弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
     当審における被告人Bに対する未決勾留日数中二百日を同被告人の本刑
に算入する。
     当審における訴訟費用は被告人両名の負担とする。
         理    由
 各被告人及び各弁護人の上告趣旨はいずれも末尾添附別紙記載のとおりでありこ
れに対する当裁判所の判断は次ぎの如くである。
 被告人Bの上告趣旨一乃至四は捜査手続について違憲を主張するだけで原判決に
対する攻撃ではないから上告適法の理由とならない。所論五の第一回公判について
の主張は被告人に関しない訴訟手続についての単なる手続法違反の主張であつて不
適法のものである。
 第三回公判における所論の点については原判決が正当に判示して居るとおり裁判
所法第七一条に基く適法の処置である。なお被告人退廷中に尋問されたのは相被告
人A関係の証人の証言であり、その証言途中被告人は入廷を許可されて居るのみな
らず各弁護人は在廷し弁護人被告人とも異議を述べず、それぞれ反対尋問をして居
る。
 かかる場合違憲でないことは当裁判所昭和二四年(れ)第七三一号同二五年三月
一五日大法廷判決、昭和二七年(あ)第四八一二号同二九年二月二五日第一小法廷
判決に徴し明である。第五回公判については記録を調べても所論の様な事実は認め
られない。その他の論旨は違憲をいうが実質は単なる刑訴法違反の主張又は事実誤
認の主張で刑訴第四〇五条所定の上告理由に該らない。
 被告人Aの上告趣旨は違憲をいうが実質は原審の採証を争い、事実誤認の主張に
過ぎず上告適法の理由とならない。
 被告人Bの弁護人松井佐の上告趣旨も事実誤認の主張に過ぎず上告適法の理由で
ない。
 同被告人弁護人諫山博の論旨第一点は事実誤認の主張で上告適法の理由とならず、
掲記の判例は事実が異るので適切でない、同第二点の理由のないことは被告人Bの
上告趣旨について説明した処により明である。同第三点は量刑不当の主張で上告適
法の理由とならない。
 被告人両名弁護人鍛冶千鶴子の上告趣旨は結局事実誤認の主張に帰する。
 なお記録を調べても刑訴第四一一条を適用すべき場合とは思えない。
 よつて刑訴第四〇八条、第一八一条、刑法第二一条に従い裁判官全員一致の意見
で主文のとおり判決する。
  昭和二九年七月一三日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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