弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人瀬尾蔵治上告趣意書第一点について。
 しかし原判決挙示の証拠によれば、被告人は窃盗をするつもりでA、Bと一緒に
判示C方に侵入したところ家人に発見されたためA、Bはそれぞれ小刀、出刄庖丁
を持つて奥の間に行きこれを家人につきつけて判示の通り脅迫し金品を物色したの
で被告人もA、B等が家人を脅迫して金品を取ろうとするものであることを知りな
がらその際Bから渡された出刄庖丁を持つたまゝ同家炊事場に於いて米を取出す等、
同人等と行動を共にし結局三人で判示金品を奪ひ取つた事実を認めることができる。
してみると被告人がA、B等において家人を脅迫して金品を取ろうとするものであ
ることを知つたときから、被告人とA、Bとの三人の間に強盗をしようという通謀
があつたものといえる。原判決が冒頭に被告人はA、Bと共謀の上と判示したのは
右の説明した通謀ができた事実を指すものと解せられる。そうすれば本件事犯は被
告人等三名の間に強盗をしようとの通謀があつてそれに基いて行はれたものである
から被告人は現実には少しも暴行脅迫を行はなかつたとしても、A、Bが脅迫をし
て財物を奪取した以上被告人もA、Bと同様共同正犯として強盗罪の責任あること
勿論であつて、原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 裁判所法第二六条第二項第二号によれば、刑法第二三六条(強盗)、第二三八条
(準強盗)及び第二三九条(準強盗)の罪は、地方裁判所の合議体で取り扱うこと
を必要とせず単独制でも取り扱い得る旨を定めているが、これをもつて所論のごと
く憲法違反と断ずることは当を得ない。かかる裁判所の事物管轄及び構成に関する
事柄は、憲法第八一条の違憲審査権に関する場合を除いては、他に憲法に特別の規
定がないのであるから、国憲の最高機関であり国の唯一の立法機関である国会が、
国民の基本的人権を故なく害せざる限り、事件の性質、種類、裁判所の機能、国の
実力その他諸般の事情を考量して時宜に適するよう法律をもつて規定するところに
一任されていると解すべきものと言わなければならない。すなわち、すべては立法
当時における理想的な又現実的な国の立法政策によつて決せらるべき問題である。
そこで、前記裁判所法の規定を設けた主な立法理由は、強盗及び準強盗の罪は短期
一年以上のいわゆる重罪中の他の犯罪に比すれば、その性質、態様、手段が比較的
概ね単純であり従つて通常審理が容易であること、これと関連の多いそして相似た
類型の窃盗、暴行、脅迫の罪(何れも短期一年未満の罪)と同様な取り扱をするを
適当とすること並びに憲法の要請する審判の迅速のために全裁判所の機能の能率的
な運営を図つたこと等である。しかし、前記規定は、強盗及び準強盗の罪を常に地
方裁判所の単独制で審判せしめるというのではなく、事件の複雑、困難、重要性そ
の他特殊の事情がある場合には、合議体で審理及び裁判をする旨の決定を合議体で
することによつて、事件はいつでも合議体で取り扱われることとなるのである(前
同項第一号)。
 かくて、事件の取扱い方に機動性と弾力性を与え、総体として妥当な効率を挙げ
得るように定められている。それ故に、上述の裁判所法の規定は、すべて法律をも
つて定め得ることを当然定めたものであつて、憲法の禁ずるような不合理な不公平
な差別的裁判審理を定めたものでもなく、又公平な組織、構成を有する裁判所の裁
判を受ける国民の権利その他の基本的人権を剥奪したものでもない。従つて、論旨
は理由なきものである。
 以上の理由により刑訴第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 松岡佐一関与
  昭和二十三年七月二十九日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    島           保
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    岩   松   三   郎
            裁判官    河   村   又   介
 裁判官小谷勝重は差支の為め署名捺印することが出来ない。
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