弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京地方裁判所に差し戻す。
         理    由
 本件控訴の趣意は、検察官の職務を行う弁護士森本脩が提出した控訴趣意書に、
これに対する答弁は、弁護人菊池利光、同飯島正典が連名で提出した答弁書にそれ
ぞれ記載されたとおりであるから、これらを引用し、これに対して、当裁判所は、
次のとおり判断する。
 第一 控訴趣意第一の理由不備・理由の食い違いの主張について
 所論は、原判決には理由不備・理由の食い違いがあるとして、次のように主張す
る。すなわち、原判決には多くの証拠の無視、看過、曲解、あるいは明らかに存在
する証拠に対する理由のない否定的判断があり、これらの重大な誤りは、単に判決
に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認に止まらず、刑訴法三七八条四号所定の理
由不備・理由の食い違いに該当する、というべきであり、具体的には例えば、原審
証人Aは被告人に対しB身分帳の写真撮影を許可したことをはつきり供述している
にもかかわらず、原判決は「証人程田は、当公判廷においても被告人にB身分帳の
写真撮影を許可したことはない旨供述している。」「同所長は、当公判廷において
もこれを強く否定している。」旨判示して、記録上明白に存在する証言を何らの理
由も示すことなく否定しているのをはじめ、電話連絡することが相手方の出張不在
等のため不可能であると証拠上認められる日時に被告人がC課長と電話で通話した
など、何らの理由の説明もなく誤つた認定をしている点が計七か所にわたつて存在
している、というのである。
 しかしながら、所論が誤りとして指摘するところは、いずれも、原裁判所の自由
心証に基づく採証判断が不当であることを理由とする事実誤認の主張、ないしは刑
法一九三条の解釈の誤りまたは右の罪の構成要件該当性の評価の誤りに起因する事
実誤認の主張に帰着するので、所論の指摘する諸点は後記の事実誤認の主張に対し
検討する際に参考として考慮することとし、理由不備・理由の食い違いの主張自体
は失当として排斥することとする。
 第二 控訴趣意第二の事実誤認、同第三の法令解釈適用の誤り、同第四の訴訟手
続の法令違反の主張について
 所論の事実誤認の主張は要するに、原判決が被告人の行為を裁判官としての職権
の濫用であると認めるに足りる証明がないとしたのは、被告人が職権行使を装つた
事実を直接認定できる証拠があるのにこれを看過したためか、または、右職権仮装
行為を肯定できる情況事実および証拠があるのにその情況事実の評価および証拠の
判断を誤つたためか、あるいは、職権行使の仮装と見られる事実関係を認めなが
ら、刑法一九三条の罪の構成要件の解釈を誤つた結果、当該事実の法的評価に誤り
をきたしたためか、以上いずれかの理由によるものであり、そのいずれであるにせ
よ、判決に影響をおよぼすことが明らかな事実誤認を犯しているものである、とい
う主張と解せられる。なお、所論の法令解釈適用の誤り、ならびに訴訟手続の法令
違反の各主張はいずれも結局、事実誤認の主張に帰着するものと解せられる。
 ところで原判決は、職権濫用罪が成立するためには、被告人が担当事件の裁判に
必要な調査である旨、ないしは裁判官の職務上の研究・参考にするため必要な調査
である旨、職務行為を仮装したことが必要であるのに、本件では、被告人が担当事
件の裁判に必要であるかのように装つて使つたという言葉についてはその証明がな
いうえに、刑務所長らが被告人の行為を裁判官としての職権を行使するものである
と誤信するような事情もなく、従つて被告人の行為が裁判官としての職権の濫用に
よるものとするには、その証明が十分でない、と判示する。
 そこで検討してみるに、被告人が本件身分帳簿の内容を入手するに際し、現に担
当している事件の裁判に必要であるかのように仮装した事実について証明が十分で
ないとした原判決の判断は、当裁判所もこれを肯認することができる。しかし、被
告人が職務上の研究・参考にするため必要な調査であるかのように仮装したことを
否定した原審の判断には、以下に述べるような理由ならびに情況証拠に徴し、誤り
があると認められる。
