弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴趣意は、記録中の弁護人名義の控訴趣意書記載のとおりであり、所論は
これを要約すれば結局(一)被告人は原判示の如き広告をした覚えはなく、本件広
告に全く何等の関係もないのに拘らず、原審が信憑性の乏しいAの虚構の証言を採
用し、被告人が原判示の如き広告をしたものと認定したのは、事実の誤認を犯した
ものである。(二)本件広告は果して何人の仕業であるかの点を別としても、原判
示の如き広告を新聞に掲載すること自体犯罪とならないことは、次の理由によつて
明らかである。即ち(1)広告の内容そのものは虚偽のものであつても、その文言
を客観的にみるに、これを捉えて虚偽の風説を流布し、或いは偽計を用いて他人の
業務を妨害するに足る行為があつたものと解するのは相当でない。本件において
は、法益に対する侵害行為そのものが存しないのである。(2)仮に、犯罪行為が
あつたものとなし得るとしても、本件による被害者が、果してB株式会社、同会社
D部E支部或いは同支部長たるF個人のいずれであるか全く明確でない。次に
(3)本件広告の文言は殊更Cの品質、性能を批判し、或いはこれを他の会社の製
品と比較してその優劣を評価せんとするものではなく、又、その商標を潜用せんと
するものでもない。仮に、実際の価格よりも高価な値段を以て広告したとすれば、
或いは何等かの弊害を生じたかも知れないが、本件はその反対の場合に該当し、実
際上Cの売行が悪くなつた訳でもなく、毫も右会社の業務を妨害していないのであ
る。然るに、原審が被告人に対し有罪の言渡をなしたのは極めて不当であるという
に帰着する。
 よつて、所論に鑑み、訴訟記録及び原裁判所が取調べた証拠を精査し、先ず控訴
趣意中(一)の点について判断するに、原審証人Aの証言を他の諸般の証拠と彼此
対比して仔細に検討するとき、同証人が故ら虚偽の供述に出でた形跡は毫もこれを
窺うことができないのみか、当審公判廷における同証人の証言及びその供述態度に
徴しても、同証人が真実を吐露したものであることが認められる。原判決挙示の証
拠により、被告人が原判示の如き広告をした事実は、優にこれを認定するに足り、
原判決には原審が所論の如き事実の誤認を犯した形<要旨>跡は全くこれを発見する
ことができない。次に(二)の各点について判断するに(1)本件広告の文言と原
判決挙示の証拠によつて認め得る被告人の営業の状況、被告人が本件広告を
なすに至つた動機等諸般の事情を綜合して考察すれば、被告人が極めて巧妙な方法
によつて虚偽の風説を流布し、B株式会社の業務を妨害するに足る広告をしたこと
を断ずることができる。本件においては、法益に対する侵害行為そのものが存しな
いとの所論は、弁護人独自の見解にしか過ぎない。(2)本件広告が直接には同会
社E支部の販売を妨害せんとしたものであることは、原判決挙示の証拠によつて明
らかであるが、それは畢竟同会社そのものの業務を妨害せんとしたことに外ならな
いのであるから、本件による被害者が何人であるかその明確を欠くとの所論は当ら
ない。(3)本来業務妨害罪の成立には妨害の結果を発生せしめるに足る行為ある
を以て足り必ずしも現実に妨害の結果が発生したことを要しないものと解すべきで
あるから、これと異つた見解に立脚せる所論は採用し難いのみならず本件広告が現
実に同会社E支部の販売に悪影響を及ぼしたことは、原判決挙示の証拠によつて窺
い得るところである。弁護人の論旨はいずれもこれを採用することができない。
 よつて、刑事訴訟法第三九六条、第一八一条第一項により、主文のとおり判決す
る。
 (裁判長裁判官 平井林 裁判官 藤間忠顕 裁判官 組原政男)

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