は,「行財政改
革の推進」,「高齢者,児童,障害者が安心して暮らせる福祉社会の構築」,「産
業振興と地域活性化の推進」,「『安心・安全のあいち』の実現」,「生活基盤の
充実と環境施策の推進」,「『生涯学習社会・教育立県あいち』の実現」等,多岐
にわたるが,例えば,「産業振興と地域活性化の推進」に関する事項の調査研究活
動としては,中小企業向けの政策立案についての企業との打合せや情報収集,未利
用資源・エネルギーの地域内循環システムの構築といった「愛知版グリーン・ニュ
ーディール」ともいえる政策の調査や研究,「生活基盤の充実と環境施策の推進」
のうち「公共交通網の整備」の調査研究活動としては,道路等の建設等の地元から
相談があった案件についての建設事務所や市役所との打合せ,現地調査などが行わ
れた。(丙C4,5)
イ各議員の調査研究活動の実施方法等
(ア)会派から委託を受けた各議員は,前記アの調査研究活動の一環として,それ
ぞれの選挙区を中心に実態調査(県民からの意見聴取,相談,意見交換,現地調査)
を行ったり,諸団体が実施する県政に関する研修会に参加したり,県民を集め,地
域からの課題,要望,問題をテーマとして,県政報告会を実施したりした。
そして,各議員は,上記活動を行うに当たり,多数の関係者と面会等をしたり,
事務員を配置して事務員に面会の調整や調査結果の分析・整理作業を行わせたり,
収集した資料の保管をする際に,本件事務所を使用し(ただし本件議員8名の事務
所を除く。),また,現地訪問等の際の移動の際に,本件自動車を使用した(ただ
しP5議員の自動車を除く。)。(丙A9,丙B6,丙C5,弁論の全趣旨)
(イ)本件事務所及び本件自動車(ただし本件議員8名の事務所及びP5議員の自
動車を除く。)は,特定の調査研究活動を行うために賃借ないしリースされたもの
ではなく,各議員において恒常的に管理されてきた。各議員は,各会派から委託さ
れた調査研究活動以外にも,政党としての活動や後援会活動等を行う際に,上記事
務所や自動車を使用した。(丙A9,丙B6,丙C5,弁論の全趣旨)
ウ各議員による領収書整理票の記載等
補助参加人らに所属する各議員は,平成21年度の政務調査費に係る収支報告書
に添付される各領収書整理票(領収書,振込票等を整理して添付し,使途項目や按
分率,按分後金額等を記入するもの)に,それぞれ以下のとおり記入等をし,同各
領収書整理票を各補助参加人に提出した。(弁論の全趣旨)
(ア)補助参加人P1所属の議員
aP5議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料1
0万円について,政務調査費充当分の按分率はいずれも2分の1である旨記載した。
また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料9
万7500円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも3分の2と記入した。
(丙A4の1)
bP13議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所の土地
賃借料10万円について,政務調査費充当分の按分率はいずれも2分の1である旨
記載した。また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車
リース料7万9800円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも8割と記
入した。(丙A4の2,5の4)
cP14議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
5万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。(丙A
4の3)
dP15議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも3分の2と記入した。(丙
A4の4)
eP16議員は,平成21年4月から同年9月まで月々の事務所賃借料13万
5000円及び同年10月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料・共益費1
6万0500円について,政務調査費充当分の按分率はいずれも15分の7である
旨記載した。(丙A4の5)
fP17議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所・事務
機賃借料15万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも3分の2と記入
した。(丙A4の6)
gP6議員は,平成21年4月から同年8月まで月々の事務所賃借料6万30
00円について,政務調査費充当分の按分率はいずれも7割である旨記載した。ま
た,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料6万
8250円について,政務調査費充当分の按分率はいずれも7割である旨記載した。
(丙A4の8)
hP18議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
7万5000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも4割と記入した。
(丙A4の9)
iP19議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
12万9675円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも5分の3と記入
した。また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リー
ス料5万8500円について政務調査費充当分の按分率をいずれも5分の3と記入
した。(丙A4の11,5の10)
jP20議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも90%と記入した。(丙
A4の12)
kP7議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料1
2万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも6分の5と記入した。(丙
A4の13)
lP21議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
7万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも85%と記入した。また,
同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料4万98
75円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。(丙A
4の14)
mP8議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料1
7万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも17分の10と記入した。
(丙A4の15)
nP9議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料1
0万円及び光熱費2万円について,政務調査費充当分の按分率はいずれも50%で
ある旨記載した。(丙A4の16)
oP22議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所リース
料4万6746円,4万8304円,4万3629円又は6万9060円について,
政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。また,同議員は,平成2
1年4月から同年6月まで,平成22年2月及び同年3月,月々の自動車リース料
6万1320円について政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。
(丙A4の17,5の16)
pP23議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
8万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも20分の19と記入した。
(丙A4の18)
qP24議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。また,
同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料6万40
50円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも75%と記入した。(丙A
4の19)
rP25議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
8万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。また,
同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料6万82
50円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。(丙A
4の20,5の20)
sP26議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万円又は7万6000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも8割
と記入した。また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動
車リース料5万3500円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも8割と
記入した。(丙A4の21,5の22)
tP27議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