 <要旨第一>(一) まず裁判官の職権の範囲・内容について検討してみるに、裁
判官が職務権限に基づいて行なう調査行為としては、裁判官が現に担当
している特定の事件についてする証拠調べ等、固有の職務権限に基づく調査活動が
その主要なものであるが、その他、裁判官が将来担当することあるべき事件一般の
研究・参考に資する目的で、裁判官としての地位・身分に基づいて行なう調査や資
料の収集行為も、その方法・態様が調査目的や調査事項と相まつて、裁判官が公的
立場で行なう調査活動であると外形上認められる場合には、これまた裁<要旨第二>
判官の一般的職務権限に基づく職務行為であるとしなければならない。従つて例え
ば、裁判官が司法研修所長の委嘱を受けて行なう司法研究は、担当事件
の処理事務と同じく、裁判官の職務行為の一形態として認めてよい典型的事例であ
つて、裁判官の言動が司法研究ないしはその準備のために公務所などに対して調査
をするものと一般に認められるような外形を伴つている場合には、これを裁判官の
職務権限に基づく行為として評価すべきであり、また、裁判官が量刑その他執務上
の一般的参考にするため刑務所等の関係外部機関に出向いて受刑者や刑余者等に関
する資料の提供を求めたりすることも同様に解せられる。そして、このような職務
行為は法律上の強制力を伴つてはいないにしても、相手方に一定の負担を負わせ、
義務のないことを行なわせる点では強制力を伴う職務行為との間に差違はないので
あるから、依頼などの形式による職務行為を強制力を伴わないからという理由で職
権濫用罪の構成要件の対象外に置くことは相当でない。従つて、裁判官がその一般
的職務権限に属する事項につき裁判官としての公的立場で調査ないしは資料の収集
をするかのように装つた行為に出た場合にも刑法一九三条の罪が成立するものと解
さなければならない。
 (二) 身分帳簿は、被収容者の名誉等に直接関係するため密行されている行刑
上の必要事項が記載されているものであつて、被収容者の名誉・人権に関する事項
をはじめ、その処遇上参考となるべき事項および行刑当局のみが知り得る事項等、
施設の適正な管理運営上必要な事項を含むものであり、その内容は職務上知り得た
秘密に属するものが多く、その内容が開示された場合には、関係人の名誉および人
権が著しく侵害されることになるばかりでなく、被収容者の施設に対する信頼関係
が損なわれ、ひいては行刑処遇の円滑な実施が困難となるなど、施設の管理運営全
般にわたつて支障を生ずることになるおそれがあるので、身分帳簿は外部に対して
は当然に秘とすべき性質のものである。従つて、身分帳簿の部外機関への提出は、
原則として、法律上正当な権限または利益を有する機関等から正当な手続に従つて
要求された場合に限られる。そしてこの理は、身分帳簿が秘密文書としての法規上
の指定を受けていなくても、また保存期間を経過し、廃棄処分が許される状態にな
つている場合でも、異なるところはない。そして、身分帳簿がこのような性質の文
書である以上、その保管責任を負う刑務所長が、裁判官からの私的な依頼に対し、
裁判官に対する信頼感あるいは畏敬の念だけから、自らの保管責務を放棄して、依
頼者の個人的な調査・研究行為に便宜を与え、閲覧・撮影を許容するということ
は、他に特別の事情が存しない限り、一般には容易に首肯することが困難なことで
あるといわなければならない。
 (三) 被告人の閲覧要請に対して刑務所長がとつた措置につき検討してみる
に、同所長は被告人から電話による依頼があつた旨の報告を受けた後、庶務課長に
命じて被告人の身元を確認させ、また被告人に対しては法務省矯正局か矯正管区の
了承を得て来るよう求め、自らも矯正管区の意向を聴き、また、被告人が調査を終
えて辞去した後、矯正管区に調査の結果を報告しているのであるが、同所長のとつ
たこのような一連の措置については、身分帳簿の閲覧を許可する権限は刑務所長に
あるという建て前からすれば、上級庁の了承を得るよう求めることは必要のないこ
とであつたということはいえるにしても、所長としては電話による口頭の依頼だけ
では依頼者の身元や職務について十分な確認を得ることができなかつたので、その
不足を補う意味で、書面等による証明に代えて上級庁の了承を得ることを求める措
