弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件請求を棄却する。
         理    由
 本件刑事補償の請求の趣旨は末尾添附の別紙記載のとおりである。
 本件記録並びに本案の記録である昭和二六年(あ)第四四二二号占領目的阻害行
為処罰令違反被告事件の記録並びに右請求人に対する逃走未遂被告事件の判決等に
つき調べて見ると、昭和二六年三月一七日松山地方裁判所八幡浜支部は、被告人た
る右請求人が昭和二六年一月頃日本共産党機関紙「アカハタ」の後継紙である「平
和のこえ」を運搬頒布して其の発行行為を為し、以て昭和二五年六月二六日附及び
同年七月一八日附連合国最高司令官の指令に違反し占領目的に有害な行為を為した
ものであるとの事実を認定し、昭和二五年政令三二五号占領目的阻害行為処罰令一
条、二条一号に則り右被告人を懲役一年六月に処する言の判決を旨い渡し、被告人
は右判決に対し控訴を申し立てたが、高松高等裁判所は昭和二六年七月一六日第一
審判決の量刑が不当であるとしてこれを破棄し、被告人を懲役六月に処する旨の判
決を言い渡したが、被告人はこれに対し更に上告を申し立てたところ、最高裁判所
大法廷は昭和二九年四月一四日本件は犯罪後に刑が廃止されたときにあたるものと
して、刑訴四一一条、四一三条但書、三三七条二号により、原判決を破棄し、被告
人を免訴するとの判決を言い渡し、当該判決が確定するに至つたものであること明
らかである。而してまた前示記録等に依れば、請求人は右本案の事件につき昭和二
六年二月四日逮捕状により逮捕せられ、同月六日勾留状の執行を受け、爾来右勾留
は中断することなく継続したが(尤も、その間、右被告人は八幡浜市警察署より松
山刑務所に移監のため護送中進行中の列車より飛降り逃走したが、間もなく追迹逮
捕されたものである。)、昭和二七年五月三〇日最高裁判所第二小法廷のした勾留
取消決定により即日釈放せられ、その後は、前示大法廷の免訴判決の確定によつて
事件が終結するまで、何等身体の拘束を受けなかつたことも明らかである。しかし
ながら、本案の第一、二審判決、前記上告審の免訴判決及び第一審以来の訴訟の経
過並びに当該訴訟記録等に徴すれば、占領目的阻害行為処罰令違反の公訴事実につ
き刑事補償法二五条所定の「もし免訴……の裁判をすべき事由がなかつたならば無
罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由がある」ものとは到底認められ
ないから、本件刑事補償の請求中、請求人が昭和二六年二月四日逮捕されてより昭
和二七年五月三〇日釈放されるまでの間の抑留拘禁による刑事補償の請求は理由が
ないものといわなければならない。また、請求人は勾留取消決定によつて釈放され
てから前記免訴判決の結果通知を受領した昭和二九年四月二〇日までの間、当該事
件の被告人として多くの費用を要し、被害を被つたとして、その間の刑事の補償及
びその他の補償を請求するけれども、刑事補償法にいう「抑留若しくは拘禁」は現
実になされた身体の拘束をいうものであるから、何等身体の拘束を受けていない右
期間の右の如き内容の刑事の補償を求める請求は同法の認めないところであつて不
適法のものといわなければならない。
 従つて請求人の本請求はすべてこれを棄却すべきものである。
 よつて同法一六条に則り裁判官一致の意見で主文のとおり決定する。
  昭和三三年三月七日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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