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裁判例


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       主   文
一 被控訴人a、同b、同cの附帯控訴に基づき、原判決中同被控訴人らの反訴請
求に関する部分を次のとおり変更する。
 控訴人葦原運輸機工株式会社は、被控訴人a、同b、同cに対し、
(一) 昭和四六年四月以降毎月七日限り、別表(四)ー(二)の各被控訴人に対
応する金員欄のそれぞれ前月分(イ)欄に該当する各金員ならびに右各金員に対す
る各支払日の翌日から支払ずみまで、右各金員のうち、(ロ)欄記載の各金員につ
いては年六分の割合による金員および(ハ)欄記載の各金員については年五分の割
合による金員
(二) 別表(五)ー(二)記載の各被控訴人に対応する金員欄記載の各金員およ
び右金員に対するそれに対応する各年月末の翌日から支払ずみまで年五分の割合に
よる金員
(三) 被控訴人aにつき三六八二円、同bにつき一三七九円、同cにつき一八三
八円および右各金員に対する昭和四六年七月一日から支払ずみまで年六分の割合に
よる金員
をそれぞれ支払え。
 被控訴人a、同b、同cの主位的請求、予備的請求を含むその余の請求をいずれ
も棄却する。
二 控訴人葦原運輸機工株式会社の本件控訴ならびに控訴人dの本件控訴および当
審における予備的請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は、控訴人葦原運輸機工株式会社と、被控訴人a、同b、同cとの間
に生じた費用(附帯控訴費用を含む)は、第一、二審を通じこれを一〇分し、その
九を控訴人の、その余を被控訴人らの負担とし、その余の被控訴人らとの間に生じ
た控訴費用は、控訴人の、控訴人dとの間に生じた控訴費用は、控訴人dの各負担
とする。
四 この判決は、主文第一項の金員の支払を命ずる部分に限り仮りに執行すること
ができる。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
一 昭和五四年(ネ)第八〇〇号事件
1 控訴人葦原運輸機工株式会社(以下控訴会社という。)
(一) 原判決中控訴会社敗訴部分を取消す。
(二) 被控訴人a(以下被控訴人aという。)、同b(以下被控訴人bとい
う。)、同c(以下被控訴人cという。)は、いずれも控訴会社の従業員でないこ
とを確認する。
(三) 被控訴人らの請求はいずれもこれを棄却する。
(四) 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。
2 被控訴人ら
(一) 本件控訴を棄却する。
(二) 控訴費用は控訴会社の負担とする。
二 昭和五四年(ネ)第八三二号事件
1 控訴人d(以下控訴人dという。)
(一) 原判決中控訴人dと控訴会社とに関する部分を取消す。
(二) (主位的および当審で追加した予備的請求)控訴会社は、控訴人dに対
し、四万八〇一七円および右金員に対する昭和四六年一月一日から支払ずみまで年
六分の割合による金員を支払え。
(三) 訴訟費用は第一、二審とも控訴会社の負担とする。
2 控訴会社
(一) 控訴人dの控訴および予備的請求を棄却する。
(二) 控訴費用は同控訴人の負担とする。
三 昭和五五年(ネ)第一四〇四号事件
1 被控訴人a、同b、同c
(一) 原判決主文1(一)(1)(2)を次のとおり変更する。
控訴会社は、被控訴人a、同b、同cのそれぞれに対し、次の金員を支払え。
(1) 五〇〇万円およびこれに対する昭和四六年二月二〇日以降支払ずみまで年
五分の割合による金員
(2) 別表(一)ー(二)賃金(賃金相当損害金)一覧表記載の被控訴人a、同