12万6000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも10分の6と記
入した。また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リ
ース料7万4025円,7万8750円又は6万6150円について,政務調査費
充当分の按分率をいずれも10分の6と記入した。(丙A4の22)
uP10議員は,平成21年4月及び同年5月の月々の事務所賃借料6万円に
ついて,政務調査費充当分の按分率をいずれも70%と記入した。(丙A4の7)
vP28議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
9万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。(丙A
4の10)
wP29議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料12万7050円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも50%と記入
した。(丙A5の9)
xP30議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料6万3000円,5万2500円又は21万円について,政務調査費充当分の按
分率をいずれも70%と記入した。(丙A5の12)
yP31議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料8万6000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも3分の2と記入
した。(丙A5の1)
zP32議員は,平成21年6月及び同年7月の自動車リース料合計13万0
200円について,政務調査費充当分の按分率を2分の1と記入し,同年8月から
平成22年3月まで月々の自動車リース料6万5100円について,政務調査費充
当分の按分率を3分の2と記入した。(丙A5の2)
αP33議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料7万8750円について,政務調査費充当分の按分率はいずれも63.5%であ
る旨記載した。(丙A5の3)
βP34議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料6万2200円,30万円,6万2457円又は6万1900円について,政務
調査費充当分の按分率をいずれも2分の1と記入した。(丙A5の5)
γP35議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料5万0085円又は6万1320円について,政務調査活動にのみ使用した旨記
載した。(丙A5の6)
δP36議員は,平成21年7月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料5万1135円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入し
た。(丙A5の7)
εP37議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料7万1900円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも4分の3と記入
した。(丙A5の8)
ζP38議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料11万3400円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも10分の6と
記入した。(丙A5の11)
ηP39議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料11万0250円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも5分の3と記
入した。(丙A5の13)
θP40議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料9万1400円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも70%と記入し
た。(丙A5の15)
ιP41議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料9万7125円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも3分の2と記入
した。(丙A5の17)
κP42議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料8万2530円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも8割と記入した。
(丙A5の18)
λP43議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料10万2900円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも60%と記入
した。(丙A5の19)
μP44議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料8万5050円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも100分の78
と記入した。(丙A5の21)
νP45議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料5万3550円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも5分の4と記入
した。(丙A5の23)
ξP46議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料9万7650円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも10分の7と記
入した。(丙A5の14)
(イ)補助参加人P2所属の議員
aP11議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
12万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも3分の1と記入した。ま
た,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料7万
6965円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも85%と記入した。(丙
B1の1,2の1)
bP47議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
15万7500円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも2分の1と記入
した。また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リー
ス料7万7700円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも10分の6と
記入した。(丙B1の9,2の13)
cP48議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
11万8052円(うち52円は振替手数料)又は11万8000円について,政
務調査費充当分の按分率をいずれも10分の8と記入した。(丙B1の17)
dP49議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
15万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも50%と記入した。(丙
B1の18)
eP50議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも5分の4と記入した。(丙
B1の2)
fP51議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万円について,政務調査費充当分の按分率はいずれも2分の1である旨記載し
た。また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料13万0200円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも2分の1と記
入した。(丙B1の3,2の3)
gP52議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
9万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入した。また,
同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料6万45
75円又は7万6000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8
と記入した。(丙B1の4,2の7)
hP53議員は,平成21年4月及び同年5月の月々の事務所賃借料18万円
について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入した。また,同議員
は,平成21年4月及び同年5月の月々の自動車リース料5万4000円について,
政務調査費充当分の按分率をいずれも100%と記入した。(丙B1の5,2の8)
iP54議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
11万5000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも85%と記入し
