弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人等の負担とする。
         理    由
 上告代理人小玉治行の上告理由は末尾に添えた書面記載のとおりであり、これに
対して当裁判所は次のように判断する。
 上告理由第一点について。
 論旨は本件県議会の議決が行政処分であつて、行政訴訟の対象となり得るもので
あることを主張するに帰する。しかし本件議決に関しては、昭和二三年法律一七九
号附則二条五項において、「都道府県知事は、当該都道府県の議会の議決を経て、
市町村の廃置分合又は境界変更を定める」旨規定されている。すなわち本件議決は、
県知事が行政処分を行う前提要件たるに過ぎないものであつて、それ自体県の意思
として外部に対し表示されるのでもなく、従つてまた外部に対して直接法律上の効
果を及ぼすものでもない。それ故本件議決は行政処分たる性質を有するものではな
く、これを行政訴訟の対象とはなり得ないものであるとした原判決は正当である。
 論旨は、地方自治法一六七条において、知事が県議会の違法な議決に対して出訴
し得る旨を規定していることを援用して、県議会の議決が行政処分であるとの論拠
としているのであるが、しかしこれは県議会の議決が行政処分だから出訴できると
したのではなくて、違法な議決がそのまま執行されることを防ぐために、行政機関
相互の間における法律的見解の相違を調整する方法として設けられた特別の規定に
外ならない。従つてかような特別の規定のない本件議決に対しては、出訴は許され
ないものと解すべきである。論旨はまた東京高等裁判所の判例を援用して原判決を
非難するのであるが、右の判例における地方議会の議決は、地方議会議員を除名す
る議決であつて、執行機関による行政処分を俟たず議決自体で除名の効力を生ずる
ものであるから、県知事の行政処分によつて始めて法律上の効果を生ずる本件の場
合にあてはまらない。論旨はいずれの点から見ても理由がない。
 同第二点について。
 論旨は、原判決が本件議決を行政庁の処分と解するとしても、その取消を求める
本訴は訴の利益を欠き不適法であるとした仮定論に対する非難である。しかし前述
のごとく本件議決は、行政庁の処分と解することはできず、本訴は根本において許
されないものであるから、論旨は採用できない。
 同第三点について。
 論旨は、原判決が被告に対して再議を命ずる判決を求めることは本来許さるべき
でないと判示したことを非難する。しかし前述のように本件議決そのものが行政処
分でなく訴訟の対象となり得ないものである以上、裁判所が県議会に対し再議を命
ずることができないのは当然であるから、論旨は理由がない。
 (本件については昭和二五年(オ)二〇〇号、同二九年一月二一日第一小法廷判
決参照)
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見をもつて、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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