b、同cの当該各年月毎に対応する金額欄の各金員およびこれに対する各支払日の
翌日より支払ずみに至るまで年六分の割合による金員
(3) 別表(二)ー(二)各人別一時金(一時金相当損害金)一覧表の各年月の
末日限り同表記載の被控訴人a、同b、同cの各人各年月に対応する各金員および
これに対する各支払年月の翌月一日以降支払ずみまで年六分の割合による金員
(二) 附帯控訴費用は控訴会社の負担とする。
(三) 仮執行の宣言
2 控訴会社
(一) 被控訴人a、同b、同cの各附帯控訴を棄却する。
(二) 附帯控訴費用は同被控訴人らの負担とする。
第二 当事者双方の主張、証拠関係は、次のとおり訂正、付加するほか、原判決事
実摘示のとおりであるから、これを引用する。
一 原判決事実摘示の訂正
 原判決三二枚目裏九行目「八万六一六八円」を「八万九四八一円」に、次行「七
万四六六九円」を「九万〇一九一円」に、同四二枚目裏四行目「八万六一六八円」
を「八万九四八一円」に、同行「七万四六六九」を「九万〇一九一」に各改める。
二 控訴会社の主張
1 寮移転命令の拒否と火気使用禁止違反
 A地寮に居住していた被控訴人a、同b、同cに対しては、e社長が三回、総務
課の課長その他の者が合計一〇数回にわたつて移転するよう説得したが、同被控訴
人らはこれに応じないばかりか暴行を加え、暴言をはくなどした。移転を求める理
由は、その敷地を大阪市に売却する話があつたからであるが、それを理由にすると
同被控訴人らに徒らに拒否されるおそれがあつたので、当初は防火、盗難を理由に
したが、昭和四六年二月下旬には右売却の事実も告げたにもかかわらず、応じなか
つたものであるから、移転に応じなかつたのは不当である。
 また、A地寮における火気の使用については、寮管理規定(第二〇条)で、所定
の場所以外での電気を含む火気の使用を禁止しており、入寮、朝礼、防火避難訓練
のさいにも右事実を被控訴人aらに告知している。
2 事故
 被控訴人a、同b、同cの事故は、職業として自動車の運転、クレーンの操作を
行うものが、短時日の間にくり返えしており、大事故につながるおそれもあつて、
同種作業に従事させることは危険であるから、控訴会社としては雇用を中止すべき
ものであり、また同被控訴人らの作業能力が低劣であることを示している(なお、
被控訴人a、同cは、仮処分命令等による復職後も運転を誤まり事故をおこしてい
る。)。
3 賃金相当額の算定
 労働者の賃金は、個人の能力、年功、労働時間、労働の性質等によつて決定され
るもので、優れて個性的なものである。被控訴人a、同c、同bの前記復職後にお
ける出勤日数、時間外労働時間は、非組合員の平均に較べて極めて低く、昭和五一
年一一月から同五四年四月までの間についていえば、次の表のとおりである。
<4033-001>
 出勤日数、時間外労働時間は、基本日給、考課給、職能給、増減給、時間外手
当、超過勤務手当、長距離手当に影響し、組合員と非組合員との間に大きな隔差を
生ずるから、非組合員の賃金増加率と同率で組合員の賃金増加額を算定することは
できない。
 なお、控訴会社の賃金細目規定が昭和四七年八月一日に改訂され、増減給の計算
方法につき次のとおり変更された。
(一) 出勤日数が規定日数より多い場合
(出勤日数ー規定日数)×基本日額
(二) 出勤日数が規定日数より少ない場合
(出勤日数ー規定日数)×基本月額÷規定日数
(三) 減額の限度額は撤廃し、無制限とする。
ただし、当該月、当該従業員の受領する金額を超えない。
4 被控訴人aらの主張に対する答弁
 同被控訴人らの主張はいずれも争う。但し、会社が在籍運転手の賃金を増額して
いることは認める。
三 被控訴人a、同b、同cの主張
1 賃金
 控訴会社は、本件解雇後、運転手たる従業員に対し、賃金を増額支給しているの