た。また,同議員は,平成21年4月から平成22年1月まで月々の自動車リース
料12万9990円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも60%と記入
した。(丙B1の7,2の10)
jP55議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
5万2500円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入した。
また,同議員は,平成21年4月から同年12月まで月々の自動車リース料15万
5715円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.6と記入した。(丙
B1の8,2の11)
kP56議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
15万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも3分の1と記入した。ま
た,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料6万
5940円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも100%と記入した。
(丙B1の11,2の16)
lP57議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
13万6000円のうち「P58」負担分2万円を差し引いた11万6000円に
ついて,政務調査費充当分の按分率を,平成21年9月まではいずれも2分の1,
同年10月からはいずれも4分の3と記入した。(丙B1の12)
mP59議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万5000円又は12万6000円について,政務調査費充当分の按分率をい
ずれも75%と記入した。また,同議員は,平成21年4月から平成22年2月ま
で月々の自動車リース料6万4155円について,政務調査費充当分の按分率をい
ずれも75%と記入した。(丙B1の13,2の17)
nP60議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万5000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも70%と記入し
た。(丙B1の14)
oP61議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
13万0250円(うち250円は振込手数料)について,政務調査費充当分の按
分率をいずれも80%と記入した。また,同議員は,平成21年4月から平成22
年3月まで月々の自動車リース料6万5000円について,政務調査費充当分の按
分率をいずれも100%と記入した。(丙B1の15,2の18)
pP62議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所土地賃
借料10万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.6と記入した。
(丙B1の16)
qP63議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
5万2500円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも5分の4と記入し
た。また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料8万8000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも4分の3と記入
した。(丙B1の19,2の19)
rP64議員は,平成21年4月から平成22年2月まで月々の事務所賃借料
10万3000円について,政務調査費充当分の按分率を,平成21年4月につい
ては77.7%,同年5月については76.3%,同年6月については80.3%,
同年7月については82.8%,同年8月については61.5%,同年9月につい
ては87.1%,同年10月については89.8%,同年11月については88.
7%,同年12月については86.1%,平成22年1月については87.5%,
同年2月については87.7%と記入した。
また,同議員は,平成21年4月から平成22年1月まで月々の自動車リース料
8万6100円について,政務調査費充当分の按分率を,平成21年4月について
は88.5%,同年5月については76.6%,同年6月については82.1%,
同年7月については85.3%,同年8月については74.9%,同年9月につい
ては81.6%,同年10月については89.8%,同年11月については84.
3%,同年12月については79.5%,平成22年1月については83.1%と
記入した。(丙B1の20,2の20)
sP65議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも100%と記入した。ま
た,同議員は,平成21年4月から平成22年2月まで月々の自動車リース料11
万7600円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも5分の3と記入した。
(丙B1の21,2の21)
tP66議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
8万7000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入した。
また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料4
万5600円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入した。
(丙B1の22,2の22)
uP67議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
5万8500円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも10分の8と記入
した。(丙B1の23)
vP68議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
10万5000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入し
た。(丙B1の24)
wP69議員は,平成21年4月から同年12月まで,平成22年2月及び同
年3月の月々の事務所賃借料10万5000円について,政務調査費充当分の按分
率をいずれも80%と記入した。(丙B1の25)
xP70議員は,平成21年4月から平成22年2月まで月々の事務所賃借料
7万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入した。また,
同議員は,平成21年4月から平成22年2月まで月々の自動車リース料8万63
00円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.7と記入した。(丙B
1の26,2の23)
yP71議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
8万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも5分の4と記入した。(丙
B1の27)
zP72議員は,平成21年4月から平成22年3月まで(ただし平成21年
4月分から平成22年4月分まで)月々の事務所賃借料11万円について,政務調
査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。(丙B1の28)
αP73議員は,平成21年5月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
8万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも50%と記入した。また,
同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料10万4
685円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも64%と記入した。(丙
B1の10,2の14)
βP12議員は,平成21年4月及び同年5月の月々の事務所賃借料10万円
について,政務調査費充当分の按分率をいずれも2分の1と記入した。(丙B1の
6)
γP74議員は,平成21年4月から平成22年1月まで月々の自動車リース
料10万5000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入
した。(丙B2の6)
δP75議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料8万6614円について,政務調査費充当分の按分率を,平成21年12月まで
はいずれも4分の3,平成22年1月からはいずれも5分の4と記入した。(丙B
2の2)
εP76議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料6万3525円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも100%と記入
した。(丙B2の4)
ζP77議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料6万1845円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入し
た。(丙B2の5)
ηP78議員は,平成21年4月から平成22年2月まで月々の自動車リース
料12万2220円について,政務調査費充当分の按分率を,平成21年4月につ
