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平成24年7月19日宣告裁判所書記官
平成23年(わ)第1069号,第1095号,第1152号,平成24年(わ)第
42号,第150号,第206号強姦未遂,児童買春,児童ポルノに係る行為等
の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,窃盗,強制わいせつ,強姦被告事件
判決
主文
被告人を懲役20年に処する。
未決勾留日数中210日をその刑に算入する。
神戸地方検察庁で保管中のカッターナイフ1本(平成24年領第4
57号符号2)及びマイクロSDカード4枚(平成24年領第45
6号符号1-2,2,3及び5)を没収する。
理由
【罪となるべき事実】※<>内は当該事実にかかる起訴の日付等を示す。
被告人は,
第1<平成24年3月28日付け第1>
A(当時6歳)に対して強いてわいせつな行為をし,その状況を携帯電話
機のカメラ機能を使用して撮影し,その画像を記録しようと企て
1平成22年5月5日午後零時5分頃から同日午後零時15分頃までの間,
神戸市a区bc丁目c1番地のc2c3県有林内において,前記Aが13
歳未満であることを知りながら,同女児に対し,着用していた衣服を脱が
せて全裸にさせた上,同女児の陰部を手指で弄ぶなどし,もって13歳未
満の女子に対しわいせつな行為をした
2前記日時,場所において,同女児が18歳に満たない児童であることを
知りながら,同女児をして,全裸で陰部を露出した姿態等を取らせ,携帯
電話機のカメラ機能を使用して静止画を撮影し,別表1記載のとおり,そ
の静止画データを同携帯電話機に装着した電磁的記録媒体であるマイクロ
SDカード(平成24年領第456号符号3)に記録させ,もって他人が
児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺
激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を
興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により
描写した情報を記録した電磁的記録媒体である児童ポルノを製造した
第2<平成24年3月28日付け第2>
B(当時4歳)に対して強いてわいせつな行為をし,その状況を携帯電話
機のカメラ機能を使用して撮影し,その画像を記録しようと企て
1前記第1の日時,場所において,前記Bが13歳未満であることを知り
ながら,同女児に対し,着用していた衣服を脱がせて全裸にさせた上,同
女児の陰部を手指で弄ぶなどし,もって13歳未満の女子に対しわいせつ
な行為をした
2前記日時,場所において,同女児が18歳に満たない児童であることを
知りながら,同女児をして,全裸で陰部を露出した姿態等を取らせ,携帯
電話機のカメラ機能を使用して静止画を撮影し,別表2記載のとおり,そ
の静止画データを同携帯電話機に装着した電磁的記録媒体であるマイクロ
SDカード(平成24年領第456号符号3)に記録させ,もって他人が
児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺
激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を
興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により
描写した情報を記録した電磁的記録媒体である児童ポルノを製造した
第3<平成24年3月9日付け>
C(当時7歳)に対して強いてわいせつな行為をし,その状況を携帯電
話機のカメラ機能を使用して撮影し,その画像を記録しようと企て
1平成22年5月14日午後5時35分頃から同日午後5時45分頃まで
の間,神戸市d区ef丁目f1番f2公園敷地内において,前記Cが13
歳未満であることを知りながら,同女児に対し,着用していた衣服を脱が
せて全裸にさせた上,同女児の陰部を手指で弄ぶなどし,もって13歳未
満の女子に対しわいせつな行為をした
2前記日時,場所において,同女児が18歳に満たない児童であることを
知りながら,同女児をして,全裸で両足を広げる姿態等を取らせ,携帯電
話機のカメラ機能を使用して静止画を撮影し,別表3記載のとおり,その
静止画データを同携帯電話機に装着した電磁的記録媒体であるマイクロS
Dカード(平成24年領第456号符号3)に記録させ,もって衣服の全
部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するも
のを視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した
電磁的記録媒体である児童ポルノを製造した
第4<平成23年12月9日付け>
D(当時8歳)に対して強いてわいせつな行為をし,その際,陰部を露
出した姿態等を携帯電話機のカメラ機能を使用して撮影し,その画像を記
録しようと企て
1平成22年5月29日午後4時50分頃から同日午後5時20分頃まで
の間,神戸市g区h町i丁目i1番所在のi2公園北西側通路及びその周
辺において,前記Dが13歳未満であることを知りながら,同女児に対し,
背後から左手で同女児の口をふさいだ上,右手に持ったカッターナイフ(平
成24年領第457号符号2)の刃先をその顔面に近づけ,「エッチしよ。
嫌やったら殺す。寝ころべ。パンツ脱げ。」と言うなどの脅迫を加え,そ