で、右増額を基礎にして被控訴人らの賃金(もしくは賃金相当損害金、以下同
じ。)を算定すべきである。その結果、被控訴人らの解雇後の賃金は、別表(一)
ー(二)各人別解雇後の賃金(賃金相当損害金)一覧表のとおり、昭和四九年一二
月分までは、原審における主張のとおりであるが、その後、家族手当、基本給日額
及び特別手当の増額がなされている。即ち、家族手当の増額は、別表(三)ー
(二)家族手当支給基準及び家族手当計算表記載のとおりであり、昭和五五年二月
以降基本給日額が一律に三〇〇円、一か月七五〇〇円増額された。
2 一時金
 被控訴人らが支払を受けるべき昭和四六年以降の一時金(もしくは一時金相当損
害金)は、少くとも別表(二)ー(二)各人別一時金(一時金相当損害金)一覧表
記載のとおりである。即ち、控訴会社は、毎年八月、一二月の各末日までに賃金総
額に右一覧表記載の比率以上の割合による一時金を支給している。よつて、原審に
おけるこの点についての主張を右のとおり改める。
3 慰藉料
 被控訴人aら三名は、本件解雇により、昭和四六年二月以来、職場から排除さ
れ、唯一の生活の糧である賃金を受けることができず、以後苦しい生活を余儀なく
され、かつ、労働組合員として職場内で活動する機会を奪われるに至つたもので、
解雇当時前途洋々たる青年であつたが、現在まで支援要請活動等、不正常、不規則
で不安な毎日を送らざるをえなかつた(一時期、職場復帰もあつたが、労働者の権
利を無視する内容であり、かつ、再解雇により、職場から排除されている。)。
 この間の苦しみは、金銭に見積るとそれぞれ少なくとも五〇〇万円を下回らない
ものであるから、被控訴人a、同b、同cは、控訴会社に対し、各五〇〇万円とこ
れに対する昭和四六年二月二〇日から完済まで民事法定利率である年五分の割合に
よる遅延損害金の支払を求める。
四 控訴人dの予備的請求
 控訴会社は、昭和四五年末一時金について、遅くとも同四六年六月末日までに、
控訴人d及び分会員を除いて全額支払をしている。ところが、控訴会社は、控訴人
d及び分会員に対しては、同四五年一二月下旬頃、右年末一時金の支給条件とし
て、争議権の放棄を内容とする協定書、承諾書に署名を要求し、これに署名しない
同控訴人らに対し、一時金の支払を拒否した。この条件は、公序良俗に反し、違
法、無効である。従つて、控訴会社が他の従業員に支給しながら、控訴人dに右年
末一時金を支給しなかつたのは、故意または過失によつて同控訴人に損害を与えた
ものである。従つて、控訴会社は、控訴人dに対し、右一時金相当額の損害賠償を
しなければならないところ、右一時金相当額は、各分会員に支給すべき金額の平均
額である七万七七六三円であるが、その後二万九七四六円の支払がなされたので、
残額は四万八〇一七円となる。
 よつて控訴会社に対し、右一時金残額四万八〇一七円及びこれに対する昭和四六
年一月一日から支払ずみまで商法所定の年六分の割合による遅延損害金の支払を求
める。
五 証拠関係(省略)
       理   由
第一 従業員地位不存在確認(本訴)請求について
 当裁判所も、控訴会社の従業員地位不存在確認を求める本訴請求は、失当であ
り、棄却すべきものであると判断するものであつて、その理由は、次に付加、訂正
もしくは削除するほか、原判決理由一(原判決五九枚目表二行目から同七五枚目裏
五行目まで)の説示と同一であるから、これを引用する。
1 原判決五九枚目表八行目「いずれも成立に争いのない乙五五、五六、六九号
証」を削り、同所に「原審における控訴会社代表者尋問の結果により成立の認めら
れる甲一二、一三号証、」を、同一一行目「e社長は」の次に「、A地寮が被控訴
人aらの組合活動の下準備に使われることを嫌い、会社の管理を徹底させるため
に」を加える。