置に出たものと思われるのであつて、このことは特に異とするに足りないところで
あり、同所長の右の対処の仕方はむしろ同所長が被告人の依頼を職務に関係のある
調査として考えていたことをうかがわせるとすらいえるものである。そして同所長
が被告人の依頼を職務とは無関係な個人的な性格のものと知りながら、自らの保身
を計つて、ことさらに職務上の調査依頼があつたかのような形を作るために上級庁
と連絡してその了承を得る行動に出たものであるとみることはできないし、また、
個人的な依頼であつたから例外的に特別の許可を上級庁に求めたものであるとみる
ことも相当でない。
 (四) 被告人が本件身分帳簿の内容を入手・了知しようとした行動の内容につ
き検討してみるに、被告人はあらかじめ録音機をバツグ内に隠して持つて行き、ひ
そかに作動させ、提出された文書の内容を順次自分で音読してテープに録音したこ
とが証拠上認められるのであつて、このような盗み取りの色彩の濃厚な行為に出た
ことからみても、被告人は身分帳簿の内容を入手したいという強い願望に駆られて
いたこと、そしてその目的のためには手段を選ばなかつたことがうかがわれるので
あるが、それと同時に、このような、またはこれに類するような違法な方法にでも
よらなければ、刑務所長の単なる好意的な便宜供与の配慮に頼つただけでは、容易
には身分帳簿の開示は受けられないであろうという認識を持つていたと推認され
る。そして「自分は治安裁判等を研究している。」等と言つて刑務所側に電話で文
書の閲覧を申し入れた後、刑務所長を訪ね、面接した際の被告人の同所長に対する
言動をみると、被告人は裁判官の肩書のある名刺を渡し、本件身分帳簿の記載内容
について尋ね、自らも閲覧し、写真撮影の許可を求め、「執行指揮と釈放指揮と診
察のところが札幌高検にも本省にもない。」「自分は治安維持法関係の事件なんか
を研究している。」「御存知だと思うが、司法研究というのがある。」旨を述べ、
そのあと別室で写真撮影を終えたことが明らかである。ところで、被告人が刑務所
長に述べた右の言葉や態度で特徴的なところは、裁判官として現に担当している事
件について必要な調査であるということは全く口にしない反面、私的・個人的な研
究のための調査であるということを告げたわけでもなく、その意図する研究の具体
的内容等についても触れることなく、全体としてかなりあいまいな、簡単な説明に
終わつていることである。しかしながら前述したように、一般に身分帳簿は私的な
調査に対する好意的便宜供与としてたやすく開示されるような性質の文書ではない
のであるから、「個人的研究のため」とか、「個人的な学問的研究のため」とかい
う名目を表に出して閲覧・写真撮影などを求めても、許可を得ることは期待できな
いところであり、被告人としても、その間の事情は当然認識していたものと思われ
るのであるから、閲覧等の許可を得るためにはどうしても職務に関係づけて閲覧等
の趣旨・目的を説明し、所長ら刑務所側の納得を得る必要があつたものと考えざる
をえない。そうしてみると被告人の前記の言辞は、所長らとの間の単純な雑談とし
て話されたにすぎない無意味な片言隻語ではなく、表現自体はかなりあいまい・簡
単で暗示的なものであるにせよ、その内容は、事前の電話による申し入れと相まつ
て、被告人がかねて治安関係の事件を研究しており、また司法研究をするつもりも
あるので、執務や研究の参考資料として身分帳簿を閲覧・調査し、その記載内容を
了知したいという趣旨の明確な意味をもつた言葉として述べられたものと認めなけ
ればならない。そしてこれを聞いた所長の方でも、治安関係の事件の研究とか、司
法研究とかいう言葉で表される裁判官の研究行為の具体的内容や裁判所部内におけ
る研究委嘱の手続の詳細は知らなかつたにせよ、被告人の身分帳簿の閲覧や写真撮
影の要請は、裁判官としての職務上の研究の参考資料にするための調査行為の要求
であると認識してこれに応じたものと認められる。
 原判決は、被告人の所長に対する言辞は職権を行使している者の言葉としてはい
かにも不似合いである、と指摘する。しかしながら所長としては裁判官に対する一
般的信頼感や畏敬の念も若干あつたため、特別に疑惑の目で見るという態度をとる