いては0.545,同年5月からはいずれも0.6と記入した。(丙B2の9)
θP79議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料5万5500円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも90%と記入し
た。(丙B2の12)
ιP80議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース
料8万8000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.75と記入
した。(丙B2の15)
(ウ)補助参加人P3所属の議員
aP81議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
5万5650円(2か月で11万1300円)について,政務調査費充当分の按分
率をいずれも10分の9と記入した。また,同議員は,平成21年4月から平成2
2年3月まで月々の自動車リース料7万2660円について,政務調査費充当分の
按分率をいずれも10分の9と記入した。(丙C1の1,2の1)
bP82議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
5万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入した。また,
同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料7万56
00円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも0.8と記入した。(丙C
1の2,2の2)
cP83議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
11万1100円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも50%と記入し
た。また,同議員は,平成21年4月から同年11月まで月々の自動車リース料6
万9000円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも80%と記入した。
(丙C1の3,2の3)
dP84議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
6万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも10分の9と記入した。ま
た,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リース料7万
1696円について,政務調査費充当分の按分率は年間を通じて10分の9である
旨記入した。(丙C1の4,2の4)
eP85議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
7万1700円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも10分の9と記入
した。また,同議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の自動車リー
ス料6万0900円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも10分の9と
記入した。(丙C1の5,2の5)
fP86議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
7万5630円(うち630円は振込手数料)について,政務調査費充当分の按分
率をいずれも10分の9と記入した。また,同議員は,平成21年4月から平成2
2年3月まで月々の自動車リース料5万7015円について,政務調査費充当分の
按分率をいずれも10分の9と記入した。(丙C1の7,2の6)
gP87議員は,平成21年4月から平成22年3月まで月々の事務所賃借料
6万円について,政務調査費充当分の按分率をいずれも10分の9と記入した。(丙
C1の6)
エ会派及び議会事務局等による領収書整理票の確認内容等
(ア)補助参加人らは,所属議員から領収書整理票の提出を受けると,所属議員の
申告に係る按分率と按分後の金額が合致しないなどの特段の事情がない限り,本件
マニュアルに沿った使途基準に合致する支出と認め,政務調査費を充当することに
している。平成21年度の政務調査費に関しても,補助参加人らにおいて,所属議
員から提出を受けた前記ウの領収書整理票を含む経理関係書類につき,経理責任者
の確認を経て各会派の長(団長)の承認がされた上,平成22年4月30日までに,
愛知県議会議長に対し,上記領収書整理票をそのまま添付して平成21年度政務調
査費収支報告書が提出された。(丙A1,9,丙B6,丙C5,弁論の全趣旨)
(イ)愛知県議会事務局は,各会派から収支報告書及び領収書整理票の提出を受け
ると,領収書の欠落がないか,支払額と政務調査費充当額の按分計算等の計算誤り
がないかを確認するとともに,本件マニュアルにおける「充当が不適当な経費」に
該当するものはないかについて確認を行うが,徴収書整理票に記載された調査研究
活動とその他の活動との按分率については,議員が自己の説明責任に基づいて設定
し,政務調査費を充当しているものであると考えており,原則として,数値そのも
のが妥当か否かという判断は行っていない。同議会議長は,上記収支報告書等につ
いて,形式的・外形的な確認において問題がなければ,同県知事に対し,収支報告
書の写しのみを送付することとしており,同県知事は,同収支報告書について,そ
の別紙の額の計算の正確性という観点から形式的な確認をしている。平成21年度
政務調査費収支報告書についても,議会及び知事において,それぞれ上記のような
確認がされた。(乙3,弁論の全趣旨)
(2)前記前提事実及び前記(1)で認定した事実によると,本件事務所及び本件自動
車(ただし本件議員8名の事務所及びP5議員の自動車を除く。以下同じ。)は,
会派から委託された調査研究活動と,政党としての活動や後援会活動など調査研究
活動以外の活動の双方に使用されていたものであるところ,本件事務所及び本件自
動車は,会派ではなく,議員個人が自らの名義で契約した上で恒常的に管理してき
たものであり,もともと特定の調査研究活動を行うために賃借ないしリースされた
ものではないというのである。このような事務所及び自動車は,外形上は,むしろ
議員個人の一般的な利用に供されているとみられ得るものであり,実際にも,使途
が明確に区別されていない限り,会派から委託された調査研究活動以外の活動に随
時機動的に利用されやすく,議員としての活動以外の私的な用務に利用されること
もあり得るものである。会派から委託された調査研究活動以外の活動としては,議
会や委員会に出席し意見を述べたり議決に参加したりするための活動や,政党とし
ての活動,後援会活動,選挙のための活動など,さまざまな活動があるところ,こ
のような調査研究活動以外の活動のための関係者との面会や打合せ,文書等の保管,
事務作業などを行う際に,議員が恒常的に管理している事務所を使用したり,この
ような活動のために移動する際に,議員が恒常的に管理している自動車を使用した
りすることが容易に想定されるのであって,これらの事務所や自動車について会派
から委託された調査研究活動のための使用実績がそれ以外の活動のための使用実績
を上回るとは考え難い。そうすると,議員個人の事務所及び自動車については,特
段の事情がない限り,会派から委託を受けた調査研究活動のために使用された割合
とそれ以外の活動のため使用された割合は同等程度であると推認するのが相当であ
る。
ところで,事務所の賃借料・光熱費や自動車のリース料について,会派から委託
された調査研究活動のために使用された部分とそれ以外の活動に使用された部分と
を截然と区分することはもともと困難であるところ,本件においては,前記(1)ウで
認定したとおり,各議員は,それぞれ領収書整理票に政務調査費充当分の按分率と
して特定の数値を記入しているものの,算定の基となる資料や算定方式など,各数
値の算定根拠について,何ら具体的な説明をしていない。前記(1)エで認定したとお
り,会派や議会事務局等は,使途基準への適合性について,単に形式的なチェック
にとどめ,事務所や自動車の使用実績・状況等に関しても,具体的にこれらを確認
する態勢を執っていないため,結局,各議員がそれぞれ根拠を示すこともなく按分
率のみを自己申告しているのが実情である。しかも,前記(1)ウで認定した事実によ
ると,P64議員(同(イ)r)以外の議員については,毎月同一の按分率が通年にわ
たって記載されている(ただし,P32議員(同(ア)z),P57議員(同(イ)l),
P75議員(同(イ)δ)及びP78議員(同(イ)η)は,途中で1度だけ按分率を変
更しているが,それを除けば月が替わっても同一の按分率が記載されている。)と
ころ,会派から委託された調査研究活動とそれ以外の活動の内容や活動に要する時
間等は,その性質上,自ずから月ごとに変動し得るものであることを考慮すると,
上記領収書整理票に記載された上記按分率は,月ごとに実際にあった調査研究活動
とそれ以外の活動への各使用実績を割り出して反映させたものとはいい難い(もっ
とも,P65議員(同(イ)s)は事務所賃借料について,P35議員(同(ア)γ),
P53議員(同(イ)h),P56議員(同(イ)k),P61議員(同(イ)o)及びP7
6議員(同(イ)ε)は自動車リース料について,いずれも政務調査費充当分の按分率
を100%としているところ,仮に当該事務所や当該自動車を会派の調査研究活動
のみに使用するように明確に使途を区分しているのであれば,按分率の変動がなく
ても上記のような問題は生じないものの,上記各議員は,それぞれの使用実績等に
関して何ら具体的な説明をしておらず,使途を明確に区分する手立てを講じたり,
他の活動に流用されない仕組みを確保しているとも認め難い。したがって,上記各
議員の事務所・自動車についても,他の議員と同様,会派のための調査研究活動以
外の活動にも使用されていたものとみるほかはない。)。そうすると,各議員の単
なる自己申告による按分率に依拠して算出された本件政務調査費が本件条例及び本
