弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
     上告費用は上告人等の負担とする。
         理    由
 上告人等代理人武田蔵之助同小林寛の上告理由は、末尾に添えた書面記載のごと
くであつて、これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。
 上告理由第一について。
 自作農創設特別措置法(以下自作農法と略称する)による農地買収計画の公告手
続は同法六条に規定され、農地売渡計画の公告手続は同法一八条に規定されている
が、右両規定の内容は買収と売渡との差異から生ずる相違の外その手続に関しては
全く同一なので、双方の公告に関しては同様の法律問題が生じ得ると共に、それら
の問題はまた同様に解決され得るものが多いのである。ところで農地買収計画の公
告並びに行政事件訴訟特例法二条の解釈に関しては、当裁判所昭和二五年(オ)第
一一三号事件につき昭和二六年八月一日言渡された大法廷判決において、本件と同
一の上告代理人等から主張された諸論旨に対し判断が示されていて、その判断の趣
旨は本件にも援用され得るのである。よつて、右大法廷判決を参酌しつつ本件論旨
を判断するに(イ)売渡計画書の縦覧期間を定めた旨の公告中には「売渡計画を定
めた旨」を含んでいるものと解し得られるから、右の公告は自作農法一八条四項の
公告として有效である(前記大法廷事件論旨第二点)(ロ)(ハ)自作農法一八条
四項の公告には単に売渡計画を定めた旨を公告すれば足り、売渡すべき農地、売渡
の相手方、時期及び対価をも記載して公告しなければならない趣旨とは解すること
ができない(前記大法廷事件論旨第一点(イ))(ニ)本件公告がそれ以前の売渡
計画の公告と異ることは、告示番号、告示年月日、縦覧期同等の記載によつて明ら
かであり、関係者は本件公告を見てそれ以前の計画と別個の計画の定められたこと
を知り縦覧の機会を得るのであるから、本件公告に第八回農地売渡計画と記載して
ないからとて違法ではない(前記大法廷事件論旨第一点(ハ))。(ホ)本件公告
をB地区農地委員会事務所の掲示場に掲示したことの適法であることは、自作農法
施行令三七条四〇条等の規定に徴し明らかである(前記大法廷事件論旨第三点)。
(ヘ)(ト)論旨に主張するような事情は、行政事件訴訟特例法二条但書の訴願の
裁決を経ないで裁判所に訴訟を提起し得る正当な事由ということはできないから、
原審が前記特例法二条本文に従い本件訴の提起を不適法として却下した第一審判決
を是認したのは正当である(前記大法廷事件論旨第四点)
 同第二について。
 行政事件訴訟特例法二条が憲法三二条に違反するものでないことは、前記大法廷
事件論旨第六点に対する判断において示すとおりであるから論旨は採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致した意見によ
り主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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