ことなく、好意的・神士的に応対したという一面もないわけではないのであるか
ら、このような場合、被告人としては露骨な強制や強要、ないしはすぐ露見するよ
うな特段の欺もう行為、その他職権行使を示す顕著な言動に出る必要度はそれだけ
少なくてすむわけであつて、被告人と所長との間では一見、日常普通に交わされる
ような調子で会話のやりとりがなされたことがうかがわれ、このことは事の成り行
きからしてもむしろ自然なことであつたと考えられるのであるから、被告人の所長
に対する言辞の内容や調子を形の上だけで表面的に観察して、職権を行使している
者の言葉としては不似合いであるとし、被告人の言動・態度が全体として職務に関
係のある調査であるとの印象を相手方に与えた事実を否定する根拠とすることは相
当でないといわなければならない。
 また原判決は、治安維持法関係の事件の研究、司法研究という被告人の前記の言
辞はすでに所長から写真撮影の許可を受けた後に発せられた言葉であるから仮装行
為とはいえない、とするもののようであるので、この点につき検討するに、右の言
辞は、所長が被告人の要請をいれて閲覧や写真撮影を一応許可した後、より明確に
調査目的を確めようとしてその場で発問したのに答えて述べられたものであつて、
時間的前後の関係に関する限り原判決の指摘するとおりであるが、被告人が辞去す
るまでの間は、所長としては被告人の調査目的や職務関係に不審を感ずれば、何時
でも許可を撤回し、閲覧をすませた文書内容を他に流さないよう警告し、盗み取り
された録音テープを発見した場合にはテープの消去を求める等、被告人の所期の目
的を阻止する措置をとることができる状態にあつたものであり、また、被告人とし
ても所長との面談を終えて辞去することによつて入手資料の内容を完全に自分の支
配内に置くまでの間は、所長に職務上の参考のための調査であるように信じさせ、
疑問を抱かせないように振る舞う必要があつたのであるから、その間における被告
人の言動は、所長の一応の許可の意思表示のあつた後の段階でなされた言動も含め
て、すべて職権仮装の実行行為として評価すべきものである。
 なお、同所長が被告人に対してとつた態度についてみるに、裁判所からの文書に
よる正規の嘱託や依頼なしに身分帳簿の閲覧を許すなど、前述したように、相手が
裁判官であることに伴う一般的信頼感、公務員問の親近感ないし連帯感等の気持ち
が若干あつて、それが好意的・神出的な態度となつて現れた一面がないわけではな
いが、だからといつて被告人が同所長の裁判官に対するこのような気持ちのみに依
拠して単に裁判官の地位を利用するだけで身分帳簿を開示させることができたもの
とは到底考えられないところであつて、本件では証拠上、職務に関連のある調査で
あるという仮装行為があり、相手方も職務上の行為と認識していたものと認めざる
をえないのであるから、同所長が被告人の要請に応じるについて、同所長の気持ち
のなかに裁判官に対する信頼感あるいは畏敬の念がいくらか混在していたとして
も、そのために職権濫用罪の成立が妨げられるものでないことは言うまでもないと
ころである。
 さらに付言すると、原判決は、所長が被告人の写真撮影の依頼を裁判官の職権の
行使と判断していたのであれば、その写真が外部に発表されることを心配する必要
はないのに、「これだけで発表するわけではないんですね。」と念を押し、また、
被告人から診断書等をゼロツクスして送つて欲しい旨依頼された際、電子リコピー
があるのに、わざわざ手書きさせたものを送らせているのであり、このことも、同
所長が被告人がコピーしたものをそのまま発表するのではないかという不安にから
れていたことを示すものといえる、と判示する。しかし、司法研究など裁判官のす
る研究行為がどのようなものであり、どのような形式で発表されるものであるかに
ついて詳細な知識をもつていなかつた所長が、身分帳簿の内容が、たとえ職務上の
研究のためであるにせよ、それだけで、しかも写真やリコピーによつて原本とそつ
くりそのままの形で公表されることは適当でないと考え、そのことを確認する趣旨
で念を押したり、わざわざ手書きさせたものを送るという配慮をしたりすること
は、所長の行動として十分了解可能な行為であり、同所長が被告人の調査要求を職
務上のものと理解していたことと何ら矛盾するものではないと認められる。従つ