2 同六〇枚目表末行「しかし、」の前に「成立に争いのない甲一一号証によれ
ば、控訴会社においては、寮管理規定があり、寮生に対し所定の場所以外で電気を
含む火気の使用及び喫煙を禁止していること(第二〇条5号)が認められる。」を
加える。
3 同六二枚目表二行目「午前七時二〇分」を「午前七時二一分もしくは二六分」
に、同五行目「午前七時二〇分」を「午前七時一六分もしくは二〇分」に、同六行
目「午前七時四〇分もしくは三五分」に各改める。
4 同六三枚目表三行目「甲二五、二六号証」の次に「原審における被控訴人cの
本人尋問の結果」を、同六行目「操作中」の次に「玉かけ係員の玉かけが不完全で
あつたため、」を、同一〇行日冒頭「められる」の次に「(前記同年三月二八日の
事故及び同年八月一〇日に追突事故が発生したことは、それぞれ当事者間に争いが
ない。)。」を各加える。
5 同六四枚目表二行目「前記乙五五、五六、六九号証および」を削り、同裏四行
目「に反する」の次に「甲二七ないし二九号証、」を加える。
6 同六四枚目裏一〇行目「被告b」の次に「、同a(第一回)」を、「本人尋
問」の前に「各」をそれぞれ加え、同六五枚目表一行目「であるから、」を「であ
り、原審における控訴会社代表者尋問の結果のうち、右認定に反する部分は措信で
きず、甲四三号証も右認定を左右するものではない。したがつて、」と改める。
7 同六五枚目表五行目「一八号証」の次に「原審における控訴会社代表者尋問の
結果」を加え、同行の「の各書面」、次行の「記載」および同裏一〇行目「前記乙
五五、五六、六九号証」をいずれも削る。
8 同六七枚目裏三行目「分会」を「全自運大阪合同支部」と改める。
第二 賃金等支払請求(被控訴人らの反訴および附帯控訴に基づく増額請求)につ
いて
一 当裁判所も、被控訴人らの反訴請求は、原判決の認容した限度および被控訴人
a、同b、同cの附帯控訴に基づく一部増額の限度において相当として認容すべ
く、その余は失当として棄却すべきものと判断するものであつて、その理由は、次
のとおり付加、訂正もしくは削除するほか、原判決理由二(原判決七五枚目裏八行
目から九五枚目表一〇行目まで)の説示と同一であるから、これを引用する。
1 原判決七六枚目表八行目冒頭「証、乙」の次に「第六二号証の一ないし二
二、」を同行「七二号証」の次に「七八号証の一ないし四、当審証人fの証言によ
り成立の認められる甲八六号証、同証言、被控訴人a(原審第二回および当審)」
を、同行「本人尋問」の前に「各」を加える。
2 同七七枚目裏六行目の次行に「その後、昭和四九年八月一日の改正により右車
種別の乗数は一・二%ないし五・三%となつたこと。」を、同一一行目の末尾に
「その後、右のような増減給は昭和四七年八月一日に改正され、減給の額は、一日
につき労働基本日数分の基本給とし、その限度額を当該従業員の受領金額を超えな
い範囲内で撤廃したこと。」を各加える。
3 同七八枚目表五行目「別表(三)」を削り、同所に「別紙(三)ー(二)家族
手当支給基準及び家族手当計算表」を、同末行の次行に「その後、昭和四九年八月
一日の改正により、右単価が五円ないし一〇円となつたこと。」を加える。
4 同七八枚目裏三行目の末尾に「その後、昭和四九年八月一日の改正により、実
働一日当り運転手八〇〇円、助手七〇〇円となつたこと。」を、同七行目「昭和四
九年」の次に「四月」を、同八行目「支給されており、」の次に「さらに、同五三
年一〇月以降二〇%に、同五四年一月以降二五%に各改められたが、」を、同一〇
行目の次行に「通勤手当は、通勤に要する定期券を実費で支給するが、乗務員外作
業に従事する者に対しては、原則として支給しないこと。」を、その次行に「宿直
手当は、宿直勤務についた者に支給し、二〇〇〇円以内とすること。」を、その次
行に「昇給は、定期昇給と臨時個別昇給(特別昇給)に分れ、前者は年一回一〇月
