弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
一 相手方が申立人に対し昭和五五年一月二六日付で許可し、同月二八日付で告知
した議員の辞職許可処分の効力を本案(当庁昭和五五年(行ウ)第五号)について
の判決確定に至るまで停止する。
二 申立費用は、相手方の負担とする。
○ 理由
一 申立人代理人は主文同旨の決定を求めたが、その理由は、別紙記載のとおりで
ある。
二 当裁判所の判断
本件記録編綴の各資料によれば、申立人は昭和五四年九月三〇日土岐市議会議員選
挙に当選して右議員の地位を取得したが、昭和五五年一月八日付で一身上の都合に
よる議員辞職願を作成提出し、同月九日相手方がこれを受領したこと、相手方は同
月二六日付で地方自治法一二六条但書に基づき右辞職願を許可した旨の「土岐市議
会議員辞職の受理について」と題する書面を作成して、同月二八日午前八時二〇分
申立人に交付し、申立人においてこれを受領したこと、しかるところ、申立人は、
同月二七日に相手方に対し議員辞職の意思表示を撤回する旨を告知したからその後
の同月二八日に相手方が申立人に告知した前記辞職許可の処分は取消されるべきで
あると主張して、申立人が原告となり、相手方外一名を被告として議員の地位確認
等請求事件(当庁昭和五五年(行ウ)第五号)を提起し、現に右訴訟が係属してい
ることが明らかである。
ところで、市議会議員にとつて選挙民より託された議決権を行使して市政に関与参
画するのは重大な使命であることはいうまでもなく、本件記録によれば、申立人の
議員の任期は昭和五八年一〇月五日までであり、昭和五五年六月一〇日ころから次
期定例議会が約二週間開催される予定であること、申立人は昭和五四年一〇月六日
に土岐市議会総務委員長に就任し、その任期は昭和五五年九月議会の最終日までで
あるが、委員会活動は議会休会中でも続けられていることなどが認められ、これら
を合わせ考えると、申立人が相手方の前記辞職許可処分により議員としての地位を
喪失するときは、申立人に回復困難な損害を生ずるおそれがあり、かつ、申立人に
はその損害を避けるため緊急の必要があるものと一応認められる。
しかして、申立人は昭和五五年一月二七日に相手方に対し議員辞職の意思表示を撤
回する旨を告知したと主張し、本件各資料中には右主張に沿う疎明部分がある反
面、他方において、相手方は右同日申立人と面会した当初に前日付の辞職許可の決
定を告知し、申立人から当日辞職の意思表示を撤回する旨の告知を受けていないと
主張し、これに沿う疎明部分もあつて、現段階においては、昭和五五年一月二七日
に申立人が相手方に対し議員辞職の意思表示を撤回する旨を告知したものか否かは
必ずしも明らかでないから、結局本件は、本案の理由の存否が未だいずれとも決し
難く、この点に徴すれば、「本案について理由がないとみえるとき」に該当すると
はいいがたい。
してみると、本件執行停止の申立は理由があるからこれを認容し、申立費用につき
民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり決定する。
(裁判官 菅本宣太郎 熊田士朗 水谷正俊)
申立の理由
一 申立人は昭和三四年一〇月六日以降土岐市議会議員の地位にあるところ、同五
四年九月三〇日土岐市議会議員選挙に当選し議員の地位を取得した。
二 申立人は長男の妻がおこした不祥事にいたく心を病み煩悶を重ねた挙句、議員
の地位を辞職することを決意し、同五五年一月八日これを文書にして市議会事務局
職員に預け相手方に手渡すよう依頼し相手方は翌九日これを受領した。
三 しかる後、申立人の辞職の意思に対して翻意を促す声もあり、申立人も再度熟
慮を重ねた結果、申立人は辞職の意思を撤回することとし、同年一月二七日相手方
に対し議員辞職の意思表示を撤回することを告知した。
四 ところが、翌二八日に至り相手方は何を思つてか同議会が休会中であつたので
地方自治法第一二六条但し書の規定にもとづき、申立人に対して同人が先に撤回し
た議員辞職願を許可すると伝えてきた。
五 このように申立人が議員の辞職を撤回したのちにする辞職許可の告知はもはや
法的に存立の余地はなく右許可は取消されるべきである。
六 申立人は御庁に相手方を相手どつて議員辞職の許可の取消しを求め訴を提起し
た。
申立人は長期にわたつて議員の地位にあつてその名誉、地位も漸く安定し、この間
数回にわたる常任委員長を歴任するなどし、同五四年一〇月六日以降は議会の総務
委員長の職にあつたものであるが、相手方の違法な辞職許可により、前記の名誉、
地位、職を喪失し、回復困難な損害を蒙つており、これを避ける緊急な必要がある
ので本申立におよぶ。

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