件規程の定める使途基準に適合するものであるということはできない。
以上を総合すると,本件事務所及び本件自動車は,会派から委託された調査研究
活動とそれ以外の活動の双方のために使用されており,本件事務所賃借料等及び本
件自動車リース料のうち,政務調査費を充てることが許されるのは,せいぜいその
2分の1にとどまると推認するのが相当であり,特段の反証がない限り,これを超
える部分に充てられた政務調査費は,本件条例及び本件規程の定める使途基準に適
合しない支出に充てられたものとして不当利得になるというべきである。そして,
本件においては,会派から委託された調査研究活動とそれ以外の活動に実際に使用
された割合が上記割合と異なることにつき特段の反証はない。
(3)これに対し,原告らは,本件事務所賃借料等及び本件自動車リース料につい
ては,会派の調査研究活動への支出であることの具体的な立証がない限りは,政務
調査費を充てることはおよそ許されない,あるいは政務調査費を充てることが許さ
れるのは3分の1にとどまる旨主張する。
しかしながら,平成21年度に補助参加人らが所属議員に対して調査研究活動を
委託し,各議員がその調査研究活動を行うに当たって本件事務所や本件自動車を使
用したことは,前記(1)ア,イで認定したとおりであるから,本件事務所賃借料等及
び本件自動車リース料に政務調査費を充てることがおよそ許されないということは
できない。また,前記(2)で説示した事情によっても,本件事務所や本件自動車につ
いて,会派から委託された調査研究活動のための使用が,それ以外の活動のための
使用を大幅に下回っていたとまで推認することはできず,使用実績の3分の1以下
であったことを認めるに足りる証拠はない。したがって,原告らの上記主張は,採
用することができない。
また,原告らは,補助参加人らから本件政務調査費の支出に対する会派代表者の
承認について厳格な手続がとられていなかったため,本件政務調査費は会派の政務
調査活動のための支出に充てられたものということはできないとも主張するけれど
も,前記(1)で認定した事実によると,補助参加人らは,所属議員に一定の事項に関
する調査研究活動を委託し,所属議員は,それを受けて調査研究活動を行い,これ
に要した費用として本件政務調査費を支出したとして領収書整理票を補助参加人ら
に提出し,その各会派の長(団長)の承認を受けたというのである。そうすると,
補助参加人らは,会派としての調査研究活動を,その所属議員にこれを委ね,又は
所属議員による調査研究活動を会派のためのものとして承認する方法によって行っ
たということができるから,上記調査研究活動が会派としての調査研究活動に当た
らないということはできない。したがって,原告らの上記主張も,採用することが
できない。
(4)他方,補助参加人らは,①本件政務調査費につき不当利得が成立するために
は,原告らにおいて,一見して明らかに使途基準に反する支出に充てられたことを
主張立証することが必要であるにもかかわらず,原告らは,按分率が正当でなく,
政務調査費で賄われるべきでない部分がどれだけであるかなどについて,何ら具体
的な事実を主張立証していない,②補助参加人らの構成員である各議員は,政務調
査活動とそれ以外の活動をできる限り分離するため,使用する自動車を活動ごとに
替えたり,後援会活動のために別の事務所を用意したり,1棟の事務所を活動ごと
に区分した上で,政務調査活動として利用した場所の面積割合,使用実績等を考慮
して按分率を算出するなどの工夫をしていたほか,政務調査活動とそれ以外の活動
を分離することが困難な場合等には,メモやスケジュール帳等から政務調査活動と
しての時間を概算で把握したり,活動の種類や性格に応じて所要時間を概算で把握
するなどして按分率を定めていたものであり,領収書整理票の記載自体から,本件
政務調査費が全額使途基準に適合した支出であることは明白である,③各会派の団
長は,それぞれ所属議員から報告を受けており,各議員の地位,権限及び職務内容,
議員としての活動も踏まえて,本件政務調査費を本件条例,本件規程及び本件マニ
ュアルに適合する支出であると判断した旨主張し,被告も,④愛知県議会議長は,
事務所賃借料や自動車リース料に100%又は高い按分率で政務調査費が充てられ
ている場合には,当該事務所等が政務調査活動専用のものであるかどうか,活動の
実態と合致しているかどうかなどを口頭で確認している旨主張する。
しかしながら,上記①の点については,政務調査費が使途基準に適合しない支出
に充てられたことを理由として不当利得の返還を求める訴訟における立証責任の分
配や一般的・外形的な事実による推認に関しては,前記1で説示したとおりである
ところ,前記(1),(2)で認定,説示したとおり,本件事務所及び本件自動車は,議
員個人の事務所及び自動車であって会派の事務所及び自動車ではなく,会派から委
託された調査研究活動とそれ以外の活動の双方の目的のために使用されたというの
であるから,被告の側において,各議員が採用した按分率の算定根拠をそれぞれ具
体的に説明する関係資料により,会派から委託された調査研究活動のための使用が
2分の1を超える割合であったことをうかがわせる事情を詳らかにするなどして特
段の事情を明らかにし,適切な反証をする必要があるものといわざるを得ない。そ
もそも,各議員が自己の事務所や自動車を会派から委託された調査研究活動とそれ
以外の活動とにそれぞれどの程度使用したかについては,議員自身の領域内に属す
る事項であり,各議員等関係者の説明がなければ外部の者には分明にし難いもので
あるところ,前記1で説示したとおり,地方自治法の定める政務調査費の制度は,
使途の透明性を確保するために所定の手続の履践を求め,本件マニュアルにおいて
も,会派及び議員は「適正な執行であることを説明する責任がある」とされ(第1
の2(3)),「按分した場合は,按分率の積算根拠を明確にする」ものとされている
(第4(5))のであるから,補助参加人らが上記のような反証の負担を負うとするこ
とは,政務調査費の制度趣旨にも適うものというべきである。
上記②の点については,確かに,平成21年度ないし本件訴訟提起時における各
会派の政務調査費経理責任者が作成した陳述書(丙A9,丙B6,丙C5)には,
補助参加人らの主張に沿うかのような供述記載部分が存在するけれども,個々の議
員がどのような資料に基づき,そのような方法によって按分率を算出したのかは一
切詳らかにされておらず,どのような手立てによって会派から委託された調査研究
活動のための使用とそれ以外の活動のための使用とを区別してきたのかについても
明らかにされていないから,上記供述記載部分をそのまま信用することはできない。
また,上記③及び④の点については,上記各陳述書(丙A9,丙B6,丙C5)
及び愛知県議会事務局総務課長作成の陳述書(乙3)中には,これに沿うかのよう
な供述記載部分があるけれども,按分率を100%としたP65議員(前記(1)ウ(イ)
s),P35議員(同(ア)γ),P53議員(同(イ)h),P56議員(同(イ)k),
P61議員(同(イ)o)及びP76議員(同(イ)ε)や按分率を20分の19とした
P23議員(同(ア)p)について,具体的にどのような確認作業が行われたのかは何
ら明らかにされておらず,本件において各議員が領収書整理票に記入等した按分率
自体の正確性・妥当性についてチェックがされた形跡さえうかがわれないから,上
記各供述記載部分をそのまま信用することはできない。
(5)以上によれば,本件政務調査費のうち,各議員が平成21年度に支出した事
務所賃借料・光熱費及び自動車リース料の各2分の1を超えて充てられた部分につ
いては,各補助参加人において不当利得として返還すべき義務を負うものというべ
きである(なお,本件議員8名の事務所賃借料・光熱費及びP5議員の自動車リー
ス料については,上記部分以上に不当利得が成立することは,後記3のとおりであ
る。)。
3本件議員8名の支出分についての不当利得の成否について
(1)掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
アP5議員について
P5議員は,平成21年度に,自らが監査役,親族が代表取締役を務めるいわゆ
る同族会社である株式会社P88から,事務所を賃借するとともに,自動車のリー
スを受けたとして,この事務所の賃借料(月10万円)及び自動車のリース料(月
9万7500円)に前記2(1)ウ(ア)aのとおり政務調査費を充てた(事務所賃借料
の按分率は2分の1,自動車リース料の按分率は3分の2)。同議員が同社から賃
借している事務所の所在地は明らかにされていないが,平成2年まで同社の本店が
置かれていた建物は,同議員自身が所有している。また,同議員が補助参加人P1
に提出した事務所賃借料の受領に係る領収書の金額は,賃借料である10万円では
なく,政務調査費に充てたとする5万円とされている。(甲14,丙A4の1,弁
論の全趣旨)
イP6議員について
P6議員は,平成21年度に,自らが取締役を務める同族会社である有限会社P
89から,事務所(6階建ての建物の1階部分)を賃借したとして,この事務所の
賃借料(月6万3000円)に前記2(1)ウ(ア)gのとおり政務調査費を充てた(按
分率は7割)。上記事務所が入っている建物は,もともと上記会社が昭和63年5
月31日から所有していたが,平成3年2月20日にP6議員の父であるP90が
売買により,平成5年8月23日にP6議員の母であるP91が相続により,順次
その所有者となった。P6議員の説明によると,「P91は,上記会社に上記建物
を賃貸していたもので,その後,平成21年4月1日にP91が死亡し,同日以降
は同人の相続人3名間において遺産共有の状態となっていたところ,上記会社が転
借人であるP6議員から賃料を受領し,上記相続人の1人であるP92が上記会社
から事実上賃料を受領していた。同年8月にP6議員が上記建物を単独で相続する
方向で遺産分割協議が進んだため,P6議員は,同年9月以降の賃料については,
政務調査費を充てないようになった。」とされている。(甲15,丙A4の8,8,
弁論の全趣旨)
ウP7議員について
P7議員は,平成21年度に,自らが代表取締役を務める同族会社である株式会
社P93から,その本店が置かれている建物の中に事務所を賃借したとして,この
事務所の賃借料(月12万円)に前記2(1)ウ(ア)kのとおり政務調査費を充てた(按