とし(ただし、昭和四九年八月一日の改訂により、会社の業績が著しく悪い場合に
は昇給しない場合もあるとされた。)、後者は会社に対する貢献度の著しい者等に
つき、賃金審議会の諮問を経て行なうものとしたこと。」を、さらにその次行に
「賞与(一時金)は、控訴会社が従業員に支払うべき賃金の一種であり、毎年一月
から六月までと七月から一二月までの二期間としたうえ、八月と一二月の二回に支
給するものであり、会社の営業成績の程度に相応した範囲内で、各従業員の勤務成
績その他を査定してなされること。」を各加える。
5 同八一枚目表八行目「別表(三)」を「別表(三)ー(二)の家族手当支給基
準」と改める。
6 同八一枚目裏八行目「そして、」の次に「当審における被控訴人a本人尋問の
結果および」を、同九行目「結婚し」の次に「、同五一年七月長男、同五三年一二
月に長女が生れ」を、同末行「二月から」の次に「同五一年六月まで」を、同八二
枚目表一行目冒頭「円、」の次に「同年七月から同五二年九月までは毎月七〇〇〇
円、同年一〇、一一月は毎月八〇〇〇円、同年一二月から毎月一万円、」を、同五
行目「同年二月以降」の次に「同五二年九月まで」を、同六行目「八五〇〇円」の
次に「、同年一〇月以降毎月一万一五〇〇円」をそれぞれ加える。
7 同八二枚目表一〇行目「別表(四)」を「別表(四)ー(二)賃金および賃金
相当損害金一覧表」と改め、同八二枚目裏一二行目「同年二月分以降」を「同年二
月分から」と改め、その次に「同五二年九月分まで」を、同行の次行に「同五二年
一〇月分以降毎月九万六四六四円」を加え、同八三枚目表三行目「同年二月分以
降」を「同年二月分から」と改め、その次に「同五一年六月分まで」を、同行の次
行に「同五一年七月分から同五二年九月分まで毎月八万一三八六円」を、その次行
に「同年一〇月以降毎月八万二三八六円」を、さらにその次行に「同五三年一二月
以降毎月八万四三八六円」を各加える。
8 同八三枚目表八行目「別表(二)」を「別表(二)ー(二)」に改める。
9 同八四枚目表一〇行目「六二号証の七」を「六二号証の一七」に改める。
10 同九〇枚目表一一行目冒頭「すと」の次に「(前年の増額分もしくは前々年
の増額分を加算する。)」を加え、同行「別表(四)」を「別表(四)ー(二)」
と改める。
11 同九〇枚裏四行目の次行に「次に昭和五〇年一月賃金総額(家族手当を除
く)の増額率を認めるに足る証拠はないから、増額がなかつたものとして計算せざ
るを得ないのであるが、ただ、前記(第二、一、4)認定のとおり、控訴会社は、
特別手当の支給率を改正し、昭和四九年の年間平均支給率は、賃金総額(家族手当
を含む)の一三・三三三三%(一月五%、二月から一〇%、四月から一五%)であ
つたところ、同五三年一〇月以降二〇%、同五四年一月以降二五%に増額されたの
で、賃金総額もこれに応じて増額されていることになる。その金額の算出方法は、
昭和四九年分の特別手当額の計算の根拠となつた賃金額、即ち、同年の平均賃金総
額月額中より特別手当額を控除した額(一一三三三三三分の一〇〇〇〇〇〇)を算
出し、その額に、同五〇年一月以降分は、一・一五を、同五三年一〇月以降分は、
一・二〇を、同五四年一月以降分は、一・二五を乗じて算出する。ただし、その後
家族手当、後記認定の基本日給の増額の場合には、それら増額分を加算したものに
前記支給率を乗じて算出する。右算出方法により算出した額より各月の賃金額(家
族手当額を含む)を控除すれば、同五〇年一月以降の同損害金が算出され、その額
は、別表(四)ー(二)の各(ハ)欄記載のとおりである。なお、前示乙四〇ない
し四二号証の各一ないし四、当審証人fの証言(一部)、当審における被控訴人a
本人尋問の結果によれば、控訴会社は、基本日額につき全従業員に対し昭和五五年