の反抗を抑圧した上,そのパンツを脱がせ,その陰部を性具及び手指で弄
び,同女児に自己の陰茎を口淫させるなどし,もって13歳未満の女子に
対し強いてわいせつな行為をした
2前記日時,場所において,同女児が18歳に満たない児童であることを
知りながら,同女児をして,下半身に下着を着けず陰部を露出した姿態を
取らせ,これを携帯電話機のカメラ機能を使用して撮影し,別表4記載の
とおり,その静止画像データを同携帯電話機内蔵の電磁的記録媒体に記録
させた上,同年12月14日ころ,同市a区j町kk1番地のk2県住k
3号の被告人方において,前記静止画像データを,赤外線送信の方法で,
同携帯電話機から別の携帯電話機に送信し,これを受信した携帯電話機に
装着したマイクロSDカード(平成24年領第456号符号5)に複製し
て記録させ,もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性
欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法に
より描写した情報を記録した電磁的記録媒体である児童ポルノを製造した
第5<平成24年1月25日付け>
前記A(当時6歳)を強姦し,その状況をデジタルカメラ及び携帯電話機
のカメラ機能を使用して撮影し,その画像を記録しようと企て
1平成22年6月17日午後4時5分頃から同日午後5時頃までの間,神
戸市a区bl丁目l1番l2号l3高等学校敷地内クラブハウス床下の空
きスペースにおいて,前記Aが13歳未満であることを知りながら,同女
児に対し,その陰部を手指で弄び,同女児に自己の陰茎を口淫させるなど
した上,同女児を姦淫し,もって13歳未満の女子を強姦した
2前記日時,場所において,同女児が18歳に満たない児童であることを
知りながら,同女児をして,全裸で陰部を露出した姿態,前記1の各姿態
等を取らせ,これをデジタルカメラ及び携帯電話機のカメラ機能を使用し,
静止画又は動画を撮影し,別表5記載のとおり,その静止画データ及び動
画データを同デジタルカメラ及び同携帯電話機に装着した電磁的記録媒体
である各マイクロSDカード(平成24年領第456号符号2及び3)に
記録させ,もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の
姿態,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態又は児童が他人の
性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激する
もの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮さ
せ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写し
た情報を記録した電磁的記録媒体である児童ポルノを製造した
第6<平成24年3月28日付け第3>
前記A(当時6歳)を強姦し,その状況をデジタルカメラ及び携帯電話機
のカメラ機能を使用して撮影し,その画像を記録しようと企て
1平成22年6月24日午後2時55分頃から同日午後4時頃までの間,
神戸市a区bm丁目m1番m2団地m3号室において,前記Aが13歳未
満であることを知りながら,同女児に対し,その陰部を手指で弄んだ上,
同女児を姦淫しようとしたが,同女児の身体が未発達のため,膣内に陰茎
を挿入できず,姦淫の目的を遂げなかった
2前記日時,場所において,同女児が18歳に満たない児童であることを
知りながら,同女児をして,全裸で陰部を露出した姿態,前記1の各姿態
等を取らせ,これをデジタルカメラ及び携帯電話機のカメラ機能を使用し
て動画を撮影し,別表6記載のとおり,その動画データを同デジタルカメ
ラ及び同携帯電話機に装着した電磁的記録媒体である各マイクロSDカー
ド(平成24年領第456号符号2及び3)に記録させ,もって児童を相
手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等
を触る行為に係る児童の姿態又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児
童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一
部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚
により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記
録媒体である児童ポルノを製造した
第7<平成23年11月14日付け>
E(当時5歳)を強姦し,その状況をデジタルカメラ等で撮影してその
画像を記録しようと企て,
1平成22年10月4日午後3時頃から同日午後4時頃までの間,神戸市
g区no丁目o1番地o2団地o3号室F方において,前記Eが13歳未
満であることを知りながら,同女児に対し,そのパンツを脱がせ,その陰
部を性具等で弄び,同女児に自己の陰茎を口淫させた上,その陰部に陰茎
を数回にわたり押し当てて同女児を姦淫しようとしたが,同女児の身体が
未発達のため,膣内に陰茎を挿入できず,姦淫の目的を遂げなかった
2前記日時,場所において,同女児が18歳に満たない児童であることを
知りながら,同女児をして,下半身に下着を着けず陰部を露出した姿態,
前記1の各姿態等を取らせ,これをデジタルカメラのカメラ機能及び動画
