弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人等の各上告趣意について。
 所論は畢竟被告人等が授受した金員の趣旨が原判決において認定したところと相
違するというのであり又同判決が証拠に供した被告人Aの検察官に対する供述調書
中の供述は同被告人が任意になしたものでないことを理由としてかゝる証拠能力の
ない在供述調書たこ罪証に供しをとの違法を主張するに帰着する。されば所論はい
づれも明らかに刑訴第四〇五条に定める事由に該当しないし記録を精査しても同法
第四一一条を適用すべきものとは認められない。
 被告人等の弁護人北川定務の上告趣意第一点について。
 弁護人は原判決が第一審における第一回公判調書中の各被告人の供述(自白)と
検察官及び司法警察員に対する各被告人の供述調書中の供述記載(自白)のみによ
つて各判示事実を認定したことは憲法第三八条第三項及び刑訴第三一九条第二項に
違反すると主張する。然し被告人の自白の外に相被告人の供述を補強証拠とした場
合には憲法第三八条第三項に違反しないことは既に当裁判所屡次の判例(昭和二二
年(れ)第一八八号同二三年七月七日大法廷判決、昭和二三年(れ)第一一二号同
年七月一四日大法廷判決等)とするところであつて、今これを変更するの必要を認
めないのみならず刑訴第三一九条第二項の解釈においてもその理を異にしない。さ
れば原判決には所論の如き違憲違法の廉はなく論旨は理由がない。
 同第二点第三点について。
 論旨第二点は原判決には判決に影響を及すべき重大な事実の誤認があるというの
であり同第三点は原審が第一審において、証拠物として受理した金員即ち被告人B
が収受した現金千円同Cが収受した現金五百円についてことさら没収の言渡をなさ
ず右被告人等よりそれぞれその価額を追徴した点が違法であるというに帰着しいづ
れも明らかに刑訴第四〇五条に定める事由に該当しないし又記録について所論の点
を精査しても同法第四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて刑訴第四〇八条により、各上告を棄却すべきものとし主文のとおり判決す
る。
 この判決は裁判官全員一致の意見である。
  昭和二五年七月七日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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