二月一日以降三〇〇円を増額したこと、被控訴人a、同b、同cは、いずれも月平
均およそ二五日は労働可能であることが認められ、右fの証言中右認定に反する部
分は、前掲証拠に照らし措信できない。右認定事実によれば、被控訴人a、同b、
同cは、昭和五五年二月一日以降月額七五〇〇円の基本日給増額が加算されること
になる。」を加え、その次行に「控訴会社は、労働者の賃金が個人の能力、年功、
労働の質、量等によつて決定されるものであるのに、被控訴人aらの救済命令によ
る復職後の勤務日数等が非組合員の平均に較べて極めて低く、非組合員の賃金増加
率と同率で同被控訴人らの賃金増加率を算定することはできない旨主張し、成立に
争いのない甲八九ないし一〇四号証、同乙五五、五七号証、当審証人fの証言によ
り成立の認められる甲八一号証、右証言および当審における被控訴人a本人尋問の
結果によれば、控訴会社が被控訴人aらの解雇の有効性を主張しながらも、救済命
令に従い、同被控訴人らを職場に復帰させ昭和五二年一一月から就労させたこと
(もつとも、被控訴人aはその後同五五年二月一二日に再び解雇されたほか、被控
訴人b、同cも同様に解雇された。)、同被控訴人らの勤務日数等が非組合員に較
べ低いことが認められるけれども控訴会社は、依然として解雇の有効性を主張し、
組合員に対する不利益な差別待遇をしてきたものであつて、この傾向が持続してい
ることは原審(第二回)及び当審における被控訴人a本人の尋問結果ならびに弁論
の全趣旨に照らしても認められるところであり、また、被控訴人aらが本件解雇前
に月間二五日程度稼働し、平均的な労働能力を有していたものであるから、救済命
令のもとにおける労働状況をもつて、非組合員の平均賃金を取得しえないものとす
ることは相当でないと考える。」を加える。
12 同九〇枚目裏七行目冒頭「前記」を削り、そこに「原審(第二回)および当
審における被控訴人」を加え、同行「(第二回)」を削り、同行「および」の次に
「前示甲五七号証、乙七二号証、」を加え、同行から次行にかけての「いずれも」
と同行「および七二」をいずれも削除し、次行「別表(二)」を「別表(二)ー
(二)」と、同九一枚目表一一行目「別表(四)」を「別表(四)ー(二)」と、
同裏三行目、七行目、一一行目「別表(五)」を「別表(五)ー(二)」と、同五
行目、九行目「別表(四)」を「別表(四)ー(二)」と各改める。
13 同九二枚目表一一行目「前記乙」を削り、同所に「いずれも成立に争いのな
い乙三三、」を加える。
14 同九四枚目表一〇行目「前記各証拠」を「前示乙五五号証、成立に争いのな
い甲五六号証、原審における被控訴人a本人尋問の結果(第一回)並びに弁論の全
趣旨」に、同一三行目から同裏一行目にかけての「被告三名ら主張のとおりである
こと、」を「控訴会社において、同四六年二月一日における分会との交渉で、八〇
パーセントに当る金額として被控訴人ら主張の額を示し、被控訴人c、同g、同
h、同i、同j、同k、同lに対しては、既に前年の一二月三〇日にその支払がな
されたこと(もつとも、その後、控訴会社は、右八〇パーセントの額は八二・七パ
ーセントを査定したものであるとし、残額分として一七・三パーセントにつき支払
の手続を進めたが、右再査定につき合理的な理由を見出しえない。)」に改め、同
七行目「右年末一時金として」の次に「被控訴人らの自認とする」を加える。
二 被控訴人a、同b、同cの慰藉料請求について
 被控訴人aら三名に対する本件解雇が控訴会社の不当労働行為であり、不法行為
に当ることは、前認定のとおりであつて、そのため精神的損害を蒙つたこともうか
がえないではないが、本件解雇が特に右被控訴人らに著しい精神的打撃を与えるこ
とを目的としてなされた等著しく反道徳的であるとは認められないから、仮りに右