て、同所長に右のような言動があつたからといつて、これをもつて同所長が被告人
の調査を私的なものであると認識していた証左であるとすることはできない。その
他、原判決は同所長の証言が信用できないことを指摘する。しかし同所長の供述
は、前示の録音テープによつて認められる情況とも全般的には符合し、他の証拠と
も一致する内容のものである。もとより、被告人の申し入れに対してとつた対処の
仕方について慎重さに欠けるところがあつたというそしりを免れない同所長として
は、自らの軽率さを取り繕いたい気持ちが働いたためか、その供述中にはそのとお
りそのままは措信できない部分も若干見られないわけではないが、そのことの故に
同所長の事柄の本筋に関する証言の信憑力を否定することは正しくないといわなけ
ればならない。
 以上に説示したように、裁判官の一般的職務権限の範囲・内容、本件身分帳簿の
性質、刑務所長の保管・管理の職責、ならびに被告人の閲覧要請に対処した刑務所
長の措置、被告人の言動の内容等の諸情況を総合してみると、被告人の言動は裁判
官としての一般的職務権限に基づく要求であると相手方を誤信させるに足りる外形
を装つた行為であると認められるのであるから、本件につき職権仮装行為を認めな
かつた原判決の判断には、職権濫用罪の成立要件を狭く解した法令解釈の誤りに基
づく事実誤認、ないしは情況証拠を総合してなすべき被告人の行為に対する評価を
誤つたことに基づく事実誤認があるといわなければならない。
 次に職権により原審の審理手続について検討してみるに、本件公訴事実が摘示す
る被告人の言動は、B身分帳簿を調査・閲覧する必要のある事件を担当していない
被告人が刑務所長に対し、東京地方裁判所裁判官の肩書を付した名刺を手交したう
え、「私は労働、公安事件の裁判を担当し、調査・研究しているので、その参考に
するためにDさんのことについて調べに参りました。」などと来意を告げ、あたか
も自己が担当している裁判を遂行するのに必要であるかのように装つて、同所長を
して被告人がその担当する事件について調査・閲覧する必要があるものと誤信させ
た、ということのほか、さらに、同所長に対して「私は、治安関係事件なんかを研
究しておりましてね、それでご承知だと思いますけれども、司法研究というのがあ
るんですがね。」などと申し向けて、右身分帳簿のメモ及び写真撮影の許可を申し
出て、右申出が前同様現職裁判官としての職務上の必要によるものと誤信した同所
長をしてこれを許可せしめ、右身分帳簿につき、メモ及び写真撮影をした、という
内容のものであつて、現に担当している事件の裁判に必要であるかのように仮装し
た事実だけでなく、司法研究その他職務上の研究・参考に資するための調査や資料
の収集を行なうかのように仮装した事実も、職権濫用行為の内容として主張されて
いると解し得るものであるから、原審としては、検察官に対し釈明・勧告、その他
適切な訴訟指揮をすることによつて、当裁判所が説示した趣旨の職権仮装行為の訴
因を明確にしたうえで、果たして司法研究その他職務上の調査・研究の具体的計画
が真にあつたかどうか等について被告人に反証の機会を与え、さらに審理を尽くす
べきであつたといわなければならないのに、これをしなかつたのは訴訟手続の法令
違反であると認められる。
 そして以上の事実誤認ならびに訴訟手続の法令違反による審理不尽はいずれも判
決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は、他の控訴趣意に対する判断
をするまでもなく、破棄を免れない。論旨は理由がある。
 なお、検察官は、当審において、国家公務員法違反の罪の訴因を予備的に追加し
たが、本件においては、前示の破棄事由についての審理・判断が予備的訴因の検討
に先き立つてなされるべきものであるから、当裁判所は、予備的訴因については特
に判断をせず、刑訴法三九七条一項、三七九条、三八二条により原判決を破棄し、
同法四〇〇条本文により本件を東京地方裁判所に差し戻すこととする。
 (裁判長裁判官 小松正富 裁判官 石丸俊彦 裁判官 佐野昭一)

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