弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件控訴を棄却する
         理    由
 弁護人星野民雄の控訴の趣意は記録編綴の控訴趣意書記載のとおりであるからこ
こにこれを引用する。
 一、 論旨第一点(法令違背)について
 原判決が本件の犯行日時を昭和二十九年六月十二日と認定した上之に対し昭和二
十九年法律第百七十七号覚せい剤取締法の一部を改正する法律により改正された後
の同法第二条第十四条第一項及び第四十一条第一項第二号を適用していることは所
論の通りである。
 よつて同改正法律が公布せられるに至つた日時を考究してみるに、旧憲法下にお
いては公式令第十二条により法律の公布は総て官報に掲載して之をなしていたので
あるが、新憲法の施行と同時に昭和二十二年五月三日政令第四号により公式令が廃
止せられ、その後之に代るべき立法措置が講ぜられないため、法令の公布について
は何等成文の規定が存しないことになつたのである。しかしながら公式令廃止後も
引続いて従前の方式をそのまま踏襲し、法令は総て官報に掲載して公布せられ、国
家各機関はもとより一般国民においても、官報に掲載せられたことをもつて公布と
認め、それに記載せられた法令をその正文と解し之に従つているのであるから、今
日においては法令の公布は官報によるとの不文律が確立したものといわざるを得な
い。
 次に法令の公布は官報によるとしても、公布の効力が如何なる時期に発生するか
については、種え論議の余地が存し、所論の如く国民が現実に官報を購読すること
が可能な状態に達したときはじめてその効力が発生するとする主張も一見解たるを
失わない。思うに法律の公布は成立した法律の内容を一般国民に知らしめるため少
くもその機会を与えるためとられる措置であるから、法例第一条に規定する如く、
その公布と施行との間に相当期間を存置することが望ましいのであるが、本件改正
法律(その附則第一項参照)の如く公布と同時に施行するような場合においては法
律本来の使命性格に照らし人と場所とにより区別を設けることなく之を一律に施行
せんとする国家目的とその適用により自由の拘束を受ける国民の利害とが調和する
一時点を定めこの時を以つて法令が公布せられたものと解するの外ない。而して法
律は卒然として公布せられるのではなく、之に先行してその制定手続が存し、公開
の国会両院で数次の討議を経た上可決されて法律として成立するものであり、この
段階において新聞雑誌或はラジオ等により法律成立の経過その内容ならびに施行期
日等の大要が国民に報<要旨>道せられることは公知の事実であつて、之等の事情を
勘案すると、前記の調和点即ち法律公布の効力を生ずる時期は、法律掲載の
官報が一般に発売頒布のため大蔵省印刷局より官報販売所等外部に向け発送せられ
た最初の時点であると解するのを相当とする。ところで本件改正法律は第十九国会
において審議の末可決成立し、昭和二十九年六月十二日附の官報に掲載して公布せ
られたものであることは当裁判所に顕著であつて、大蔵省印刷局業務部長Aの回答
書によると、右官報は同日午前七時五十分に前記発送手続がとられたことが認め得
るから、同法律は同年六月十二日午前七時五十分をもつて適法有効に公布せられた
ものといわなければならない。しかるに記録によると、被告人が本件の事犯をなし
たのは同日午前九時頃であることが確認できるから、その当時においては既に同改
正法律が施行せられていたものというべく、従つて原判決が被告人の右事犯に対し
前記改正法律を適用処断したのは正当であつて、何等違法のかどはない。法律公布
の時期に関し右と異る見解に立脚して原判決を攻撃する所論は採るを得ない。論旨
は理由がない。
 二、 同第二点(量刑不当)について
 しかし、記録によると被告人は予てからヒロポン注射の形跡があるのみでなく、
本件の外にも数回にわたりヒロポンを売買した容疑もあり、之等の事情と本件の罪
質態様被告人の性行経歴その他記録上認められる諸般の事情を綜合すると、所論の
点を参酌しても原審の量刑が不当に重いとは認め難い論旨は理由がない。
 よつて刑事訴訟法第三百九十六条に則り主文の通り判決する。
 (裁判長裁判官 伏見正保 裁判官 村木友市 裁判官 石見勝四)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