弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を札幌地方裁判所岩内支部に差戻す。
         理    由
 弁護人岩沢誠の控訴趣意は末尾に記載のとおりで、これに対する当裁判所の判断
は次のとおりである。
 控訴趣意第一点について。
 本件記録によると、本件は住居侵入、窃盗罪として起訴せられ、原裁判所におい
て審理中、昭和二十四年十二月九日の第八回公判期日において検察官は同日附訴因
罰条の変更請水書を朗読し、従前の住居侵入窃盗を撤回して賍物牙保、同故買に変
更の請求をし、原裁判所は賍物牙保、並に賍物故買罪として審理判決したこと明ら
かである。しかして、右起訴状には、公訴事実として、被告人は、第一、昭和二十
四年二月十日頃より同年三月五日頃迄の間に古宇郡a村b番地A方倉庫内に侵入
し、同人所有に係る洋服上衣等十七点を窃取し、第二、同年五月十八日より同月二
十五日頃迄の間岩内郡c町字de番地B方倉庫内に侵入し同人所有に係るラシャ冬
オーバー等二十四点を窃取し
 たものである旨及び罪名として刑法第一三〇条第二三五条の記載があり右訴因罰
条の変更請求書には公訴事実として被告人は第一、昭和二十四年二、三月頃に岩内
郡小沢駅から札幌方面に進行中の列車内に於いて氏名不詳の男から依頼を受け即日
賍物であることの情を知りながら、窃盗賍品である羽二重友禅反物一反外衣料十一
点を小樽市f町g丁目h番地に於てCに対し合計一万円で売却方斡旋して以て賍物
の牙保を、第二、同年五、六月頃に札幌市i街附近に於てDと称する朝鮮人から賍
物であることの情を知りながら窃盗賍物である大島男着物一枚外二一点を金一万千
八百円で買受け以て賍物の故買を為したものである旨及び罪名として第一の事実は
賍物牙保、第二の事実は賍物故買、刑法第二五六条第二項の記載があり、
 原判決には認定事実として、被告人は第一、昭和二十四年四月初旬頃余市郡余市
駅附近を札幌へ向け進行中の列車内で氏名不詳の男子から窃盗賍品である羽二重友
禅反物一反外衣料一〇点売却方依頼を受けそれが賍品であるかも知れないと思いな
がら敢て、小樽市f町g丁目h番地に於てCに買受け方をすすめて承諾させ、両者
の間にあつせんして品物及び代金を授受させ、以て賍物の牙保をなし、第二、同年
五月二十五日頃札幌市i街に於てDと自称する朝鮮人から盗難品である大島男着物
一枚外衣服布地二一点をそれが賍物であるかも知れないと思いながら敢えて代金一
万八千円で買受け以て賍物を故買したものであると認定し刑第二五六条第二項を適
用している。
 そこで、先づ起訴状記載の公訴事実第一点について原裁判所がなした右のような
訴因及び罰条の変更が許されるかどうかについて考えるに、刑事訴訟法第三一二条
によれば訴因又は罰条の変更は公訴事実の同一性を害しない限度において許される
のであるが、公訴事実の同一性を害しない限度というのは、その基本的事実関係が
<要旨>同一と認められる場合をいうものと解する。しかして起訴状記載の公訴事
実、第一の基本的事実関係は被告人がA所有の洋服上衣等一七点を不法に領
得した事実であるが、訴因罰条の変更請求書記載の公訴事実第一、及び原判示第一
の事実は氏名不詳者がCに対し、右物品を売却するに際し、その斡旋をした事実で
あつて右記訴状記載の公訴事実第一とその基本的事実関係は同一でない。したがつ
て右訴因及び罰条の変更は許すことはできないのであつて、その変更を許した原判
決はこの点において訴訟手続に法令の違反があり、この違反は判決に影響を及ぼす
こと明らかであるから原判決はこの点において違法がある。
 よつて原判決はこの点において破棄を免れないからその他の点については判断を
省略し、刑事訴訟法第三百九十七条第三百七十九条により原判決を破棄し、同法第
四〇〇条本文により本件を原裁判所である札幌地方裁判所岩内支部に差し戻すこと
とする。
 よつて主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 黒田俊一 判事 西田賢次郎 判事 村上喜夫)

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