被控訴人らに精神的苦痛があつたとしても、解雇後の賃金もしくは賃金相当の損害
金の支払を受けることにより慰藉されうるものというべく、さらにそれに加えて慰
藉料の支払を受ける要はないものといわねばならない。
三 以上の次第であるから、被控訴人a、同b、同cの反訴請求(主位的請求及び
予備的請求)のうち、賃金および賃金相当損害金の請求については、別表(四)ー
(二)記載の各金員、昭和四六年八月以降の一時金相当損害金については、別表
(五)ー(二)記載の各金員ならびにこれら各金員に対する各支払期日の翌日(一
時金相当損害金については各該当月の翌月一日)から支払ずみまで、賃金について
は商法所定年六分の割合による、賃金相当損害金および一時金相当損害金について
は民法所定年五分の割合による各遅延損害金の支払を求める限度において、また、
被控訴人ら全員の昭和四五年年末一時金の請求については、前記認定の金員(引用
にかかる原判決九四枚目裏一二行目から九五枚表一〇行目まで)およびこれに対す
る支払日の翌日である昭和四六年七月一日から支払ずみまで商法所定年六分の割合
による遅延損害金の支払を求める限度において相当として認容すべく、その余は、
失当として棄却すべきである。
 なお、賃金および賃金相当損害金の将来の給付の請求については、控訴会社の抗
争の態様に照らし予め給付の判決をする必要があるものと認める。
第三 控訴人dの各請求について
一 本位的請求について
 当裁判所も、控訴人の昭和四五年年末一時金についての本位的請求は失当として
棄却すべきものと判断するものであつて、その理由は、原判決九五枚目裏二行目か
ら四行目まで括弧書きの部分を削るほか、原判決理由の説示(原判決九五枚目表一
一行目から同裏五行目まで)と同一であるから、これを引用する。
二 予備的請求について
 控訴人dは、当審において請求を追加して、損害賠償として前記一時金残額相当
額の支払を請求する。しかしながら、控訴会社が控訴人dに対し右一時金を支給し
ないことが不法行為に当るとしても、その受くべき一時金相当額が分会員の一時金
の平均額と同額であると認めうる証拠はなく、その他本件にあらわれた全証拠によ
るも、控訴人dの受くべき一時金の額を認めることはできないから、結局、右請求
もまた失当として棄却を免れない。
第四 結論
 よつて、控訴会社の本件控訴ならびに控訴人dの本件控訴および当審において追
加した予備的請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、被控訴
人a、同b、同cの附帯控訴は、前記認定の限度において理由があり、その余は失
当であるから原判決を変更することとして、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八
九条第九二条第九三条第九五条第九六条を、仮執行につき同法第一九六条を適用し
て、主文のとおり判決する。
(裁判官 小林定人 惣脇春雄 山本博文)
別表(一)-(二) 賃金(賃金相当損害金)一覧表
<4033-002>
<4033-003>
<4033-004>
<4033-005>
別表(二)-(二) 各人別一時金(一時金相当損害金)一覧表
<4033-006>
<4033-007>
別表(三)-(二) 家族手当支給基準および家族手当計算表
<4033-008>
<4033-009>
<4033-010>
<4033-011>
別表(四)-(二) 賃金および賃金相当損害金一覧表
<4033-012>
<4033-013>
<4033-014>
別表(五)-(二) 一時金相当損害金一覧表
<4033-015>
<4033-016>

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