分率は6分の5)。上記事務所建物の敷地は,P7議員の所有に属するところ,P
7議員は,上記会社に無償で同土地を使用させていた。(甲16,丙A4の13,
弁論の全趣旨)
エP8議員について
P8議員は,平成21年度に,自らが代表取締役を務める同族会社である株式会
社P94から,事務所を賃借したとして,この事務所の賃借料(月17万円)に前
記2(1)ウ(ア)mのとおり政務調査費を充てた(按分率は17分の10)。同議員が
同社から賃借している事務所の所在地は,明らかにされていない。(甲17,丙A
4の15,弁論の全趣旨)
オP9議員について
P9議員は,平成21年度に,自らが代表取締役を務める同族会社であるP95
株式会社から,事務所を賃借したとして,この事務所の賃借料(月10万円)及び
光熱費(月2万円)に前記2(1)ウ(ア)nのとおり政務調査費を充てた(按分率は5
0%)。同議員が同社から賃借している事務所の所在地は明らかにされていないが,
同議員が補助参加人P1に提出した領収書の金額は,賃借料(10万円)及び光熱
費(2万円)の合計額である12万円ではなく,政務調査費に充てたとする6万円
とされている。(甲18,丙A4の16,弁論の全趣旨)
カP10議員について
P10議員は,平成21年度に,自らが代表取締役を務める同族会社であるP9
6株式会社から,事務所を賃借したとして,この事務所の賃借料(月6万円)に前
記2(1)ウ(ア)uのとおり政務調査費を充てた(按分率は70%)。同議員が同社か
ら賃借している事務所の所在地は,明らかにされていない。(甲19,丙A4の7,
弁論の全趣旨)
キP11議員について
P11議員は,平成21年度に,その妻であるP97が代表取締役を務める同族
会社であるP98株式会社から,その本店が置かれている2階建ての建物の1階部
分を事務所として賃借したとして,この事務所の賃借料(月12万円)に前記2(1)
ウ(イ)aのとおり政務調査費を充てた(按分率は3分の1)。
上記事務所が入っている同社所有の建物は,生け垣で区分されているものの,P
11議員の自宅建物の敷地と同一筆の土地(地積1377.84㎡)上にある。ま
た,上記土地は,P11議員とP97及び同議員の母であるP99の共有に属して
いるところ,P11議員の説明によると,「上記会社は,同土地の賃料を,P11
議員には支払わず,P97に支払っている。」とされている。(甲20,丙B1の
1,5,弁論の全趣旨)
クP12議員について
P12議員は,平成21年度に,自己が取締役,親族が代表取締役を務める同族
会社であるP100株式会社から,事務所を賃借したとして,この事務所の賃借料
(月10万円)に前記2(1)ウ(イ)βのとおり政務調査費を充てた(按分率は2分の
1)。同議員が同社から賃借している事務所の所在地は,明らかにされていない。
(甲21,丙B1の6,弁論の全趣旨)
(2)前記(1)で認定した事実によると,①P7議員,P8議員,P9議員及びP1
0議員の4名は,自らが代表取締役を務める同族会社から事務所を賃借したとして
事務所賃借料ないし光熱費に政務調査費を充てているが,このうちP7議員の事務
所は,当該会社の本店が置かれている建物内にあるばかりか,その敷地は,同議員
の所有地で,当該会社は同議員から無償で同土地を使用していたものである上,P
8議員,P9議員及びP10議員についても,賃借している事務所の所在地を明ら
かにしておらず,P9議員に至っては,所属会派に対し,領収額欄に賃借料・光熱
費そのものではなく,政務調査費に充てたとする金額自体を記載した領収書を提出
していたこと,②P5議員は,自らが監査役,親族が代表取締役を務める同族会社
から事務所の賃貸と自動車のリースを受けたとして事務所賃借料及び自動車リース
料に政務調査費を充てているが,所属会派に提出した領収書に賃借料そのものでは
なく政務調査費に充てたとする金額自体を記載している上,賃借している事務所の
所在地も明らかにしていないこと,③P6議員は,自らが取締役を務める同族会社
から事務所を賃借したとして事務所賃借料に政務調査費を充てているが,事務所の
ある建物は,同議員が他の相続人2名と共に相続により取得したものであるばかり
か,現に間もなく同議員が遺産分割協議により単独で取得することになったにもか
かわらず,その間の事務所賃借料は同議員以外の相続人が受領していたという不合
理な説明をしていること,④P11議員は,妻が代表取締役を務める同族会社から
事務所を賃借したとして事務所賃借料に政務調査費を充てているが,事務所は,同
社の本店が置かれている建物内にあるばかりか,その敷地は,同議員,妻及び母の
共有に属するにもかかわらず,地代は妻のみに支払われているという不合理な説明
をしていること,⑤P12議員は,自らが取締役,親族が代表取締役を務める同族
会社から事務所を賃借したとして事務所賃借料に政務調査費を充てているが,賃借
している事務所の所在地を明らかにしていないこと等を指摘することができる。
これら諸点に照らすと,本件議員8名がそれぞれ代表者等の機関を務める同族会
社から賃借したとされる事務所が,果たして実際に議員の事務所として使用され,
その機能を備えていたかどうかや,本件議員8名の事務所及びP5議員の自動車が,
会派から委託された調査研究活動のために使用されていたかどうか,あるいは本件
議員8名が現実にこれら同族会社に対して事務所賃借料や自動車リース料とする金
額を全額支払っていたかどうかといった点について,大いに疑問があるというほか
はなく,むしろ,賃借人等とされる本件議員8名と賃貸人等とされるその同族会社
との間の密接な関係や,使用実態や支出等の裏付けの乏しさなど,本件に現れた諸
事情の下においては,上記のような使用や支出の実体が欠けていたことが推認され
る。これらに加え,本件マニュアルにおいて,事務費の使途項目について,「充当で
きるリース車は1台とし,その充当金額については年間80万円を上限とする(自
動車リースを業とする会社からの契約に限る。)」(第2の7(3)エ),「自己(生
計を一にしている親族も含む。)所有の事務所に賃借料相当を計上することも認め
られない。」(第2の7(3)キ)とされていることをも併せ考慮すると,本件議員8
名の事務所賃借料及びP5議員の自動車リース料の支出に充てられたとする政務調
査費は,そもそも政務調査費を充てる対象となるべき事務所賃借料や自動車リース
料の支出の実体を欠くか,あるいは本件条例及び本件規程の定める使途基準に適合
しないものといわざるを得ず,その全額が法律上の原因のない利得になるというべ
きである。
そうすると,本件政務調査費のうち,本件議員8名の事務所賃借料及びP5議員
の自動車リース料の支出に充てられた部分については,各補助参加人において,前
記2で説示した各2分の1を超えて充てられた分だけではなく,その全額を不当利
得として返還すべき義務を負うものというべきである。
4不当利得の金額等
(1)以上を前提に,各補助参加人の不当利得となる金額を算定すると,次のとお
りである。
ア補助参加人P1所属の各議員について,平成21年度に支出した事務所賃借
料・光熱費及び自動車リース料の2分の1を超えて政務調査費を充てられた金額は,
それぞれ,別紙「P101党事務所賃借料一覧表2」及び別紙「P101党自動車
リース料一覧表2」の各「超過額」欄記載のとおりであり(なお,同各別紙におい
て「年間支出額の2分の1」を算出するに当たり,1円未満の端数金額は,前記1
で説示した立証責任の所在に照らし,切り上げた。),P5議員,P6議員,P7
議員,P8議員,P9議員及びP10議員の事務所賃借料・光熱費並びにP5議員
の自動車リース料については政務調査費を充てられた金額全額が不当利得となるこ
とからすると,同補助参加人の不当利得となる金額は,別紙「P101党事務所賃
借料一覧表2」及び別紙「P101党自動車リース料一覧表2」の各「不当利得金
額」欄記載の金額の合計1313万1677円(事務所賃借料・光熱費に係る不当
利得771万1746円及び自動車リース料に係る不当利得541万9931円)
である。
イ補助参加人P2所属の各議員について,平成21年度に支出した事務所賃借
料及び自動車リース料の2分の1を超えて政務調査費を充てられた金額は,それぞ
れ,別紙「P102党事務所賃借料一覧表2」及び別紙「P102党自動車リース
料一覧表2」の各「超過額」欄記載のとおりであり(なお,同別紙において「年間
支出額の2分の1」を算出するに当たり,1円未満の端数金額は,前記アと同様,
切り上げた。),P11議員及びP12議員の事務所賃借料については政務調査費
を充てられた金額全額が不当利得となることからすると,同補助参加人の不当利得
となる金額は,別紙「P102党事務所賃借料一覧表2」の「不当利得金額」欄記
載の金額及び別紙「P102党自動車リース料一覧表2」の「超過額」欄記載の金
額の合計1204万8121円(事務所賃借料に係る不当利得714万1575円
及び自動車リース料に係る不当利得490万6546円)である。
ウ補助参加人P3所属の各議員について,平成21年度に支出した事務所賃借
料及び自動車リース料の2分の1を超えて政務調査費を充てられた金額は,それぞ
れ,別紙「P103党事務所賃借料一覧表2」及び別紙「P103党自動車リース
料一覧表2」の各「超過額」欄記載のとおりであり,同補助参加人の不当利得とな
る金額は,上記各超過額の合計342万3934円(事務所賃借料に係る不当利得
172万7280円及び自動車リース料に係る不当利得169万6654円)であ
る。
(2)前記(1)のとおり,補助参加人らは,それぞれ,愛知県に対して不当利得返還
債務を負っているところ,被告(愛知県知事)は,この不当利得返還請求権を行使
していない。そうすると,被告(愛知県知事)には,この点で,違法に財産の管理
を怠る事実があるというべきである。
第4結論
以上の次第で,原告らの請求は,被告に対し,補助参加人P1に対する1313
万1677円の不当利得返還請求,補助参加人P2に対する1204万8121円
の不当利得返還請求,補助参加人P3に対する342万3934円の不当利得返還
請求をすることを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由
がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
名古屋地方裁判所民事第9部
