弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
原略式命令を破棄する。
本件各公訴を棄却する。
理由
名古屋簡易裁判所は,同裁判所平成18年(い)第0465号建設業法違反被告
事件において,同年3月14日,被告人両名をそれぞれ罰金50万円に処する旨の
略式命令を発付し,同命令は,同月29日に確定した。
しかしながら,一件記録によると,原略式命令は,同月14日付け起訴状による
略式命令の請求に対して発付されたものであるところ,同起訴状には,本来起訴検
察官を表示すべき部分に,「名古屋区検察庁検察官事務取扱検事」と記載されて
いるものの,検察官の署名(記名)及び押印をいずれも欠いていることが認められ
る。したがって,本件略式命令の請求は,公訴提起の手続がその規定に違反したた
め無効であり,同裁判所としては,刑訴法463条1項,338条4号により公訴
棄却の判決をすべきであった。これと異なる原略式命令は,法令に違反し,かつ,
被告人両名のため不利益である。
よって,本件非常上告は理由があるから,同法458条1号により原略式命令を
破棄し,同法338条4号により本件各公訴を棄却することとし,裁判官全員一致
の意見で,主文のとおり判決する。
検察官吉田統宏公判出席
(裁判長裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官
那須弘平)

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