撮影機能を使用して撮影し,別表7記載のとおり,その静止画及び動画を
同デジタルカメラに装着した電磁的記録媒体であるマイクロSDカード
(平成24年領第456号符号1-2)に記録させ,もって児童を相手方
とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触
る行為に係る児童の姿態又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の
姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を
着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚によ
り認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録媒
体である児童ポルノを製造した
第8<平成23年9月15日付け>
平成23年9月4日午後零時9分頃,神戸市a区pq丁目q1番q2号所
在のr店において,同店店長Gが管理し,店内に陳列していた整髪料1個(販
売価格893円相当)を窃取した
ものである。
【証拠の標目】
省略
【累犯前科】
省略
【法令の適用】
罰条
判示第1の1,第2の1及び第3の1の各所為
いずれも刑法176条後段
判示第1の2及び第2の2の各所為
いずれも包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の
保護等に関する法律(以下,「児童買春・児童ポルノ処罰法」という。)7条3項,
2条3項2号,3号
判示第3の2及び第4の2の各所為
いずれも包括して児童買春・児童ポルノ処罰法7条3項,2条3項3号
判示第4の1の所為
刑法176条
判示第5の1の所為
刑法177条後段
判示第5の2,第6の2及び第7の2の各所為
いずれも包括して児童買春・児童ポルノ処罰法7条3項,2条3項1号,
2号,3号
判示第6の1及び第7の1の各所為
いずれも刑法179条,177条後段
判示第8の所為
刑法235条
刑種の選択
判示第1の2,第2の2,第3の2,第4の2,第5の2,第6の2,第7
の2及び第8の各罪
いずれも懲役刑を選択
累犯加重
刑法56条1項,57条(判示第4の2,第5の2,第6の2,第7の2及
び第8の各罪の刑につき再犯の加重。判示第5の1,第6の1及び第7の1
の各罪の刑につき刑法14条2項の制限内で再犯の加重)
併合罪の処理
刑法45条前段,47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い判示第5の1
の罪の刑に同法14条2項の制限内で法定の加重)
未決勾留日数の算入
刑法21条
没収
カッターナイフ(平成24年領第457号符号2)
刑法19条1項2号,2項本文(判示第4の1の犯行の用に供した物で
被告人以外の者に属しない)
マイクロSDカード(平成24年領第456号符号1-2)
刑法19条1項1号,2項本文(判示第7の2の犯罪行為を組成した物
で被告人以外の者に属しない)
マイクロSDカード(平成24年領第456号符号2)
刑法19条1項1号,2項本文(判示第5の2及び第6の2の各犯罪行
為を組成した物で被告人以外の者に属しない)
マイクロSDカード(平成24年領第456号符号3)
刑法19条1項1号,2項本文(判示第1の2,第2の2,第3の2,
第5の2及び第6の2の各犯罪行為を組成した物で被告人以外の者に属
しない)
マイクロSDカード(平成24年領第456号符号5)
刑法19条1項1号,2項本文(判示第4の2の犯罪行為を組成した物
で被告人以外の者に属しない)
訴訟費用の不負担
刑事訴訟法181条1項ただし書
【量刑の理由】
判示第1ないし第7の犯行は,いずれも4歳から8歳の女児(計5名)に対し,
強姦(1件),強姦未遂(2件),強制わいせつ(4件)を敢行するとともに,
それらの状況を撮影した児童ポルノを製造したものである。無警戒な上,大人に
対して抵抗する力を持たない幼児に対する陵虐であり,卑劣さが際立っている。
また,被害者らは,まさに人格形成のさなかにあっただけに,各犯行が被害者ら
の心身に与えた打撃が大きいことはもちろん,今後の成長に及ぼす悪影響も計り
知れない。こうしたことから,本件各犯行は性犯罪の中でも特に悪質かつ重大な
類型に属する。
個々の犯行態様をみても,強姦に至った判示第5の1の犯行の重大性はいうに
及ばないが,その他の犯行についても,性具を用いて未発達の陰部を弄んだり,
口淫を強いるなど,その陵辱はかなり酷い。それらの状況を撮影して作った児童
ポルノも正視に耐えないものである。更に,被害者に対して,「裸の写真をばら
まく」などと言って口止めを図ったことまである。
被告人は,このような悪質な犯行を7回にわたって繰り返したのであり,もと
より悪質な幼女に対する同種事犯の中でも,まれにみる悪逆ぶりである。各保護
者の処罰感情は当然ながら峻烈であるが,現時点では金銭的な賠償の目処すら立
っていない。
これらの事情に照らすと,本件は,性犯罪の一般的な量刑傾向に照らして相当
に重い刑を科すべきであって,被告人なりに反省の言葉を述べていることを考慮
しても,主文のとおりの厳刑を科すことが相当であると判断した。
(求刑懲役25年主文同旨の没収)
平成24年7月19日
神戸地方裁判所第4刑事部
裁判長裁判官丸田顕
裁判官片田真志
裁判官秋間ユリ

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