裁判長裁判官福井章代
裁判官笹本哲朗
裁判官平野佑子
(別紙)
関係法令等の定め
1地方自治法(昭和22年法律第67号。平成24年法律第72号による改正
前のもの。)
100条14項
普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に
資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務
調査費を交付することができる。この場合において,当該政務調査費の交付の対象,
額及び交付の方法は,条例で定めなければならない。
100条15項
前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,
当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
104条
普通地方公共団体の議会の議長は,議場の秩序を保持し,議事を整理し,議会の
事務を統理し,議会を代表する。
2愛知県議会における会派に対する政務調査費の交付に関する条例(平成13
年愛知県条例第41号。平成23年愛知県条例第31号による改正前のもの。)
1条
この条例は,地方自治法(昭和22年法律第67号)第100条第14項及び第
15項の規定に基づき,愛知県議会(以下「議会」という。)における会派に対す
る政務調査費の交付に関し必要な事項を定めるものとする。
2条
政務調査費は,議会における会派(その所属議員が1人の場合を含む。以下同じ。)
に対し,交付する。
3条1項
政務調査費の額は,一月につき50万円に各会派の所属議員の数を乗じて得た額
とする。
8条1項
会派は,政務調査費を次に掲げる費用に充てなければならない。
(1)調査研究費
(2)研修費
(3)会議費
(4)資料作成費
(5)資料購入費
(6)広報費
(7)事務費
(8)人件費
8条2項
前項各号に掲げる費用の使途基準は,議会の議長が定める。
9条1項
会派の代表者は,当該会派の前年度における次に掲げる事項を記載した政務調査
費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を,毎年4月30
日までに,議会の議長に提出しなければならない。
(1)政務調査費に係る収入の総額
(2)政務調査費に係る支出の総額並びに前条第1項各号に掲げる費用ごとの支出
の額及び主たる支出の内訳
(3)政務調査費に係る収入の総額から政務調査費に係る支出の総額を控除した額
9条3項
前2項の収支報告書を提出するときは,政務調査費による支出のうち1件3万円
以上の支出(人件費に係るものを除く。)に係る領収書その他の支出の事実を証す
る書類の写し(以下「領収書等の写し」という。)を併せて提出しなければならな
い。
10条
議会の議長は,前条各項の規定により収支報告書及び領収書等の写し(以下「収
支報告書等」という。)が提出されたときは,必要に応じ,政務調査費の適正な運
用を図るための調査を行うことができる。
11条
知事は,会派が交付を受けた政務調査費に係る収入の総額から当該会派が行った
政務調査費に係る支出(第8条第1項各号に掲げる費用に充てたものに限る。)の
総額を控除して残余があるときは,当該会派に対し,当該残余の額に相当する額の
政務調査費の返還を命ずることができる。
13条
この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,議会の議長
が定める。
3愛知県議会における会派に対する政務調査費の交付に関する規程(平成13
年愛知県議会告示第1号。平成23年愛知県議会告示第2号による改正前のもの。)
1条
この規程は,愛知県議会における会派に対する政務調査費の交付に関する条例(平
成13年愛知県条例第41号。以下「条例」という。)の施行に関し必要な事項を
定めるものとする。
4条
条例第8条第2項の愛知県議会(以下「議会」という。)の議長が定める使途基
準は,別表のとおりとする。
別表
政務調査費の使途基準
費用内容
調査研究費
会派(会派から調査研究活動を委託された所属議員を含む。以下同
じ。)が行う県の事務及び地方行財政に関する調査研究及び調査委
託に要する調査委託費,交通費,宿泊費等の経費
研修費
会派が行う研修会,講演会等の実施並びに他団体が開催する研修会
,講演会等への所属議員及び会派の雇用する職員の参加に要する会
場・機材借上費,講師謝金,会費,交通費,宿泊費等の経費
会議費会派が行う各種会議に要する会場・機材借上費,資料印刷費等の経

資料作成費会派が行う調査研究に必要な資料の作成に要する印刷・製本代,原
稿料等の経費
資料購入費会派が行う調査研究に必要な図書,資料等の購入に要する書籍購入
代,新聞雑誌購読料等の経費
広報費会派が行う議会活動及び県政に関する政策等の広報に要する広報
紙・報告書等印刷費,送料,交通費等の経費
事務費会派が行う調査研究に係る事務の遂行に要する事務用品・備品購入
費,通信費等の経費
人件費会派が行う調査研究を補助する職員の雇用に要する給料,手当,社
会保険料,賃金等の経費
4政務調査費マニュアル(平成20年3月24日愛知県議会議長制定。乙1の
2)
第1総括
1趣旨
政務調査費は,地方自治法第100条第13項及び第14項並びに愛知県議会に
おける会派に対する政務調査費の交付に関する条例(以下「条例」という。)等の
規定に基づき,愛知県議会(以下「議会」という。)の議員の調査研究に資するた
めの必要な経費の一部として,議会における会派に対して,公費として交付される
ものである。
したがって,交付された政務調査費は,愛知県政(以下「県政」という。)に関
連して会派が行う調査研究活動に要する経費に対して適切に充当されなければなら
ない。
ついては,議会としてその使途内容を明確にするため,このマニュアルを策定し,
適正な執行に資することとした。
なお,ここに示した内容は,政務調査費を執行する場合の基本原則と,それに沿
った使途項目ごとの活動・経費例示及び留意点などであり,個々の執行にあたって
は,これらを参考に,個別に判断し,実施されるものである。
2基本原則
政務調査費として執行するにあたっては,次の原則に基づき行うものとする。
(1)執行上の原則
ア・イ《省略》
ウ領収書その他の書類等(以下「証票類等」という。)の客観的証拠があり,
活動内容が説明可能なこと。
調査研究活動の内容や執行状況を客観的に説明できるように,会計帳簿や証票類
等が調製,整理,保管されていることが必要である。
エ実費に充当するものであること。
原則として,調査研究活動に要した費用の実費に充当するものである。ただし,
他の費用と混在し,分離することが不可能な場合は,按分をするなどし,要した対
象経費を算出する必要がある。
(2)会派執行の原則(執行主体)
政務調査費は,会派に対して交付されるものであり,会派が行う調査研究活動に
要する経費に充当されるものである。
ただし,個々の調査研究活動にあたっては,会派の会議等で調査研究項目を決定
の上,会派から個々の議員に委託することも可能である。
なお,この場合,その経費については実費精算する必要があり,議員に利得が発
生しないようにするとともに,議員が行った政務調査活動に要した費用については,
使途項目ごとに経費計上する。
(3)説明責任の原則(透明性の確保)
会派及びその委託を受けた議員は,公費の執行であることと,政治活動の自由の
確保との調整を図りつつ,適正な執行であることを説明する責任があることから,
次の事項に十分留意するものとする。
ア会計帳簿等の調製等
活動内容の執行状況を客観的に説明できる会計帳簿や証票類等を整え,必要に応
じていつでも提示できるようにする。
イ《省略》
第2使途項目の内容
政務調査費を充当できる経費について,使途項目ごとに,使途内容,活動・経費
例示及び留意点を記載する。
なお,ここに示す活動・経費例示は,あくまでも例示であり,これ以外のもので
あっても,支出内容が政務調査費の目的に合致しており,金額,態様なども社会通
念上妥当な範囲内のものであり,対外的にもその説明ができるものであれば,支出
することは可能である。
また,留意点については,経費内容が同じ場合は,使途項目間で同様に適用され
る。
1~6《省略》
7事務費
(1)使途内容
会派が行う調査研究に係る事務の遂行に要する事務用品・備品購入費,通信費等
の経費
(2)活動・経費例示
事務用品・備品の購入,事務機器の購入及びリース,電話(携帯電話を含む。)
の使用,インターネット接続契約,自動車のリース,事務所の賃借料及び管理運営
費(光熱水費等)などが該当する。
(3)留意点
ア購入・リースするものについては,調査研究活動に対する有用性が高く,一
般的に直接必要と認められるものであることが必要である。
イ・ウ《省略》
エ自動車のリース料については,議員の活動の多面的な性格はもとより,他の
活動にも使用できる自動車の性格を踏まえ,按分による支出とし,適用する按分割
合は,使用実績に応じたものとする。
なお,充当できるリース車は1台とし,その充当金額については年間80万円を
上限とする(自動車リースを業とする会社からの契約に限る。また,任意保険料や
違約金等は対象外とする。)。
オ事務所の要件としては,外形上の形態を有し,応接・事務スペースや事務用
備品等を有していること,実際に会派の調査研究に使用されていること等が必要で
ある。
カ事務所費としては,事務所の光熱水費,接客用附設駐車場借上料,清掃・警
備委託,小修繕等が認められる。
キ事務所の購入については,充当は認められない。また,自己(生計を一にし
ている親族も含む。)所有の事務所に賃借料相当を計上することも認められない。
8《省略》
第3充当が不適当な経費
明らかに政務調査費を充当することが認められない経費を例示として示すと次の
とおりとなる。
なお,これら経費と政務調査費が充当できる経費とが混在する場合もありうるが,
その場合は,後述するように,按分の方法を取ることができる。
1政党活動経費
主に政党活動と認められる経費については,政務調査費を充当することはできな
い。具体的な事例を例示すると次のとおりである。
ア党大会の出席に要する経費及び党大会賛助金等に要する経費
イ政党活動,県連活動に要する経費
ウ政党の広報誌,パンフレット,ビラ等の印刷及び発送等に要する経費
エ政党組織の事務所の設置及び維持に要する経費(人件費を含む。)
2選挙活動経費
主に選挙活動と認められる経費については,政務調査費を充当することはできな
い。具体的な事例を例示すると次のとおりである。
ア自ら又は応援する者等の選挙に直接結びつく運動・活動に要する経費
イ自ら又は応援する者等の選挙に関するパンフレット,ビラ,ポスター等の印
刷,発送,貼付等に要する経費
ウ自ら又は応援する者等の選挙のための事務所の設置及び維持に要する経費
(人件費を含む。)
3後援会活動経費
主に後援会活動と認められる経費については,政務調査費を充当することはでき
ない。具体的な事例を例示すると次のとおりである。
ア後援会の広報誌,パンフレット,ビラ等の印刷及び発送等に要する経費
イ後援会事務所の設置及び維持に要する経費(人件費を含む。)
ウ後援会主催の「県政報告会」等の開催に要する経費
4私的経費
個人的な支出や個人的な資産形成に結びつくと認められる経費については,政務
調査費を充当することはできない。具体的な事例を例示すると次のとおりである。
ア香典,祝金,寸志等の冠婚葬祭や祝賀会の出席に要する経費
イ病気見舞い,餞別,中元・歳暮,電報,年賀状の購入・印刷等の儀礼に要す
る経費
ウ檀家総代会,報恩講,宮参り等の宗教活動に要する経費
エ観光,レクリエーション,私的な旅行等に要する経費
オ親睦会又は飲食を主たる目的とした会合,レクリエーション大会等の開催及
び参加に要する経費
カ他の団体の役職を兼ねている場合においての,その団体の理事会,役員会及
び総会等への出席に要する経費
キ事務所として使用する不動産の購入,建設工事への支出
ク自動車の購入及び維持管理に要する経費
5その他適当でない経費
その他,調査研究活動の実態を伴わないと思われる経費などについては,政務調
査費を充当することはできない。具体的な事例を例示すると次のとおりである。
ア挨拶,会食やテープカットへの出席(ただし,意見交換等を伴う場合は除く。)
イ公職選挙法等の法令の制限に抵触する経費
ウ調査研究活動において直接必要としない備品の購入に要する経費
第4按分の考え方
会派や議員の活動は,議会活動,政党活動,選挙活動等と多種多様であり,一つ
の活動が政務調査費の対象となる調査研究活動とその他の活動の両方の性格を有し
ている場合が多く見られる。
したがって,政務調査費の対象となる調査研究活動とその他の活動とを分け,そ
れぞれの経費を分離することが望ましいが,それが困難な場合は,活動に要した費
用の全額を,各活動の実績に応じて按分し,充当することとする。
なお,以下に示す按分方法以外に妥当な按分方法がある場合は,それによること
ができる。
(1)政務調査費の対象となる調査研究活動とその他の活動に要した活動時間の割
合で按分する。
(2)政務調査費の対象となる調査研究活動とその他の活動に要した面積割合で按
分する。
(3)政務調査費の対象となる調査研究活動とその他の活動に要した使用実績で按
分する。
(4)上記要素が重なる場合は,重複して按分する。
(5)なお,按分した場合は,按分率の積算根拠を明確にするとともに,会計帳簿
や証票類等に,按分の割合及び当該按分の割合に基づく政務調査費の支出額を付記
するものとする。
第5・第6《省略》
(別紙)
P101党事務所賃借料一覧表2
議員名年間支出額の2分の1超過額不当利得金額
P5
P13
P4
P14
P15
P16
P17
P6
P18
P19
P20
P7
P21
P8
P9
P22
P23
P24
P25
P26
P27
P10
60万円
60万円

30万円
60万円
88万6500円
90万円
15万7500円
45万円
77万8050円
60万円
72万円
42万円
102万円
72万円
29万4749円
48万円
60万円
48万円
57万6000円
75万6000円
6万円
0円
0円

18万円
19万9992円
0円
30万円
6万3000円
0円
15万5610円
48万円
48万円
29万4000円
18万円
0円
17万6844円
43万2000円
36万円
28万8000円
34万5600円
15万1200円
2万4000円
60万円
0円

18万円
19万9992円
0円
30万円
22万0500円
0円
15万5610円
48万円
120万円
29万4000円
120万円
72万円
17万6844円
43万2000円
36万円
28万8000円
34万5600円
15万1200円
8万4000円
P2854万円32万4000円32万4000円
合計443万4246円771万1746円
(別紙)
P101党自動車リース料一覧表2
議員名年間支出額の2分の1超過額不当利得金額
P29
P30
P31
P32
P5
P33
P13
P4
P34
P35
P36
P37
P6
P19
P38
P39
P21
P40
P22
P41
P42
P24
76万2300円
48万3557円
51万6000円
32万5500円
58万5000円
47万2500円
47万8800円

57万9279円
35万1068円
20万4540円
43万1400円
40万9500円
35万1000円
68万0400円
66万1500円
29万9250円
54万8400円
15万3300円
58万2750円
49万5180円
38万4300円
0円
24万5143円
17万1996円
8万6800円
19万5000円
12万7500円
28万7280円

0円
35万1067円
12万2724円
21万5700円
16万3800円
7万0200円
11万9600円
13万2300円
17万9550円
21万9360円
9万1980円
19万4250円
29万7108円
19万2156円
0円
24万5143円
17万1996円
8万6800円
78万円
12万7500円
28万7280円

0円
35万1067円
12万2724円
21万5700円
16万3800円
7万0200円
11万9600円
13万2300円
17万9550円
21万9360円
9万1980円
19万4250円
29万7108円
19万2156円
P43
P25
P44
P26
P45
P27
P46
61万7400円
40万9500円
42万5250円
32万1159円
32万1300円
49万2188円
58万5900円
12万3480円
24万5700円
30万4479円
19万2441円
19万2780円
9万8437円
21万4100円
12万3480円
24万5700円
30万4479円
19万2441円
19万2780円
9万8437円
21万4100円
合計483万4931円541万9931円
(別紙)
P102党事務所賃借料一覧表2
議員名年間支出額の2分の1超過額不当利得金額
P11
P47
P48
P49
P50
P51
P52
P53
P54
P55
P56
P57
P59
P60
P61
P62
P63
P64
P65
P66
P67
P68
72万円
94万5000円
70万8260円
90万円
60万円
60万円
54万円
18万円
69万円
31万5000円
90万円
58万円
74万5500円
63万円
78万円
55万円
31万5000円
56万6500円
60万円
52万2000円
35万1000円
63万円
0円
0円
42万4960円
0円
36万円
0円
32万4000円
10万8000円
48万3000円
18万9000円
0円
11万6000円
37万2750円
25万2000円
47万0400円
11万円
18万9000円
36万6165円
60万円
31万3200円
21万0600円
37万8000円
48万円
0円
42万4960円
0円
36万円
0円
32万4000円
10万8000円
48万3000円
18万9000円
0円
11万6000円
37万2750円
25万2000円
47万0400円
11万円
18万9000円
36万6165円
60万円
31万3200円
21万0600円
37万8000円
P69
P70
P71
P72
P73
P12
57万7500円
38万5000円
48万円
71万5000円
44万円
10万円
34万6500円
23万1000円
28万8000円
42万9000円
0円
0円
34万6500円
23万1000円
28万8000円
42万9000円
0円
10万円
合計656万1575円714万1575円
(別紙)
P102党自動車リース料一覧表2
議員名年間支出額の2分の1超過額
P11
P74
P47
P75
P51
P76
P77
P52
P53
P78
P54
P79
P80
P56
P59
P61
P63
P64
P65
P66
P70
P73
46万1790円
52万5000円
46万6200円
51万9684円
78万1200円
38万1150円
37万1070円
39万3163円
5万4000円
67万2210円
64万9950円
33万3000円
52万8000円
39万5640円
35万2853円
39万円
52万8000円
43万0500円
64万6800円
27万3600円
47万4650円
62万8110円
32万3250円
27万5000円
9万3240円
27万2829円
0円
38万1150円
22万2642円
23万5897円
5万4000円
12万7110円
12万9990円
26万6400円
26万4000円
39万5640円
17万6423円
39万円
26万4000円
28万0423円
12万9360円
16万4160円
18万9860円
17万1890円
P5570万0718円9万9282円
合計490万6546円
(別紙)
P103党事務所賃借料一覧表2
議員名年間支出額の2分の1超過額
P81
P82
P83
P84
P85
P86
P87
33万3900円
30万円
66万6600円
36万円
43万0200円
45万円
36万円
26万7120円
18万円
0円
28万8000円
34万4160円
36万円
28万8000円
合計172万7280円
(別紙)
P103党自動車リース料一覧表2
議員名年間支出額の2分の1超過額
P81
P82
P83
P84
P85
P86
43万5960円
45万3600円
27万6000円
43万0176円
36万5400円
34万2090円
34万8768円
27万2160円
16万5600円
34万4140円
29万2320円
27万3666円
合計169万6654円

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